ライバルを超えるために幻想入り   作:破壊王子

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この小説はドラゴンボールと東方Projectの二次創作です。

ついに梅雨に入りましたね。暑くないのは嬉しいですけど通学が大変すぎる…


【第36話】サイヤ人の王子VS博麗の巫女

 

 

 

「私を魔理沙と一緒にしない事ね…!」

 

霊夢が集中する。すると霊夢の体から肉眼でも捉えられるくらいに霊力が溢れ出しているのがわかった。

 

「さて…やっと此処でオレの期待に応えられそうな奴が出てきたな」

 

ベジータもパキパキと指を鳴らして霊夢を見つめる。ベジータほどの戦闘経験があればリラックスしながらでも集中力を限界近くまで高められる。

 

「戦う前に聞かせて頂戴。 …ベジータ、アンタ本当に何者なの?違う世界から来たってことしか私達は知らないけど…一つだけ確信してることがあるわ」

 

「ほう、それはなんだ」

 

ベジータは霊夢に聞き返す。

 

 

「それはアンタが沢山の修羅場を潜り抜けてきただろうってことよ」

 

「ただ強いだけじゃそんな威圧感は放てない…アンタが何のために、何を守るために戦っているのか、それを聞きたいのよ」

 

 

「……」

 

ベジータが黙る。そんなことを聞かれたのは初めてだったからだ。

 

「オレはオレの誇りのために戦う。それがオレの…サイヤ人の宿命だ」

 

ベジータはそう答えた。〝誇り〟それはベジータが何よりも大切に思っているものだ。〝誇り〟のためなら何を犠牲にしても構わない。たとえ自分の命であっても…と考えていたのだ。だがそれは〝昔〟の話である。

 

〝誇り〟よりもベジータには大切なモノができてしまった。しかしこの霊夢とのやりとりでは口に出さなかった。

 

 

「〝誇り〟ね。 まぁアンタが言っていることもわからなくはないけど…でも、もしその〝誇り〟とやらで幻想郷を滅茶苦茶にする時が来たら…私は躊躇なくそれを砕くわ」

 

 

「ほう…どうやって」

 

「アンタが変な気を起こす前に教えといてあげる。上には上がいる事をね。それをアンタを倒すことによって証明するわ」

 

霊夢の集中力は最大にまで高まった。さっきまでアリスの家でダラけていた者と同一人物とは思えない。

 

「キサマこそわかっていないようだな。まあいい。キサマのようなエリートには1度知るべきものがある。それは…〝圧倒的敗北〟だ!」

 

「さぁ!きやがれッ!」

 

 

「フンッ!そっくりそのままお返しするわッ!いくわよッ!」

 

「《霊符「夢想妙珠」》!」

 

「!!」

 

霊夢は様子見と言わんばかりの攻撃を繰り出してきた。複数の陰陽玉がベジータの周りに広がり、ベジータに向かってくる。

 

その弾幕を見ながらベジータは高速で移動し、回避する。しかし追尾しながらベジータに向かってついてくるので、完全にかわしきれてはいない。

 

「ほらほら、逃げるだけじゃ私には勝てないわよ。それとも逃げ回るのがアンタの戦い方なのかしら?」

 

「…ぬかせ」

 

避けきることは不可能だと思ったベジータは先ほどよりずっと高く飛び、周りへの被害が出ない事を確認した。

 

 

「はあああああッ!!!」

 

そして気を全力で解放し、向かってきている弾幕を消し飛ばした。ベジータの周りにゴオオオ!と凄まじい音が響いた。

 

 

「この程度の攻撃でオレにダメージを…」

 

ベジータは下にいた霊夢を見下しながら言った…つもりだった。

 

 

「こっちよ!」

 

「!!」

 

 

 

 

霊夢の凄まじい蹴りがベジータの腰へクリーンヒットした。ベジータはまったく受け身を取れずに地面に向かって吹っ飛ばされた。

霊夢の先ほどまでの弾幕と挑発は、ベジータの隙を作るための囮だったのだ。

 

「まだよ!」

 

 

 

吹っ飛ばされたベジータに向かって、霊夢は追撃の弾幕を撃つ。

 

 

 

「!!」

 

地面で受け身をとった後、ベジータはでかい気弾を放った。その気弾は霊夢の細かい弾幕を打ち消した後、全く威力を落とさずに霊夢に向かったが、ギリギリかわされた。

 

 

「まさかとは思うがそれは攻撃なのか?」

 

「言ってくれるわね」

 

 

「今度はオレからいくぞ」

 

そう宣言し、構える。霊夢はこの構えに見覚えがあった。

 

「(これは…魔理沙と戦った時の)」

 

 

「くらえ! ギャリック砲ー!!!」

 

 

ベジータの全身から凄まじい気攻波が放たれた。その放たれた直後、霊夢はある違和感を覚えた。

 

 

「くっ!《宝具「陰陽鬼神玉」》!」

 

霊夢は青く巨大な霊力弾でギャリック砲を迎え撃とうとする。 だが…

 

 

 

「なん…って威力なの!」

 

 

ギャリック砲の威力は凄まじく、あっさりと押され返された。霊夢は間一髪のところでギャリックの射程から脱出したが、ベジータの追撃の蹴りをくらい森へ吹っ飛んだ。先ほどのベジータと同じ光景のようである。

 

 

「はぁ…か弱い女の子相手でもあいつ容赦ないわね」

 

霊夢はケロっとしながらパタパタと服をはたき、立ち上がって再びベジータの元へと飛んだ。

 

 

「今の蹴りをくらって平気な顔をするとはな。とことんムカつく奴だぜ」

 

「フン…それはアンタが〝手加減〟してるからでしょ?」

 

 

ピクッとベジータは反応した。

 

 

「手加減だと?」

 

「アンタは攻撃の強弱が激しすぎるわ。さっきのビームみたいな弾幕はとてつもない威力だったのに、今の蹴りは正直いって魔理沙より弱いわよ」

 

「……」

 

「まぁそれが紫のしてた『力の封印』ってやつに関係してるのは確かなんだろうけど…アンタも相当な面倒ごとに巻き込まれたみたいね」

 

「…フン」

 

「何はともあれ今のアンタは〝バランス〟が悪いわ。力んでたって私には勝てないけど…それでも続ける?」

 

「……」

 

ベジータはブツブツと呟きながら何かを考え込んでいる。

 

「まぁアンタがやめるわけないか」

 

霊夢は短時間しかベジータと一緒にいてなかったが、ベジータの性格は大体把握していた。

 

 

ベジータはとりあえず頭の中で考えていることを整理した。

 

「(…この戦いでわかったことがある。今のオレの力は〝オレでない誰か〟に操られている。無論オレ自身も力を引き出そうとすればできる…しかしその誰かと同時に力を引き出そうとすると思うようにいかなくなる。まぁ十中八九あの女のせいだろうがな)」

 

 

 

 

ベジータが思っていることをわかりやすく説明すると、今ベジータの力を引き出せるのはベジータだけではなく、もう1人の『誰か』がいる。

ベジータだけが力を引き出そうとすると、もちろん10割の力を発揮できる。しかし『誰か』と同時に力を引き出そうとするとそういうわけにはいかない。

 

先ほどベジータがギャリック砲を撃ったときは、ベジータのみが力を引き出したため10割の力を発揮できた。

しかしその後の蹴りはもう1人の『誰か』と同時に引き出したため、ベジータは2割ほどしか引き出せなかった。なぜベジータが2割ほどしか出せなかったのかというと、ベジータが『誰か』より気が小さかったからだ。

要は綱引きのような状態になっていて、気の大きいほうが力をより引き出せるということだ。

 

 

 

「(これは『力の封印』をしたとはいえ、オレが気の大きさであの女より劣っているということだ。あのクソ女め、オレと初めて会ったときは気を抑えてやがったのか)」

 

 

「…さっきからブツブツと何を言ってるの?めんどくさいからそろそろ終わらせるわよ」

 

 

「簡単なことだ」

 

「は?」

 

「簡単だと言っている。何やら小細工をしたみたいだがオレには関係ない。要はオレが一方的に力を引き出せるようになればいい」

 

「どういうこと?」

 

「つまり…こういうことだッ!!!」

 

 

「はあああああああッ!!!!!」

 

 

 

「っ!!?」

 

一瞬でベジータの気が限界を超えていく。それを霊夢もなんとなく感じていた。

 

 

「…スーパーサイヤ人になればオレがあの女に劣ることなどありえん。いつも通りに戦えるということだ」

 

「……」

 

ベジータはスーパーサイヤ人になった。スーパーサイヤ人になれば戦闘力も爆発的に上がり、『誰か』に力を引き出される心配がないからである。

 

「これでゴチャゴチャ考えずに済む。さっさと終わらせるぞ霊夢」

 

先ほどまで集中を切らしていた霊夢は一気に集中力を戻した。

 

 

「はぁ…スーパーサイヤ人…ね。なんかまだ隠してそうと思ったけどまさかここまでとはね」

 

「戦意喪失したとは言わせんぞ」

 

 

「戦意喪失?バカ言わないで。むしろ…」

 

 

 

 

「面白いじゃない」

 

 

 

 

霊夢がニヤッと笑う。普段霊夢は戦うことに関して楽しさなどは求めてないが、ベジータの純粋な〝強さ〟を見て、普段騒がない血が騒いでしまった。

 

「ふぅ…はあああああ…!」

 

深く息を吸い、はいた。すると霊夢の霊力がさらに上がっていく。先ほどまでは本気ではなかったようだ。

 

「いくわよ!」

 

 

 

霊夢はお祓い棒を取り出し、武器として使うつもりだ。

 

「《霊符「夢想妙珠」》!!!」

 

ベジータの前方に5つの霊力弾を放つ。1つ1つの大きさがベジータの体くらいあり、追尾性もしながらベジータを襲う。

 

「追尾しやがるのか。… はああッ!」

 

 

高速で避けていたベジータがいきなり止まり、バリアーを展開した。5つの霊力弾はバリアーに弾かれ、下にある森へバラバラになりながら落ちていった。

 

 

「ハナから効くとは思ってないわよ!」

 

霊夢は地面に足をつけた。霊夢と同じようにベジータも下へ降りてきた。

 

「《神技「八方鬼縛陣」》!」

 

 

「!!!」

 

 

霊夢が地面に手をつくとベジータの周りに結界が出現した。離れなければ確実にダメージを食らうだろうと理解した。

 

 

「チッ…」

 

結界から急いで離れようとした瞬間…

 

 

「ほっ!」

 

「!!」

 

お祓い棒で霊夢が攻撃してきた。恐らくベジータがどのように動くのか計算していたのだろう。

 

「無駄だッ!」

 

霊夢の一撃を右腕で防いだ。お祓い棒は木でできたものだが、霊夢の霊力が込められているので、ベジータの思っているよりだいぶ重い攻撃だった。

 

霊夢のお祓い棒での攻撃は、ベジータに一瞬の隙を生んだ。そして霊夢はそれを見逃さなかった。

体を捻り、ベジータの胸に蹴りを入れたのだ。虚を突かれたベジータは何を抵抗できずに後ろへ吹っ飛んだ…先ほどの結界の元へ。

 

「なッ…!」

 

 

 

 

ベジータが吹っ飛ばされた直後に結界が大爆発を起こした。

爆発する直後まで近くにいたため、霊夢自身も多少ダメージを食らってしまった。

 

 

「くっ…でもベジータは…」

 

 

 

 

 

 

「!!」

 

大爆発を起こし、煙を上げていた場所を見ていたら、前から気弾が飛んできた。

 

 

 

 

「ぐはッ…!」

 

気弾は霊夢の肩に当たった。スピード重視の1発だったため大きなダメージはなかったものの、一瞬霊夢の隙を作るのにはそれで十分だった。

 

 

「食らいやがれッ!『ビッグ・バン・アタック』!!!」

 

 

霊夢が今食らった気弾とはわけが違う。まともに食らえばそれで終わるほどの威力があることは一瞬でわかった。

 

 

「に、二重…」

 

霊夢は上体を立て直し、技を出そうとするが…

 

 

(間に合わなッ…!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日1番の爆発音が鳴り響く。本来のベジータの攻撃としては物足りない威力であるが、確実に、霊夢に大ダメージをあたえたと確信した。

 

 

「はぁ…はぁ…チッ!手こずらせやがって!」

 

先ほどの霊夢の技はベジータといえどかなりダメージを食らってしまったようだ。

 

 

あたりには風が吹き、どんどん煙が消えていく。ベジータはそこに霊夢が倒れていると思っていた。

しかし…

 

 

 

 

 

 

「………」

 

 

「きさま…どうやって…」

 

 

霊夢は無傷でそこに立っていた。無傷といってもさっきの1発を食らわなかっただけで、それ以前のダメージは残っている。

 

 

 

 

「夢想天生…」

 

そう呟いたと思ったら霊夢は空気のようにフワッと浮き上がった。

 

「(なんだこれは…見えているのに、まるで霊夢が〝存在していない〟ような…)」

 

 

先ほどの霊夢とは明らかに〝異質〟だという事にベジータは気づいていた。

 

 

 

「やっぱりアンタは強い…けど私は絶対に〝負けないわ〟」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、第36話でした。

あれ?この2人ただ適当に理由つけて戦いたいだけじ(ry
今回は設定が複雑すぎるのと、私の説明力の無さもありかなり分かりづらかったかもしれません。質問などはネタバレにならない限り答えるつもりなのでじゃんじゃんお願いします。
後この設定はNARUTOをほんのちょっと意識しました。分かる人には分かると思います。(笑)

ではここまでです。お疲れ様でした。

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