ライバルを超えるために幻想入り   作:破壊王子

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この小説はドラゴンボールと東方Projectの二次創作です。

活動報告では既に言っていたのですが、実は第1話の冒頭に挿絵を追加しました。よかったら見てください。


【第35話】違和感

 

 

 

 

 

 

 

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「……あれ…」

 

美鈴はベットの上で目を覚ました。なぜ今まで寝ていたのかを起きたばっかりの美鈴にはまったくわからない。

 

「ここ…どこ?」

 

辺りを見回すとどうやらここは室内であることは間違いないのだが、ここがどこかはまったく身に覚えがなかった。

 

「参ったなぁ…… っ!!!」

 

 

「そうか…私は負けたんだった…」

 

頭が大分冴えてきたところで美鈴は思い出した。それは悟天との勝負に負けたことである。悟天に負けた悔しさよりも、まったく手も足も出なかった自分への情けなさが心に響いた。

 

とりあえず美鈴は立ち上がってキョロキョロと周りを見渡した。部屋のドアを開け、廊下に出るとどこからかいい匂いがした。

 

「いい匂い…こっちかな」

 

美鈴は匂いのする方へ歩いていった。そしてそこは案の定キッチンで、女の人が1人で料理を作っていた。おそらく夕食の準備であろう。

 

「ん?ああ目が覚めたか」

 

「あ、あの私…」

 

美鈴は思わずタジタジする。

 

「いんだいんだ。とりあえずコレ運んでけろ」

 

「え? あ…」

 

美鈴は女性から料理の乗った皿を渡された。

 

「腹減ってるだろ?まずは飯を食ってからだ」

 

「すいません…」

 

美鈴はとりあえず皿を受け取り、テーブルまで運んでいく。

 

「おめぇどっから来たんだ?しらねぇ顔だけど」

 

「………えっ!私ですか?」

 

色々考え事をしていたので反応が遅れてしまった。

 

「…他に誰がいるんだ?」

 

女性は腕組みをして顔をムッとする。

 

「で、ですよね!すいません!」

 

美鈴は慌てて謝る。

 

「それで、どっから来たんだ?都じゃねえんだべ?」

 

皿を運んでいた美鈴の足がピタッ止まった。そして美鈴は「私は…その…」と言葉を詰まらせた。

 

 

「…まぁいいだ。言いたくないもん言わせてもしょうがないしな」

 

なんとなく深い事情がありそうだったので、女性はそれ以上追求しなかった。

 

「すいません。自分勝手で…」

 

「いいっていってるだ。それより悟天を呼んできてくれねぇか?今は外で薪を割ってるはずだべ」

 

「悟天さん…はい、わかりました」

 

 

 

 

 

そう言われて美鈴は外に出た。すると薪に向かって仁王立ちしている少年の後ろ姿が見えた。

 

 

「アレですね」

 

 

少年は薪に向かって「よっ」と言いながら手刀を打ち込む。すると薪は綺麗に真っ二つになった。

 

 

「悟天さん」

 

「ん?ああ!お姉ちゃん、目が覚めたんだ!」

 

悟天は振り向き、美鈴の心配をしてくれた。その心配が美鈴を少しだけまた情けなくさせた。

 

「気絶した私をここまで運んでくれたのは悟天さんですよね?本当にすいませんでした。魚とキノコを採る約束をしていたのに…」

 

「あ!そういえばそんな約束してた!すっかり忘れちゃってた!」

 

悟天は「まぁいいや!」と気にしていない様子である。

 

「お母様…ですよね。呼んでいらっしゃいますよ。夕食の時間みたいです」

 

「うん!わかった!」

 

返事をしつつ割った薪を集めて持ち上げた。それを美鈴も手伝い、薪棚まで持っていく。

 

「悟天さん…負けといて何なんですけど…1つ聞いてもいいですか?」

 

「また質問?なに?」

 

今度は嫌そうな顔をされなかったので美鈴は少しだけホッとした。

 

「私と貴方…つまり悟天さんは戦いました。そして私が敗れた。全力を出し切ったのにです」

 

「うんうん」

 

「その時…私に少しでも脅威を感じましたか?」

 

「きょういって……なに?」

 

「え?ああ…じゃあ私に怖さを感じましたか?」

 

悟天は黙り込む。そして目を瞑って考えた。

 

「ぼくは…お姉ちゃんを怖いとは思わなかったなぁ」

 

当然である。あの魔人ブウをみてきた悟天にとって、美鈴は〝怖い〟と思える対象にはならない。

 

「そうですよね」

 

返ってくる答えは分かっていたのでそれほどショックではなかった。

 

「でもお姉ちゃんが 『孫 悟天!』で叫んだ時はビックリしちゃったよ!」

 

そう悟天が言った。美鈴に対するフォローなのかどうかわからないが、美鈴は思わずフッと笑った。

 

 

「つまらないことを聞いてすいません!早く戻りましょうか。お母様が待ってますよ!」

 

「うん!ぼくもうお腹ペコペコだよ〜!!!」

 

そうして雑談しながら2人で戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー幻想郷ー

 

 

「はい、ベジータ」

 

魚を採りにきていたベジータと霊夢。川に着くと霊夢はベジータに竿を渡した。

 

「何だコレは」

 

「何って…釣竿。魚を採る道具よ。まさか知らないの?」

 

フッと霊夢は鼻で笑いながら答えた。

 

「そんなことは知っている。オレが言いたいのはなぜこんなものを使うのかって事だ」

 

「はぁ?魚を採るのに釣竿を使うのがおかしいってこと?」

 

「ちがう。こうすれば…」

 

そう言いつつ川に向かって手をかざす。だが…

 

 

「……!?」

 

 

「…なによ。なにも起こらないじゃない」

 

「……」

 

ベジータは黙って掌をずっと見つめる。

 

「? まぁなんでもいいわ。私は薪を集めるからアンタちゃっちゃと魚釣ってね」

 

そう言い残し霊夢は他の場所へ飛んでいった。

 

 

 

 

 

「どういう事だ…」

 

 

ベジータが先ほどやろうとしていた事は、川の水面に向かって気弾を放ち、その反動で魚を打ち揚げるというものである。

しかし、手をかざし、いつものごとく気弾を撃とうとしても上手く撃てなかった。

 

「チッ…」

 

もう一度気弾を撃つために手を向けた。さっきと違い空へ向かって。

 

「……」

 

 

「…はああああッ!」

 

 

 

今度は先ほどより気を強く高め、気弾を撃った。軽く撃ったつもりの気弾はベジータが思っていたより大分パワーがあり、空中で大爆発を起こした。その衝動で近くの木にいた鳥がバタバタと飛び去っていく音が聞こえた。

 

 

「なにがどうなっている…まるで〝別人の気〟を操っているみたいだ…」

 

ベジータはいつも通りに気を操れていない。いつもは無意識に操っているものが、強引に引きずりださなければパワーを発揮できないようになっていたのだ。

 

「これまでとは悪化のスピードのレベルが違いすぎる。考えられるのは…あの女か」

 

実はベジータは、このもどかしさの予兆は前から感じていた。守矢神社で美鈴に修行をつけているうちから、何か自分に異変があるとは思っていたが、その時は特に影響も出なかったので放っておいた。

 

そして先ほど妖怪たちを始末した時も気弾を放ったのだが、大きな違和感を覚えなかった。しかし今、今までの違和感とは違う、まるで別人の体を動かしていると思わせるほどの違和感がでてきたことに驚きを隠せなかった。

 

「面倒な女だ。 …だがいまのオレにはどうすることもできん。何か策を…」

 

そう考えていると猛スピードで霊夢が戻ってきた。

 

 

「アンタなに考えてんのよ!まさかアンタの目的は幻想郷を吹っ飛ばすことじゃないでしょうね!」

 

すごい剣幕で上から言い放った。しかし霊夢が怒るのも無理はない。ベジータが放った気弾の威力は、あの短時間でかなりベジータから離れていた霊夢ですらすぐに気づくほどだったのだ。

 

「フン…そんな事をして何になる。 力のコントロールが上手くいかないだけだ。」

 

「コントロール?ああ…紫がアンタの力を制限したのに関係があるのね」

 

「恐らくな。この力に慣れないとオレはここらを吹っ飛ばしてしまうかもしれん」

 

ベジータがニヤリと笑いながら霊夢を見る。勘が鋭い霊夢はベジータの意図を感じ取っていた。

 

 

「私と戦って完全にコントロールできるようにするつもり?…面白いわ。実をいうと私もアンタの力を確かめたかったのよ。…でも短時間でそんなことできるのかしら」

 

ベジータの意図というのは、力をコントロールできるようにするという理由を使い、霊夢と戦うことだった。理由にすると言っても、このままじゃまずいと思ったので、力をコントロールできるようにならなければいけないというのは本当のことである。しかしこんな時でも戦うことを最優先に考えるのは実にサイヤ人らしい。

 

「短時間だと?何故そう思った」

 

「…ふんっ」

 

霊夢は霊力を高める。無風だったこの場が、霊夢の周りだけ風が軽く吹いていた。

 

「アンタは強い。それはアンタが魔理沙と戦っていた時から知ってるわ。だから……」

 

 

 

「手加減する余裕がないってことよ」

 

 

 

ドンドン霊夢の霊力は上がっていく。底が見えないほどのポテンシャルである。

 

 

「(こいつ…フンッ、まさか早苗以上の〝天才型〟がいるとはな)」

 

早苗を見た時も相当な才能を感じたが、霊夢は間違いなくそれ以上のモノをもっていた。

 

「キサマが本気を出せばすぐに決着がつくと…ククク…」

 

ベジータは笑う。 不気味なほどの存在感を醸し出しながら。

 

「何かおかしいことでも言った?」

 

 

「そいつは自分自身で気づかせてやる。心配するな…すぐに終わらせてやる!」

 

霊夢を指差しながらベジータはそう言った。

 

 

「上等よ…私と魔理沙を一緒にしない事ね…!」

 

 

霊夢も臨戦態勢に入り、深く構えた

 

 




はい、第35話でした。

美鈴と話していた女性というのはもちろんチチなのですが、絵も声もない状態だと口調のせいもありすごく男っぽいですよね。
脳内変換されるとありがたいです。

ではここで終わります、お疲れ様でした。

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