ライバルを超えるために幻想入り   作:破壊王子

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この小説はドラゴンボールと東方Projectの二次創作です。

やっとこさ4章へ突入です。


【4章】龍球の世界へ
【第32話】異世界


 

 

「強い人って…師匠と対等に戦える相手なんて幻想郷どころか別の世界にもいないでしょ…」

 

何も聞かずに別方向に飛んでいったベジータに対し、軽く愚痴のようなものを美鈴はこぼしていた。

 

 

「師匠も変なところでズレてますよね〜」

 

また一つ愚痴をこぼした。

 

 

 

 

「でも戦いに関しては〝天才〟 それは貴女もわかっているでしょう?」

 

 

「!!?」

 

独り言のつもりの愚痴に、誰かが返答した。

 

 

「…誰ですか!そこにいるのはわかってます!」

 

不意なことだったので美鈴は一瞬動揺した。しかしすぐに気を引き締め、構えた。

 

 

 

 

 

変な空間から女性が2人出てきた。

 

 

「はぁい、初めまして…『紅魔館の門番』紅美鈴さん」

 

出てきたのは幻想郷の賢者である八雲紫と紫に仕えている八雲藍だった。

 

 

「!! 貴女はスキマ妖怪…何の用ですか?」

 

紫を見た瞬間、美鈴はいつもより警戒した。

 

「…なんでそんなに警戒してるのかしら?」

 

「良くないことが起きそうだからです!」

 

「………」

 

前の神奈子達といい、紫は周りに、自分がどう思われてるのかが最近気になるようになっていた。

 

「ちょっと待て!」

 

2人の会話に藍が突然割り込んだ。

 

「確かに紫様は普段グータラしてるし、いつも何も言わずにふらっと出かけるし、どこか抜けてるところもあるがッ!無意味に悪さを起こそうなどという事は決してしないッ!」

 

ドンッ!と一歩前に出て藍はそう言った。

 

 

「藍…それはフォローのつもりでしょうけど…全然なってないわ…」

 

 

紫はゲッソリとした顔をしてそう言った。

 

「えっ!? あっ すいません紫様!!!」

 

 

「(何この人たち…)」

 

美鈴は目をポカンとして2人を見ていた。

 

 

「コ、コホン! …とにかく、紅美鈴さん。私は貴女に頼みたいことがあるの」

 

話を戻すために紫は真剣な顔をした。

 

 

「頼み?私に?」

 

 

 

 

 

 

「そう。貴女には…『ベジータがいた世界』に行って欲しいの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………チッ!」

 

 

ベジータも美鈴同様に飛んで探していたのだが、いつまで経っても強い者など見つからない為、一旦地上へ降りた。

 

 

「気が探せないことがこんなに不便とはな…」

 

降りた場所をキョロキョロと見渡す。しかし辺りは木しかない。ここは森のようだ。

 

「しかも霧が凄くて前が見えづらいな。 …苛々させやがって」

 

 

「とりあえずここを抜……!なんの真似だきさまら」

 

 

突然森に巣食う妖怪たちがベジータに攻撃を仕掛けてきた。しかしベジータは難なくその攻撃を躱す。

 

 

「ハッ…見ろよ、人間だぜ…」

 

「馬鹿が!食っちまうか…」

 

 

ゾロゾロと集まってきた。どうやらここは溜まり場らしい。

 

 

「オレはキサマらの様なゴミに構っている暇はない。死にたくなければさっさと消えろ」

 

そう言い放ち、妖怪たちに背中を向けて歩いて行った。

 

 

「逃げられるわけねぇだろ! 死ねぇぇぇッ!」

 

一匹が素早い動きでベジータに近寄り、殴りかかった。

 

 

 

 

 

 

何かが千切れる音がした後一気に血飛沫が上がる。その場にいた妖怪どもは甲高い声で笑っていた。 そんな中、一匹の妖怪が目を凝らして状況をよく見ていた。

 

「お、おい!!よく見て見ろよ!!」

 

「なんだうるせ……え?」

 

 

ポト…ポト…と血が滴り落ちる。しかしその血はベジータのものではなかった。

 

 

 

 

ベジータに襲いかかった妖怪は倒れた。

 

「どうやら死にたいらしいな」

 

 

ベジータが何かを投げた。 その〝何か〟はコロコロと妖怪たちの方へ転がっていく。

 

「これは…!」

 

それはさっきベジータを襲った妖怪の“首”だった。

 

 

「てめえ…いつ…」

 

 

 

 

 

また何かが千切れる音がした。そしていつの間にベジータは妖怪たちの中心へ来ていた。 …一匹の首をもったまま。

 

「なッ!!?」

 

 

 

「フンッ…」

 

今度は頭を握りつぶした。血飛沫はベジータの顔や身体にかかった。

 

「こいつ…化けもんだァ…」

 

ようやく妖怪たちは気づいた。自分達では何をしようがベジータに傷一つ付けられないどころか触れることすらできないことを。

 

 

「キサマら…運が良かったな。オレは良心的でな…敵を痛ぶったりはせん。 …楽に殺してやる」

 

強者が見つからないことや、霧で周りが見えにくいことなどでベジータは苛々していた。 …いや例え気分が良かったとしても攻撃を仕掛けた時点で妖怪たちの運命は決まっていた。

 

「ま、待ってくれ!俺たちは…!」

 

 

「言い訳なら閻魔にすることだな」

 

 

 

 

そう言った瞬間、超スピードで襲いかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ゴミどもめ。更に苛々させやがって」

 

 

周りは血の海と化していた。気を使って殺そうと考えていたが、〝ある事〟を確認するために肉弾戦で片付けたのだ。

 

「このままにする訳にはいかんな」

 

 

 

 

バラバラにした妖怪たちを消し去るために気弾を撃った。それにより妖怪たちは跡形もなく消え去った。

 

「フンッ、無駄な時間だったぜ。はやく……!」

 

「誰か来るな…」

 

近くに気を感じたベジータ。何者かが近寄って来ることを察した。

 

 

「……っ!」

 

何者かはそこにベジータがいる事に気付き、咄嗟に隠れた。

 

 

「隠れても無駄だ。さっさと出てこい」

 

「!!…………」

 

 

 

 

現れたのは金髪の少女だった。

 

 

「…何の用だ。」

 

黙りながらもじっとこちらを睨んでいる少女に問いた。

 

 

「何の用ですって?こっちが知りたいわ。アレは何?」

 

少女は指差した。その指差した方向にはベジータが気弾であけた大穴があった。

 

「ゴミを始末しただけだ」

 

「ゴミ…まさか妖怪たちの事?妖怪だからって簡単に殺していいとでも思ってるの?」

 

少女は頭の回転が早く、すぐに理解した。

 

「そんな事はどうでもいい。キサマはオレと口喧嘩をしにきたのか?文句があるならかかってこい」

 

ベジータは少女を挑発した。雑魚妖怪たちとは違い、大きな気を感じたからである。

 

「文句なんてないけど…アンタのその態度が気に入らないわ!」

 

少女の周りに人形が現れた。どうやらその人形を使って戦うらしい。

 

 

「(…おもしろい)さっさとかかってこい」

 

 

「痛い目見せてあげるわ!」

 

少女がベジータに攻撃しようとした瞬間…

 

 

「アリス!!!」

 

 

 

聞き覚えのある声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……え?」

 

「あら?聞こえなかったかしら?じゃあもう一度言うわね」

 

 

「貴女には『ベジータがいた世界』に行ってほしい…と言ったのよ」

 

 

もちろん聞き逃した訳ではない。単に美鈴の理解が遅かっただけである。

 

「師匠がいた世界…ですか?」

 

「ええ、薄々感づいてると思うけど…彼は外来人よ。」

 

「師匠が…」

 

もちろんそう思わなかったわけではない。

 

「確かに…〝この幻想郷〟とか〝ここでの修行はチャンス〟とか言ってましたね」

 

「彼は私がこの幻想郷へ送り込んだの」

 

「なっ…そんなこと! ……なるほど」

 

一瞬疑ったがすぐに納得した。確かに紫の『境界を操る程度の能力』を使えば可能だと思ったからだ。

 

「ふふ…こんなこともできちゃうのよ、私の能力は」

 

「それでは…なぜ師匠をこの世界に?」

 

「え〜?そこまでは教えられないわ〜」

 

笑いながらそう言う紫。その笑顔を見て美鈴は少しイラっとした。

 

 

「では…なぜ私を師匠の世界に?」

 

「それはもちろん貴女を強くしてあげるためよ。今よりもっと強くなりたいんでしょ?」

 

「それと別世界へ行くことがなんの関係が?」

 

フッと紫は軽く笑った。

 

 

「貴女を更に強くする事が出来る人を知っているわ。今より段違いにね」

 

「!!」

 

嘘ではない。紫の目を見てそうわかった。

 

「そうですか。 …しかし、私は師匠の元で強くなりたいんです。他の人の元でなんか…」

 

 

 

「対等になりたいんでしょ?」

 

 

不意にそう言った。

 

 

「…なんですか急に」

 

 

 

「貴女はベジータを信頼し、尊敬している。それは私にもよく伝わるわ。 …けど貴女はそこで終わるつもりはないんでしょう?」

 

 

「つまり?」

 

 

「貴女はベジータと対等になりたいのよ。足なんて引っ張りたくない。背中を任せて一緒に戦えるほどに…ね」

 

「………」

 

心の中を見透かされているような気持ちだった。

 

 

「だけど今のままじゃ貴女は一生かかってもベジータに追いつく事は出来ない。…断言するわ」

 

「だから貴女のいう方から強くしてもらい、師匠に追いつけるようになれと」

 

「そうよ」

 

「…解せませんね」

 

美鈴には腑に落ちない点があった。

 

「なぜ貴女が私にそこまでする?それを聞かないと私は首を縦には振れません」

 

「………」

 

「………」

 

2人は数秒間見つめ合った。

 

「詳しくは言えないけど…これからの幻想郷のため、とだけ言っとくわ」

 

「……」

 

「…わかりました」

 

正直これだけでは全く理解できなかったが、紫にもなにが事情がある事ということを考えて、決断した。

 

「感謝するわ、美鈴」

 

そう言いながら前に手をかざし、スキマを開いた。

 

「この中に…」

 

 

「先に言っとくけど…私はその人にも会ったこともないし、その人が貴女を修行をつけてくれるとも限らないわ。

それにあちらの世界の者に幻想郷のことは他言無用…それでもいいかしら?」

 

 

「大丈夫です!なんとかしてみせます!」

 

 

美鈴はやる気に満ちた溢れた顔をしている。

 

 

「あっ!でも名前だけでも教え」

 

 

その瞬間、足元にもスキマができた。

 

 

「 えっ!? な、これ!?」

 

 

「ベジータのことは私に任せて。頃合いを見たら迎えに行くわ」

 

 

「ちょっ!?」

 

 

「じゃあ…いってらっしゃい❤︎」

 

 

 

 

わぁぁぁぁぁ…という叫び声が消えると共にスキマも消えた。

 

 

 

「まったく…紫様、また無茶をなされて…」

 

「いいのよ、これくらい強引で」

 

 

 

 

 

「さあ…どうなるかしらね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「痛ぅ……あれ?ここは?」

 

真っ黒な世界が広がっていたと思ってたらいつの間にかスキマが開いて地面に落ちた。

 

「森…ですかね…ていうか名前も顔を知らないのにどうすれば…」

 

「!!!」

 

「誰か来る! ……それも相当強い!」

 

凄いスピードで何かが近づいてきている事がわかった。

 

そしてその者は美鈴の元に辿り着いた。

 

 

 

 

「あれぇ?おねーちゃんこんな所で何やってるの?」

 

美鈴の元へとやってきたのはまだまだ小さい子供だった。

 

「…貴方は?」

 

 

「ボク? ボクは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「孫悟天だよ!」

 

 

 

 

 

 

 




はい、第32話でした。

美鈴が龍球入りというのは他の作品でやってみたかったのですが、これからの展開なども考え、この『ライバルを超えるために幻想入り』にブッ込んでみました。

タイトル詐欺じゃないか!と思う方もいるかと思いますが、あくまでベジータが中心である事は変わりませんので、ご了承ください。

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