ライバルを超えるために幻想入り   作:破壊王子

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この小説はドラゴンボールと東方Projectの二次創作です。

感想欄で、次から新章ですとぬかしてたくせに実はまだです。
次の回から新章になります。すいませんでした。


【第31話】欠点

 

 

「この勝負…紅美鈴の勝ちだ!」

 

 

 

「やっ……た…あ…」

 

勝負に勝てた喜びを噛みしめる前に、美鈴は早苗と同様に力尽きて気絶してしまった。ベジータはその美鈴にゆっくりと近寄った。

 

「貴様にしては…よくやったな」

 

素直に褒めることができないベジータ。その言葉自体、今の美鈴には届いていないかもしれない。

 

 

「早苗っ!」

 

諏訪子も早苗に近寄り、肩を貸してあげようとした。しかし諏訪子の身長では早苗を支えることは難しいので、結局後から来た神奈子が早苗に肩を貸してあげた。

 

 

「早苗…よくやった。お前は守矢の誇りだよ」

 

「ほんと…早苗!よく頑張ったね!」

 

2人は早苗に労いの言葉を贈った。気を失っているので恐らく聞こえていないだろうが、心なしか早苗は満足そうな顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後神社の中に入り、気を失っていた2人を部屋に寝かせた。

 

「ふぅ、こんなものだな」

 

「2人とも…ゆっくり休んでね」

 

布団を2つ並べて、2人はぐっすりと寝ていた。

 

 

「美鈴は今まで以上の気だった。早苗には関しては貴様ら2人の力を自分の力としていた…大した才能だな」

 

「ああ、早苗には光るものがある。これからもっと修行を積んで守矢を支えてほしいものだ」

 

 

「それにしても…」

 

「ん?」

 

「腹が減ったな」

 

ベジータはチラッと諏訪子の方を見た。諏訪子はそれが何を意味するかわかっていた。

 

「ははは、わかったよ。2人が眠ってるから作る人がいないしね。私が作ってくるよ。」

 

「すまないな諏訪子」

 

そういう神奈子に手を振りつつ、諏訪子は部屋から出て行った。

 

 

外はすでに暗くなっていた。もう完全な夜である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ベジータ…先ほどはすまなかったな。お前達2人の気持ちもわからないで私は怒鳴り散らしてしまった」

 

「気にするな」

 

ベジータはこう言っているが、神奈子はまだ申し訳ない気持ちでいた。

 

「それより…神奈子、貴様はこの戦いをみてどう思った?」

 

ベジータは不意に神奈子に聞いた。

 

「どうって?」

 

「思った通りに答えてみろ」

 

 

神奈子は少し考えてから口を開いた。

 

「私がいうのもアレだが…かなり高いレベルの戦いだったと思うぞ」

 

「そうか…」

 

神奈子はベジータが何を言いたいのかわからなかった。

 

「…そういうベジータはどう思ったのだ?」

 

 

神奈子がそう言うとベジータは黙り込んだ。しかし少ししてから口を開く。

 

「〝勿体無い〟オレにはこれしか思い浮かばない」

 

神奈子が想像していた答えと全く異なっていた。

 

「勿体無い…?どういうことだ?」

 

 

「この幻想郷には…強い奴が多い。なにかしら能力を持っていたり才能を持った奴が多いという事だ」

 

「それだけに…〝この程度〟の力しか出しきれていないことが勿体無いということだ」

 

 

ストレートな感想を言った。

 

 

「…なるほど。確かにお前からしたら〝この程度〟と言われてもしょうがないな」

 

「別に皮肉で言っている訳ではない。ここの連中には確かに貴様の言う光るものというものがある。…修行を積めば更に高みに上れるだろう。しかし…」

 

ベジータは言葉を詰まらせた。ここまで聞くと神奈子もベジータの言いたいことがわかった。

 

「なるほど…確かに幻想郷の連中は修行などをするタイプじゃないな。ベジータが言いたいことはつまり平和ボケしてるって事だろう?」

 

「…ああ。貴様らは幻想郷に敵がやってくることは考えないのか?」

 

世界が違うのだからベジータの世界とこちらの世界では色々違うのだろう、とわかりながらも聞いた。

 

「まぁこの幻想郷には結界が…いや、確かにお前のいう通り平和ボケしているのは確かだ。顔が上がらないな」

 

「…まぁいい。世界自体が違うのだからな。ここはオレ達の世界とは違う…だが」

 

「ん?」

 

「フッ…安心しろ。もしそんな敵が現れても…こいつが倒すんだからな」

 

ベジータはビシッと美鈴を指差した。

 

「美鈴が…」

 

「ああ。このオレ様が修行をつけてやるんだ。どんな敵でもこいつ1人でなんとかできるほど鍛えてやる」

 

はっはっは!とベジータは笑った。人に修行をつける楽しさのいうものを自覚はせずとも感じているのかもしれない。

 

「フフ さすがだな。…それはそうとベジータ。」

 

「なんだ?」

 

「なぜ美鈴がお前の代わりに戦いたいと言ったか…わかるか?」

 

「戦いたかったからだろう」

 

「……」

 

初日にも思ったが、やはりベジータは戦闘マニアだと神奈子は思った。

 

「ま、まぁそれも少なからずあるかもしれんが…お前が前に言ったよな? 〈仲間など時には足枷にしかならんこともある。そんなものに頼って戦うなどオレはゴメンだ。〉とな」

 

「ああ」

 

「恐らくだが…これが気になったのではないか?」

 

ベジータは黙り込んだ。

 

「…どういうことだ?」

 

 

ベジータは神奈子か何を言っているのかよく理解ができていない。

 

「……」

 

 

「…なんた?」

 

「…なんでもない。つまり美鈴が『今の自分は師匠の足枷にしかならない』と思ったのではないかという事だ。だから美鈴は今より強くなり、お前と対等になりなかったんじゃないか?」

 

「…なるほどな。あいつ、一丁前な考えを持つようになりやがって」

 

「まぁいいさ。よしっ」

 

胡座をかいていた神奈子がスッと立ち上がった。

 

「何処へ行く?」

 

「諏訪子の元だ。1人では時間がかかるだろう。私も手伝ってくるから2人を見ていてくれ」

 

 

神奈子は部屋から出て言った。

 

 

 

 

 

 

「(…やはりな。ベジータの弱点とまではいわないが〝欠点〟を見つけた)」

 

「(あいつは…“弱い者の気持ち”がわからないのだ。1番ではないものの常にトップクラスの力を持っていた故…か)」

 

「(それがスーパーサイヤ人3になる鍵とは思えないが…もう我らがどうこうするべきではない…か。八雲紫め、無理難題をよこしよって)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー次の日ー

 

 

 

ベジータは守矢の3人にもうここを去ることを伝えた。

 

「もういくの?」

 

「ああ。世話になったな」

 

「美鈴さん、身体は大丈夫ですか?」

 

早苗は自分より美鈴の心配をしていた。

 

「大丈夫ですよ!それより早苗さんだって…」

 

ニコニコとしながらお互いの心配をし合う2人。

 

 

「ベジータ、美鈴を頼むぞ」

 

「フッ、お前はいつから美鈴の親になったんだ?」

 

「1週間も暮らしたんだ。もう娘も同然さ」

 

「なんか神奈子ババくさーい」

 

たまらず諏訪子が突っ込んだ。

 

「う、うるさいぞ諏訪子!」

 

 

「…じゃあオレ達は行く。じゃあな」

 

「ああ。…いつでも戻ってこい」

 

「皆さん!少しの間、本当にありがとうございました!」

 

 

そう言った後、2人は飛んで行った。

 

さよーならー!という声がいつまでも2人には聞こえていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山を降りた2人はこれならどうするか決めかねていた。数日前ににとりから地底の話を聞いていたのに、2人はそのことを完全に忘れていた。

 

「師匠、これから何処へ行くんですか?」

 

「そうだな…よし!」

 

ベジータは何か思いついた。

 

「貴様はあっちへ強い奴を探しにいけ。オレはこっちを探しにいく」

 

遠くにある気が探れないベジータ達は、とりあえず2人別れて探そうという事になった。

 

「なるほど…それで見つけたらどう知ら」

 

「さっさと探すぞ。できるだけ強い奴をな」

 

「え?ちょっ」

 

「じゃあな」

 

 

 

 

 

 

美鈴の話に耳を傾ける事なく、ベジータは猛スピードで飛んで行った。

 

「…見つけてもどう知らせればいいのか」

 

はぁ…と肩を落とした美鈴もベジータとは逆方向に飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今のやりとりを上空にいた2人が見ていた。

 

 

「紫様。本当に彼女を…?」

 

「もちろん。行くわよ藍」

 

 

 

 

「紅美鈴に接触するわ」




はい、第31話でした。

ここで三章の終わりとなります。なんだか無駄に長い気がしたのは気のせいでしょうか。

ではここで終わります。お疲れ様でした。

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