ライバルを超えるために幻想入り   作:破壊王子

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この小説はドラゴンボールと東方Projectの二次創作です。

今回短いです、すいません!


【第29話】強大な力

 

 

 

「貴女に〝奇跡〟は起こらないんですよッ!!!」

 

美鈴をビシッと指差して言った。つまり早苗は、美鈴は自分には勝てないと言っているのだろう。

 

「〝奇跡〟ですか…確かに私にはそんなもの起こらないかもしれません。でも、それでも私は負けるわけにはいかないんです」

 

美鈴の目には光が灯っている。まだまだやる気満々である。

 

「そうでしょうね。しかしやる気だけじゃ力の差は埋まりませんよ」

 

「……」

 

もちろん美鈴もそんな事はわかっていた。正直今の早苗と美鈴の間には大きな差がある。

 

「それに貴女は満身創痍のはずです。次こそ決めますよ!」

 

 

「《祈願「商売繁盛守り」!》」

 

早苗はたくさんのお札を取り出し、放り投げた。お札は早苗の力を纏い、美鈴に攻撃しに向かった。

 

「ふっ!」

 

 

美鈴は先ほどのように真っ直ぐ避けるのではなく、ステップを使い、不規則な動きでお札をかわしていく。

 

「くっ!すばしっこいですね!」

 

いくら早苗であろうと、お札のすべてを追尾性にして早苗に向かわせる集中力を保つ事は至難の技である。そしてその集中力が仇となった。

 

「(今だッ!)」

 

 

 

「!?」

 

お札に集中力を注ぎ込んでいた早苗は、ステップを変え右足に体重をかけて一気に距離を詰めてきた美鈴に反応するのが遅れてしまった。

 

「ま、まずい!」

 

「はぁぁぁぁッ!!!」

 

 

 

「あぶなッ…」

 

美鈴のパンチを早苗は間一髪かわすことができた。しかし、攻撃はそれだけでは終わらなかった。

 

「はッ!」

 

 

 

パンチをかわされた美鈴は、すぐに体重移動をして早苗にの背中に回し蹴りを食らわせた。これは美鈴の体の柔らかさが無ければできない技だろう。

 

「ぐっ…!」

 

早苗は体勢が崩れ、地面に膝をつく。

 

「はぁッ!」

 

 

 

美鈴の攻撃は終わらない。さらに早苗に向かって気弾を連射した。

 

「!?…くそ!《神籤「乱れおみくじ連続引き」》」

 

早苗はすぐに起き上がり、おみくじ爆弾で相殺しようとする。

 

「はっ!」

 

気弾とおみくじ爆弾がぶつかろうが近づいた時、美鈴は腕をクンッと動かす。すると気弾はみんな軌道が代わり、早苗の後ろに回り込む。

 

「なッ…!」

 

「早苗さん。さっきの…お返しです!」

 

 

 

早苗は美鈴の気弾をモロに食らってしまった。

 

 

 

 

「さ、早苗ッ!」

 

「……」

 

諏訪子と神奈子は心配そうに観戦していた。勝負の勝ち負けではなく、純粋に早苗の事が心配なのだ。

 

 

 

 

 

「……さて、これからだな」

 

そんな中、ベジータだけが冷静に戦いを分析しているのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この技はさきほど習得したんです。あまりに単純な技なので同じ相手に2度は通用しないと思いますが…そうですね、『操気弾』と名付けましょうか」

 

美鈴は先ほどの昼から夕方の間にこの技を完成させた。名前もどんな技かも何処かで見た事があるような気がする。

 

 

 

 

フラフラしながら早苗は立ち上がった。どこか不気味な雰囲気を醸し出している。

 

「…やはり立ちますか早苗さん。立ってくるなら私は手加減はしません!」

 

「……」

 

「早苗さん、貴女には弱点があります。それは1つ1つの技が強力すぎるという事です。確かに普通の妖怪相手なら一撃で勝負は決まるでしょう…しかし、今みたいに戦いが長引くと体力や集中力を消費しすぎて一気に不利になってしまいます!」

 

これに関しては観戦していた3人もわかっていた。技が強力なのはいい事なのだが、それゆえ技を出す時にすごく力を消費してしまうのだ。

 

「では…決めますッ!」

 

美鈴は再び早苗と距離を詰める。早苗は下を向いて距離を取ろうとはしないようだ。

 

「この一撃で…終わりだッ!」

 

 

美鈴が右腕一本に全ての気を注ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「『龍拳』!!!」

 

まるで龍のように凄まじい威圧感を放つ拳が早苗に向かっていく。これで勝負はついた…とその場にいた誰もが思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なにッ…?」

 

誰よりも早く状況を把握できたのはベジータだった。美鈴の最高の技とも言える『龍拳』を早苗が受け止めたことに驚きを隠せなかった。

 

 

 

 

「…え?」

 

ベジータの反応とは少し遅れて美鈴も状況を把握した。あのベジータすら防げなかった『龍拳』を早苗が止めた…それも片手で。

 

 

 

 

 

 

 

 

「消え…ッ」

 

 

 

 

 

 

「がっ…!」

 

 

目にも止まらぬ速さで美鈴の後ろに移動した早苗は、渾身の拳を美鈴の頬に食らわせた。とても肉弾戦が苦手な者が放つパンチの威力ではない。

 

 

 

 

 

 

「は、速い…目が追いつかない…!」

 

 

早苗は物凄いスピードで美鈴の周りを飛ぶ。

 

 

 

腕へ、脚へ、背中へすごいスピードでパンチを繰り出す。

 

「くっ…」

 

 

「《秘術「忘却の祭儀」》

 

「!?」

 

打撃と共に結界を使って美鈴の行動範囲を狭める。

 

「こんなもの…気で…!!!」

 

 

「がはっ…!」

 

気で周りの結界を吹き飛ばそうと美鈴だったが、その一瞬の隙をついて早苗は回し蹴りを入れた。先ほどの美鈴のようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ねえ神奈子、アレ…」

 

「ああ…まずい事になったな…」

 

諏訪子と神奈子は今早苗に起こっている現象について何か知っているようだった。

 

 

「アレはどういう事だ」

 

ベジータは2人に聞いた。

 

「初めて早苗に我らの力を貸した時、どのくらいまで力を貸したらいいのか我々はわからなかった。だから限界までその時は力を貸したんだが…」

 

「私たちの力を得すぎた早苗は…あまりに力が強大すぎて暴走したんだ。それ以降は力を貸しても早苗がその力を全て使うのでは無く、コントロールして使ってたんだけど…美鈴との戦いでその力を全て使ってるみたいだ」

 

「暴走…か」

 

 

 

今の早苗には苦手だった肉弾戦も、神奈子の力で強化されている。恐らく美鈴と互角、いやそれ以上だろう。

 

 

 

 

「…ここが正念場だぞ、美鈴」

 

 

 

それでもベジータは勝負に水を差すようなことはせず、美鈴を信じて見守っていた。




はい、第29話でした。

28話で「いい動きですねぇ、美鈴さん!」って台詞があったのですが、見返したら「いい質問ですねぇ!」と池上彰みたいになってて1人で笑いました。

ではここで終わります、お疲れ様でした。

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