ライバルを超えるために幻想入り   作:破壊王子

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この小説はドラゴンボールと東方projectの二次創作です。

風邪でもひいたのか喉が痛いです。


【第21話】倒す力と守る力

 

「これは……早苗、一体どういうつもりだ?」

 

神奈子の目に映っていたのは数十人前はあると思われる凄まじい量の料理だった。いまからここで宴会を始めると言われてもなんの不思議もないくらいの量である。

 

「その…美鈴さんがこれくらいはいるって…」

 

なんとも信じがたい話であったが、とりあえず早苗は美鈴に言われた通りに食事を用意した。

 

「すいません、師匠にはこのくらいないと…」

 

 

 

「フッ、中々作ったようだな。腹が減ったからオレは食うぞ」

 

にわかに信じられなかったが神奈子もとりあえず座った。

 

 

 

 

 

 

「………」

 

「す、凄いですね…」

 

「もう見慣れちゃいました」

 

 

 

「はははっ!何もかも規格外みたいだね!」

 

 

「むっ?」

 

「諏訪子様!遅かったですね!」

 

 

新たに少女が現れた。この中の誰よりも幼い見た目でありながらも、内に秘めた〝気〟は神奈子に似ているようにベジータは思えた。

 

 

「ちょっとね……やあいらっしゃい2人とも」

 

諏訪子はベジータと美鈴と目を合わせた後そう言った。

 

「私の名前は洩矢諏訪子。見えないかもしれないけど神様ってやつだよ」

 

「紅魔館で門番をしています!紅 美鈴です!今はベジータさんの弟子です!よろしくお願いします!」

 

「ベジータだ」

 

よっこらせと座った諏訪子も一緒に夕飯を食べだした。

 

「ベジータに聞きたい事がいくつかあるんだけど…」

 

 

「ヒヒタイホト? ホォレハナンラ?」

 

「待て待て、口の中の物を飲み込んでから喋れ」

 

神奈子は腕組みをしながらベジータに向かって言う。

 

「………」

 

「ちゃんと噛めよ…」

 

 

「それで聞きたいこととは何だ?」

 

「う、うん…これは単に気になっただけなんだけど、なんで弟子をとったのかな?って思ってさ」

 

「えっ?」

 

美鈴が心配そうな顔で諏訪子を見る。

 

「あ、いやいや弟子をとるのが悪いとかそういうことではないよ。ただそういうタイプには見えなかったのにどうしてかな?って思っただけさ」

 

「……」

 

「こいつがオレに似ていたからだ」

 

「純粋に強さだけを求める。その気持ちが伝わってきたからだ。それ以外の理由などない」

 

「へぇ…じゃあもう一つ聞くけど…ベジータにとって“強さ”とは何?」

 

「なんだと?」

 

「そのままの意味だよ」

 

ベジータは目を瞑った。そしてしばらくしたら目を開けて答えた。

 

「決まっている。“強さ”とは他者を寄せつけぬ圧倒的な個々の力だ」

 

「…それがベジータが思う“強さ”か。いかにもって感じだね」

 

「ああ、だがこれが真実だ。何者にも覆すことはできん。力のある支配者がいたら力のない者はそれに従わなきゃならん。ふざけた世界だぜ」

 

「……」

 

「だからオレは強くなる。オレはオレの思うように生きるためだ。そして…」

 

 

 

ベジータの話は途中で終わった。その後なぜか奥歯をギリッとさせて悔しそうな顔をしていた。

 

「なるほど、ベジータらしいといえるな」

 

「そういうキサマはどう思うんだ?」

 

「む?そうだな…早苗、お前はどう思う?」

 

「わ、私ですか?」

 

「そうだね、早苗の意見を聞きたいな」

 

「………」

 

しばらく考えた後、早苗はこう答えた。

 

「〝強さ〟とは…大切な人を守ることのできる力…ですかね」

 

「…なに?」

 

少しイラっときたかのようにベジータは早苗を見る。

 

「まぁ待て、続けなさい早苗」

 

「は、はい。私…たまに考えることがあるんです。もしとんでもなく強い敵が幻想郷に攻めてきたらどうしようって」

 

「その時に一番最悪なパターンを考えたら……失礼ですけど、神奈子様や諏訪子様がやられちゃうことだと思うんです。自分はまだしもお2人が死んじゃったら私……」

 

「……」

 

神奈子も諏訪子も黙っている。

 

「だから私は欲しいんです。1人でとはいいません。みんなと協力してでもいい」

 

「私はどうなってもいい…だけど大切な人だけは絶対に守り通す…そんな力が!」

 

 

「…早苗」

 

 

「…フンッ!そんなものは綺麗事でしかない!そんな敵が現れたら自分が倒す!それが実行できるくらい圧倒的な力を手に入れればいいだけだ!」

 

ベジータが言うことも勿論正しい。何も〝答え〟は一つとは限らないのだ。

 

「倒す力と守る力か…正反対のようでもそれは同じ力だ。まぁこれ以上考えると力とは何かなんてことまで考えなきゃいけないから一旦ここまでにしようか」

 

 

「その通りだ。倒すにせよ守るにせよ必要なのは力、すなわち強さの事だ」

 

ベジータがそう言った。

 

「確かに2人が言っていることは同じような事だね。でも決定的に違うところもある。それは…個人の強さと協力した強さって事だね」

 

「協力だと?仲間など時には足枷にしかならんこともある。そんなものに頼って戦うなどオレはゴメンだ」

 

「……」

 

美鈴は黙って聞いている。

 

「じゃあ…試してみるかい?」

 

「試すだと?」

 

「うん。私達3人と…ベジータでさ」

 

「私と神奈子から早苗に力を送ることができる。これは協力して戦うことだ。そして個々の力のベジータと勝負さ!」

 

「す、諏訪子様!!?」

 

「諏訪子…さすがにそれは…」

 

早苗も神奈子もやはり心配のようだ。

 

「勝てるとは思っていないよ。ただベジータにも知ってもらいたいんだ。協力することの大切さをね」

 

「フッ、面白い!ならば見せてもらうか…キサマらの協力した強さとやらをな!」

 

 

話がまとまりつつあった中、誰も予測してない言葉を美鈴が放った。

 

 

「あの…」

 

「私ッ!師匠の代わりに戦いますッ!」

 

「「「え?」」」 「は?」

 

「弟子として…“強さ”というものを師匠の代わりに示してみせます!」

 

「「「「………」」」」

 

「め、美鈴さん?」

 

「美鈴…おまえ…」

 

「あははっ!さすがベジータが弟子にとるだけはあるね!」

 

「こちらとしては歓迎するけど…ベジータはどうする?」

 

「……」

 

迷っていたベジータだったが、すぐに答えた。

 

「いいだろう。キサマが戦え美鈴」

 

「いいのかベジータ。あんなに戦いたそうだったではないか」

 

「精神的なムラとやらがなくならないとこれ以上は変わらないんだろう?だったらいま戦おうが無駄だ。無駄な戦いをするなら成長のために美鈴に戦わせる方がいい」

 

「意外としっかり考えてるんだね〜」

 

「意外だと?」

 

おっと、と言いながら手で口を塞ぐ諏訪子。

 

「その代わり時間をよこせ。キサマらが協力するとなると今の美鈴では辛いだろう。そうだな、1週間…1週間あれば美鈴はキサマらを倒してみせるだろう」

 

「ちょ、ちょっと師匠!それはいくらなんでも…ていうか勝敗は関係ないんじゃ…」

 

「どんな戦いであろうと勝つ!…オレの弟子ならそう肝に銘じておけ!」

 

そんな…と思う美鈴であったがこれ以上は何も言わなかった。ベジータが1度言ったことを訂正するわけないと思ったからだ。

 

 

「美鈴さんと戦うのですか…せっかく仲良くなれたのに…」

 

「何を言っておる。私も諏訪子も戦った後にこういう仲になれたのだぞ?」

 

「そうだよ。2人も戦った後に今以上の仲になれるといいね」

 

早苗は神奈子と諏訪子の言うことに納得した

 

「しかし早苗。先ほど言っていたな。自分はどうなってもいい、と」

 

「あ、はい…」

 

「…2度と言うなよ。お前も私たち2人からみたら“大切な人”なのだからな」

 

 

 

神奈子の言った後に少し涙目になりながら早苗は、はい!と大きく返事をした。

 

 




はい、第21話でした。

実はこっそりと3章の題名を変えています。それはあの題名のままにすると3章が長くなりすぎると言う理由から変えることにしました。なので、あの題名は4章やら5章やらから出すことにします。

ではここで終わります。お疲れ様でした。

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