行き詰まってる感は結構あります。
「……」
夕食を食べ終わった後、これからの旅に必要な物を準備し終わり、あとは寝るだけ、というところまで来たのだが美鈴は中々眠れないのでベランダに出て星を眺めていた。
「ほんとにコレでよかったのかな…」
「いいに決まってるわ」
「ひゃうん!?」
突然横に現れた咲夜にビックリした美鈴は腰を抜かしてしまった。
「さ、咲夜さん!いるならいるって言ってくださいよ〜!」
「だって今来たんだもの。ノックしてもでてこないし」
美鈴は はぁーっと溜息をついた。
「それより早く寝ないと明日起きれないわよ?寝坊でもするもんならベジータの性格からして置いてかれちゃうわ」
「そ、それはわかっているのですが…眠れないんです」
「貴女が眠れないなんて槍でも降ってきそうね」
咲夜の冗談にハハハと軽く笑っていた美鈴であったがすぐに暗い顔になった。
「ほんとに旅について行くべきなのか…かといえ私の実力不足は事実。弱い門番など不要…私はどうすれば…」
「悩んでる理由が私にはわからないわね」
「えっ…?」
「お嬢様は許可を出してくれたわ、そして行きなさいと。それで十分だわ」
「私たちにはお嬢様が絶対よ。全てはお嬢様のため。…貴女はそうではないのかしら?」
「いえ!そんな事は…」
「貴女が強くなるのは紅魔館のため、そしてお嬢様のためよ。何も気にせずに行ってきなさい。私もできる限り貴女の仕事をフォローしとくわ」
「咲夜さん…ありがとうございます!」
「なら早く寝なさい。寝坊しても起こさないからね?」
そう言い残して咲夜は部屋から出ていった。
「ありがとうございます…」
小さくそう呟いた美鈴は寝るためにベッドに入った。
そして翌朝
「世話になったな」
「それはこっちの台詞よ。お腹がすいたらいつでもいらっしゃい。たくさんの料理を用意するわ」
「フッ、次はこの紅魔館の食材を食い尽くしてやる。覚悟しておくんだな」
「 それはやめてちょうだい…」
今回の2週間足らずで紅魔館の食材はかなり減っていた。ベジータの底なしの食欲を紅魔館の連中は軽く恐怖していた。
「それでこれならどこにいくの?」
パチュリーがそう聞く。
「決めていない。強い気のやつを見つけて戦うだけだ」
「き、決めてないんですか…行き当たりばったりですね」
こあは苦笑いしながら言った。
「美鈴も頑張ってきなさいよ。置いていかれないようにね」
「大丈夫です!皆さん、この紅 美鈴は必ず今よりもっと強くなって帰ってきます!そして紅魔館の門をどんな者からも守るので…待っていてください!」
敬礼しながら大きな声でそう言った。
「じゃあ行ってきなさい!」
美鈴は一礼した。ベジータは人差し指と中指をビシッと立てて挨拶をした。そしてその後2人は飛んで行った。
「それにしてもフランは来なかったわね。起きれなかったのかしら?」
「ああ、それはね…」
パチュリーにレミリアが説明しようとしたその瞬間──
「あーーーーーー!!!!!」
大荷物を抱えたフランがやってきた。
「あらフラン。おはよう。いい朝ね♪」
レミリアはニッコリとした笑顔である。対照的にフランの顔は不機嫌丸出しであった。
「妹様…その大荷物は?」
「私も行こうと思ったのに…お姉様!嘘の出発時間を教えたわねッ!」
「だってこうしなきゃあなたは一緒についていこうとするでしょ?それはダメって言ったわよね?」
「だからって…もぉーーーーー!!!」
フランは寝転がりながら手と足をバタバタさせている。
「嘘を言うなんて最低よ!!!それでも紅魔館の主なの!?このアンポンタン!!!」
「アン…どうやらやっぱりお仕置きが必要のようね…!」
「なにー!?望むところだー!!!」
2人は睨み合い、バチバチとした殺気を露わにする。
「はぁ…また始まった…」
「お嬢様!!妹様!!お、落ち着いてください!!」
「《禁忌「レーヴァテイン」》!!」
「《神槍「スピア・ザ・グングニル」》!!」
二人とも臨戦態勢に入った。
「お嬢様〜!妹様〜!」
「ベジータさ〜ん!美鈴さ〜ん!帰ってきてくださ〜い!!!」
こあの声は2人に届くことはなかった。
紅魔館は今日も平和なようだ。
はい、第16話でした。
そして『一体いつから第2章が終わったと錯覚していた…?』
あそこで終わるのは中途半端と思い、16話まで2章にさせてもらいました。すいませんでした。
次からは第3章の始まりです。3章も頑張って書くので応援よろしくお願いします。
では2章はここで終わります。お疲れ様でした。