春休みの内にたくさん投稿したいです。
「嘘…嘘よ………そんなの嘘よ…!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
これ以上考えられなくなったフランは感情に任せてすべての力を解放した。否、考えられなくなったのではなく、考えることを放棄したのだ。
「妹様!!!」
「フランッ!!!」
「待ってくださいお嬢様!」
フランに近付こうとするレミリアを美鈴は間一髪で止めた。
「でもこのままじゃフランが!」
いつも冷静なレミリアがかなり取り乱している。フランの事が心配なのである。
「私たちにはどうしようもできません…ベジータさんに任せるしか…」
「さっき会ったばかりのあいつを信頼しろと?そんなの無理に決まってるじゃない!」
「…確かに無理かもしれません。でも!それでもお願いします!妹様を…フラン様を止められるのはもうベジータさんしかいません!!!」
「……」
いつもとは違う強い口調の美鈴をみたレミリアは不思議に思った。
「随分あいつを信頼してるのね…武闘家としてなにか思うとこがあるのかしら?」
「…そうかもしれません。」
「咲夜、こあ。下がるわよ。」
「お、お嬢様…よろしいのですか?」
「ええ、あいつに…ベジータに任せるわ。 …私が信頼してる門番の美鈴が信頼してるんだもの、それで十分だわ」
「お嬢様…ありがとうございます!」
「ベジータさん…お願いします!」
フランの気はどんどん高まっていく。しかしベジータは冷静に状況を確認していた。
「…感情に任せてすべての力を解放するつもりか。さて、どうしたものか…」
正直ベジータもどうしたらよいかわからなかった。力を解放する前にフランに攻撃して止める手ならあるが、その分強力な攻撃になるため、フランが無事では済まないかもしれないからだ。
「自分の周りだけのバリアーならオレにダメージはないだろうが…他の奴らが消し飛ぶかもしれん」
ベジータは周りを守りながら戦うことの難しさを改めて感じた。
「カカロットなら… チッ!!」
「カカロットは関係ない!オレがどうするべきかを考えろ!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
考えがまとまらない内にフランの気は最大限にまで高まった。
「クソッ!この館はどうしようもない!とりあえず広い範囲にバリアーを…」
「そうか…この手があるか!」
「ベジータさん!何を!?」
「消えちゃえぇぇぇぇぇ!!!」
「今だッ!!!」
「はぁぁぁぁぁ!!!」
館全体に響く重い爆発音が鳴った。
「ケホッケホッ…」
「い、一体何が…」
美鈴や小悪魔は煙でむせながら何が起きたかをよく理解できていない。
「フラン!!!」
「…え?」
「手間かけさせやがって…」
ベジータは膝をついた。身体も服もボロボロになっていて、満身創痍という感じだ。
「お兄さん…?これは…私が…?」
「キサマに必要なのは…力をコントロールすることと…話し合いだ…」
「フランッ!」
フランの元にレミリアが駆け寄る。
「お姉様…私…」
「…馬鹿ね。あとでお仕置きよ」
「うん…。」
「最初っから…そうし…や…が…」
言い終わる前にベジータは倒れ込んだ。
「ベジータさん!」
美鈴は急いでベジータに駆け寄る。
「咲夜、美鈴、こあ。急いでベジータを運びなさい!」
「彼は…紅魔館の…私たちの恩人よ」
「ふぅ、とりあえずこれで…」
美鈴たちは3人で協力して、客間のベッドまで運んだ。
「お、重かったですね」
「ベジータさん…大丈夫でしょうか?」
「大丈夫じゃないかしら」
カツカツと靴の音をさせながら紫色の髪をした女性がゆっくりと現れた。
「パチェ…あなた今までどこにいたの?」
彼女はこの紅魔館の図書館を管理している魔法使いのパチュリー・ノーレッジである。
「ごめんなさいね。ずっと見ていたんだけど、もしベジータがフランを止めることができなかった場合の事を考えて結界をはろうとしてたんだけど…」
「どうやら…無駄だったみたいね」
ベジータの方を見ながらパチュリーは言った。
「ところでフランは?」
パチュリーは咲夜に聞いた。
「力を使い切ったからでしょう…今は寝ておられます」
「そう…」
「それで、ベジータはどうやってフランを止めたの?」
「これは恐らくだけど…結界…いやバリアーと呼ぶのがいいのかしら。その類のものをはって止めたんだと思うわ」
「バリアー?でもそれなら私たちや紅魔館が無事では済まなかったんじゃない?」
「普通はそうね。でもベジータの場合は自分だけの周りにバリアーをはったんじゃないわ」
「あの…どういう事でしょう?」
美鈴は話に上手くついていけてなかった。
「ベジータは紅魔館と周りの私たちに被害が及ばないように自分とフランを包み込むようにバリアーをはったの。…フランの力の解放の瞬間に距離を詰めたのはそのせいよ」
「そ、そんなことをしたら…」
「そうね。つまりベジータはフランの攻撃をゼロ距離でくらったことになるわね」
「!!!」
美鈴は信じられなかった。あの攻撃をあの距離からくらってこのケガで済むベジータを。
そしてこんなことを一瞬で躊躇いもなくする勇気を。
「これが最善策だと考えたんでしょうね…。とりあえず今は彼が起きるのを待ちましょう」
「そうね。勝手に永遠亭に運んだら何か言い出すかもしれないし」
「では私がベジータさんをみています」
美鈴がそういい出した。
「お嬢様も少し休まれないと…」
「わかってるわ。確かに少し疲れたわね…」
「では私は妹様の様子をみてきます〜」
「じゃあ美鈴、ベジータが目覚めたら知らせて頂戴」
「わかりました」
「………」
「……ん…」
「ベジータさん!お目覚めになられましたか」
「美鈴…オレは…」
「ベジータさん…私を…」
「紅 美鈴を弟子にして下さい!」
ベジータの言葉を遮り、美鈴は唐突に言い出した。
はい、第13話でした。
レミィは別に意識してなかったのに勝手にカリスマ溢れるキャラになっちゃいました。
これこそが彼女の本当のカリスマなのかもしれません。
ではここで終わります。お疲れ様でした。