狗の長兄が行くD×D   作:始まりの0

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明けましておめでとうございます。

PCの調子が悪かったのと、仕事が忙しかったので更新できませんでした。

何とか完成したので投稿します。今回はタイトル通り、ゲーム後の祝勝会です。


第49巻 祝勝会

~龍王神社 神殿内~

 

「と言う訳でお疲れ様。今日は好きなだけ飲んで、喰え!」

 

 

「龍牙王様、労ってくれるのはありがたく思います…………しかし私達は明日は学校なんですが」

 

龍牙王が夜叉達を労い、宴会を開いた。参加しているのは主役の夜叉や一誠達は勿論、数多くの龍牙王の眷属達も参加していた。

 

宴を開いたのはいいのだが明日は平日………神である龍牙王は行っているが、絶対的に行く必要はない。だが夜叉達にとっては大切な学業なのである。

 

「大丈夫だ!我の力で誤魔化しておいてやる!」

 

神の言葉とは思えない発言である。

 

「そうそう、桔梗。兄貴もこう言っているし偶にはいいじゃねぇか」

 

 

「夜叉まで………はぁ」

 

呆れた様子で溜息を吐く桔梗。

 

「大体、桔梗は真面目が過ぎる。偶には息を抜く事も必要だぞ、お前の様に家以外で気を張っていたら疲れるだろう………流石に酒を飲めとは言わんから、飯食って、寝て、明日はゆっくり休め」

 

 

「そうよ、桔梗ちゃんは真面目過ぎるわよぉ………偶には遊んだりしないと!守護者の仕事も大切だけど、青春はこの一時しかないんだから!特に人間である貴女達は寿命が短いんだし!恋は………まぁ相手は決まってるから置いといて……青春を謳歌しないと!」

 

 

「ぶっ!げほっ!げほっ!」

 

龍牙王と月読がそう言いニヤッとしながら夜叉を見る、それに気付いた桔梗は少し顔を赤くし俯き、夜叉は飲んでいたドリンクを吹きだし咳込んでいる。

 

「コホン………分かりました。ですが、明日だけですからね」

 

桔梗は確かに自分も疲れが残っており、体力も霊力も回復していない。無理して行けば回復は遅れ、万が一の場合に動けない可能性がある。ならば龍牙王の言う通り、休息を取り回復に努めるようだ。

 

「それでよしっ………ほれっ!一誠!お前も喰え!飲め!」

 

 

「あっ……はい、頂きます。でも酒は飲めませんよ」

 

 

「当たり前だ。儀式なら兎も角、こういう場あっても未成年に酒を飲ませるか………ジュースで我慢しろ。酒は二十歳からだ、まぁ昔ならもっと若くから飲んでいたがな」

 

 

「なっ成程………頂きます」

 

龍牙王に注がれたジュースを飲む一誠。

 

「一誠も初めての戦闘にしては中々に動けてたし、禁手も未完成とは言え使えていた。人の子の成長は早いものだ」

 

 

「そうよね、本当に子供達の成長って早いわね」

 

と龍牙王と月読は夜叉や桔梗、一誠を見る。

 

 

「ダーリン、子供がh」

 

龍牙王はこれから月読が何を言うかを気付いた為に、直ぐに彼女を自分の尾でグルグル巻きにした。

 

「全く昔からお前は酒が入るとそっち方面に話を持って行こうとする………はぁ、祝いの席では控えろ」

 

 

「あっあの龍王様……どうしたら彼女が出来るんでしょうか!?」

 

と一誠が聞いてきた。

 

「一誠は恋人が欲しいのか……お前の毎年の初詣の願いは今年こそ彼女欲しいとかだったな」

 

 

「はい……そう言えばその節は自分勝手な願いばかり言って申し訳ありませんでした」

 

一誠は神を目の前にして、去年までの自分が勝手な願いをしている事を思いだし龍牙王に謝罪する。

 

「いやいや、人間誰しもそう言う時期はあるしな……何故に我に聞く?普通そう言うのは友達等に聞くものだろう?」

 

 

「友達は松田とか元浜で俺を含めてモテないですし、この間、神器の修行に付き合ってくれたアザゼル先生に聞いたら『俺が教えてやってもいいが……俺の色恋はお前さんには刺激が強すぎるだろうしな。此処は龍牙王に聞きな、何せアイツは色んな女に好かれてるからな』と言ってました」

 

 

「まるで我が女遊びをしているみたいな言い方だな。アザゼルは後で締めるとして……………フム」

 

龍牙王は何かを考えていると口を開いた。

 

「第一に女の前で下ネタ発言はしない事だ。後、彼女が出来たら彼女の前で他の女の話はするな。死にたくないなら絶対にな」

 

 

「えっ?」

 

 

「特にそれが力を持った女なら尚更だ。力を持った女は孤独な事が多い……月読(こいつ)天照()がいい例だ。こいつらの前で他の女の話をしてみろ、次の日は足腰が立たなくなるくらいボロボロにされる。色んな意m…がふっ」

 

月読は龍牙王が言い終わる前に、彼の後ろから抱きつき彼を締め付けた。

 

「あらぁ、ダーリン。まるで私達が悪いみたいじゃない。そもそも優柔不断なダーリンが悪いんじゃないかしら?ダーリンが私を選んでくれてたら、姉さんにも、他の女にも手を出させないのに」

 

段々と月読の声のトーンが下がり、腕の力も上がっていく。

 

「むぅぅぅ……」

 

アーシアも涙目になって、横から彼の胴を絞め始めた。効いているかどうかは龍牙王(本人)のみぞ知るである。

 

「とまぁ、こんな感じになる……」

 

 

「そっ…そうなんですか」

 

一誠は若干引きながらそう答える。

 

「坊や、彼女がほしいならダーリンの言った事は守りなさいな」

 

と月読が声を掛けてきた。

 

「はっはい」

 

 

「私達の場合はダーリンがこんなんだし、私達自身ちゃんと平等に愛してくれるならと言う条件で許してるだけ。でも坊やの恋人となる娘がそうとは限らないわ。それに現代の日ノ本じゃ、一夫一妻だからね。

 

恋人を作っても他の女の子を見ちゃ駄目よ。後、ちゃんと自分の気持ちは言葉や行動で伝える事。女の子はそうして貰わないと不安で不安で堪らないのよ。

 

男として、女の子の気持ちに気付いてあげてね」

 

と途中から月読女神による恋愛講座が始まった。

 

女性陣はそれを興味津々に聞き、一誠もそれを聞いていた。

 

「とは言うものの……男は基本、獣よ。家のダーリンみたいに甲斐性があるなら未だしも……甲斐性があろうと許せないけど、女の子を弄ぶ男は最低よ。

 

覗きとかも論外ね」

 

そう月読が言うと皆の視線が龍牙王と一誠に突き刺さる。

 

「まぁ……うん、でもね、誰か1人なんて決められないし、1人を選んだらそれこそ各神話体系が戦争しそうだし……ある意味、世界の平和w…いたっ!こらっ月読、尻尾の毛をむしるな!まじで痛いから!すまん!我が優柔不断なのが悪かった!アーシアまで、いたっ!黒歌と白音まで、何故に?!」

 

 

「覗きについては反省してます、絶対今後しませんので許して下さい!」

 

龍牙王はアーシアや月読達に尻尾をむしられ始めた。まぁ、自分の優柔不断を女達の所為にしたのが悪いのである。

 

一誠は覗きに関して、反省し今後は一切しないと誓った。

 

「ハハハハハハ、賑やかでいいですな」

 

 

「相変わらず、我等が主はモテますなぁ、羨ましい限りだ!」

 

 

「まったくだ、1度でいいからあんな美女、美少女に囲まれてみたいもんだ!」

 

 

「へぇ……貴方にそんな甲斐性があるのかしらねぇ、それに妻の前で堂々と浮気したいなんて……今夜から外で寝て下さいね」

 

 

「悪かった、母ちゃん!俺は母ちゃん一筋でだな、しかし男としては憧れと言うか」

 

 

「女の尻を追いかけて川に落ちたり、していた一誠がな」

 

 

「覗きや問題発言ばかりしていた問題児だった一誠君が、龍王様のお役にたてる時がくるなんて……長い教師人生の中でこれ程、

嬉しい事はありせん」

 

眷属達もそれぞれ、この祝勝会で楽しんでいた。

 

「ふぅ……それにしても」

 

一誠は月読の恋愛口座が終わり席に戻ると辺りを見回した。

 

龍牙王の眷属達……その中には自分が知っている大工の棟梁や肉屋の親父、八百屋の夫婦、近くに住む老人、小学、中学、そして現在の駒王学園の教師までいた。

 

「よぅ、一誠……楽しんでるか?」

 

と飲み物を持って近付いてきた夜叉。

 

「あぁ、それにしても……顔見知りの殆どが妖怪とは本当に驚いた。しかも小学校の時とかの担任まで」

 

 

「まぁな……今日は参加してないけど、市長とか、市営病院の医院長とか、近くの病院の先生とかもだぞ」

 

 

「えっ、マジか~……街の半分は妖怪だったりして」

 

「正確にはこの街の人口の四分の一だけどな」

 

 

「結構多いんだな……」

 

 

「他の街でも結構いるらしいぞ。土地神がコンビニ経営してたり、緑のおじさんしてたり、俳優やってたりするらしい」

 

 

「えっ、神様がコンビニ経営?緑のおじさん?俳優?」

 

夜叉から神が色々な職業をしていることに驚く一誠。

 

「それで驚いてどうする、家の神なんか高校生してるんだぞ」

 

一誠は夜叉にそう言われ、龍牙王を見て納得した。

 

 

ー数時間が経過ー

 

「よぉし……そろそろ、御開きにするか」

 

 

「そうねぇ、流石に子供達も疲れてるみたいだしそろそろ御開きにしましょうか」

 

祝勝会が始まって数時間が経過し、龍牙王はそう言い周りを見回した。半分程の眷属達は酔い潰れたり寝落ちしていた。

 

夜叉や桔梗、一誠達も疲れているのか眠そうにしている。

 

龍牙王と月読の後ろには大きな酒樽が幾つも積み上がっており、2人はまだ平気そうではあるが流石に自分達に他の者達を付き合せるのも悪いと思ったらしい。

 

「と言う訳でそろそろ御開きにしよう、自力で寝床に行ける者は行きなさい。大丈夫な者は潰れている奴等を連れて帰る様に」

 

 

「私達は少し片付けしましょうか、ダーリン」

 

 

「そうしようか」

 

酔い潰れてない者達は酔い潰れた者達を言えに送り届け、龍牙王も一誠を含む数名を自宅に送り届け、先に片付けをしていた夜叉と桔梗を部屋へ戻らせると、月読とまだ残っていた黒歌と白音、アーシア達と神殿を片付けた。

 

「はい」

 

 

「ありがとう……」

 

龍牙王と月読は片付けを一通り終えると、2人だけで酒を飲んでいた。黒歌と白音は龍牙王の尾に包まり眠っており、アーシアは彼に凭れ掛かり眠っていた。

 

「ふぅ………一段落だな」

 

 

「そうねぇ………それでダーリン、悪魔共の駒なんて要求してどうするの?」

 

 

「アレを調べれば転生悪魔を殺さずに元に戻す方法が分かると思ってな………今まで会った転生悪魔の末路は酷いものだったからな。どうにかできないものかと思ってな」

 

 

「確かにあの末路は悲惨ね……力に溺れた果てに狂ってしまう。憎い者も大切な者も分からずに壊してしまう、悲しすぎるわよね」

 

 

「まぁ、そう言うことだ………それはそうとさっきからその手に持ってる酒はなんだ?加えてその小瓶は?」

 

龍牙王は先程から自分が飲んでいる盃に注がれている酒を見た。酒瓶のラベルには【龍殺し】と書いており、小瓶には【これで男は狼に】………つまりはアレな薬である。

 

「油断も隙もない。お前は我にそんなものを飲ませて何をする気だ?」

 

 

「なにって………ナニに決まってるじゃない!」

 

 

「堂々と言うな………はぁ、その辺りは変わらんな。まぁいい…………何時もの事だしな」

 

彼はそう言うと盃に入った酒を飲み干した。

 

こうして、祝勝会は終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

―ドクッ……ドクッ……ドクッ―

 

真っ暗な空間で獣が居り、その瞳を開く。するとある衝動に駆られた………全てを壊したいと言う破壊衝動に。だが直ぐに巨大な力により、獣は眠りにつかされた。

 

そして獣は夢に見る。己と、己より幼く脆い1人の人間の少女が居り、少女が己に笑い掛けてくる。それだけ……それだけの事だが、獣はそれで心を満たされた。

 

故に獣は願う、例えこれが夢幻であっても、この夢がずっと続いてくれる事を……。


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