狗の長兄が行くD×D   作:始まりの0

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沢山の感想ありがとうございました。

読み難いという指摘もありましたが、作者は文章力はあまり高くないのでどうかご容赦を。


第12巻 継承

 龍王神社と龍神神社、同じ神を祀る一族……つまり犬夜叉と桔梗、楓の子孫には役目がある。

 

 1つ目は、龍牙王を祀り仕えること。

 

 もう1つは、この駒王の地を護る事だ。

 

 これは神社が出来る際に、犬夜叉達と交わした盟約である。龍牙王は犬夜叉達の子孫を護る為に、自分の大切な地を護る為にこの駒王の地の神となった。

 

 しかし犬夜叉や桔梗、楓もその守護の役目を担う事になった。

 

 

 ―護るのは神だけでない、人もまた護る為には戦う必要がある―

 

 と桔梗の言葉から始まった。龍牙王もまたそれに同意し、彼等に加護を与え今まで共にこの地を護ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 ~龍王神社 神殿~

 

 神殿内で祭壇に向かって正座している夜叉と桔梗。その後ろには陽菜や夜叉達の母親達が控えている。

 

 彼等は成長し、10歳となった。

 

 祭壇の前には龍牙王が座っており、2人を見ている。

 

 

「2人とも本当にいいのだな?」

 

 龍牙王は夜叉と桔梗にそう尋ねた。

 

 

「はい……私は母が……龍王さま……龍牙王様が、先祖達が護り継いできたこの街が好きです。」

 

 

「俺は別に街がどうとか思わないけど、自分の見える所で悪魔や妖怪に好き勝手にされるのは嫌だからな」

 

 桔梗と夜叉がそう答える。

 

 

「こらっ、夜叉。こういう時くらいは敬語を使ったらどうだ」

 

 

「でもよぉ桔梗、兄貴が神様って感じしねぇし。今更なぁ」

 

 

「全くお前という奴は……」

 

 夜叉の態度に呆れている桔梗。龍牙王はそれを見て、笑みを浮かべる。

 

 

「別にいい……夜叉」

 

 

「なんだよ、兄貴」

 

 

「お前に守るべきべきものはあるか?」

 

 

「俺は……」

 

 龍牙王にそう聞かれると、横に座る桔梗を見て顔を赤くする夜叉。

 

 

「そうか……」

 

 龍牙王は2人の意志が固い事が分かっていた。2人のその眼は前世と同じく、誰かの為に戦う者の眼だ。ならば自分がすべきことは、彼等にそれを成す力を与えてやるのみ。彼は立ち上がると、祭壇に祀られている2振りの刀を取った。

 

 

「我が牙より打ち出した刀……人を守る【護龍牙(ごりゅうが)】、人の敵を滅する【闘滅牙(とうめつが)】。夜叉よ、この力をどうするかはお前が決めろ」

 

 そう言って、刀々斎に打たせた牙を……犬夜叉から子に、また子へと代々受け継がれてきた人を護る為の牙を夜叉に渡した。夜叉に返したと言うべきかもしれない。夜叉は龍牙王を聞き、牙をギュッと握り締めた。すると2振りの牙は夜叉が振るえる大きさに変化する。

 

 龍牙王は陽菜に視線を向けると、陽菜が大きな箱を持ってきた。

 

 箱を開くとそこには赤い色の大きな弓が入っていた。龍牙王はその弓を取ると、桔梗に差し出した。

 

 

「桔梗にはこの【破砕弓】を……お前も力をどう使うかは自分で決めなさい」

 

 

「はい」

 

 桔梗が弓を受け取ると、弓は桔梗が扱える大きさへと変化する。

 

 

「その武器達はお前達の先祖の……この地を護ってきた者達の使っていた物だ。牙は我が牙から、弓は我が爪から造りだしたものだ。強大な力を持つ……力は使い方を間違えば破滅に繋がる。だから良く考えて使いなさい」

 

 

「「はい」」

 

 龍牙王の言葉にそう返事を返す夜叉と桔梗。

 

 

「2人とも、何でも自分で抱え込むな。この地を護るのはお前達だけじゃない、我も、眷族達もいる。無理はするな………以上だ。長ったらしい儀式は終わりだ」

 

 龍牙王はそう言うと、2人の頭に手を乗せる。

 

 

「2人とも、役目も大事だが今と言う時間を大切にしろ。お前達の時間は我の様に長くはない……だから1日、1日を後悔の無い様に過せ」

 

 

「おう!」

 

 

「はい!」

 

 

「後、夜叉はちゃんと宿題もする様に。昨日も忘れていって先生に怒られたろ?」

 

 

「うげっ!なんで知ってんだよ!?」

 

 

「なんせ、この地は我の土地だ。何処で誰が何をしたかは把握しているぞ。ワハハハ」

 

 楽しい時間が過ぎていく。

 

 龍牙王にとって彼等と過ごせる時間は限られている。人間の命は儚い、医療の進んだ平成(現代)でさえ百年もせずに人間は死んでしまう。それを知っているからこそ彼等には、1日1日を悔いなく生きて欲しいと願っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 龍牙王は継承式が終わると、神社を離れ1軒の家へと向かう。大きな一軒家で、敷地もかなり広く、檜で出来た家だ。

 

 家の扉を慣れた手つきで鍵を開け、中へと入る。

 

 この家は龍牙王の家である。何故、家を持っているのだろう?

 

 

「ただいま~……って誰もいないけど」

 

 龍牙王は家の奥へと入って行くと、家中の窓を開ける。空気の入れ替えだろう。

 

 何故こんな家を持っているかと言うと……事の始りは龍牙王の一言だった。

 

 

 ―偶には息抜きをしたいので家が欲しい―

 

 その呟きを聞いた天照。彼女はたまたま遊びに来ていたのだが、それを聞き天照が用意したらしい。どうやって用意したのかと聞いた所……。

 

 

 ―最高神の力、舐めんなよ―

 

 だそうだ。要するに神の力である、きっと深くは聞いてはいけない事だろう。

 

 そうして用意された家で偶に過ごすしている。彼も神社で過ごすより自由に過ごせる場所が欲しかったんだろう。

 

 龍牙王は自分の部屋へと向かう。10畳ほどの広さの部屋でテレビ、ソファー、本棚などが置いてある。本棚には漫画、ゲームソフトなどが並んでおり、その隣の棚にはプラモデルが所狭しと並んでいた。

 

 

「ふぅ……さて今日はデン〇ロビ〇ムの続きを作ろう」

 

 龍牙王が指を鳴らすと、着ている着物と尾が消え洋服に変わる。そして長い髪を紐で縛ると巨大なプラモデルの前に座った。

 

 

「ん?……何かが家の敷地に入ってきたな」

 

 龍牙王は家に張ってある感知結界に何かが掛かったのに気付くと、立ち上がり部屋を出る。

 

 そして、軒先から庭を見廻す。広い庭には花や草が茂っている。それは何時もと変わらぬ光景で、感知した筈の存在の姿はない。だが龍牙王の鼻にはこの庭にいる何者かの匂いを嗅ぎ取っていた。

 

 

(血の匂い………しかも妖怪か)

 

 龍牙王は庭に降り、草を別け進むとそこには黒と白の2匹の猫がいた。どちらも傷だらけで衰弱している様だ。

 

 

「この土地の者ではない様だな………しかし見捨てる訳にはいかんか」

 

 龍牙王は傷付いた猫達を抱えると家の中へと入った。


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