城下町のダンデライオン~王の剣~   作:空音スチーマー。

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第2話【帰郷】

「曽和さん早く!なにしてんの?出発しちゃうよ?」

「お待ちください!まだお会計が!」

 

俺、櫻田 翔は

駅のホームで駅弁を買ってる曽和さんを横目に

ホームに停まってる新幹線に乗り込む

 

「えっと…Fの15っと」

 

自身の切符と座席の番号を照らし合わせ指定された席に着く

 

しばらくすると曽和さんがやってきて

 

「もう、待ってくださいよ翔様~」

 

さっきおいてきた曽和さんが涙目でやって来た

 

「ごめんごめん」

 

この人普段はしっかりしてるけど

やっぱり初姫(はつき)さんの娘だなあ

 

目の前であたふたしてる曽和 満姫(そわ みつき)さんを見ながらその人の母親を思い出す

母の方も普段のしっかり者だな危なっかしい時がちらほら見受けられる人だ

 

 

俺は訳あって6年前からずっと旅をしてる

彼女はそんな俺の世話兼護衛係だ

 

俺が旅に出るときに父さんが付き人に選んだ人だ

 

普通なら世話だの護衛だの必要ないのだか

 

まがいなりにも俺は王族でして

この国を納める櫻田家の第一子・長男だったりする

 

じゃなきゃ曽和さんの他に黒服の人を5メートル内に6人も連れて歩く理由がない

 

恥ずかしいからほんと勘弁してほしいが

自分の身分や彼らの仕事を理解しているので強くは言えない

 

なによりこの6人は俺の直属の部下だったりするし

みんな優秀のいい人達です

 

 

「ーー様、翔様。あ!おはようございますあと一駅で王都へ到着いたしますよ!」

 

あれから曽和さんが買ってきた駅弁を食べすぐに眠ってしまったようだ

 

「んー?いま何時?ーー「10時です」って2時間も経ってないじゃん、冗談やめてよ」

「冗談ではありません!新幹線ですので別におかしくはありませんよ!」

 

あーそうか、これ新幹線だったわ

寝起きの頭でそんなことを考えながら伸びをする

 

「お目覚め後すぐで失礼致しますが、次の駅にて王都にご到着でございます。国王様より到着後はそのまま城へ足を運ばれるよう仰せつかっております」

 

「ん、りょうかーい」

 

そんな会話をしているとすぐに駅に到着

 

「んー、やっと帰ってきたな」

 

新幹線からおり深呼吸をひとつ

 

約6年

 

ずいぶんと長い間この町を離れてたからな

 

人々だけじゃなく建物や景色にも変化もあるだろ

 

「懐かしいな」

「翔様、迎えを用意しておりますのでこちらへ」

 

そして用意された車に乗り移動する

 

目指すのは国王、父の待つ城だ

 

俺らの代から父さんの方針で一般の住宅街で普通の生活を送っているが、父さんの代まで王族が住んでいた城

いまでは国王の職場みたいな感じになっている

 

 

そしてしばらくして城へ到着

 

車から降り城を見上げる

 

ここも懐かしいな

 

「国王様は現在、玉座にて王の執務を全うされているとのことなので暫くお時間があります、まずお召し物を」

 

そして一室に案内され

 

用意された服に着替え

 

時間もあるので適当に城内を彷徨いていると

ある列を見つけた

 

「曽和さんあれなに?」

「国王様への謁見希望者の列ですね」

「へーけっこういるなー、将来王様になるやつも大変そうだな」

「他人事のように仰いますが、翔様もその権利をお持ちなので可能性がないこともないのですよ」

「んー興味ないなー」

「はあ」

 

俺の気の抜けた返事に曽和さんが溜め息を漏らす

そんな事言われましてもねー

興味ないものはない!

 

「あ、そうだ。ただ会うのも面白くないし、どうせこれ終わるの待つなら一緒でしょ、俺らもこれ並ばない?」

「…私は構いませんがーー「んじゃ決定」かしこまりました」

 

渋々な感じでもあったけど承諾してくれる曽和さん

ほんとにいい人です

 

そして俺達は列の最後尾につく

 

あれから6年だし今の俺の顔を知る者は誰もいない

 

玉座の扉の前に構える城の人は気づいている様子だったけどジェスチャーで内緒にして貰うよう指示を出すと察してくれたようで笑顔で頷いてくれた

 

ほんとここの城の人達はみんな優秀で助かる

 

ーーーーーーーー

 

櫻田城の玉座にて

 

「それでは本日最後の謁見希望者となります」

「うむ、謁見希望者をこちらへ」

 

玉座の重い扉が開かれ一人の男と

それに付き従うように斜め後ろ立つ女性が入ってくる

 

ある程度前へ進んだ男はその場でひざまづき

 

「お久しぶりにございます陛下、櫻田家第一子長男、櫻田 翔、帰還致しました」

 

笑顔でそう言い放ってみせた




いかがでしたでしょうか?
2日に1話ぐらいのペースで投稿できるようがんばります!

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