そろそろ皆さんも原作キャラが待ち遠しいと思うので、勝手ながら来週いっぱい投稿を控え一気に王の剣編を仕上げてしまう予定です!
楽しみにしてくれている皆さんには申し訳ないですけど、もうしばらくお待ちください!
窓から月明かりが差し込む夜の建物
「…はぁ…はぁ…」
1人の男はひたすら走る。
「こんばんは」
目の前に現れる1人の女性。
「!?」
「…それと…」
「ーー!?」
突如、男は背後から首を切られ、悲鳴を上げることも出来ず崩れ落ちる。
「おやすみなさい♪」
それを行ったのはまた別のもう1人の女性。
「…今日もあっけなかったねー♪」
「…どうでもいいわ。依頼は済んだわ。帰りましょう」
そして、すぐさまその場から立ち去り、闇夜へと消えていく2人。
世界には表と裏が存在する。
表には決して気づかれることなく、仕事をこなすのが裏の世界のルール。
その裏の世界に生きる者達には暗殺者というものが存在する。
その中でも、特に恐れられている姉妹がいる。
太刀筋すら悟らせない神速の剣の使い手、姉の
存在すら悟らせない俊足の暗器の使い手、妹の
人知れず依頼をこなすその姉妹を知る人は彼女達を魂を狩る魔女の姉妹と呼ぶ。
ーーーーーーー
「ーーと、言う話を以前楠殿から聞いたことがあります」
「…なるほどね。この綺麗な切り傷はそれでかーー」
「それでか…じゃねえよ!なんでそんな冷静なんだよ!?人が死んでんだぞ!メイドなんか気絶したじゃねえか!」
イフは慌てながらそう言って、俺が背中におぶった曽和さんを指差す。
「…落ち着きなよイフ。こんなだから時こそ冷静にならないと…」
「だからってよくそんな直視できるな!」
「…まあ、一度経験してるからね…(ボソッ」
「?」
俺達は次の墓の場所について知っていると言うこの町の長に話を聞くために会いに来たんだけど…これじゃあな…
「いい加減うるさいぞイフ。翔様の邪魔だ!」
「あ?そもそもバハもなんでそんな平気な顔してんだよ!」
「俺は常日頃からお前が早く死なないかと、お前の死に様を想像しているからな…」
「よし、お前表出ろ!今日という今日は殺す!」
「…ぅ…うう…」
「あ、目が覚めました?大丈夫ですか?」
「な!?動いた!?ゾンビか!」
慌てて銃を抜こうとするイフ。
バハも剣に手添えるのやめなさい。
「…落ち着けって。そもそも最初から死んじゃいない」
首の傷も致命傷には至ってなかったし。
この飛び散っていた血も偽物。
大方、死んだと思ったショックで気絶したんだろうな。
それから、町長さんの手当てをして話を聞いたが、それを詳しく記された書物を盗まれたようだ。
どうやら本当の目的はそっちだったらしいな…。
「…んで、どうすんだ?振り出しに戻ったぞ…」
「最悪だ…とりあえずーー」
今夜泊まる場所の確保をして、思い当たる節があったので1人で外出をしていた。
みんなついてくるとうるさかったけど1人の方が“あちら”もいいと思って置いてきた。
人通りの少ない路地を歩く。
その“あちら”に会うためにーー
「…ところで、君は何者かな?」
…
返事はなし、か…。
まあいいや…
「きゃ!?」
後ろの路地の角で女性の悲鳴が上がる。
その場所に行くと、
既に呼び寄せておいた修羅王の刃の金属操作で鎖鎌の鎖に体を縛られて宙吊り状態の女性がいた。
「…それで、君は誰?」
「もーう!捕まっちゃった!なんでわかったの!?」
「質問の答えになってないんだけど…俺も一応は自分の身分は理解してるつもりだからね…尾行には特に警戒心が強いだけだよ。…君も俺の事を知っての行動でしょ?」
「…だからって私の存在に気づいたのは貴方がはじめてだよぉ!私、感激しちゃった!」
…会話が噛み合わない人だな。
「…あの…もう一度聞かなきゃだめ?」
「君は誰、でしょ?…私は
「じゃあ、君が…!?」
「ねえねえ、翔くん!とりあえずなんだけど、そろそろ下ろしてくれない?パンツ見えてるでしょ?」
「あ、ばれてた?」
「ガン見しすぎなんだよ!」
笑い合いながら、鈴音と名乗った女性を下ろしてあげる。
「それで…なんで俺をつけてーー!?」
「ーー!?」
会話を続けようとした瞬間、背後から殺気と共に剣が降り下ろされるが、咄嗟に鎖鎌でカードする。
「お、お姉ちゃん!?」
「お姉ちゃん…?あー、じゃあ君が剣姫か…」
「…はじめまして殿下。貴方に恨みはありませんが、妹の為、切らせてもらいます」
そう言って腰の後ろに刺した双剣を引き抜き構える剣姫。
「え?あー、そういうこと?はい、どうぞ」
そう言って妹の暗姫を縛った鎖をほどく。
「「…え?」」
「…え?」
…ん?
「…どういうおつもりですか?」
「どういうおもつもりもなにも、離せってことじゃなかったの?」
「…」
「…?」
警戒心を緩めない剣姫だが、
「ぷ、あはははは!お姉ちゃん、どうやら翔くんはいままでの人達とは違うみたいよ!」
「…そのよう、ね…」
笑う暗姫の言葉にため息をついて剣を鞘に納める。
「此度の非礼をお許しください殿下。…改めまして、
「妹の鈴音でーす♪」
そう言って目の前に膝まづく魔女の姉妹。
「え?ちょ、どういう状況?それって本名だよね?暗殺者が名乗っちゃったりして大丈夫なの?」
俺の言葉に困惑した表情で互いに顔を見合わせる姉妹。
「あはは!ほんっと、変わってるねえ翔くん!普通自分をつけてた相手の心配する?」
「いや、つけられただけでまだ何もされてないから、なんとも…」
「本当に変わってるよ君は…!」
「鈴音、殿下が困ってるからその辺に…。殿下妹の無礼をお詫び致します。…それと、今回貴方様に接触させて頂いたのにはわけが…」
「…聞こうか」
そしてその場に座り込む。
2人は驚いたものの話し始める。
俺はあぐら、詩音は正座、鈴音は体育座り…見えてるんですけど?
ああ、わざとか…。
目が合いニヤッとした鈴音。
会話を続ける詩音、しかし決して目だけは離さない俺。
どうやら、今回2人は夜叉王の墓について書かれた書物を盗んでくるように依頼され、盗んだわ良いものの、いざ取引場所に行けば口止めの為始末されそうになり、逃げてきたらしい。
「…つまり、鈴音の水色レースは素晴らしい…じゃなくて2人は命を狙われていると?」
「…はい、そうなります…」
やめて!
そんなゴミを見るような目で見ないで!
「いや、だってですよ詩音さん。こんな真正面で見える体制で入られたら見ちゃうよ!少なくとも、俺はそういう人間だ!」
「やだなあ、翔くんなら見られてもいいから、見せてるんだよ?」
「あ、それはどうもありがとうございます!」
「はぁ…見られて良くても、わざわざ見せる必要はないでしょ」
「とりあえず翔くんにはこれを!」
そう言って、たわわな谷間から1冊の本と1枚の紙を取り出す鈴音。
な!?
なん…だと…!?
その受け取った物と鈴音のものを交互に2度見する。
そしてチラッと詩音のものを…
「…なんでしょうか?」
黒い笑みを浮かべる詩音。
「え、いや、決して鈴音のたわわに比べて詩音は控えめだなとか思ってないから…!…あ…」
「なんですか?セクハラですか?そうですか、最後に言い残すことはありますか?」
「や、ちょ!詩音さん!?剣抜かないで!まーー」
一応言っておくけど詩音も別に無い訳じゃないんだよ。
鈴音は奏より少し大きいくらい、詩音は岬ぐらいだろうか。
ちなみに曽和さんは葵より少し小さいくらい。
つまり、一番小さいのは、あかーー