城下町のダンデライオン~王の剣~   作:空音スチーマー。

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大変お待たせしました、続きです!

急いで作ったので少しいい加減や適当になってるかもしれないです。




第42話【希望の光】

燃え盛る家ーー

 

「おい!これはお前の仕業か!?」

「まさか!そんなわけ!…!?誰だ!」

 

胸ぐらを掴む一二三さんを抑えながら、気配のした方を睨む。

 

「あなたがいけないんですよ一二三さん。あなたが我々の言うことを素直に聞いてくれていれば良かったものを…」

 

すると黒服の男達がぞろぞろと現れた。

 

「お前ら!?工場の!これはお前らが!」

「ええ、そうですよ。いくら頼んでもあなたが出ていってくれないものでね、無理矢理出ていく理由を作らせてもらいました」

「な!?ふざけんな!」

「ふざけるな?それはこちらの台詞ですよ。こちらがいくら大金つぎ込んでると思ってるんだ!どけと行ったどけ!こっちも、いつまでもガキのわがままに付き合ってる暇はないんだよ!」

「ーー!?」

「力も金も権力も!なにも持ってないガキは黙って大人に従っていればいいんだよ!」

「…くそ、俺は…!」

 

相手の怒鳴り声に怯み膝をつき涙を流す一二三さん。

 

「まったく…これだから言うことの聞かないガキは嫌いなんですーーごふ!?」

しゃべっているのを無視してその男の顔を殴る。

 

「な!?」

「ーーなんだお前!?」

 

殴られ吹き飛んだ男がこちらを睨んでくるが、そんなの関係ない。

 

「黙れ」

「「「!?」」」

 

俺の殺気に驚くみんなを無視して言葉を続ける。 

 

「お前ら何をしているのかわかっているのか?お前達の勝手な都合を押し付け、森林を殺し、あげく俺の友人を泣かせたんぞ!」

「ーー!?え…友人って」

「なに言ってやがるこのガキ!ーー!?」

 

殴りかかってくる1人を返り討ちにし、続ける。

 

「その罪の重さを知れ、くずども」 

 

 

「それから一二三!それでいいのか?お前の守りたいものはなんだったんだ?」

「…それは…」

「せっかく同じ意思を持つ友と思えたんだけどな…がっかりだ…」

「!?」

「お前の意思はその程度か?守りたいんじゃねぇのか?黙って見てるだけならそんなもの棄ててしまえ!」

「…俺は、じじいの残した山のために…世話になったじじいのために…」

 

俺の言葉に俯く一二三さん。

 

それを無視して黒服達をいなしていく。

 

 

しかし、しばらくして

 

「ーー前に…お前に言われなくてもわかってんだよ!」

 

そういながら俺の背後から向かってきていた黒服の額に弓を射て気絶させる一二三さん。

 

「言ってくれるじゃねえかガキ!」

「ガキじゃない、翔だ」

「へ!なら手貸せ翔!俺が守りたいもののために!」

「乗った!」

 

そう言って背中合わせになり、2人で黒服を蹴散らしていく。

 

近づく者は俺が蹴散らしていき、遠くの者や俺の背後をとるものを一二三さんが弓で排除していく。

 

 

それからしばらくして、

 

「はぁ…はぁ…」

「…あとはお前だけだ…」

 

なんと全員を倒し、最初に話していた男が残す1人となった。

 

「な、なんなんだよお前ら!ただのガキじゃないのか!?」

「「!?」」

 

そう言ってナイフを取りだし構える男。

 

「やってやる!こうなったらやってやるぞ!」

「…はぁ震えてるじゃないか。…それはお前のような半端な奴が人に向けていい物じゃない」

「だ、黙れ!ガキがぁあ!」

 

俺の言葉に興奮した男がナイフを向けてこちらに迫ってくる。

 

「おい!なにしてる!危ねぇ!」

「!?」

 

一二三さんが俺を庇おうと前に出る。

 

「ほぉう。その覚悟はよしーー」

「ーーな!?ごふ!」

 

が、ナイフが触れる直前にラムさんが現れ槍でナイフを弾き、男を吹き飛ばした。

 

「…ラムいままで何してた?」

 

ずっと側で隠れて見ていたの知ってんだぞ?

 

「いやーこういった登場の方がカッコいいではありませんか!」

 

なんつってーと笑うラムさん。

 

あんた本当に俺の護衛役だよな?

 

「…あとで満姫の説教な」

「な!?それだけはご勘弁を…!」

「そうだ!家がーー」

「それならもう大丈夫ですよ!」

 

慌てて振り返る一二三さんの前には曽和さんが立っていた。

 

「地元の消防隊の方に任せてすでに消火済みです」

 

そう言う曽和さんの指の先には鎮火作業を終えた消防隊や黒服達を拘束する警察達がいた。

 

火が上がっているのを隠れて見ていた曽和さんはその場をラムさんに任せて救援を呼んで誘導してきてくれたようだ。

 

「ありがとう満姫」

「いえ!翔様もご無事で!」

 

それにくらべラムさんは…。

 

良いとこ取りのチャンスうかがってたとか…使えねー。

 

 

「…よかった」

 

安心して緊張がとけたのか、その場に座り込む一二三さん。

 

「ふぅ。…一二三さん、工場の件だけど、これでとりあえずは問題ないはずだよ。…けど…」

「…ああ、わかってる。今後またこういった事が起こるかもしれない…都市計画が進んでるこの世の中じゃおかしくはねえ」

 

あ、やっぱり意外に冷静だな。

 

「うん、だからーー」

「だから、俺はもっともっと力をつけなくちゃなんねえ」

 

…訂正、やっぱり極端かも。

 

「はぁ。…一二三さん1人でどうこうできるわけないじゃん。あの男が言ってたのは事実だよ。力も金も権力もない奴は黙ってみているしかない…」

「!?だからって本当に黙ってみてろってのか!」

「いや、だから、ここら一帯の山を自然保護区にした」

「…は?」

 

あれ?反応薄いな。

 

「だから、自然保護区にーー」

「はぁあ!?どうこうことだよ!は?お前にそんなことできる権利がーー」

「権利ならある!」

「!?」

「いや、正式には今はまだない。…だから今回は上の権利を借りた」

 

昨日俺が風呂前に済ませた用事とはこれだ。

 

国王である父さんに直々に依頼したのだ。

 

「けど必ずいまにそれだけの権力を手に入れるつもりだ」

「…は?なに言って…」

「そうだな、改めて自己紹介を…俺は櫻田 翔。この国の第一王子だ!」

「…!?」

 

ーーーーーーー

 

「そもそもここの桜、こんなに綺麗なのに無くなるとか考えらんなし」

 

そう言って笑う翔。

 

ほんと、なんなんだよこいつは。

 

第一王子?

 

一先ずこの山は守られた、のか…?

 

もうほんとわけわかんねえ…

 

 

けどーー

 

「俺には守りたいものがある。…けど、まだまだ力も地位も足りない…」

 

こいつにならーー

 

「だから俺はもっと上を目指す。その為には1人じゃ限界があると思う…」

 

こいつの目指す先をーー

 

「だから今度はお前が俺に力を貸してくれ!」

 

俺を救ったこの希望の光の先をーー

 

「はぁ。…ああ、いいぜ!乗った!!」

 

一緒に見てみたいと、この時俺は思ったんだーー

 




次回は明後日にまとめて投稿します!

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