城下町のダンデライオン~王の剣~   作:空音スチーマー。

41 / 75
お待たせしました!
遅れてしまったすいません!

けっこう急ぎで書いたので誤字脱字あったらごめんなさい!


第36話【年末年始】

大晦日

 

下の兄弟達はみんなテレビの前のソファに集まってテレビをみている。

 

葵は母さんと年越しそばの準備を、俺はダイニングのテーブルの椅子に座って兄弟達を眺めながらテレビを見ている。

 

「ーー下がれ下がれ下がれ下がれ」

「…茜うるさいぞ」

 

さっきからずっと祈り続けている茜。

 

 

その理由は明白。

 

『櫻田家!チキチキ年末大世論調査会!!』

 

本番と同じ条件のもと行われる、全国民回答による世論調査だ。

 

『それではさっそく順位を発表して参りたいと思います!』

 

「ーー下がれ下がれ下がれ下がれ」

「そんなに祈らなくても案外ビリかもよー」

 

必死な茜を見て笑いながらそういう光。

 

「いや、ビリは修ちゃんで確定だからそれはない」

 

…修、哀れ。

 

しかし、

 

『第10位!第三王女、茜様です!!』

 

「え!?うそ!?やったぁ!!」

 

一気にテンションが上がる茜。

 

こいつ、本当必死だな…。

 

 

『第9位!第二王子、修様!!』

 

「ま、今回は茜より上だし」

「票数大して変わりないし!」

「やだわぁ底辺のみにくい争いって…栞、聞いたらダメよ」

 

言い争う修と茜を見て、自分の膝の上の栞の耳をふさぐ奏。

 

はぁ…情けな…。

 

「この様子だと次は光かしら」

「年下の輝と栞より順位が下なわけないじゃんーー」

 

「第8位!第五女、光様!!」

 

 

「えーん!しょうちゃーん!こんなのあんまりだよぉぉお!何かの間違えに決まってるよぉぉお!」

 

そう言って俺に泣きついてくる光。

 

光、現実とは所詮残酷なもんだ…強く生きなさい。

 

 

そして、

 

7位 輝

6位 栞

5位 岬

4位 遥

 

の順に発表されていく。

 

『第3位!第二王女、奏様です!!』

 

「やっぱり、奏じゃ兄さんと姉さんには勝てないな」

「修ちゃんまた自分の事、棚にあげてー」

「何位だろうと大好きな彼女さんな1票が入ってれば本望よねえ」

 

修の煽りに腹を立てた奏が爆弾を投下。

 

あーあ、俺しーらね!

 

「な!?佐藤はまだ彼女じゃなくて…つかなんで知って…!茜か!?せっかく兄さんが黙っててくれたのに!」

 

睨む修と知らんふりをする犯人の茜。

 

「なになに?修ちゃん彼女できたの?」

「ややこしくなるから岬は黙ってろ」

「はあ!?なにその言い方!なんで遥は私に冷たいんだよ!」

「はあ?お前が噛みついてくるからだろ!」

「うえーん!遥が冷たいよ翔兄ぃー!!」

 

そして俺に泣きつく岬。

 

今度は岬か…。

 

『そして第2位!第一王女、葵様!!第1位は第一王子、翔様です!!』

 

そして一気に俺と葵の順位も発表される。

 

「さすが兄さんと姉さん、圧倒的だな」

「けど、姉さんは選挙やる気ないんでしょ?」

「なら実質、翔ちゃんで決まりだね!」

「さすがです兄様!」

 

そんな兄弟達の言葉に、

 

「あれ?言ってなかったっけ?俺も王になる気ねえよ?」

 

泣きついている光と岬の頭を撫でながらそう言った。

 

「「「…」」」

「…え?なに?」

「「「えぇぇぇぇえ!!!」」」

 

一瞬の間をあけて、兄弟達の驚きの声が響き渡った。

 

すでに知っていて、ため息をついた葵は頭を抱えていた。

 

あれ?俺、なんかまずいこと言った?

 

「お兄ちゃん!王になる気ないってどういうこと!?」

「どうってそのままの意味だけど…?」

「翔兄さん、本気なの!?」

「え、まあ…」

 

やけに突っかかってくる奏と遥。

 

いったいなんだってんだ?

 

そんなに意外だったか?

 

 

そんな中、

 

『申し訳ありません!先に発表した茜さまの得票数ですが、一桁間違えていた模様で、1位は茜様となります!おめでとうございます!!』

 

「ーー!?」

 

1人、茜は別に悲鳴を上げていた。

 

 

「そんな…なら私はいままでなんの為に…(ブツブツ」

「僕が勉強して来た意味が…こうなったら何としても兄さんを王に…(ブツブツ」

 

奏と遥がなにかブツブツ言っていたけど、そっとしておこう。

 

 

そして翌日、元旦

 

家族会議が行われていた。

 

「これまで平等な選挙を行う為、監視カメラみなの日常をお茶の間に提供してきたが、それでもなお、各々の世論露出に偏りがあるのは否めない」

 

父さんのその言葉を聞いて、なんとも言えない顔をする茜。

 

だろうな、心当たりあるもんな?

 

「そこでーー」

 

しかし、そこにさらに追い討ちをかける父さん。

 

「より平等にアピール出来る機会を設ける為、お前達には勝負をしてもらい、それを番組としてテレビ中継しようと思う!今から!!」

 

 

ルールは簡単

 

くじで3チームに別れ、勝利したチーム全員に100ポイント。

その獲得したポイントは任意の相手に謙譲することが出来る。

そして、選挙を行う際、各々の獲得ポイント、1ポイントにつき1万票を加算する。

 

最後のかなり重大なことだと思うけど、いまは置いておこう。

 

 

「今回の勝負内容は鷹匠の下田さんの昨日逃げ出してしまったこの子を捕まえてほしい」

 

そう言って1枚の写真を見せる父さん。

 

「今夜は新年会もあるのでリミットは日没まで、最初に目標を捕獲したチームの勝利とする!手がかりはこの写真とこの町から出ていかないということ、そしてミケという名前だそうだ!」

 

鷹にミケって…

 

兄弟全員がそう思った。

 

そして、くじ引きがなされ、

 

葵、光、栞チーム

 

修、奏、輝チーム

 

茜、岬、遥チーム

 

の3チームに別れ、最後は俺の番というとこで、

 

ミケ、ねぇ…。

 

「父さん、このチーム編成だと能力的に葵達のチームが不利だ」

「そうだな、だかくじで決まったことだし」

「そこでだ!提案なんだけど、俺を葵達のチームに入れてくれ」

「いや、翔にもちゃんとくじをーー」

「せっかく“鷹”を捕まえるのに、1チームだけ何もしないってのも盛り上がらないだろ?」

 

父さんの言葉を遮り、みんなにに聞こえないように耳打ちする。

 

「…わかった、いいだろう!その提案を認めよう!」

 

俺の真意を理解したのか父さんの承諾を得て、俺も葵達のチームとなった。

 

奏と岬が不満そうだったけど、気のせいだろう、たぶん。

 

 

 

「翔君、やっぱりミケって…」

 

そして勝負が開始され、それぞれチームごとに行動していた。

 

「ん?葵も気づいたのか?父さんの反応からしてほぼそうだろうな」

 

そう、ミケは鷹ではない。

 

写真の端の方に写っている猫の事だ。

 

 

「どうしよっか…」

 

葵とそんな話をしていると光と栞が落ち込んでいた。

 

まあ、無理もないな、俺も葵も選挙に興味がないからこの勝負にも無関心だと思って不安なんだろう。

 

「…ねえ、2人とも、やっぱり勝ちたい?」

「うん…」

 

葵の質問に頷く2人。

 

「大丈夫だ。俺と葵が組んでんだ、負けないよ!」

 

そう言って光と栞の頭を撫で、

 

「んじゃ、葵。あと頼むわ」

「え?どこに行くの?」

「俺と葵がいて、なにも干渉なしじゃ逆に怪しまれるだろ?それぞれ頭のきれる奏と遥もいることだし」

「あ、そっか…!」

「ま、盛り上げるって父さんにも条件付きでこのチーム入ったわけだし…」

「わかった!お願いね翔君!」

「おう!」

 

返事をしてその場をあとにする。

 

 

「私達もいかなくていいの?」

「ふふ、大丈夫だよ!お姉ちゃん達気づいたことあるんだ!」

「え?なになに!?」

 

 

ーーーーーーー

 

「茜姉さん!いた!あこだ!」

「オッケー!」

 

茜、遥、岬のチームが建物の上に鷹を見つけ、茜が能力を使い空を飛び鷹に迫る。

 

「させるか茜ぇ!!」

「うぉぉぉお!」

 

そこに、修と輝も現れ3人が同時に鷹に迫る。

 

あと、少し、3人の手が鷹に触れそうになる瞬間ーー

 

「「「ーー!?」」」

 

突如、何者かに弾かれ吹き飛び建物から落ちる3人。

 

「あか姉大丈夫!?」

「ーーあれは!?」

 

慌てて岬と遥が茜に駆け寄り、

 

その場にいた全員が先程鷹がいた場所を見上げる。

 

 

しかしすでに鷹は飛び立っており、

 

 

そこには、

 

舞い散る鷹の羽根を浴び、

 

一振りの剣を肩にかけて圧倒的存在感を放つ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兄ちゃん登場!」

 

余裕の笑みを浮かべる長男()がそこにいたーー

 

 

 

 

 

 




真打ち登場!
最強の兄、翔の登場で荒れる戦場ーー

次回は明日です!



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。