城下町のダンデライオン~王の剣~   作:空音スチーマー。

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光回です!
個人的にお気に入りですw


第30話【シンデレラ】

「それじゃあ翔君お願いね!」

「ああ、行ってくる」

 

今日は光の誕生日。

 

岬と遥の時同様、今回も俺が主役を連れ回すことになったのだが…

 

「…なんでまた成長してんの?」

「ふふーん!だってデートでしょ?だからしょうちゃんの年齢に合わせてみましたー!」

 

輝と栞のお使いの話の時と同じように16歳に成長した光が俺の腕を組んみながら笑った。

 

「いや、確かにデートでもいくかーとは言ったけど、普段通りのお出掛けのつもりだったんだけど?」

「なに言ってるのしょうちゃん!デートとお出掛けは違うんだよ!」

「…そうですか。それは失礼いたしました。けど、そのまま帰ったらまた輝が騒ぐぞ?」

「ふっ、それなら心配ご無用!昨日の内に能力使っておいたから、夜までには戻るはずだよ!」

「用意周到なことで。それはわかったけど、この腕は離してはーー「だめ!」ですよね。デートですもんねー」

 

そして光の提案で水族館へと来ていた。

 

「わー色んな魚がいるんだねー!ボルも連れてきてあげたいな!」

「…それはやめといたほうがいい。確実に迷惑だ」

 

まあ、王族の特権とか言ってしまえば可能だろうけど…というのは言わないでおこう、やりかねん。

 

「あ、この子すぐ隠れるから茜ちゃんみたい!」

「ほんとだなー!」

 

ぷ、よりによってチンアナゴか。

 

クマノミとかならまだ可愛かったのにな。

 

「しょうちゃん見て見て!イルカだよー!」

「へー凄いかしこいな!」

 

イルカショーを見て一通り見て回った。

 

その後、二人で開拓した行きつけの店に行き軽くお茶をしたり、バッティングセンターへ行ってみたいと言う光の要望でバッティングセンターへ行ったり、ゲームセンターへ行ってプリクラを撮ったり、エアホッケーで遊んだりと、1日を満喫した。

 

さすが、見た目は16歳でも中身は小学生、元気が有り余っているな。

 

そして、

 

「ねえ!しょうちゃん!最後に行きたいところあるんだけどーー」

 

 

「きたー!海だー!!」

「季節外れだけどな。いま10月だぞ!」

 

夕焼けの海。

 

季節も季節なので肌寒い風が吹き付ける。

 

「綺麗だね!」

「ああ。」

「やっぱりデートと言ったら海でしょ!」

「そういうもんか?」

 

海沿いを歩く。

 

「今日はみんなの時間稼ぎの為に誘ってくれたんだよね?」

「なんだ、気づいてたのか?」

「そりゃあ、毎年兄弟全員にしてるんだもん」

「まあ、言われてみればそうだな」

 

「それでも今日1日すっごく楽しかったよ!ありがとうしょうちゃん!」

「そうか?それはよかった!どういたしまして」

 

「次はしょうちゃんと葵ちゃんの番だから楽しみにしててね!」

「ああ、そうするよ。けどそれ本人に宣言しちゃ意味ないだろ」

「ーー!?しまった!!」

「まったく…。」

「えへへ…くしゅん!」

「ほら…これでも羽織りなさい」

 

そう言ってくしゃみをした光に、自分の着ていた上着をかける。

 

「誕生日当日に主役に風邪引かれちゃ困るからな」

「ありがとう!」

 

無邪気に笑う光。

 

「それと、みんなより先に…」

 

誕生日プレゼントにと買っておいたネックレスを光の首にかける。

 

「光に似合うかなと思って買っておいたんだ!俺からの誕生日プレゼントな!」

 

そして光の頭を撫でる。

 

「!?可愛い!ありがとう!大切にするね!」

 

そう言って光は前に出て振り返り、

 

「どう?似合ってる?」

「ああ。やっぱりそれ選んで正解だったわ!」

 

二人で笑い合う。

 

その時、

 

「!?あれ?戻っちゃった!」

 

光は能力の効果が切れて元の身長に戻ってしまった。

 

「まったく。相変わらず光は肝心なとこ抜けてるなー」

 

光な頭を撫でて抱き上げる。

 

「なんかしょうちゃん王子様みたい!」

「いや、これでも本物だからね。それを言ったら光はシンデレラみたいだなー。魔法の時間切れ、みたいな?」

「じゃあ王子様はしょうちゃんだね!?」

「いや、王子様の目の前で魔法解けちゃだめだろー。さしずめ俺はカボチャの馬車ってとこかな」

 

そう言って光を下ろしながら二人で笑い合う。

 

「さ、日も沈んで魔法も解けちゃったし、そろそろ帰りますかお姫様」

 

光に背を向けてしゃがむ。

 

「その服じゃ歩けないだろ?」

「あ、そっか!」

 

光が着てた服じゃ元の身長に合わないからぶかぶかだ。

 

 

帰り道

 

光をおんぶしながら歩いていると、

 

「ねぇ、しょうちゃん…」

「んー?」

「今度はみんなで来ようね!」

「ああ、そうだな!」

 

無邪気に笑う光。

 

奏が言っていた通りかもな…。

 

俺は一番光に甘い。

 

やっぱりこの笑顔より勝るものはなさそうだ。

 

「しょうちゃんだーいすき!!」

「ありがとう。俺もだよーー」

 

俺の可愛いお姫様(シンデレラ)ーー




次回は月曜日となります!

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