城下町のダンデライオン~王の剣~   作:空音スチーマー。

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前回の続きです!

戦闘シーンを文字で表現するのって難しいですね。


第29話【体育祭 午後】

体育祭の午前の部が終了し、合流した卯月を含めいつもの5人で昼食をとっていた。

 

「それで、どういうことだ卯月?俺達初耳なんだけど。」

 

午後一発目に俺達王家のエキシビションがあることを知った俺達は生徒会長である卯月を問い詰める。

 

「あれ?奏さんから何も聞いてないんですか?」

「…聞いてない。葵は?」

「私も何も聞いてないかな。」

「えぇ!?そうなんですか!?そうとは知らすごめんなさい!」

「別に卯月ちゃんが謝ることじゃなよ!」

「そうだぞ。どうせ奏の独断だろ、前もって話すと茜が了承するわけないからな。」

 

「うぅ。実は奏さんの提案で体育祭を盛り上げるために今回の件を行おうと…。」

「なるほど…翔君、どうする?」

「どうするもなにも、ここまできたらやらしかないだろ。まぁ、いんじゃね?それで盛り上げるなら!で、俺達は何をさせられるんだ?」

「はい。各チームそれぞれ1名が出てもらって頭に巻いたハチマキを取りあってもらう簡単なルールです!」

「だから綺麗に俺達兄弟が別れたわけか…まんまと奏にしてやられたなー。」

「…笑い事じゃないよ翔君…。」

「王家のエキシビションってことは能力ありだろ?」

「あ、はいです!」

「なら能力的にうちのチームは俺だな!茜は確定だろうし…あとは、修か…。」

「なんでわかるの?」

「ここまで仕組まれてんだ、いまさら奏が自ら動く理由はまずない。能力的にみてもそのルールなら修のが有利だしな。」

「なるほど。あまり無茶はしないでね…。」

「わかってるよ!…今回一番の被害者は修だな。」

 

こうして昼休憩が終わるーー

 

『それでは!これより午後の部を開始したいと思います!午後の部、第一種目から盛り上げてくれますのは王家の方々です!』

 

こうしてグランドの中央に俺、修、茜が立たされる。

 

「やっぱ修が出てきたか。」

「ええ、あの奏には逆らえませんでした。」

 

両手をあげ、やれやれといった感じの修。

 

 

『ルールは簡単です!頭に巻いたハチマキを取り合ってもらい、最後に残った方の勝ちとなります!』

 

「二人とも!やるからには私、負けないよ!」

「今日の茜は生き生きしてるなー。」

「だ、だって校内だし学校のみんなしかいないもん!」

「他所でもそうなってほしいもんだわ…。」

 

『今回のみ特殊能力の使用もオッケーとさせていただきます!』

 

「…茜。提案なんだが、まず協力して兄さんを倒すと言うのはどうだろう?」

「え、そんな、ずるくない?」

「考えてもみろ。俺とお前、どちらかのみで兄さんを倒すは不可能だ。お前も兄さんの強さは知っているだろ?」

「…う、確かに。」

 

こいつら…本人を目の前にして、そんな仲間はずれにするなよ!

 

お兄ちゃん泣くぞ?

 

まあ、

 

「いいよ?修と茜、二人でかかってきなよ!」

「翔ちゃんもそれでいいの!?」

「ああ。まあ?お前ら二人がかりでも負ける気はしないけどね?」

「いってくれるじゃん!こうなったらやるよ!修ちゃん!」

「ああ。だが茜、一筋縄じゃいかないのは本当だぞ。油断はするな。」

「わかってるよ!」

「さらにハンデだ、俺はこれの内これだけしか使わない。」

 

そう言って夜叉王の刀剣、6本の短刀を手元に呼び出し3本戻す。

 

「いくらワープ出来るからって私達からたったの3本で逃げ切れるとでも?」

「ああ、問題ない。」

「ーー!?本当に後から後悔してもしらないからね!」

「前の人形のゲームでは勝ちを譲ったけど、今回は負ける気はないから安心しな!」

 

『それでは、用意!ーースタートです!』

 

「「!?」」

 

スタートの合図と同時に茜に向かって1本投げつける。

 

「わ!ちょ!!ーーいきなりびっくりするじゃん!」

 

茜はそれを能力で弾き上げ、短刀は宙を舞った。

 

茜の言葉も聞かず俺は打ち上がった短刀にワープし、茜の頭上から奇襲ーー

 

「…へーやるじゃんか。」

 

と、思ったが失敗した。

 

茜のハチマキを掴む手前で、かわされた。

 

「ならこういうのはどうだ?」

 

もう一度茜に向かって1本投げる。

 

「2度も同じ手は通じないよ、翔ちゃん!」

 

またも弾かれる。

 

「ああ、2度はないーー!」

 

しかし、俺は冷静にその弾かれた短刀に向かってもう1本投げる。

 

それは、先に弾かれた短刀をさらに空中で弾き、弾かれた先の短刀は茜の背後の地面に刺さる。

 

「どこ狙ってーー「ばか!茜!後ろだーー!!」え?」

 

そしてその刺さった短刀にワープ。

 

今度こそ捉えたーー

 

「あら?」

 

またも失敗。

 

「ありがとう修ちゃん!」

「あぁ。茜、兄さん相手は本気でいかないとキツいぞ。」

「うん…そうみたいだね。」

 

今度は修が能力を使い、茜ごと瞬間移動で逃げられた。

 

うーん、この勝負、やはり修の能力は厄介だな。

 

「それじゃあ、今度はこっちから行くよ!修ちゃん!」

「おう!」

 

そう言って茜がこちらに向かって駆け出し、修は姿を消す。

 

「てりゃ!」

 

修の奴、どこへ飛んだ?

 

茜の攻撃を受け流しながらも、意識は修に集中させる。

 

「よそ見はよくないよ、翔ちゃん!」

「ん?おわっ!?」

 

そう言って茜は俺の腕を掴み能力を使い背負い投げをする。

 

普通なら対処できるが、茜の能力で重力が操作されていてどうこうできる話ではない。

 

「まだまだ!」

「!?がはっ!?」

 

さらに、叩きつけると同時に重力で押さえつけられた。

 

容赦ねーな。

 

普通の人なら気絶もんだぞ!

 

「よし!捕まえた!修ちゃん今の内に!」

「ああ!」

 

そしてどこからともなくそばに現れた修が歩み寄り俺のハチマキへと手を伸ばす。

 

けど、

 

「いいのか?二人とも、そこ、頭上注意だ。」

「「!?」」

 

その言葉に二人が上を見上げた瞬間、短刀がそれぞれに降り注ぐ。

 

修はギリギリのところで瞬間移動でかわし、茜も掴んだ腕を離してかわさざる得ない。

 

茜に投げられ上を通過するときにあらかじめ投げておいたのだ。

 

修が出てくる位置は偶然予想が的中しただけだが、当初の目的の茜から脱出は成功した。

 

「いやーおしかったねー。危ない危ない。」

「もう!もう少しだったのにー!」

 

しかし茜もちゃんと能力を使いこなせてる見たいで関心関心。

 

「こうなったら一気に決めるぞ茜!」

「…うん!わかった!」

「よし、いくぞ!」

 

距離を取った二人の間で作戦会議が行われ、また修が消える。

 

「またか?ーー!?」

 

と、思ったら修は目の前に現れ、俺の顔へ手を伸ばす。

 

「っぶな!?」

 

思わず後ずさるが、背後にはーー

 

「よし!もらったー!!」

「!?」

 

茜がいた。

 

なるほど、修が俺の視界を奪っている内に回り込んだか!

 

まずいな、挟み撃ちか!

 

「「取ったぁぁぁあ!!」」

 

俺のハチマキへと同時に伸びる二人の手。

 

しかし、

 

「ま、及第点かな。」

 

俺はニヤリと笑い、茜の背後へワープした。

 

結果、二人が掴んだのはお互いのハチマキ、互いに取り合う形となった。

 

『しゅ、終了!勝者、翔様!』

 

司会の言葉と共に歓声が上がる!

 

「な、なんで!?」

「兄さん、なにをしたんです?短刀は投げていないはずですが?」

「けど、俺の手元には2本しかないぞ?」

「「!?」」

「答えは茜のポケットだ。」

「え?」

 

驚く二人に種明かしをし、茜が自身のジャージのポケットに手を入れる。

 

「あ!これ、いつの間に!?」

 

すると、ポケットから短刀が1本出てきた。

 

切れ味、重さも自在に操れるからな茜が気づかなかったのも無理ない。

 

ほぼ重さを感じさせないよう調節しておいたし。

 

「茜の攻撃を受け流してたとき、ついでにな。」

「そ、そんなー!全然気づかなかった!」

「やはり兄さんには勝てませんか。」

「いや、二人ともなかなかおしかったよ!ただ、まだまだお兄ちゃんの方が上なだけだな!」

 

そう言って二人に手を降りながら自分のチームへと戻る。

 

 

「あー疲れたー。」

 

エキシビションが終わり自分の席へと戻ってきた。

 

「ふふ、やっぱり翔君は優しいね!手加減してたでしょ?」

「あ、ばれてた?」

「「あれで!?」」

 

驚く菜々と静流。は、おいておいて、

 

「それでも疲れたもんは疲れたんだよ。ちょっと休憩。最後の競技になったら起こしてくれ。」

 

そう言って葵の膝を枕にして寝る体勢へ入る。

 

「おい翔!こんな日にまでイチャつくなよ!」

「そう言うなよ菜々。葵の膝枕ほど快適なものはない!こんどお前も試してみると良い!」

「そうなの?なら仕方ないな!」

「仕方なくはないだろ…。」

「んじゃ、おやすみ…。」

「あ、翔君…もう…!」

 

葵の静止も気にせず眠りにつく。

 

ちなみに、俺の趣味は昼寝だったりする。

 

暇さえあれば寝るし、授業中も気づいたら寝てしまっていてよく葵に怒られている。

 

あ、けど寝起きは良い方だから安心してほしい。

 

そしてなにより!俺の特等席はこの葵の膝枕だ!

 

ここほど安眠できる場所はないぞ?

 

他の男になんか譲る気はないけどな!

 

 

それから競技は進み、

 

『最終競技はリレーです!出場者は入場ゲートに集合してください!』

 

「よし!起きろ翔!最後だ!これは手を抜くなよ!やるからには絶対勝つ!圧倒的勝利だ!」

「んー?ああ…気合いはいってんなー菜々。」

「当たり前だろ!体育祭のメインじゃないか!」

「アンカーで走る俺の身にもなれよ。」

 

最終競技で菜々に起こされ、葵と静流に手を振りながら菜々に連行される。

 

寝起きなので一応、体をほぐしながら菜々の相手をする。

 

なぜか俺がアンカーを勤めることになり、前走者は菜々だ。

 

茜ほどではないが今日一日で目立ちすぎて、結構疲れたし今日はもう目立つの事はいいんだけどなー。

 

 

まあ、菜々と二人で他のチームとは一周差をつけてのぶっちぎり勝利をし、俺達のチームが優勝したのは余談だ。

 

 


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