城下町のダンデライオン~王の剣~   作:空音スチーマー。

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第27話【女子会おじゃまします】

休日

 

今日は特に予定もないので、いつも通り光と甘いものを開拓しに町に繰り出していた時の事だった、

 

「ねえ、いいじゃん!俺達と遊ぼうよ!」

「あんたらなんて興味ないから、どっかいって!」

「へー。気の強い女は嫌いじゃないぜ?」

「んじゃ俺はこっちの黒髪で清楚系の子を…」

「いや!離して!」

 

おいおい、こんな白昼堂々とナンパかよ。

 

女の子2人が3人組の男に絡まれていた。

 

光も気づいたのだろう。

 

俺の服の袖を掴んで来た。

 

「しょうちゃん!」

「そうだな。助けてあげるか!ちょっとここで待ってな。」

「はーい!」

 

そう言って光の頭を撫でて歩き出す。

 

「やれやれ…よ!」

 

そして、短刀を呼び寄せ投げつける。

 

「いいから!こっちこいよーーな!?」

「「「!?」」」

 

短刀は男の目の前を横切り後ろの壁に刺さる。

 

その一瞬の出来事にその場にいた全員が驚き短刀に目をやる。

 

もちろん他に人がいないことは確認済みだ。

 

そして、俺は短刀にワープし、壁から短刀を抜き戻す。

 

「な!?櫻田家の長男!?」

「困るんだよねー。せっかく可愛い妹と遊びに来てるのにさー。…とりあえずその子の手、離してあげてくれる?」

「は、はぃい!すいません!!」

「おっけー。んじゃこれはこの子に怖い思いさせた分ね。」

「「「!?」」」

 

そう言ってもう一度短刀を呼び寄せその男の腹を刺す。

 

もちろん全員驚くわな。

 

しかし、安心してほしい。

 

「なーんて!こっちはただのオモチャのナイフなんだけどね!ほら!引っ込むやつ!」

 

と爆笑しながらオモチャのナイフをシャカシャカしていると、

 

「あれ?気絶しちゃった?大の男が情けないなー」

 

本物と勘違いした男は思わず気絶してしまった。

 

「まぁ、いいや。君達、こいつ連れてってくれる?あともうこういうのやめなよ、な?」

 

残りの男2人に若干の殺気を込めて笑いながらそう指示する。

 

せっかくの光とのお出掛けを邪魔されて不快なものまで見せられたんだ。

 

光の教育にもよろしくないし。

 

一応俺怒ってるんだよ?

 

「「は、はぃぃぃい!すいませんでしたぁぁあ!」」

 

そして、男2人は気絶した男を抱えて逃げて行った。

 

「んー…やりすぎたかな?」

「いや、あーいう輩にはちょうど良いですよお兄さん」

 

そう言って気の強い方の女の子が俺の横に並ぶ。

 

お兄さん?

 

「あれ?あー瞳ちゃんだったか!」

「はい!お久しぶりですお兄さん!」

 

その子は一条 瞳(いちじょう ひとみ)ちゃん。

 

修の小学校からの馴染みの子で、俺も昔何度か修を通して話したり遊んだことがある。

 

「助けてくれてありがとうございました!」

「いーえ。たまたま通りかかっただけだよ!」

「あ、あの…」

「あ、紹介しますね!この子は私と修と同じクラスのーー」

早乙女 零子(さおとめ れいこ)です!ありがとうございました!翔様!」

「様はいらないよ!改めまして、櫻田 翔です!よろしく早乙女さん!」

「はい!」

 

自己紹介を交わしていると、

 

「瞳ちゃーん!零子ちゃーん!お待たせ!ってしょ、翔さん!?」

「やあ佐藤さん。君はいつも俺の顔見て驚くね。」

「す、すいません!」

 

佐藤さんがやって来た。

 

「しょうちゃーん!遅いから来ちゃったよ!ていうか見てたけどやりすぎだよ!」

「あーごめん光忘れてた。」

「ひどい!今日もしょうちゃんの奢り決定ね!」

「かしこまりましたお姫様!それじゃ3人とも俺ら行くわ、今後も気をつけてね!」

 

そう言って光を連れて去ろうとしたところ、

 

「あのーー」

 

 

「んー!このお店初めて来たけど美味しいね!」

「そうだな。こんな店があったとは、全然知らなかった。」

「でしょでしょ?私のイチオシなんですよここ!」

 

あの後、3人に呼び止められ助けられたお礼もしたいと言うことで一緒にお茶をする事になった。

 

瞳ちゃんのオススメのこの店。

 

店内の雰囲気も落ち着いているし、ケーキも美味しい。

 

これだけでもついてきたかいがあったもんだ。

 

「ところで今日3人はなんの集まりなの?」

「え、とそれは…」

「花の恋バナでーす!」

「ひ、瞳ちゃん!?」

「あぁ。修の事か…。」

「え!?花ちゃん修ちゃんの事好きなの!?」

「ひ、光ちゃん!?」

 

おっと、光は知らなかったなこれは失言だったか。

 

てかもう下の名前で呼び合う仲かよ…凄いな女の子ってのは。

 

「光。これは佐藤さんの問題だ。家では口にするなよ?」

「わかってるよ!乙女の恋愛事情は絶対だもん!」

「そうか。ならいい。」

 

光も変なとこ律儀なんだな。

 

「それにしても修ちゃんなんかのどこがいいのー?」

「ほんとだよねー!」

 

修を昔からよく知る光と瞳ちゃんが笑い合う。

 

修、哀れ。

 

「…櫻田君は、何年も会ってなかった私の事、ちゃんと覚えててくれたんだよね。去年同じクラスだった男子にも覚えられてない私をだよ?そんなの…好きになっちゃうじゃん/////」

「「「ふーん、そうですか。」」」

 

聞いといてあれだが、佐藤さんの惚け話に俺も含めその場にいた全員が興味なかったなといった感じに軽く返事をしてそれぞれケーキを食べたりお茶を飲む。

 

「まあ、理由はどうあれだ。前にも言ったけど俺は応援するよ?修に彼女ができるってのも兄貴的に嬉しいし」

「そ、そんな彼女だなんて、まだ…」

 

あ、だめだ自分の世界に入っちゃってこの子。

 

「そういう翔さんは彼女作らないんですか?」

 

と、早乙女さんに話をふられた。

 

「んー。俺はまあ、まだまだいいかなー。こうやって可愛い妹弟達と過ごす時間の方がいまは大切だし。ほら、俺長いこと一緒にいれなかったから余計、ね。」

 

そういいながら光の頭を撫でる。

 

光もこちらを見て、にっ!と笑う。

 

「そもそも、俺達は王族だ。彼女ってことは王族と関係を持つってことだ。そうなったら、その子は今までの生活から一変することになるし、ツラいことも沢山降りかかると思う。そう思ったらなかなか、ね…。」

 

横目で佐藤さんの方に目をやると、自分の世界から帰ってきてなにか思い当たる節があったのだろう、俯いていた。

 

 

それからしばらくして時間も時間なので解散することになった。

 

「いやーお兄さん!ごちそうさまでーす!」

「すいません!助けていただいてさらにお金まで…。」

「いいんだよ早乙女さん!良いお店教えてもらったお礼さ!ここは男の俺にカッコつけさせてよ!」

 

そう言って笑う。

 

 

「あの、翔さん。さっきの話…櫻田君も…。」

 

佐藤さんが他の3人には聞こえないようにこっそり俺に近づく。

 

「…どうかな。修の考えを全部わかるわけじゃないけど、少なからず思ってはいるかもね…。」

「そう、ですよね…。」

「諦めないんだろ?」

「え?」

「俺はあの時の君の言葉、信じてるよ!だからもう少し修の事待っててあげてくれないかな?」

「は、はい!もちろんです!」

「うん!ありがとう、よろしくね!」

 

こうして俺達は解散したーー

 

 

 

 

 

 


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