城下町のダンデライオン~王の剣~   作:空音スチーマー。

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第26話【ファンクラブ】

今日は全校生徒が体育館に集まり朝礼をしていた。

 

「ーー来週、全校をあげて町内清掃活動を実施します。」

 

副会長である奏の発言だ。

 

 

「町内清掃ねー…茜、大丈夫かね。」

「うーん。でもあの子真面目だから頑張ろうとはするんじゃないかな?」

「かもな。」

 

教室に戻り葵とそんな話をしていると、

 

「でも茜ちゃんのファングラブの連中がなんて言うかねー。」

 

静流がそう言った。

 

「ファンクラブ?」

「ほら前に電話で話したでしょ?茜にファンクラブが出来たって…。」

「あー!それで修がNo.2ってやつな!」

「ほんと修くんは茜ちゃん大好きだなー!」

 

俺の言葉に爆笑する静流と苦笑いの葵。

 

「シスコンの翔的には、そういうのはオッケーなの?」

「おいおい、菜々。俺をなんだと思ってる。強要してないなら俺は別に何も言わないし、むしろ人気物であって欲しいさ。」

「シスコンについては否定しないんだな…。」

 

菜々の言葉に真顔で答え、それに呆れる静流。

 

「人気者といえば、最近生徒会に入って来てる情報だと翔さんのファンクラブも出来たとかなんとか…!」

 

そこで卯月の爆弾発言。

 

「は!?そんなんあんの!?」

「翔知らなかったのー?あんた校内じゃ人気者だよー!」

「帰ってきてからの短期間で選挙の票も集めてるから案外校内だけに留まってないかもねー!」

 

笑う菜々と静流。

 

「葵は!?知ってたの!?」

「う、うん。まあ…」

「なんだよその歯切れの悪い返事は…なんかあんのか?」

「そのファンクラブのNo.2が奏さんだっていう噂も…」

 

は?卯月さん?可愛い顔してこの子は今なんと?

 

「ごめんもう一回言って。」

「奏さんがNo.ーー「ごめん、やっぱいいわ。」」

 

なにしてんのぉぉぉぉお!?

 

奏ちゃん何してんの!?

 

修といい、奏といい、あの双子はほんとに…。

 

「はぁ…。」

「「「あ、あはは…」」」

 

ため息しか出ない俺を見て苦笑いを浮かべる4人。

 

…よし、聞かなかったことにしよ。

 

 

それからしばらくすると、

 

「葵ー!1年生の子が呼んでるー!」

 

呼ばれた葵は廊下で1年生の男の子と話し出した。

 

「おやおやー?お兄さん、可愛い妹の客人が男だと気になりますかな?」

「からかうなよ菜々。どうせさっき話してた茜のファンクラブの奴とかそこら辺だろ?」

「なんでぇい!これだから頭の良い子供は嫌いだよ!」

「うるせぇよ!」

 

菜々といつものようにふざけた会話をしていると葵が戻ってきた。

 

「葵。さっきのが例の?」

「あ、うん。会長の福品君だよ。」

「会長かよ!?」

 

ファンクラブの人間だろうとは予想はついていたけど、まさかの会長かよ!?

 

「葵ー!またお客さーん!」

 

と、クラスの女の子が次は茜を連れてきた。

 

が、葵と少し会話をしてそのままその子達に捕まり完全にオモチャにされていた。

 

なんか、助け求められてるような気もしたけど…

 

茜、強く生きなさい。

 

 

町内清掃当日

 

「それではみなさん!頑張って町内をピッカピカにしちゃいましょー!」

 

なんとも気の抜けた卯月の言葉と共に各クラスがそれぞれ動き出す。

 

あれでいて生徒会長を勤めているというのだから大したものだ。

 

「ん?茜のクラスか?はりきってんなー」

 

例のファンクラブの会長もいるだけあってか、茜のクラスは一番貢献していたのは語るまでもないーー




次回は明日です!

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