城下町のダンデライオン~王の剣~   作:空音スチーマー。

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お陰さまでお気に入り登録100名を越えました

ありがとうございます!

そこで今夜は普段の投稿とは別にリクエストをいただいた葵回を投稿いたします!

まだまだはじまったばかりですし
至らない点もあるかもしれませんが

今後ともよろしくお願いいたします!





第15話【葵と買い物、二人の想い】

「悪いな、せっかくの休日なのに付き合わせて…」

「ううん、気にしないで!ちょうど何も予定なかったし!」

 

とある休日、葵と2人でショッピングモールに来ていた

 

ーーーーーー

 

それは、2日前のこと

 

「…着替えがない」

「「「いまさら!?」」」

 

リビングでテレビを観ていた時、ふと口にした言葉にその場にいた全員が驚きの声をあげる

 

「え、いや…だって、旅してたときの感覚が抜けてなくていままで気づかなかったけど、俺1週間分の着替えしか持ってなかった」

 

旅の間は邪魔になるので1週間分の着替えを日替わりで着ていた

 

「家にある兄さんの着替えは、6年前の物ですし…あの頃兄さんが気に入ってたパーカーも今じゃ光の寝間着ですからね…」

「「そうなの?」」

 

光、お前も知らなかったのかよ…

 

 

と言うわけで、着替えやその他もろもろ必要な物を急遽買いに行くことになったのだ

 

ーーーーーーー

 

そして現在に至る

 

 

寝る前に葵にどこの店に行けば良いか聞いたらところ、ちょうど予定がないからついていくと言われ、お言葉に甘えることにしたのだ

 

 

「それにしても、綺麗に建ったなー…6年前まだ計画段階だったろここ…」

「うん、翔君が旅に出てしばらくして工事が始まったからね」

「へー…これなんか似合うんじゃね?」

 

そう言うって葵に服を合わせていく

 

「…あの…えっと、今日は翔君の服を買いに来たんじゃなかったっけ…?」

「ん?買ったよ?…だから次は葵の選んでるんだろ?」

「…そうですか(そんな、何当たり前なこと言ってるの?みたいな顔されても…)」

「葵も女の子なんだし、こういうのは多いに越したことないだろ?」

 

そう言うって次々と服を合わせていき、何着か購入した俺たちは休憩がてらカフェに入ることにした

 

「いらっしゃいま、せ…しょ、翔様に葵様!?よ、ようこそお出でくださいました!申し訳ありません!た、ただいま特別席のご用意を…!!」

「あ、いえ…今日はプライベートなんで普通の席で大丈夫ですよ!」

「か、かしこまりました!ではこちらに…!」

 

なんだろう…この思わす応援したくなる店員さんは…

 

目の前であたふたするツインテールの可愛らしい店員さんに

 

とりあえず心の中で頑張れと言っておいた

 

「なんだか応援したくなる可愛いさだね」

「…そうだな…」

 

さすが双子と言うべきか見事に思考がシンクロしていた

 

「翔様と葵様よ!」

「お2人が一緒にいるとカップルみたい!」

「華になるー!」

「前の生放送の翔様凄かったよね!」

「私もあんなお兄ちゃんかお姉ちゃんほしかったー」

 

などと店内が騒がしくなってきた

 

これも王家の定めというやつだな

 

どこへ行くにも目立ってしまう

 

 

茜ならともかく俺と葵だ

 

軽く笑顔で会釈して気にせず過ごす

 

それから何件か店をまわって、帰宅途中のこと

 

「ーーくるなっ!」

 

たまたま通りかかって公園で

 

一人の男の子が女の子を背中に隠しながら野生の犬と対峙していた

 

「悪い葵、ちょっと言ってくる」

「うん!気をつけてね」

 

葵に荷物を預け、少年達の元へと向かう

 

しかし、犬が少年達へ向かって駆け出した

 

「まったく…」

 

俺は咄嗟に手裏剣を呼び寄せ、犬と少年達の間に向かって投げた

 

コントロールが効くのはこれだけだからな

 

手裏剣はちょうど間の地面に壁になるように刺さり、犬はそのまま手裏剣にぶつかった

 

そして手裏剣へワープし手裏剣を地面から抜きながら

 

「そんぐらいにしとけ、俺もお前を危険な動物として処理したくはないんだ…な?わかるだろ?」

 

少し殺気を込めた笑顔でそう言うと犬は怯えて逃げていった

 

「二人とも大丈夫?」

 

犬が去って行くのを確認して振り替えると、追い付いた葵が二人に寄り添っていた

 

「僕が守ったから大丈夫さ!」

 

少年が胸を張る

 

「そっか、偉いな!君はこの子のお兄ちゃんかい?」

「うん!僕はお兄ちゃんだからね!妹を守るのが使命なんだ!」

「そうだね、立派だったよ!」

 

それからすぐに二人の母親が迎えに来て何度もお礼を言われた

 

そして別れ際に

 

「翔様!今日はありがとう!僕もいつか翔様みたいに強いお兄ちゃんになってみせるよ!」

「そっか!大丈夫!きっとなれるよ!」

 

その子の頭を撫でて、俺達はその場をあとにした

 

 

そして再度帰り道

 

「ふふ、やっぱり変わらないね翔君は…」

「なにが?」

「昔と変わらずみんなのヒーローだなって…」

「ん?いきなり何言い出すかと思えば…俺は別にそんな大それた人間じゃねーよ…ただ守りたい、そう思ったら体が勝手に動いてる、そんだけだ」

「ううん、それでもやっぱり翔君は昔から私達のヒーローだよ!」

「そうか?…ヒーローねー…」

「うん…でも、だからこそ、もう少し自分の為に過ごしてきてほしかったな…(ボソッ」

「ん?なんて?」

「ううん、何にもない!」

 

葵はすぐ笑顔をこちらに向ける、が、

 

 

ばーか、隠せてるつもりだろうけど、気づいてんだよ

 

お前がまだ“あの事”を気にしてる事も、俺の為に悩んでくれてることも、たまに見せる暗い表情も…

 

全部気づいてる…全部知ってる

 

たとえ6年間の空白があったとしても、俺たちは同じ時間を過ごしてきた、言わば半身だ

 

だからこそ…俺は…葵には…

 

もう少し自分の事だけ考えて過ごしてきて欲しかった…

 

 

「まあなんだ…俺はもうどこにも行かねえよ…そう約束したろ?」

「え?」

「俺だってもうみんなと離ればなれになるのはいやだしなー」

 

葵の頭を撫でて笑いながら先を歩く

 

「さ、帰るぞ…みんなが待ってる」

「…もう少し、もう少しだけ甘えてもいいのかな(ボソッ」

 

 

いまはまだこれでいい…

 

互いに互いの感情を理解できる俺達だから

 

もうお互いに気づいているだろう…

 

それでもあえて口にしないのは

 

触れればいまの環境が壊れてしまいそうで

 

互いの心の奥の気持ちを知るのが怖いから

 

相手の気持ちを受け止める勇気と覚悟がないだけ

 

ただ現状から逃げてるだけかもしれない…

 

どうすることが正解かはわからない…

 

けど、それでも、いまはまだ…

 

 

「なにしてるおいてくぞー」

「うん!待ってよ、お兄ちゃん!」

「んぁ?なんだよ急に」

「なんでもないよ!ほら、おいてくよ!」

 

逆に笑顔で俺を追い越して先を行く葵

 

 

ーー俺(私)はこの幸せな生活を続けていたいーー

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?

二人の強い絆、二人は過去になにがあったのか…


まだまだリクエスト受付ておりますので
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