城下町のダンデライオン~王の剣~   作:空音スチーマー。

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5話の後半の話です

これからはこの時間に投稿していくのでよろしくお願いします!


第6話【家族 その2】

「はあ…すっかり遅くなっちゃった」

 

私、櫻田家次女の奏は生徒会の仕事を終え、帰路についていた

 

遥の予知だと今日お兄様が帰ってくる…

 

今日!

 

お兄様が!!

 

帰ってくる!!!

 

6年!

 

6年よ!?

 

6年も何してたのよ、まったく!

 

 

「あ、翔、旅に出てしばらく帰ってこないから」

「「「…は?」」」

 

 

6年前、仕事から帰ってきたパパが突然そう言い出したときはその場の時間が止まって、世界の終わりかと思ったわ

 

それから1ヶ月間パパとは口を利かなかったのは悪いと思ってるけど、あれは自業自得よね

 

 

「ただいまー」

 

声のトーンが弾んでいるのが自分でもわかった

 

遥のは予知はあくまで確率なだけで絶対とは言えないけど、それでもやっぱりそうであってほしい気持ちの方が強くて普段より早歩きで帰ってきてしまった

 

 

ん?

 

なにやらリビングが騒がしい

 

もしかして!!

 

私は可能性を信じてリビングへ急ごうとした瞬間

 

「もーさっきから騒がしいなー何かあったの?」

 

光に先を越された

 

そして中で何やらまた賑やかに会話が始まる

 

う、やばい、入るタイミングを失った

 

 

「ただいま」

「たっだいまー…あれ?かなねえどうしたのー?」

 

それからすぐに遥と岬が帰ってきた

 

「なにしてるの?はやく入りなよ…」

 

そう言って岬がリビングの扉を開いた瞬間ーー

 

男性に抱きつく光が目に入った

 

空白の6年間何て関係ない、すぐにわかった

 

そう、その男性は、

 

「…お兄ちゃん」

 

私が待ちわびていた人…

 

ってそんなことより

 

「「こらー!」」

 

私と岬は一斉にリビングに入り光に掴みかかる

 

「「離れなさい光!!」」

 

そしてお兄ちゃんから光を引き剥がした

 

ーーーーーーー

 

「「離れなさい光!!」」

 

そう言って二人の女の子は光を俺から引き剥がした

 

「奏?それに岬か!?二人とも大きくなったな!元気そうじゃんか!」

「おかえり、翔兄さん!翔兄さんこそ元気そうだね」

「遥!お前もイケメンに育っちゃって!」

 

二人に続いて、遥も入ってきた

 

「翔にい!おかえり!!どこも怪我してない?ちゃんとご飯食べてた?そんなことより会いたかったよー!!」

「ぶー岬ちゃんも抱きつくんじゃん ! 」

 

岬が泣きながら俺に抱きついてきた

 

「お前は俺の保護者か何かかよ…ただいま。色々心配かけたな…奏も」

 

岬の頭を撫でながら、俯いたままの奏を見る

 

「…ほんとよ…ほんとに、心配したんだからぁ…」

 

奏も泣いていた

 

そして同じように抱きついてきた

 

「ごめんな二人とも…葵からは聞いてたよ。二人ともすごく心配してくれてたんだろ?ありがとう!もう大丈夫、なんとか無事に終わったから、やっと一緒に住めるよ」

 

そう言って二人の頭を撫でる

 

「ほんとぉ?もうどこにも行かない?」

「あぁ本当だ!とりあえず鼻を拭け岬」

「…約束だからね」

「あぁ約束だよ奏」

 

「遥はあんま驚かないんだな」

「まあ、ちゃんと予知には出てたからね。けどもちろん嬉しいのは変わらないよ。ほんと、おかえり翔兄さん」

「おう!二人にも色々迷惑かけたな!これからは俺も一緒だ!」

「いえ、俺達はただ自分の出来ることをやって来ただけです。もちろんそれは今後も変わりませんよ」

 

だんだんと泣き止んできた奏と岬をあやしながら修と遥とそんな話をしていると

 

「ただいま…ってこれは、どういう状況?」

 

そこに葵も帰ってきた

 

「よ、葵!お前とは久しぶりな感じしないけど、ただいま!我が妹ながら相変わらずの美貌だな」

「お父さんにも似たようなこと言われたことあるけど、いまそれ関係ないし!…もう、翔君も相変わらずだね」

「そうか?こんなもんだろ」

「ふふ、ううん、ほんとなにも変わってないね!…おかえり!」

「おう!ただいま!」

 

ようやく泣き止んだ奏と岬を一旦離し葵と笑い合う

 

「…それと、ただいま茜。元気してたか?久しぶりだからって俺にまで人見知りするつもりか?」

「そ、そんなことないよ!一瞬誰かわからなかっただけだもん!…それより、おかえり翔ちゃん!」

 

葵の後ろに隠れていた茜に少し意地悪をすると、慌てて飛び出し茜も同じように泣きながら抱きついてきた

 

「あぁ、ただいま!心配かけたな茜」

 

そして俺も同じように茜の頭を撫でる

 

 

「ところで翔にい?葵ねえだけ褒めて私たちにはなんもなしなの?」

「ん?あーもちろん岬も相変わらず可愛いよ」

「えへへ」

 

…じぃー

 

「ん?もちろん奏もな?綺麗になったな」

「わ、私はまだ何も言ってないわよ!」

「ねえ翔ちゃん!わ、私はー?」

「茜も相変わらずだよ!(…特に胸が)ーー「えへへ、そうかなー?」(とは口が裂けても言えないな…)」

 

「ねえねえ、そんなことよりしょうちゃん!お土産はー?」

「だから光、翔兄さんは遊びに行ってたわけじゃーー「あるぞ」…あるんだ」

「もちろん!ちゃんと買ってきたさ!」

「本当に!?どこどこ?」

「…あ、城に忘れた」

 

あーらら、お土産城に置いてきちゃったわ

 

「えー!ーー「すまん、明日取ってくるよ」うーん、約束だからね?」

 

 

そして、一気に騒がしくなる

 

6年間の俺の旅の事、みんなのこと、初めて合った輝や栞の事

 

10人も兄弟がいるとさすがに賑やかだな

 

と、ふと台所で母さんと料理をしている葵を見ると、葵もこちらに気づき二人で笑い合う

 

 

本当に、やっと帰って来たんだな、家族の元に

本当に、やっと帰ってきたんだね、私達の元に

 

 




いかがでしたでしょうか?

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