彼は幻想を愛している   作:ねんねんころり

51 / 55
おくれまして、ねんねんころりです。
文字数がすごいことになってしまって、前後編に分けるか悩みましたが、このまま一気に読んでもらうのがいいと思って一万字超えの最後の第八章を投稿します。
この物語は以下略です!
それでも待っていて下さった方は、ゆっくりしていってね。


第八章 終 理想という光を胸に

♦︎ 寅丸 星 ♦︎

 

 

 

 

「おい霊夢! 全然弾幕が当たってないぜ!?」

 

「これは…霊夢さん!」

 

「早苗の考えは合ってるわ。こいつ、只者じゃない…っ!!」

 

私と鵺、異変解決者の三人との最後の勝負。始まってから数合の遣り取りに、彼女らは三者三様の感想を述べる。

 

それでも攻撃の手は緩まないが、私とてお飾りで毘沙門天様の代理となった訳ではない。

 

不非命中夭(われ ふりょなる わざわい に しせず)

 

仏様の功徳を得るには、文字通り尋常ではない修行による精神性の獲得が必要だった。無我の境地にて価値ある方々の御心を授からねばならない。そのために過去の因縁を捨てた。現世のしがらみからも距離を置いた。そうして妖怪として定められた生き方を変え、聖の教え導いてくれた道に殉じる覚悟と力を身に付けた。

 

私が操るのは毘沙門天を始めとする、聖から教えられた様々な加護を含んだ真言そして呪い(まじな)の数々。それらは奇しくも、魔界より彼女を救う為にその力を遺憾無く発揮していた。

 

不被毒藥蠱毒(こどく を はまず どく を ふくまず)

 

合掌したまま先に唱えた二つは、私が毒と認識したモノを寄せ付けない加護。そして彼女らの弾幕を捌くため、出来るだけ必要最低限の消費で済むように流れ弾や余計な攻撃から身を守る加護。

 

こうして考えると何でもありなように感じるが、悟りを開かれた方達の恩恵はそれだけ大きいということだ。もっとも…そんな呪いを完全に再現出来るほど、私は徳の高い妖怪ではない。事実、受け切った筈の弾幕の幾つかは衝撃を逃がしきれず身体は悲鳴を上げてきている。

 

「やっぱり。あいつ真言と陀羅尼の使い手なのね…! 完全じゃないみたいだけど、それでも私たちの攻撃を受け続けてまともに立ってるなんて半端じゃないわ」

 

「それって、仏教由来の呪術士ってことですか!?」

 

黒髪の赤い巫女と、長髪の青白い巫女が言葉を交わす。気付かれたことには驚きませんが、流石にこうも早く分析されてしまうとは。

 

「妖怪なのに、仏さんの力が使えるだって? 一輪も似たようなやつ使ってたけど、まさか全員使えるとか言わないよな!?」

 

金糸の髪を揺らしながら、箒に跨って宙を舞う少女が追加の弾幕を放つ。夜空の星々を象ったそれらは敵ながら鮮やかで、真っ直ぐな彼女の性根が現れた良い技だった。

 

「しかし…通用しないッ!!」

 

「任せな! 鵺符 《弾幕キメラ》!!」

 

初めてとは思えないほど、私と鵺…いや、『ぬえ』との連携ははまっていた。彼女は固有の能力と使用する弾幕の性質から、複数の相手を同時に攻めることが出来る。加えて《正体を判らなくする程度の能力》が、ぬえの繰り出す弾幕の奇襲性、威力ともに大幅に底上げしていた。

 

私は自分の《財宝が集まる程度の能力》と、毘沙門天様から賜った宝塔の合わせ技で相手の大半の弾幕を集め、結界の呪術と加護によってそれらを相殺する。

 

ぬえが攻め、私が守る。

この単純かつ強固な布陣が、数的不利を踏まえても異変解決者と互角の戦いを演じさせているのだ。

 

「…っ! 流石に、攻撃の手が激しいですね」

 

「大丈夫かよ? いくら守りに自信があるからって、あれだけの弾幕を一人で受け止めて…さっ!」

 

私に声をかけながら、ぬえは的確に彼女ら目掛けて弾幕を撃ちだす。私によって攻めあぐねた三人を、ぬえがジワジワと消耗させて時間を稼ぐ。

 

「問題ありません。彼女らが三人でここまで来たと言っても、一輪や《彼》と戦った際の傷は癒えていないのですから」

 

あとは我慢比べ…どちらが根を上げるかの勝負になる。

霊夢、早苗、魔理沙と呼び合うあの三人は、一輪に加えて九皐殿との連戦によって激しい疲労感に苛まれているらしい。

 

一つ一つの弾幕は力強いものの、攻撃と防御が入れ替わる度にそれぞれの表情は陰りを見せていた。

 

「へっ! これくらいで疲れたなんて、甘えたこと言ったらそれこそ笑われちまうぜ!」

 

「そうですとも! あの人が道を明け渡してくれた今、私達に出来ない事などありません!!」

 

「まあ…そうかもね。負けて帰りでもしたら、あいつにも紫にもなんて文句を言われるか分からないわ…!」

 

何という皮肉だろう。私達が彼に助力を求め、あと一歩のところまで来られたように。彼女らも私達の知らないところで九皐殿との交流があって、こうして立ちはだかっているわけですね。

 

「まるで…共通の友人の話を聞いている気分です。けれど」

 

まあ、私達と彼は一時的な協力関係に過ぎませんが。こちらの不躾な要求に対して、それでも彼は真摯に聞き届けてくれた。せめてその恩義に報いたい…その為には。

 

「ここで負ける訳にはいかない! オン バサラ ヤキシュ ウン 怨敵退散ッ!!」

 

「私は…今度こそッ! 鵺符 《アンディファインドダークネス》!!」

 

私が放った不可視の波動が彼女らを吹き飛ばし、等間隔に此方との距離を開けさせる。それと同時に、ぬえのスペルカードが絶妙なタイミングで放たれる。

 

彼女を起点に暗雲が周囲を覆い隠し、その黒い霧に紛れて無数の弾幕が異変解決者に降り注ぐ。戦況はあちらに不利にも関わらず、大地を潤す豪雨にも似たそれらを三人はなおも避け、捌きながら軽口を止めない。

 

「衝撃波にはビックリしましたね…。弾幕もかなり厄介です! 当たれば、ですけど!」

 

「これくらいならまだ余裕ね。視界が遮られても、私達に向かってくる気配が断たれた訳じゃないもの」

 

「おいおい、いきなり真っ暗にしてどうするんだ? 蝋燭つけて賛美歌でも歌ってくれるのかよ?」

 

「言うじゃないか! そこまで聴きたいなら唄ってやるよ。ただし…私が歌いだす頃には、お前らは既に終わってるだろうけどな!」

 

ぬえも不敵な笑みを浮かべて、三人の挑発へ愉しげに返してみせた。ここから詰みに入るつもりでしょう。私も彼女の心意気を汲んで次の一撃に勝負をかけよう。

 

背後に爛々と光る飛倉の結界が、ドクンドクンと波を伴って蠢動する。聖の復活は近い。なんとしても守り抜かねばならない…!

 

「ここらで終いにするぜ! 二人とも準備はいいな!?」

 

黒帽子の魔女…魔理沙が残りの二人に声をかけた。頷く霊夢と早苗を見やり、得心がいった風ににやりと笑った魔理沙が最初に弾幕の暗雲から脱出した。

 

箒に跨る彼女は、あたかも流星のように軌跡を描いて魔界の空を自在に飛び交う。ぬえが放った弾幕のほとんどを引きつけ、自分を囮にしながらもその飛行速度と技術でもってその全てから逃げきった。

 

「見事なり。ならば、私もぬえと共に最後の勝負に出るとしましょう…いざ!!」

 

「霊夢さん、私たちも!」

 

「早苗! 私が魔理沙に合わせるから、あんたは思いっきりやりなさい!」

 

「いっくぜえええ! スペルカード開放っ!!」

 

五人同時に、最後の攻撃の動作に入る。

瞬きとともに解放された各々のスペルカードが同時に展開され、仄暗いはずの魔界の空を一瞬だけ明るく照らし出した。

 

 

 

 

 

「恨弓———《源三位頼政の弓》———ッッ!!!」

「天符———《焦土曼荼羅》———ッッ!!!」

 

「夢符———《退魔符乱舞》———ッ!!」

「魔空———《アステロイドベルト》———ッ!!」

「蛇符———《神代大蛇》———ッ!!」

 

 

 

 

五枚のスペルカードの放つ光が、魔界全体を震わせかねない勢いで炸裂した。ぬえが打ち出す複数の光線が多角的な軌道で三人へ迫り、私の焦土曼荼羅が光線の隙間を埋めながら光と炎の津波と化して彼女らを包み込んだ。

 

勝負は決したと思われた刹那。

光と炎の包囲網を食い破って、一匹の巨大な蛇が鎌首をもたげた。風を纏いながら吠え狂う蛇は、私達の弾幕を物ともせず押し潰しながら一直線に肉薄してくる。

 

「こいつら、まだこんな力を…っ!!」

 

「ぬえ! 回避を———なっ!?」

 

皮一枚で大蛇を躱したところで、私とぬえは次に現れた光景に瞠目した。大小様々な球状弾幕が領空内に所狭しと出現し、弾幕それぞれの間に退魔の札が一部の隙もなく差し込まれている。

 

「ちくしょう…! また、また私は——」

 

「二対三とはいえ、ここまで差が出るとは…でも!!」

 

せめてぬえだけでも。

元は私たちと敵対していた筈の相手を、私は躊躇なく抱え込んで霊夢達の弾幕を背にした。迷うことなどあり得なかった。

 

「なにやってんだよ!? 私を庇ってこんなの受けたら…!!」

 

「いいえ、これで良いんです。だって」

 

だって…この行いはかつて、聖にして貰ったことを偶々貴女に返しているに過ぎないんです。先の見えない不安と、いつ人間に討たれるか分からない恐怖。そんな奈落の底から私達を掬い上げてくれたあの人のように。私もまた、誰かの光明となって果てるなら———。

 

 

 

 

 

 

 

「———星。その行動は誠に杜撰で、孟浪咄嗟である! いざ、南無三———!!」

 

 

 

 

 

 

 

その時、私達に襲いくる筈の弾幕が…ほんの一瞬のうちに掻き消された。意を決して、痛苦を覚悟して硬く瞑っていた両目を開く。そこには結界から解き放たれた私達の大切な人が、神々しくも柔らかな後光を携えて空を揺蕩っていた。

 

 

 

 

 

♦︎ 博麗 霊夢 ♦︎

 

 

 

 

 

「…私達の弾幕が」

 

「「掻き消された(ました)!?」」

 

渾身の霊力、魔力を込めて解放した弾幕が…一瞬にして霧散した。いや、その表現は正しくない。

 

正しくは、目の前で淡い光を放ちながら悠然と空に浮かぶあの尼僧が、掛け声とともに放った拳圧で諸々強引に吹き飛ばしたのだ。

 

「なっていません」

 

「聖…なにを——あいたぁっ!?」

 

唐突に、聖と呼ばれる尼僧が真言使いの…星だっけ。を拳骨で小突いた。小突かれた本人は何が何やら分からない様子で、私達は完全に空気と化していた。

 

「何を考えているの? 貴女が倒れたら、誰が毘沙門天様の御神体代わりになるというのですか。もう少し悪足掻きすることを覚えなさい。潔さは美徳ですが、諦めの早さは善行とは言えません」

 

「え? あ、聖…その」

 

「もう…私を助けるためにまたぞろ無茶をして。貴女もですよ!」

 

ビシッと効果音が付きそうな勢いで、鵺を指差して一瞬だけ聖の表情が険しくなる。

 

「え? 私もか? 初対面の私もお説教されてるの?」

 

「当たり前です! 協力してくれたのは有難いですが、そもそも他人様の足を引っ張るような真似をしては極楽への道が遠のいてしまうんですよ? 封印されてたといえど、此処での成り行きはちゃんと見ていたんですからね。途中で思いとどまったのは素晴らしいですが、後でちゃんと皆に謝らないといけません!」

 

「おい寅丸。聖…さんって」

 

「え、ええ…。昔から、私達の無茶が過ぎるとこんな感じでした。でも良かった。お変わりないようで、とても嬉しいです。聖」

 

星の言い分に少しだけ眉を顰め、聖は打って変わって柔和な表情で鵺と星を腕に抱きしめた。

この流れ、私らを無視していつまで続くのかしら? 休めるから別に良いけどね。

 

「そう…そうよね。貴女たちが頑張ってくれたおかげで、私もこうして解放されました。改めて、ありがとう星。そして皆。おかげでこの聖白蓮、封印の枷から逃れられました」

 

「お、おう…おめでとう。聖、さん」

 

「はい…! 本当にめでたいことです! おかえりなさい、聖!」

 

「下の皆にも、改めてお礼を言わなければいけないわね。でもその前に」

 

聖白蓮は、居住まいを正して向き直る。

静謐ながら、尋常ではない気当たりを迸らせて、厳しい口調で私達に問いかけた。

 

「御機嫌よう、人間の皆さん。この度、仲間たちの献身によって結界から出ることとなりました。魔法使いの聖白蓮です。それで? 貴女がたは何方様なのですか?」

 

成り行きを見ていたって割に、随分な態度じゃないの。こっちはあんたのお仲間が空に船なんか浮かべて魔界の門を開いたから、態々此処まで出向いたってのに。

 

「そちらさんのご友人が、幻想郷で暴れた上に魔界の門を繋げてくれたから来たのよ。せめて、一言二言くらい説明があれば三人で押しかける事も無かった訳だけど。それについてはどうなのよ? と言っても、あんたは封印されてたみたいだし。退治するのはお仲間だけで勘弁してあげるわ」

 

「そうですよ! 私達も大変だったんです! 此処に来るまで多くの障害を乗り越えて異変解決に来たんですから!」

 

「ま、私らも楽しけりゃなんでも良かったんだけどさ。一応お役目ってのがあるから、アンタのお仲間達にはお灸を据えなきゃいけないわけだ。そこんところ、聖さんはどう思ってるんだ?」

 

私達の意見を最後まで聞いて、少しばかり聖は瞑目した。各々の意見を噛み砕いて、少しでも状況を理解するように。対して星と眼下の連中は、お説教の後のせいかバツが悪そうに視線を彷徨わせている。

 

「分かりました。私の為とはいえ、この度は仲間がご迷惑をおかけして申し訳ありません」

 

なんと、聖はその場で深々と頭を下げて謝罪の意を示した。話せば分かる奴というか、ある意味で異変の目的とされていた人物にしてはまともに見える。

 

「ですが」

 

一区切り置いて、聖は再度剣呑な気配を纏って口を開く。

 

「今回お騒がせした件については、私から皆に言い含めておきたいと思います。今後出来うる限り、御迷惑をおかけしないと約束致します。ですので、この場は矛を収めて貰う訳にはいきませんか?」

 

ま、そうなるわよね。

状況を理解したと言っても全部じゃないだろうし。こっちの事情にまで配慮しろってのは虫が良すぎたか。となると。

 

「それは無理ね。何しろ異変と認定したから、相応の始末はつけないと御役目に反することになるわ」

 

「一度始まったからには、白黒つけとかないとな。なあなあで済ませられるんなら、私らも異変解決者を名乗れないぜ」

 

「異変を起こした妖怪は、一度は退治しに行くのが私たちのルールです! それを曲げることは出来ません」

 

「……そうですか。仕方ありません。星、そして…貴女はぬえだったわね? 二人ともお下がりなさい。後は私が皆さんのお相手を致します」

 

聖は優しげに諭しながら、この場は任せろと右手で二人を制した。

 

「で、でもさ」

 

「従いましょう、ぬえ。手負いの私達が残っては、聖の邪魔になってしまう」

 

素直に従う素振りの星に、ぬえも渋々頷いてこの場から離脱する。下に浮遊するどデカイ船に二人が乗り込むのを見届けると、聖は私達を見やった。

 

「先ほどの言い分。一つだけ気になる点がありました」

 

「…言ってみなさい」

 

「決まりごとを守らねばならないのは道理。誠にその通りです。けれど、私も仲間をむざむざ退治させるのを眺めているほど、大人ではないのです。ですからどうか、私一人を退治するというので御納得頂けませんか?」

 

結局こうなったか。

あーもう! 全く、つくづくお人好しねこの僧侶。仲間の尻拭いを自分から買って出るなんて。いや…それだけこいつが慕われてるから、下の連中も必死になって異変を起こしたわけか。

 

「はあ…面倒くさいわね。何が悲しくて、へとへとの身体で気合十分な奴の相手をしなくちゃいけないのかしら」

 

「しょうがねえだろ? 形だけでも終わらせないと、此処までやって来た意味もないしな!」

 

「うえーん。まだ戦わなきゃいけないなんてあんまりですよー!」

 

早苗の泣き言には激しく同意したいけれど、やっこさんはあっちもこっちも面目を潰させないって姿勢らしいし。これ以上の議論は無理そうね。だったら仕方ない。

 

「面倒だけど、あんたらも気張りなさい。此処まで来たら何が何でも、あいつをとっちめて終わらせるわよ!」

 

「「おう(はい)!」」

 

「誠に無念で、抵頭平身である。されどもいざ、南無三———!!」

 

 

 

 

 

♦︎ 九皐 ♦︎

 

 

 

 

 

「始まりましたね、コウ様」

 

紫が心底愉快そうに私へ眼下の景色を促した。繰り広げられた舌戦と、これより激化する最後の戦いを私達は眺めている。

 

「聖白蓮か。一輪やナズーリンから聞いた通り、好人物らしい」

 

「ですわね。この異変の後も、楽園の秩序を盤石とする為に是非ご協力頂きたいです。妖怪と人の仲を取り持とうとする言動には少し不安が残りますが」

 

「人と妖の相互理解、か。私としては願ってもない思想だが、それだけに強欲ではある。クク…どう転ぶか」

 

「…嬉しそうですね? コウ様」

 

紫が目を細めて遠回しに避難の視線を浴びせてくる。私に対する時にしては珍しい、喜怒哀楽以外の複雑な心持ちが窺える。それだけ私に心を許してくれていると考えれば嬉しい話だが。今は質問に答えてやらねばな。

 

「うむ。これまでは主に妖怪の側から相互の均衡をコントロールしてきたが、そろそろ人の側にも新たな人材を据えたいと思っていた」

 

私の思惑が計りかねると言いたげに、首を傾げて訝しむ紫。頭を一度振って眼下の戦いを見るように促すと、素直に彼女は従ってくれた。

 

「霊夢達は確かに人の側から異変を解決する。が、それはあくまでも当事者…延いては妖怪の側だけで深く認知されているだけだ。人里に住む者達はどうだ? 彼女等の活躍を間近で見た訳でもない人間が、これまでの奮闘を素直に認めるだろうか?」

 

答えは…私は否と思う。

それがどうした? 人を守る為に力を磨き上げたのだから、それを力なき民の益となるよう用いるのは当然だろう。と大多数の人間は考える筈だ。

 

人間という生き物は、それほど単純には出来ていない。我が身も脅かされる不安と、それを取り払うべく奔走する者達の繋がりまでは考えないのだ。人間とは探究心、向上心のある生物だが…同時にそれ以上に愚かしい側面も持っている。よって。

 

「否…そこまで力ある偶像を信仰しきれるならば、今頃外の人間総てが神々の奴隷となっていただろうな」

 

「そうですわね。極論じみておりますが、コウ様の仰ることは核心をついています。フフ…八坂神奈子などが聞いたら泣いてしまうかもしれませんね?」

 

紫よ…君は八坂神奈子含め神々を子供か何かと勘違いしているのではないか? 彼女の冗談は兎も角…外の人間は時代の移り変わりと共に信仰を捨てて、自らの築き上げた知恵と力に重きを置いた。

 

科学の発展が神秘を暴き、不可思議な事柄を様々な法則に定義付け、今まで知り得なかった現象の原理を解明したことで数多の幻想を白日の下へ晒した。

 

その結果八坂神奈子や漏矢諏訪子といった八百万の神は居場所を失い、紫を含め多くの妖怪が生き抜くには非常に厳しい環境へ相成った。

 

「そこで、幻想郷において霊夢達に続く人と妖の均衡を保つ新たな要素が」

 

「彼女、聖白蓮というわけですか」

 

「然り。彼女は魔界へ至る以前より、人と妖双方の架け橋となるべく活動していた。そうして実を結んだのが、聖を求めて魔界へ踏み入った寅丸達であり、霊夢達と相対する聖白蓮の《今》なのだ」

 

そこまで語り終えると、紫は無言のまま私と同じく聖対異変解決者達の戦いを見始めた。

 

聖白蓮は、長年に渡り練り上げた力と技を扱う本物の魔法使いだ。僧侶というのは彼女の持つ顔の一つに過ぎない。仏教の源泉を辿っていけば、心技体余すことなく鍛え上げていても不思議ではない。

 

その証拠に…彼女の動きは無駄がなくそれでいて単調さも皆無だ。術理に長け、流れるような重心移動と空を飛ぶ技法の二つを駆使して霊夢らの弾幕を悉く躱している。

 

「この、この…!」

 

「不味いぜ。聖のやつ、私らより明らかに…!」

 

「身のこなしが巧い…っ!!」

 

此方が拾える霊夢、魔理沙、早苗の声には歯噛みしたモノが入り混じっている。弾幕勝負ならば確かに三人の方に軍配も上がるが、聖にとってこれは紛れも無い《決闘》。勝ち負けを競うだけではない。相手の心を完膚無きまでに圧し折り、我を通す為に不可欠な儀式なのだ。

 

「…いつの世も、人間はそう変わらないですね」

 

「なんだ? 何か言いたげだな、聖さんよ!」

 

魔理沙の切り返しに、僅かな嘲りを込めた声音で聖は応える。

 

「いいえ。我が身にも当て嵌まることですから、自嘲気味になってしまいました。人はいつの時代も、勢いのある時は対峙する相手の力量を自身より下に見るものだと」

 

「その言い方は、私達が貴女を…聖さんを侮っていたみたいに聞こえます!」

 

「事実そうですよ。《弾幕ごっこ》、《スペルカードルール》…どんな言い回しであろうとも、此れは互いの尊厳と意地を賭けた純然たる果たし合いです。其処に幾らか戯れが混ざろうと、戦って勝つ———という考えからして甘いのです!」

 

聖の言わんとする意味に、三人は薄々気づき始めていた。

幻想郷の空で私と戦った時、彼女らには異変解決者として戦う事の意味を問うた。相手が誰であれ、勝って押し通る事こそ君達の役目だろう? と。

 

霊夢達は見事私に打ち勝ち、そうして魔界まで侵入した。だが、上手くいったのは其処までだ。聖が話しているのは更にその先。勝つ事の意味と姿勢について三人に問い質している。

 

霊夢達の繰り出す無数の弾幕を怜悧決然たる挙動で捌きながら、聖は未だ本気で仕掛けて来ていない。

 

「戦うからには、初撃にて終わらせる積りでなくてはなりません。速く、鋭く。一切の躊躇も溜めも許さない。勝ったという事実だけが、決闘の場に上がった者の正当性を証明してくれるのです!」

 

言葉ではそう言いながら、その実全く仕掛けてこないお前は何なんだと、三人の不満げな様子がありありと出ていた。

 

「勝つ、ではない。勝った、という確信こそが正しいのです! 確信という虚構を現実に変える力こそ、戦いの場において何よりも肝要と知りなさい!」

 

それは例えるなら…弟子を導く厳粛な師の如く。身も蓋も無いような物言いと共に弾幕をいなし、聖白蓮は翻る五体の負荷を利用しながら霊夢達へ邁進する。

 

「正信偈 蓮華化生!」

 

弛まぬ空中での前進に急制動をかけ、聖は身に纏う魔力を滾らせて何事かを呟いた。その直後彼女の背に後光が輝いたかと思えば、瞬く間に光は蓮の蕾を象って大輪の華を咲かせる。

 

「光翼宿りて、淤泥不染の徳と為す!」

 

彼女の言葉は仏教で言う真言に近い。それでいて魔法にも通じており、己の魔力を媒介に覚者の力を体現するといったところか。

 

《淤泥不染》とは、仏教における聖人たちすら心に湧き上がる怒りや不信、猜疑の念、果ては病や老いによる死への恐怖に思い悩んだという逸話を下に語られた言葉だ。

 

泥の中で花開く蓮の花は、汚れ濁った泥中にありながらその花弁が穢れることはないという。自身の爛れた欲望、恥ずべき負の感情に良心が痛む罪悪感こそが、人の心の中に真の信心を得るのに必要…らしい。

 

負の総体たる私からすれば、清らかなだけのモノなど寧ろ何も宿していないのと変わらない。正しく無価値なのだが…そこへ至らんと苦心するのもまた悟りへの道なのだろう。

 

「おい、二人とも! 背中の花から」

 

「やっとこさ反撃ってことね! 見るのも嫌になるくらい弾幕が展開されてるじゃないの!!」

 

「防御…は間に合いません! 全員、回避に専念しましょう!」

 

「魔法———《紫雲のオーメン》———ッ!!」

 

矢継ぎ早に、高らかに宣言されたスペルカードが炸裂する。背中の花弁から撃ち出された弾幕は、縦横無尽の方位から吹き荒れる嵐のように霊夢達に接近した。

 

「くっ…!」

 

「弾速がかなり早いな! でもな!」

 

「これくらいじゃ、まだまだ物足りないです!」

 

苦しさを押し殺して、三人は無数の弾幕を持ち前の飛行技術でもって回避する。反撃に転じる余裕は無いが、避けるだけならしめたものといった体で弾幕の全てをやり過ごした。

 

「飛鉢———《フライングファンタスティカ》———ッ!!」

 

連続で、次なる弾幕が解放された。

蓮の花弁の先端から、円状に弾幕が放たれる。一度目は小手調べとでも言うように、二度目のスペルカードが霊夢達に追撃をかける。だが、それすらも異変解決者達は次々に躱してみせる。

 

「勝ったという確信、だっけ? 考えた事もないぜ! 確かに強くなりたいって想いはあるさ。けどな! そんなもんの為に弾幕ごっこやってるんじゃないんだよ!」

 

「そうです! 弾幕ごっこは異変を起こした妖怪と、それを解決する人間が平等に競い楽しむためのルールです! 正直な話、勝った負けたは二の次で、楽しくお互いをぶつけ合うのが本来の姿なんです!」

 

「あんたの言う、戦いとか決闘の本質については間違ってない…と思うわ。でも、そんな堅苦しい理屈はあんた個人の考えで、私達に当て嵌まるものじゃない!」

 

「誠に短慮、皮相浅薄である! 人と妖怪が平等を目指すなら、ただ話し合い分かり合う場を設ければ済む話です! 愈々もって決闘など、無用の長物でしかありません!! この戦いも、その意味をほぼ失っている!!」

 

双方の主張はどちらも正しいが、同時に他方にとっては矛盾しているように感じられることだろう。話し合いだけでは収まりのつかぬ時もある。しかし対話する努力を怠ってはならない。人と妖が囚われる雁字搦めのジレンマの中で、その二つを一挙に満たせるのが弾幕ごっこだと…霊夢達は反論をやめない。

 

虐げられた妖を護って封印された聖にしてみれば、今更そんな夢のような話がある訳が無いと断じたのだ。真実の戦いとは悲惨で、冷酷なものである。故に争う構図を解消するにはどちらかが、或いは両者が刃を捨てるしか無い。妖怪の中に人と交流する気のある者がいるならば、人間も妖怪の側に立って身一つで語らうことが最善だと。

 

理を突き詰めるなら、正しいのは聖の方か。寒々しい程に合理的で、これ以上の無い落とし所の提案。自分が仲裁する事で、人と妖の盾となり良好な関係を現実のものとする。それだけの意思と力を彼女は持っている。しかし。

 

「フザっけんじゃないわよ! 妖怪が人前で暴れなかったら、それこそあいつらの自由なんて無いも同然じゃない! だから暴れたヤツは片っ端から私達が退治するのよ! 退治して反省させて、次の日にはいい勝負したなって笑い話にしたいから、こんなトコまで出張ってるんでしょうが!!」

 

「確かに聖の言うことはまともだぜ。じゃあなんでアンタの話には、人と上手く折り合えない連中が数に入ってないように聞こえるんだ? アンタの言う妖怪の中には、昔は人と争って大暴れしたヤツもいるはずだろ? 喧嘩する前から世話焼いて止めようとするなんて、それじゃ妥協して終わるだけじゃないのか? 妖怪の中にはな、人を脅かしたり襲ったりしねえと自分を表現できねえ不器用な奴だっているんだよ! かなり迷惑だけどな!」

 

「妖怪は、人間が抱く恐れや不安を糧にして生きる者が殆どだと聞きました。それを望まない方々にしてみれば、貴女の仰る事は正しいと思います。でもそれだけじゃ、どうしたって分かり合えない事だってあるんです! 例えそれが人と妖怪でも、人間どうしだって変わりません! 当たり前じゃないですか! 皆が皆考えてる事や生き方が違うから、時には衝突したりするんです!!」

 

両者の意見は、とても根の深い問題に向き合ったものだ。人と妖が共生していくなら、対話する意思を捨ててはいけない。されど議論するだけでは解決出来ない場面も存在する。ならばどうするか?

 

「私とて…もっと明快で、純粋な関係を作りたかった。諦めた訳じゃありません。でも、それでも…競うことにも臆病な者は居るのです。人妖問わず、振り絞る気力も持てないほど弱った者には、その在り方だけでは辛すぎるのです」

 

外の世界で、その思想の奇異さから理不尽を強いられた聖。そして負けず劣らず、日々妖たちと渡り合わねばならなかった霊夢達。明確な答えは出ない。いや、出ないのが当たり前なのだ。

 

聖は人と妖の清濁を知った上で最終的に対話を頼りにした。霊夢や魔理沙、早苗はそれでも争いが起きる場合がある。ならばせめて、互いが笑い合える結末を迎えたい。どちらも優しく、そして険しい道だ。険しいが故に、両者ともこれだけは挫けまいと歩んできた。だからこそ、今にして出てきた異なる選択肢を飲み込めないでいるのだから。

 

そこに…聖は我に返ったような表情で、光翼を広げたまま虚空を見つめ始めた。

 

「いえ…いいえ。そうでしたね。そんな純粋さが許された場所でならきっと。弱り果てた者や、過去に他者を虐げてきた修羅であっても」

 

そんな拮抗も…今や崩れ去ろうとしていた。不意に、聖の弾幕が途切れ静寂が訪れる。彼女の目尻に、澄んだ色の雫が一筋流れた。

 

「各々が全てを受け止めていつか…何処かの温かな場所で笑い合える。そういう時代が来ると信じて———ここまで生きてきたのでした。それを…思い出せた気がします」

 

それは如何なる気付きだったのか。私にも紫にも、若しくは対峙した霊夢らにも推し量れない何か。その何かが聖白蓮のこれまでの問いかけ、主義主張の奥底を揺るがしたと見える。

 

「…分かりました。貴女がたの住まう幻想郷ではそういったやり方もあるのですね。安寧の為とはいえ、無理に人妖双方に我慢を強いずに済むのですよね?」

 

「保証は出来ないけど、そう悪い事にはならないんじゃないかしら? ねえ?」

 

「そうだなぁ…外の世界とこっちじゃ何もかも違うらしいからな! 何とかなるだろ! 困ったら、助けてやらないこともないぜ?」

 

「そんなこと言って。魔理沙さんのことですから、きっといの一番に助けに行かれるんですよね?」

 

笑顔で戯れ合う三人を見て、聖白蓮は何を思うのだろう。その顔付きは、笑顔の中に潜ませた気迫といった憑き物を洗い流されたかに見える。ふむ…何か、胸に去来するモノが彼女の考えを変えたか。いや、再認識させたのやも知れない。

 

「……ですが、私達の議論と決闘の勝敗は別のものです」

 

「——ちぇ。全くしっかりしてるよ。初対面だけど、聖は何となくそういうのに几帳面そうなのだけは分かってきたぜ」

 

「弾幕も止まってくれたしね。確かにどっちの意見がーってのと、異変の決着は別…ってのは同意するわ」

 

「それじゃあ私達も、最後の一花咲かせちゃいましょう! 弾幕ごっこ本当の魅力は、《楽しい》ってところですから!」

 

「ええ。ええ…そうですね。私も、貴女たちの流儀に倣うことに致しましょう———いざ!」

 

四人の魔力、霊力、神力が同時に高まった。

最早双方の食い違い、尽きせぬと思えた蟠りも多くは氷解した様子。ここより始まるのは…新たな仲間の参入と声明を祝う、歓迎の狼煙。掲げられた四枚のスペルカードは渾身の力を乗せて………今。

 

「魔砲———」

「宝符———」

「蛙符———」

 

「超人———」

 

 

 

 

 

 

 

「————《ファイナルマスタースパーク》————ッッ!!!」

「————《陰陽宝玉》————ッッ!!!」

「————《手管の蝦蟇》————ッッ!!!」

 

「————《聖白蓮》————ッッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

天を衝き、逆巻く星となって駆け上がる聖。

真っ直ぐに迎え撃つは、此度の異変解決者たち。

それぞれの放つ終幕の一撃は鮮やかに、泥濘に咲く蓮華の如く。美しき光を伴って数度弾けた。

 

そして………優しき法を唱えた一条の聖白蓮(ほし)は、魔界の空に浮かぶ聖輦船へと堕ちて行った。

 

 

 

 

 

♦︎ 聖 白蓮 ♦︎

 

 

 

 

 

忘れはしない。あの時に懐いた悲しみを。

 

癒える事は無い。あの時に感じた虚しさを。

 

けれど――――――私はそれを言い訳にして、何処かで諦めていたのではないか?

 

弟が亡くなって、私は酷く《死》というものを恐れていた。死を克服しようと、あらゆる手を尽くしてそれは叶えられた。人としての生を捨て、魔道に堕ちた私でも何かが出来ると信じていた。

 

そうして得られた結果は…全てが満足できるものでは無かったにしろ、決して無意味では無かったのです。

 

初めは…我欲のために妖を助け、人に寄り添いたいと願う者達の健気さを利用した。善人面をして長い間妖怪を手伝っていく内に、いつしかそれが本当の気持ちに変わっていた。気が付けば掛け替えのない仲間を得て、いつか私たちと人間が分かり合える日が来ると願い続けた。

 

「ああ…でも、いつからでしょう? それも、時が経つ毎に歪になってしまっていたのですね」

 

落下する間の数秒、或いは数瞬。

私は敗北の味を噛み締めながら、変わってしまった自分の生きる目的を確かめ直している。

 

人と妖だけでない。人と人ですら、言葉だけでは折り合えない時もある。たった一つの方法だけでは、それに適応出来ない者も必ず出てくる。そんな途方も無い問題を前に彼女らは、だからこそ妖怪の自由を認め、生き方を認め、その上で退治して反省させると宣った。

 

弾幕ごっこの最中…三人の言葉から、かつて自分が一番大切だったモノを唐突に思い出してしまったのだ。その時は思わず、目から涙が零れていた。

 

本当は彼女らの住んでいる…幻想郷のような場所を私も求めていた。暖かくて冷たくて、それでもただ…誰もが自由であるという。その一点だけが実現された世界を。自分が自分らしくいられる場所を、ずっとずっと望んでいた筈なのに。

 

「もう…いつの間に、私は、間違って———」

 

結界から抜け出す頃には、身体は泥のように重たくなって、心は氷のように凍えきっていた。何処かでうまい落とし所を見つけられれば、ある程度の妥協で簡単に自分の理想は形になる。そんな風に勘違いして、驕ってしまったのですね。

 

だからあの娘達が諦めず戦う姿に嫉妬して、憎たらしくなって。現実は甘くないんだ。貴女たちの言い分は薄っぺらいだなんて、頭ごなしに否定して本心を偽ってしまった。

 

「でも、もう…」

 

もう…良いのですよね?

本当は———。

 

「私達が…生きていて許される世界が、ずっとずっと欲しかった」

 

その限りない安堵と、曇っていた自分の理想を見つめ直せた事実が…千年余りの時を過ごして、淀んでしまっていた心をすっかり洗い清めててくれました。だから。

 

「聖…よかった! 無事だったんだね。どうだい?私も捨てたもんじゃないだろ? キャプテン村紗の操舵技術で、バッチリ聖の落下する所に先回りしてやったよ!」

 

「こら、余り騒ぐんじゃない。聖もご主人も疲れているんだぞ」

 

「大丈夫ですよ。それよりもっと聖の顔をよく見たいです! なので立っているのも辛い私に、誰か肩を貸してもらえませんか?」

 

「全然大丈夫じゃないじゃんかよ! だから盾になるのはよせって言ったのに」

「姐さん…聖姐さん! 見えますか? 聞こえますか? 私らみんな、みんな貴女を迎えに来ましたよ…!」

 

もう、二度と皆を離さないと誓おう。

次こそは…私達一人一人が胸を張って生きられる場所を、自分達の手で造りあげよう。

 

「みんな、ありがとう……ただいま」

 

 

 





次はやっと、神霊廟に行けると思います。
プロットはありますが、書き起こすのにまた時間がかかると思いますので、気長に待ってやってください!

最後まで読んで頂き、ありがとうございます!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。