オリ兄の名前は未来です。
ではどうぞ
最近妹の未央が楽しそうにしている。と言ってもその理由がわからない訳ではない。それは当然、アイドルだろう。前からアイドルになりたいと言う思いは聞いていた。しかし、まさか本当にアイドルになるなんて考えもしていなかった。確かに未央は何気に高スペックではある。それでも本当になるとは思わないだろう。しかも今ではグループのリーダーを務めているらしい。未央がアイドルになってからは驚かされっぱなしだ。
「もしもし!!お兄だよね!?」
「お、おお、未央か?なんだ、そんな焦って?」
「あのね!わ、私ね!?あ、あああ……」
「待て待て。落ち着きなさい。」
「あ、ごめん……。それでね!私アイドルになれるんだよ!!」
「だから落ち着けと……What?」
とか
ピンポーン!!
「あん?」
ピンポーン!!
「こんな時間に誰だよ……。夕飯の途中……」
ピピピピピンポーン!!ピンポーン!!ピンポーン!!
「だぁぁぁ!!出るから!出ればいいんだろ!」ガチャ
「お兄!」
「未央!?どした?」
「わ、私ね?りり、りりり……」
「おお、落ち着け……あれ?なんかデジャヴ」
「あ、ごめん……。それで!私、グループのリーダーになるんだよ!」
「 」カタマリ
「あれ?お兄?お兄ーー!」
こんな感じだった。あいつはいつも急に知らせてくるから心の準備とかできないままなんだよな……。
でも最近は電話をかけてくることも、突然家に押しかけて来ることも減った。おそらくではあるが仕事が忙しくなってきたのだろう。おかげで少し寂しいが落ち着いた日々を送れている。ああ、言い忘れていたが俺は1人暮らしだ。大学に通う都合上親元を離れた方が通学しやすいからな。生活費は知り合いの人からの勧めのバイトをしながら稼いでいる。ちなみにシフトは親とかには連絡はしていない。何が言いたいかわかるか?
そう、未央は何故か俺が家にいる時、または暇な時に電話やら家に来たりする。シフトを教えていないのにだぞ?なぜわかるのか本人に聞いたら……
「ん〜…勘?」
と言われてしまった。勘って…今のところ外したことはないとのこと。なにそれこわい。
そしてその勘でこちらの予定を当ててくる妹はというと……
「お兄、この漫画の続きどこ?」
……俺の部屋のソファで寝そべりながら漫画を読んでいる。今回も例のごとく俺の予定を当て、家にのり込んできたのだ。
「ねえお兄ってば〜」
「そこの本棚の上だ」
「え〜っと〜……お、あったあった。」
「……」
俺の休みが……(泣)
確かに妹といるのは嫌いではない。嫌いではないが、なんせバイト5連勤のあとの休みだ。できればゆっくり1人でくつろいでいたかったのだが……。
「あ。そういえば」
「ん?」
「お兄、私達のラジオ聞いてくれた?」
「ああ、後半グダグダになったやつか?」
「いや〜……あれはねしまむーが暴走したんだよ?しかも、しぶりんまで暴走しちゃうし。」
「すごかったなぁあの2人」
「そうなんだよ〜私もびっくりしたよ。」
そう、未央を含めたニュージェネのメンバーでラジオをしたのだがなんか凄いことになったのだ。
「確か弟の話になってからだったよな?」
「そうそう、しまむーに弟がいるなんて知らなくて弟君のこと聞いてみようと思ったらあれだからねー」
「あれは俺も腰が抜けるかと思ったぞ。しかも相当のブラコンだなあれ。」
「あと、しぶりんにも弟がいるっぽいね。」
「しかもブラコンという」
「まさか私のグループメンバーがブラコンだったとは……」
「もうグループ名、ブラコンジェネレーションにしたらどうだ?」
「いやいや!それじゃぁ私までブラコンになるじゃん!」
「……」
「あれ?なんで黙るの?」
ブラコンだろ。
「ブラコンだろ」
「え!?」
おっと心の声が
「私のどこがブラコンなのさ!」
「ふむ、俺限定で電話にでないとやたら不機嫌になったり」
「う!!」
「暇あれば家に来て膝枕要求したり」
「はぅ!」
「俺がサークルの女子といることを知るとすごい顔になる」
「うはぁ!?」
今挙げたもの以外にもあるがこれぐらいにしておこう。
「ワタシガブラコン?イヤイヤ…エ?フツウジャナイノ?」
なんかブツブツ言ってるな……
まあ未央のブラコンはそこまで酷くないか。仲のいい兄に対する家族愛的なものだろう。俺?俺は普通に未央は好きだがシスコンかと言われるとそこまでではないって感じだな。こう見ると俺達兄妹は健全かつ普通の関係だな。
……ふむ
「未央」
「デモデモ…え?あ、なに?」
「今、楽しいか?」
「?」
そう俺は本人に楽しいかどうかを聞いたことがなかったのだ。確かに楽しいから続けているのだろう。ただ未央はアイドルなりたての時に一悶着あった。その時の未央は見ていてつらいものだった。それこそアイドルをやめてしまうのではないのかと思えるくらいに。ただ俺はその時に未央に対してアドバイスも励ましもしなかった。あの出来事は未央にとっては必要なものだと思ったから。俺が口を出せば確かに解決は速くなっただろう。だがそれではダメなんだ。未央とそしてプロデューサー、ニュージェネの2人それぞれが乗り越えなくてはいけない問題で、それに俺が何か言うのは筋違いだから。
だから気になってしまう。今の未央ははたして楽しめているのか。
「もちろん!楽しいよ!でもなんで急に?」
「いや……何でもないよ。」
「???」
どうやら俺の気にしすぎだったらしい。未央はいつも元気で明るい子だが時々脆くなる。そこを心配していたがいい仲間達に出会えたようだ。
「未央、これからも頑張れよ。」アタマナデナデ
「わっ!え?え?本当にどしたの?」
やっぱり妹の未央は最近楽しそうです。
おしまい!
「あと未央。ソファで寝そべるのはいいがさっきからずっとパンツ見てるぞ。」
「ちょおっ!?先に言ってよ!!!」
「黒か……。マセすぎじゃないか?」
「うっさーい!!!!!」
おしまい?
ちゃんみお可愛いですよね。
膝枕してあげたいです。