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では、どうぞ。
い、妹がガが……お、おっと失礼。
最近妹が……い、妹が……。
こわい。
怖いんだよ〜!!なんか家に帰ってくるとブツブツいいながら部屋に向かうし、ご飯食べてる時もテレビの凝視してるし、何故か俺の行動把握されてるし!!
なんなの!?思春期の女の子にはよくあることなの!?怖いんだけど!
最近なんて俺の部屋の隣が妹の部屋なんだが、夜になると
「……で……ん!な……や……!」
とか聞こえるし!
出かける前なんか絶対俺に抱きついてブツブツ言ってるし!俺は1人の兄としてどうしたらいいんだ!?
「……おにいちゃん?」
「ほわぁぁぁ!?」
「ひっ!」ビクッ
い、いつの間に後ろに……。ここ俺の部屋だよ?いくら机に突っ伏していたとはいえ入ってきたことに気づかなかったんだけど。
「お、おかえり智絵里」
「うん……ただいま、おにいちゃん。」
智絵里。俺の妹の名前だ。凄く人見知りな性格で引っ込み思案だけれど心優しい子だ。小さい頃はいつも後ろをちょこちょこついて来てそれはそれは可愛いものだった。……あ、いまも可愛いよ?大天使チエリエルだよ?
それはいいとして、俺の大切な妹だ。時々、というか頻繁に四つ葉のクローバーを持ってきては俺にくれるんだ。おかげで押し花の栞から花瓶など俺の部屋にはクローバーが溢れている。もちろん、妹からの貰い物だからいくら貰っても嫌なんてことは無い。
いつからくれるようになったんだが……確か俺が貸した花言葉全集みたいな本を見てからくれるようになったんだ。その本は智絵里にあげたからもう内容は覚えてないけど。
「今日はレッスンか?」
「う、ううん。今日はテレビの収録。」
「なにぃ!?智絵里テレビに出るのか!?凄いじゃないか!!」
「えへへ///」
「……あ!もしかして最近ブツブツ言ってたりすることがあったのって」
「あ……そ、それはその……つ、ツッコミの練習?」
「え?あ、ツッコミ?なんで?」
「ミクちゃんがツッコミは大事だからって」
「お、おう……。成果はあったか?」
「う、うん!うまく出来たよ……!」
「そ、それは良かった」
ミクちゃん……?何者なんだ?
「おにいちゃん……。」
「ん?」
「そ、その……明日何か用事ある?」
「明日か?明日は確か……」
明日は友人から遊びのお誘いが来ていたはずだ。妹について考えている時に送られてきたもんだからまだ返していないけど……。久しぶりに会いたいかな。
「すまん。明日は用事が……」
「……嘘。」
「え?」
「う、嘘だよね?よ、用事なんてないんじゃ……」
「いやーそれが……さっき友達から連絡があって久しぶりに遊ぼうかなって」
「……友達?」
「そうそう!しばらく会ってないから……」
「おにいちゃんは友達が大切?」
「え?ま、まあ、それなりに」
「……わたしは?わたしは大切じゃないの?」
「は?」
「……友達が大切だから、わたしを置いていくの?」
「置いていくって……智絵里が知らない人だぞ?」
「……見捨てられちゃんうだ。……わたし。わたしにはおにいちゃんしか……だっておにいちゃんはわたし……」
「え?は?なんでそうなる?別に見捨てるとかじゃないだろ?ただ遊ぶだけ……」
これだ。智絵里にある謎の執着というか考え方。
世間一般ではこれをヤンデレという。しかもおそらくは依存系と呼ばれるものだ。相手に過度な依存をし、少しでも不安要素があるとすぐに悲観的になる。
いつからこうなってしまったんだろうか……。クローバーをくれるようになった時期からか?まあ、支配系、妄想系、崇拝系とかよりはいいが……。
いや、まて。智絵里はまるで俺が元々明日予定がないことを知っているような言い方をしていたような……。
「……ダッテオニイチャンハワタシノ」ボソッ
「え?なんて?」
「……何でもないよ?それより……」
「あ、あー明日はやっぱり用事なかったなー!!」
「ほ、ほんとに……?」
「ほんとほんと!」
こうしないと俺の身が危険な気がする。
いろんな意味で
「そ、そうだよね……!やっぱりおにいちゃんは……」
……選択肢間違えた?
「そ、それはそうと!どこに行くんだ?」
「あ、えっと……最近収録とかレッスンとかでおにいちゃんと遊べてなかったから……」
「ああ、なるほど。なら、智絵里のテレビ出演のお祝いもかねて遊ぶとするか。」
「あ、えへへ///」
これだけなら可愛い妹なんだけどねー……。
ま、友達は会おうと思えば会えるしいいかな。
「お、おにいちゃん!」
「うん?」
「四つ葉のクローバー……また見つけたから、あげる……」
「お!ありがとう。智絵里はクローバー見つけるのが上手いなー」
「えへへ……おにいちゃんもいつも受け取ってくれてありがとう」
「いやいや、こちらこそ」
ふむ次はどこに飾るかな……。ガラスに入れてアクセサリーも有りだな。
「……んふふ。」
「?智絵里?」
「え!?あ、何でもないよ?そ、それじゃあ明日ね」
「お、おう。明日な」
そう言って智絵里は部屋から出ていってしまった。
最後に笑ってたのか?……まあ、いいか、友達には断りの連絡をっと……。
あ、最近妹が怖い気がします。
「……」バタン
自室へと戻った少女は部屋と中央で止まる。
「……ふふっ♪また、受け取ってくれた……」
彼女は俯いたままつぶやく。
「……んふ。」
頬に手を当て微笑む。いや微笑むなんて可愛いものではない。目に光がない。口は不自然に弧を描いている。
それを一言で表すなら……歪。
「……友達って誰だろう。おにいちゃんは少しでもわたしより優先にしようとした……。あ〜だれなのかなぁ?わたしからおにいちゃんを取ろうとする人は……。おにいちゃんはわたしの。わたしだけのおにいちゃん。そうだよね?」
彼女は壁を見て話している。
いや、壁ではない。その先にいる兄を見ているのだ。
「だって……クローバー受け取ってくれるもんね……」
おもむろにクローゼットを開ける。そこには自分で取り付けたのであろうカーテンがひかれていた。
静かに手を掛けカーテンを開けていく。
左側は可愛らしい服がかけられている。タンスもクローゼットに入っているようだ。
右側は……写真。写真写真写真写真写真写真写真写真写真写真だ。いたるところに貼ってある。沢山あるが写っている人間は1人。
「あはぁ……。おにいちゃんはわたしのもの。ママでもパパでもない。その友達さんでもない。わたしの。」
笑っている。いや、ほほえんでいる?
その表情は恍惚に染まっている。
「だって四つ葉のクローバー、受け取ってくれるもねェ」
彼女が手にしたのは一冊の本だ。その本は兄が智絵里にあげた花言葉が書いてある事典のようなもの。なかなかの厚さだ。
「……」
智絵里はその本を開くが、分厚い表紙であるにも関わらずその中身は1ページしかない。それ以外のページは破られたかのようになっている。
そのページはクローバーだろうか。クローバーの中でも特に四つ葉のクローバーをメインに扱ったページだろう。
ページの中で1箇所だけ明らかに歪な部分がある。おそらくはマーカーで何重ににもなぞったのだろう。色は黒く変色している。
知っている通り四つ葉のクローバーの花言葉のひとつは『幸運』
そしてもう一つ。なぞられた部分
『私のものになって』
それは依存ではない。それは……
「アハッ♪」
おしまい。
「ていう智絵里を考えてみたんだけど?」
「……」
「まあ、そんなことあるわけ……」
「わ、わたしそんなことしないもん!おにいちゃんのばかぁ!!!!!」バタン!
「え!?智絵里!冗談!冗談なんだー!!……行っちゃった……。」
「アハッ♪」
ありがとうございました。
智絵里ってヤンデレが似合いますよね?