死んだら、戦艦ミカサのメンタルモデルになってた件 作:くいあらためよ
いつのまにかお気に入りも増えており、とても嬉しい限りです。
これからも、この小説をよろしくお願いいたします。
「クックック…楽しみだなぁ。」
「…………」
二隻の大戦艦がこの横須賀に近付いてきていることを今は誰も知らない。
ミカサの会議室……東郷平八郎などがよくここで会議をしていた場所だ。
「改めて用件を聞こう。」
ここで、霧と人類との密会が行われた。
「では、早速。単刀直入に言います。401にこれから搭載される新型兵器を奪取して欲しいのです。」
そう、北は語った。
「それは、何故?」
「ここでは言えません。ですが、アレはまだ日本が持っておくべきだと考えましてね。」
ここで私はようやく気付いた。
こいつらは、同じ仲間の中で争っていると。
「くだらない相談ですね。」
そう、私はいい放つ。
「新型兵器を奪取する?そんな真似私には出来ませんよ。第一、私は今の霧のモデルより古い艦だ。例えその要求を受け入れたとしても、401に勝てるとは思えません。」
北はじっと話を聞いていた。
「つまり、この要求は受け入れることが出来ないと?」
「他にも、断る理由はありますがね。」
と言うと、少しばかりクラインフィールドを発生させた。
すると、外から悲鳴が聞こえたかと思うと何かが海に落ちる音がした。
「こんな感じに詮索されるというのは余り気分が良いものではありませんからね。」
軽く北を睨む。
「……私にはなんのことやらわかりませんな。」
あくまでシラを切るつもりか…
なかなかの相手だと、実感した私は早急に密談を打ち切った。
「話はそれだけ?無いなら帰ってちょうだい。」
「………失礼する。」
相手も察したのか、早々に会議室を後にした。
「所詮は霧だと言うことか。」
「これからどうします?」
「ん?こっちがダメならあっち(401 )を当たってみるさ。」
北達はそう話ながらミカサを降りていった。
「流石だなぁ……私には到底真似できないよ」
笑いながら、山口は話しかけてきた。
「彼は、この中でも一位二位を争うトップさ。私だったら断れないかもしれない。」
「相手が誰だろうと礼儀はしっかりしてほしいわ。あんなに兵士を侵入させようとして……」
「最悪、この艦を拿捕しようとしたのかもね。」
「………ところで、貴方は部隊に戻らなくて良いの?」
ふと、ずっとこの艦に乗っている山口にそう問いかけた。
すると、懐から白い封筒を取り出して
「クビさ。『官品を横領、部下を危険な目に合わした責任…』今回の作戦のミスを私一人に押し付けたのさ、うちのボスは。」
宙を見つめて言った。
「おかげでいままでいた隊舎から追い出され、住むとこも寝るとこも無い状態さ…」
「なるほど……ん?貴方……もしかして」
ギクッ!っと山口は動揺していた。
「これを期にこの船に居座ろうって気じゃ無いでしょうね!?」
「あちゃーバレたか」
額に手をやり大袈裟なリアクションをする。
「貴方!第一私は霧よ?こんなことがバレたら…」
「頼む!一日だけ!」
両手を合わせ、拝むように頼んできた。
私は、渋々
「……一日だけなら」
と、了承してしまった。
「よし!実は、もうある程度泊まる用意はしてたんだ!」
と、いきなり暴露し始めた。
コイツ!最初から!
「……降参ね。」
私は止めても無駄だろうと、考えることを止めた。
辺りは日がくれてすっかり暗くなっていた。
横須賀の海域に二隻の霧の戦艦が現れた。
「ようやく着いたね。」
「ジャミング開始、成功」
すると、向こうからサイレンの音がし始めた。
「気づかれたようだよ、ハルナ」
ハルナは頷く。
「門を開けてくれるとは思えないし……吹き飛ばすか。」
横須賀湾には大きな壁があり、唯一の入り口には、門が閉まっていた。二隻の戦艦はゆっくりと旋回し、全ての砲を門へと向けた。
「手加減しないとね。フフッ!」
一斉に放たれたビームはかなりの厚さがあるであろう門を破壊せしめた。
「17年ぶりだね、人類の皆さん。このキリシマとハルナが401に合わせにもらいに来たよ。」
「……………来たよ。」
大戦艦キリシマとハルナの襲撃であった。
強い衝撃に艦が揺れた。
「なに!」
私は、とっさにディスプレイを開く。
「…敵襲か。しかも戦艦が二隻なんて」
マジか……
と、心の中で悪態をつく。
表示には、キリシマとハルナと書いてあった。
キリシマかー、どんな奴なんだろ…
そっとディスプレイで確認する。
「……!?!!?」
摩耶に似ている!
第一印象がそれだった。
「これは…たまらんですわ」
思わず声が漏れてしまう。
「なんだ!どうした!?」
山口が艦内から出てきた。
「あれは…霧の戦艦!!」
「どうやら、彼女の居場所がバレたみたいね。」
彼女…401のことだ。
「今の状況じゃこちらには勝ち目が無いわね。」
「くそ……ミカサ」
山口はこちらを向いた。
嫌な予感しかしない。
「君なら奴等と戦い、いつまで持つ?」
やはり……
「言うと思った……あんな戦艦に老朽艦がモデルの私が勝てるわけ無いでしょ!」
そう強く反論するが
「勝つんじゃない、いつまでに持つかだ!」
と強く聞いてきた。
「……全力でやれば、そこそこ稼げると思う。」
そう、答えた。
「ここで、我々が時間を稼げば401も逃げれるんじゃないかな?」
そういうことか…
少し、考えた後私は口を開く。
「しょうがないわ。本当は嫌だけど、どちらかを沈めるぐらいの本気でいくわ。」
試したいモノもあるし
と、すぐに戦闘用意を始めた。
「頼むぞ!ミカサ!」
戦いの火蓋は切って落とされたのであった。
次回は戦闘多目で行きたいと思います。