死んだら、戦艦ミカサのメンタルモデルになってた件 作:くいあらためよ
「多聞!ねぇ、多聞!」
ミカサは一番砲塔へ駆けていった。
「多聞!」
「………ミカ……サ…か?」
山口多聞は辛うじて生きてはいた。
サポートに送ったデフォルメミカサが間一髪でフィールドを張ったが、打ち消されてしまったらしい。
よく見ると、片方の足がなく腹部背部にいくつもの大小の破片が突き刺さっていた。
「すまねぇ…………」
「何を謝ってるのよ!早く止血しないと…………」
傷を押さえようとするミカサの手を払った。
「お前は………奴を倒すんだろ?なら……早く行け!」
「何をいってるの!」
「どのみち……俺は助からん………頼む、行ってくれ……クッ」
「多聞!しっかりして!ねえったら!」
「早く行けッ!」
「ッ………」
「………ニヤ」
多聞は、ミカサをたぐりよせ抱き締めた。
「ミカサ………人類を頼んだぞ……」
そう呟いた。
手を離すと、
「さぁ、行け!やってくるんだ!」
と、ミカサに激を飛ばした。
それに答えるかようにミカサは艦橋へ走っていった。
「キスの一つぐらい、奪えばよかったかなぁ……………」
「……ゴソゴソ」
「ん?……あぁ、生きてたのか………ちっこいの」
「………コクコク」
「そうか…………最後に…少し、協力してくれないか?」
「…………?」
「全速前進!すれ違い様に全弾をぶちこんでやるッ!」
ナガトの主砲と正面からやっても勝ち目はない、ならば!
「火力で押しきる!」
先ほどシグレを倒す際、多聞はクラインフィールドを飽和させるため侵触弾を多数撃ち込んだ。
弾幕をはれば勝つ可能性も見えてくる、そう考えた。
「火力で押しきる気か…………おもしろいわね。」
「私達もやりましょう。」
「そうね。」
ナガトからは、数え切れないほどのおびただしいミサイルの雨が降り注いだ。
ざっと、ミカサの数倍の数はあるだろう。
「これだけの量、どれが侵触弾かわからなくなるわ。」
「全て撃ち落とせばいいのよ。」
しかし、激しい対空砲火をかいくぐり何発かナガトへ命中する。
「くっ……………」
「やってくれるじゃないッ!」
「ミサイルじゃ、埒があかないわね。」
「重力砲の準備をしましょう。」
「重力砲を使う気ね!」
埒があかないと、そろそろ決着をつける気ね………
「おもしろいわ!超重力砲準備!!」
おそらく、普通にやったんじゃ押し返される。
全ての演算をこれに賭けないと……
「一番から十番、約30秒後に自動発射。全演算95%を重力砲にッ!」
エネルギーが充填されていく。
全て溜め終わると視界がチカチカ光った。
この限界まで溜めた一発はミカサ自身にとって、かなりの負担があるのだ。
「撃てぇぇぇ!!」
ナガトとミカサ、同時に重力砲が放たれた。