ちょっと書きたい気分(現実逃避)になったので久々に投稿もとい、更新します。
またちょくちょく書いていきますので、失踪はしませんよ(自分も読み手側の時、何も更新されず不安だった時があったから)
いきなり男泣きする訪問者、九鬼財閥の御曹司「九鬼 英雄」を10分くらい肩で受け止めると、表情は切り替わり豪快に笑う。
「ハハハ、いやすまんな。つい再会するのが嬉し過ぎて感無量となってしまった」
「生き別れた弟様を想い感激するそのお姿。あずみ、ますますのご尊敬止まりませぬ!!」
彼らが部屋に訪れて20分くらい経ったが、正直言って疲れてしまいそうだった。寝起きでやや動き辛さを感じる体に腹が膨れたことで瞼に重みがかかり今すぐにでも寝落ちしそうな状態で意識も絶え絶え、何より当たり障り無い世間話を続け未だ本題の見えない男の思惑に正直苛立って来ていた。
「……英雄さんはどうしてこちらに?」
違和感ある彼の態度にタイミングを図り話を切った。普段ならばもう少し相手の話に合わせそれとなく本題に向けさせるのだが自然と本音が簡単に出てしまった。それほどまでに俺はこの男の態度に無意識ながらも苛ついていたようだ。
「……うむ。そうであるな」
突然英雄の話を切られ、後ろに控えるあずみも一瞬眉を顰めさせるが英雄本人はそんな事も気にもせず先程のテンションとは逆転し神妙な表情をする。
「傑將……いや、シルバークロスよ。一つ問いたい、我のことを覚えていないか?」
真剣な表情で問いかけた質問。さっきまで親しみある言い方とは違う、どこか確かめる様で焦るような感じに思えた。英雄の目はどこまでも真剣で真っ直ぐ自分の答えを待っていた。だからこそ、自分も正直に答えた。
「……俺は今まで生きてきた中で貴方に会ったことは無い。今日が初対面だ、アメリカの路地裏生活からイギリスでの仕事でも九鬼みたいなでかい組織に関わったことも無いしな」
「……そうか」
落胆というより、寂寥する彼の表情はその日一番に印象が残った。英雄の落ちる肩をあずみは手を伸ばしかけた。
「……うむ、ならば仕方ない。過ぎたことは悔やんでも前へ進まなんだ」
すると英雄は立ち上がり時間を確認する。
「少し時間を取らせてしまったな、まだ傷も完治していないであろうから休むと良い」
そう言って扉をくぐる時の英雄の顔は寂しそうに見えた。
※ ※ ※
閑散とする廊下の真ん中を歩く英雄とあずみ。あずみからは英雄の顔は見えなかったが、その背中からは哀愁のような感情が読み取れた。
「あの、英雄様……」
「あずみ」
あずみの声を遮ると共に足を止めた英雄は振り返ることなく、そのまま問いかけた。
「あやつは、あの男は、本当に傑將なのか」
部屋に入った途端見せたあの表情と壁の感じる話し方から英雄は己の中にある九鬼傑將という人物像が消えかけた。姉と似通った容姿、目の下にあった泣き黒子はどこから見ても記憶にいる傑將と否定出来なかった。
「……間違いありません、あの方は英雄様の実弟である傑將様です。血液型も一致しておりますしDNA鑑定も同じ結果でした。彼が気絶してる時に身体検査を行った所、体の各所と側頭部に古傷が確認されました」
「記憶がないのはやはり、あの事件がきっかけか」
「そのように推測されます。あの後拘束した『アーバレスト』の者に聞いたところ、出自に関する情報は挙がりませんでしたが何度かフラッシュバックのような現象があったと聞き出せました」
「……そうか」
それだけを呟くと英雄は再び歩き出す。その歩み方はどこか軽くなったようにあずみは感じた。
さて、ちょっとだけとばしますか
あと、
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ワー、ナンデコウナッター??