真剣で弟と認めなさい!?   作:黒瀧汕

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マルさんだぁ!!!!←作者はマルギッテ狂い


第四話

 日本 ~川神市~

 

 「さて。いざ日本に着いてみたが……イメージ通りだな」

 

 日本に来て早々シルバークロスの日本への評価はその一言であった。信頼を得る為に固めに固めた警備と法律、一つの事に詰め込んだ手の込みようと法の檻に囲まれ何が来ても撃たれない、怪我しないと慢心しきり甘い思考に毒された動物(日本人)。そんな生物が横を何人も通り過ぎる様をシルバークロスは見下すような視線で流す。しかし、いざ川神市に一歩踏み出すとその偏見は改変せざるをえなくなった。

 

 「川神流『無双正拳突き』!!」

 

 土地の下見に兼ね情報収集をしに訪れると橋の下で人集りができ賑やかだった。さり気なく人から話を聞くには丁度いいと人集りに近付いた途端、人が吹き飛ぶ現場に居合わせてしまった。

 

 「日本だと人が飛ぶのかよ……。」

 

 シルバークロスは星となった日本人であろう男性を飛ばした元を見る。そこには艶のある長い黒髪のこれまた美形な少女がいた。

 

(あれが噂の《MOMOYO》か)

 

 《MOMOYO》各国の代表者から警戒され核と同様の危険視された個人(・・)だ。同じく警戒されている『鉄心』は穏やかで武を尊ぶ人格者と聞く。しかし、百代は違う。生まれ持った力の強大さから有り余った力を弄び発散させたがる節があるという。故に百代は様々な国から一目置かれていた。

 

(核爆弾を野に放っている様なものなのに、やはり、日本人の考えはわからん)

 

 しばらく遠目に眺めるとある違和感を感じ静かに身構える。背後には誰も居るわけでなく警戒してもやはり違和感を拭うことは出来なかった。

 

 「(見られてる)……ちっ」

 

 偶々かもしれない一抹の祈りも無為となり周囲から感じる視線は外れる事無く捉えられたままだった。とりあえず相手の実力を測る為に一般人を装いその場を離れた。念のためにあらかじめ用意していた暗号文メールで集合場所を指定しそこに向かうが、街の中に紛れても視線は消えなかった。

 

(2、3回人混みに紛れて尚、尾行されるか。ここまで来て相手の顔も見えず付けられてるとなると俺は相当な奴に目を付けられたな……。)

 

 念のために入国直後買った帽子の隙間から尾行者を数回硝子やミラーで覗いても見つけることは出来ず、更に歩き親不孝通りの路地裏で足を止めた。

 

 「……そろそろお伺いしても良いですかね?」

 

 今度こそ人の気配を感じ振り返るり自分を尾行した人物に視線を送る。

 

 「おやおや。こんな状況下でそんな質問とは、そこまで頭の悪い人物とは思いませんでしたよ『アーバレスト』の『シルバークロス』」

 

 そこにいたのは軍服を着た赤髪眼帯の女性であった。

 

 「"Oh, le pire"(ああ、最悪だ)

 

 シルバークロスは今日という日を人生で一番悲嘆した。そして、理解もした。今、シルバークロス達は不慣れな日本の土地、標的情報を集めてこちら側から仕掛ける予定であったが、標的側はその準備期間の内にこちらへ仕掛けてきたのだ。

 

(ここまでの手際、恐らく九鬼が関与してる。ってことは、他も同じ状況だろう……。)

 

 先程から来ない仲間達の連絡、それは彼が出した指示から10分も経過するうちに何人かが捕えられたまたは今も戦闘になっているだろう。

 

 「さあ、無駄な抵抗はやめて投降しなさい。今ならまだ尋問で済ませてあげましょう」

 

 腰に備えていたトンファーを抜き対峙するこの女性こそ、優秀な女性のみで構成されるドイツの特殊部隊を率いる若き隊長「マルギッテ・エーベルバッハ」本人である。普通に闘えばいくら裏手前で活躍する実力派なアーバレストであっても負けは見えていた。頭の中でこの場面を脱する手段を何通りも講じようが全てにおいて相手が上だった。焦りを顔に出さないよう徹底し、経験と知識を総動員させる。すると先程まで見ていたものを思い出す。張り付けた口角を更に深め一か八かの賭けにシルバークロスは身を乗り出した。

 

 「Aspettiamo(待て)ここは川神だ。この地特有の交渉方法があると聞く、ならばその方法で全てにケリを着けては如何でしょう?」

 

 予想外の提案だったのかマルギッテの警戒する眼差しに内側を探るようなものも含まれた。

 

 「もし、こちらが勝てたら俺を含めメンバーを見逃してくれ、当然貴方達には手を出さない。逆に負けた場合、俺の首をやるよ」

 「ほお、自分の首に大した自信を持っていますね」

 「そもそも奴らを引っ張ってる立場の奴ですし、自分自身使い道ある人間である自覚はありますからね」

 

 疑いの眼差しが未だに残るマルギッテにシルバークロスは挑発の言葉を畳み掛け煽った。実力が離れていたとしても相手は自分を格下だと見下している状況につけ込んだのだ。

 

 「……いいでしょう。その自信が驕りであることを理解しなさい」




強引過ぎたかな?

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