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……( ゚д゚)……。
……( °д° )……。
え? (;°д°;) いや、まだ一話目よ?
イタリア
薄暗くポツポツと陽の光が入る殺風景な部屋。そんな部屋にイヤホンを耳にかけた男と片手に煙草とウィスキーを揺らし遊ぶ男がいた。
「今回の依頼内容は陽動。しかも相手は軍人か……んなもん出来るのか?」
煙草の煙を吐くと男は気だるげに呟きイヤホンかけてる男に尋ねた。男はイヤホンから聞こえる音を拾い片手ではメモを、空いてる手ではキーボード叩きながら男の言葉に答える。
「……表側は警備会社だけど、ココは殺しや薬でなければ何でもありだからな。幸い旅費とか装備はあっちもちだし、結果次第ではなんとかなるかも、な」
カタンッとキーボードを強く叩いたあと、パソコンの画面から張り出された結果に男は苦い表情を浮かべた。
「……やはり、裏があったか」
街中に仕掛けてある盗聴器の一つから話を盗み聞きし調べあげたものが予想通りとなった今、民間警備会社『アーバレスト』のリーダー『シルバークロス』は溜息を零す。昨日、このアーバレストにある仕事が舞い込んだ。依頼主はとある会社の技術者らしく新開発した戦闘機を試したいらしい。そこで試験の妨害となりうる奴らの一端を
「今回話持ちかけた奴ら、多分俺らと同じ使い捨てだろうからあまり詮索しても意味は無いが、一応ほかの同業者には連絡とって警戒しとけばいいだろう……それよりも」
シルバークロスが部屋の片隅に設置してるプリンターに目を移すと、丁度動き出したプリンターは数枚紙を吐き出し止まる。紙を取り内容を確認するとその顔からは生気が薄れていき暗い表情が張り付く。リーダーの暗い雰囲気を察したのか半ば飲まれていた男もシルバークロスが手にしてる資料を読み「うげっ」と苦しい声を挙げた。
「『猟犬』か……ドイツの将校が管理・保有してる特殊部隊、その任務達成率はほぼ確定もの。こいつはハードな内容だな」
狙われたら最後、狩り尽くされるまで終わらないとヨーロッパ圏では有名な特殊部隊の名前が『猟犬』である。その部隊に所属してるのは全て女性であり、特異な才能を秘めた者達が多く在籍し、上手く能力を使い分け国からも高く評価されている。もし、こんな人間達を相手にしたら大体の相手はただでは済まないだろう。
「だけど、今回の仕事はあくまで陽動だ。つまり、遠くから銃口向けただけでいいんだから楽だろ?」
本当はそれだけで済まないのだがシルバークロスは口にしかけた言葉を飲み込む。男の方も「そりゃそうか」とあまり気負わぬよう思考を切り替え残りの酒を傾けた。
※ ※ ※
「つっても、久方の仕事がこれじゃ…難儀なもんだな」
一つ上のロビーから更に下にあるアーバレストの社長室。薄暗く机の上にある電灯一つで照らされる資料には依頼の標的であるドイツ軍猟犬部隊の資料が広げられていた。その中で一番上に置かれてる赤い髪の眼帯女性、シルバークロスは彼女の資料を何度も読み返した。彼女は今ドイツ軍の将校であるフリードリヒの腹心であり私兵でもあった。そして最近フリードリヒ家のご令嬢が日本に留学と言うことで彼女の護衛として任務以外日本に居るらしい。
「日本か……うっ」
脳裏に過ぎる幾つもの光景が針のような痛さと共に想起する。映し出される数々はどれも日本の光景だった。見慣れない文字、群れるビル、立派な建物と多くの付き人、暗い世界で血塗れな手を伸ばす子供。
「ったく、毎度何だこれ」
一通り光景が流れ終えると全身を酷い倦怠感が襲う。酷く歪む視界、頭の奥からじっとりと来る痛みにふらつきながら手探りで備え付けたソファに倒れ込んだ。
「はぁ、何だって日本なん、だか……。」
一人の呟きは誰に聞かれることなくシルバークロスはそのままソファに身を埋めた。
二週に一回の投稿は守りたい。
あと、思いつきで話の割り込みとかあるかも知れません。でも、定期投稿と関係ないのでちゃんと25日に出します。
※ちなみに投稿日宣言、変更があったら活動報告で言います。