真剣で弟と認めなさい!?   作:黒瀧汕

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Fate…水着…ネロ…がぁああぁぁああぁあぁあああぁああ!!!!←10連25回爆死者


第十二話

 神奈川のとある夜の工場地帯。九鬼が保有し提供するその工場地帯から夏の訪れを感じさせる初夏以上の熱気が渦巻いていた。雄叫び、怒号、鼓舞と様々な声が星見えぬ夜に吸い込まれる。

 

 東西交流戦

 

 そう名付けられた今回の学校対抗試合は3学年全員が参加する大きなイベントだった。

 初日は直接高台から1年生の試合を見たが、これは顔を覆いたくなるような敗北だった。敗北理由は至って単純。戦いが始まってしばらく膠着状態が暫く続き痺れを切らした大将が前線へ、それを見た敵はこぞって袋に叩いたのだ。何とも情けない終わりだろうか、しかし、僅かにだが勝利の可能性はあったのだ。噂では日本でも指折りな剣士の娘が在学してるらしい。開戦から暫くしてその姿を見ることが叶うと同時に確かな実力は持っていると見て思った。武術について傑將は詳しくない。だが、遠目でもその動きが普通とは違うという事実は傑將でも理解出来た。姿の見えない相手を感知する感覚の鋭さ、重力に逆らうような軽い身のこなし、何より敵陣地に辿り着いた直後の刀を抜こうとした姿は背中に冷たい物が走った。傑將がまだ仕事をしていた頃に身についた危機的直感、本能が生存する為に訴える回避行動を齢15歳の少女から感じたのだ。

 

 「あの歳でそこまでいきますか……」

 

 改めて自分が行こうとしてる場所の異常性を肌で感じた。それは翌日になっても思い知らされた。この日は九鬼の開発部に頼んでいた物の最終調整に足を運んでいた為見に行くことが出来なかった。代わりに李さんに録画を頼んだ映像で見たが、結果的に言えば3年生達が圧勝した。まるで映画のワンシーンとしか言いようが無かった。そこに映しだされていたのは例の武神が一斉に、それも一つの群れから個となった相手3年生を一撃で崩していた映像だった。俺も最初から人から外れた存在と聞いていなければ信じずCG映像と思っていただろう。

 

 「やはり、ここ(川神学園)は化け物の巣窟ですね」

 

 思わずそう呟き放心になりながらも最終日の2年対抗戦を迎えるのだった。

 

 「……。」

 

 今も下で熱気渦巻く彼らを眼下に据え戦況を傑將は眺めていた。格好は普段着るカジュアルな私服ではなく川神学園の制服を着ている。するとズボンのポケットが震える。取り出すとスマホの画面には「九鬼 英雄」と映っていた。

 

 「英雄、何かあったのですか?」ピッ

 「今どこにいるのだ傑將。今、お前の事を皆に伝えたかったのだが」

 「遠慮しときます。このタイミングで俺のこと紹介するのは周りに警戒と余計な考えを生んでしまうので別の機会にお願いします」

 

 いきなり見ず知らずの人物を引き入れ余計な考えを持たせるより影から動きやすいように支援なり参加なりした方があまり波を生まないだろう。聞くところによれば川神学園はマンモス校、つまり大まかな人数の把握は出来ても顔までは覚えていないだろう。いざ知らない人物が堂々と手伝ってくれれば勝手に味方と判断するだろうし誤解も生まれない。しかし、英雄はそんな回りくどい事や作戦よりもただ純粋に紹介したいのだと電話越しにも気持ちが伝わった。

 

 「むっ、そうか。……我の弟を今集まる皆に是非とも紹介したかったのだがな」

 

 明らかに落胆する英雄に傑將は肩を落としながらフォローに回る。

 

 「学園から合格貰ったらまた一緒になりますから、その時に紹介なり色々と任せます」

 「うむ、ならばこの戦是が非でも勝たねばなるまいなぁ、フハハハ俄然と我もやる気が満ちて来たぞ!!」

 

 時間が経つと遠くから熱気の篭った雄叫びと爆音が工場地帯に反響する。恐らく戦いが始まったのだろう。燃え盛るように気力を漲らせ振り撒く両者はお互い一歩も譲ることなく矛を交え雌雄を決しようとしていた。だが旗色が悪い、それも原因は西方十勇士と土地柄、川神側の落ち度だろう。十勇士は言わずも一騎当千の実力があった、他には慣れない土地ということもあり慎重だ。そんな土地の有利性を理解せず驕り挑んだ結果がこの劣勢に繋がっていた。

だが、逆転の手はある。天神館側の士気の高い元は彼ら十勇士である、彼らを崩せば自ずと士気は弱まり逆襲することも可能であった。傑將はしばらく勝利する方法を模索し眺めてると自分の横ギリギリを何かが掠めた。すぐに身を低くし自分を掠めた道具を見るもそれは矢であった。この距離では正確に把握できないが絶え間なく放たれる所からして5から10人程はいるだろう。しかもその中で一際面倒な存在がいるようだ。

 

 「こんな所に伏兵が居るとは思わなかったけど、この美の化身である毛利の三本矢で仕留めてやろう!!」

 

 何やら派手に喋りながらも雨のような矢が降り注いだ。数ある矢の中で特に際どい3本が恐らく奴のだろう、高台である事が裏目に現れた。顔を出す度に正確な弓に惑わされ迂闊に出ることが出来ず舌打ちする。

 傑將が今回出された追加の課題は『一定数の天神館の生徒及び西方十勇士の一人以上の撃破』だった。正直甘く見られがちな内容だが、相手は学生とは言え天神館に身を置くものはそれぞれ一芸に秀でており、様々な分野で好成績を叩き出している。特に今年の2年生は優秀な人間が集中し、黄金の世代やら奇跡の世代やらと言われているらしく、その中で特に文武に優れた十人は「西方十勇士」と称されているそうだ。実力も並の学生など比べるもなく中には武術家を圧倒する者もいるようだ。そんな相手を他に盗られることなく周りを把握しつつ時間内に解決しなければならない。

 

 「単独って所が痛いな」

 

 傑將の主な戦闘スタイルは奇襲からの連携なのだ。正面からの戦闘や単独での敢行など傑將からすれば避ける選択肢だった。しかし、此度の状況からそうも言ってられなくなった。

 

 「まあ、何もしてない訳じゃないんだが」

 

 今ある傑將の武器は手持ちの武装と情報である。今回のために傑將は覚えてる限りの知り合いから情報をかき集め手の内を読んだ。そして、残りの時間で対策を練り行動を予測しながら実践に移す予定であったが目の前の人物は自分の予想を裏切った。

 「毛利元親」、天下五弓に数えられる人物。自己愛が激しく美意識が過剰な為他者からは理解されにくい。だが、五弓に名を連ねる実力は持ち合わせており、多彩な技は相手を翻弄する。頭も冴える様で立ち回りを考えた動きが実際に早かった。

 

 「でも、手がない訳ではない」

 

 傑將はポケットに入っていたスマホを取り出し素早く操作する、するとこの場一帯から音が鳴り響いた。

 

 「何だ!?」

 「敵か、音が至る所から聞こえて場所が」

 

 けたましい音がその場にいる者を縛り付け隙が生まれる。その間に傑將は素早く駆け下り離脱を図る。しかし、天下五弓の目からは逃れることは出来なかった。

 

 「こんな子供騙しに引っ掛かるものか」

 

 番える矢は傑將をブレることなく捉え急所を穿とうとするがそれも傑將の想定内だった。

 

 「っ!? 何だ、光がっ」

 

 それは突然、元親達の目の前で起こった。強烈な発光、視界全てを白く染め上げるほどの光が彼らを襲う。傑將が投げたのはこの工場地帯にあった物から即席で作った簡易な閃光手榴弾、スマホで鳴らした後光る時間と位置を計算しながら思いっきり上に向けて投げたのだ。簡易的な物である故に光る時間は短く視界を奪う時間も短いのであまり使う場も限られるが、逃げる時間は稼ぐことは出来た。

 

 「くっ、こんなもので…ん?」

 

 視界が戻った元親が最初に目にしたのはこちらに向かう爆薬搭載の矢だった。

 

 「なっ!?」

 

 元親はそのまま為す術もなく炸裂された爆発を食らう、その間際に彼は彼方の高台にいる藍色の髪をした少女を尻目に理解した。

 

 「ま、さか、天下、弓の」

 「椎名流弓術『爆矢』油断すると一気にやられちゃうからね」

 

 遠方から狙撃した少女「椎名 京」は元親が完全に戦闘不能であるのを確認するとメールで本部に状況送信、すぐに返って来た指令に従い行動する。

 

 「………。」

 

 移動する直前京はある場所をちらりと見た、そこは先程自分達と同じ制服を着た見慣れた色の見慣れない髪型(・・・・・・・・・・・・・)の学生が逃げた方向だが、あんまり他人に興味ない京は直ぐに興味を失い次の場所へ駆けた。




学祭に向けた物も同時に書いてる為か文章が迷走する。

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