真剣で弟と認めなさい!?   作:黒瀧汕

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大変ながーーーく待たせましたね。
あれから体調は何とか崩すことなく内定貰うこと出来ました…………それだけでここまで遅れるわけないよねぇ(汗

はい、就活で遅れた研究やら勉強やらFGOやらシノアリスやら姫神Project(健全)やってました申し訳ございません!!


第十話

 九鬼極東本部がある大扇島には幾つもの店が構えられてるが、その中でも密かに人気な店があった。自然と耳に溶けるような音楽が巡り店のクラシックな雰囲気が心の期待を高めてくれる。品揃えも良く、腕の良さも人気の一つだが中々目にすることもない逸品も置かれるので著名人達も気に入る場所であった。

 だが、その日は特に客足が遠かった訳ではなかったが店を訪れる人は誰であっても長居することなく早々と立ち去るのだった。今店内に残ってる客はカウンターに座る人物ただ一人だけであった。

 

 「……。」カランッ

 「……。」キュッキュ

 

 カウンターで一人静かに飲む金髪の老獪、九鬼財閥従者部隊永久序列である序列0位「ヒューム・ヘルシング」であった。そんな老獪と向き合う形でグラスを磨く眼帯の店長「魚沼」は異質な気配に当てられ続けたのか心の中でため息を零す。

 

 「……ヒュームさん」

 

 客足が遠のき向かい合うこと数十分、グラスを5つ丁寧に磨いたあたりで魚沼は目の前の客に話を振った。普段の彼ならば仕事中にそういった私語など挟むことないのだが閑散とした店内で他の客も居らず聞かれることもない為、店主とお客ではなく1個人同士として魚沼はヒュームに尋ねた。

 

 「何か嬉しいことあったかわかりませんが、あまりはしゃぎ過ぎじゃないですか?」

 「何だ、俺はただ飲んでいるだけだぞ」

 

 普段から厳つく眉間に皺が寄る形相が更に深まる。誰がどう見ても通報案件であるその表情に魚沼はただ肩を竦ませるだけだった。

 魚沼から見れば彼の凄んだ顔は見慣れたものだ。店を構えて何年か営業する魚沼だが、カウンターにいる人物は近くに構える九鬼財閥から通う常連であり古株なのだ。そんな人物のちょっとやそっとな威圧など魚沼は慣れてしまった。

 

 「あまり飲み過ぎると明日に響きますよ。それにしてもここ最近よく来るようになりましたよね」

 「偶々気が向いただけだ」

 「そうですか」

 

 そう区切ると再び店内に心地よいクラシックと氷が溶け硝子に当たる音だけが店内に響いた。すると扉に付いてるベルがカラコロとなり来客を知らせる。

 

 「やはり、ここに居ましたか」

 

 ヒュームはその声に反応し振り返るとそこにいたのは背筋を真っ直ぐに伸ばし綺麗に佇む老人がいた。

 

 「クラウディオか、何かあったのか」

 

 意識が素早く切り替わり先程まで揺れていた感覚が抑えられていく。彼は何時如何なる時も仕事を全うし完璧にこなす従者である。しかし、クラウディオは首を振りヒュームの隣へ座る。

 

 「貴方が最近、正確に言えば週に2度はこちらに居ると聞きまして来たわけですよ」

 「……別に、飲みたくなっただけだ」

 

 座り直すとヒュームはグラスに残ってたウィスキーを呷る。そんな長い付き合いの同期を見るクラウディオ。お互いの事をよく知る2人であるから言葉にせずとも理由を察せれた。

『九鬼 傑將』、彼の帰還は九鬼家だけではなく昔から仕える従者にも少なからず影響を与えていた。

 

 「それほどまでに嬉しかったのですか」

 「何のことだ?」

 「とぼけても無駄ですよ。彼が来て以来、貴方の様子が変わってるのは皆わかっていますから」

 「……ふん」

 

 カランと一際大きな音をたて飲み干すヒューム、その表情は少しばかり陰りがあった。

 

 「……10年前、あの頃は勢いに乗っていた事もあり成長する九鬼に体制が追いつかず穴が増すばかりだった。おまけに九鬼は色んな場所から目の敵にされ、俺も迂闊に持ち場を離れる訳にはいかなかった。だが、俺のその考えが奴等の誘導でもあり、隙を作る切っ掛けになってしまった」

 

 低いトーンで語られる過去、ヒュームは当時のことを脳裏に想起させ思い馳せた。

 

 「仕方ありませんよ、当時は今ほど人材が豊富ではなかったのです。無い物ねだりは常にあること、貴方の行いは今からして見ても正しいかったのです」

 「だが、その結果があの家族に亀裂を走らせた」

 

 ヒュームは目を瞑る。それは、何度も目に焼き付き耐え忍んだ光景だった。

 

『そろそろ休め、それでは商談前に倒れるぞ』

『んあぁ、わかってるさ。だけどよ、あとちょっとまとめたいんだよ。この先俺の子供達もここで仕事するだろうからさ、早くいい場所にしてやりてえんだ』

『帝様……』

 

 そうやって少し痩せた顔で笑う男とその傍らで哀しげに俯く女の姿。

 

『今日はここまでだ。拳も傷むだろう、鍛える前に壊れては元も子もない』

『ですが、我はもっと強くなりたいのです。家族を力から守れる程強く、ですから!!』

『………10分後に型の見直しをする。それを終わらせたらもう一度組手だ』

『はい!!』

 

 血を見ても勇ましく力を付けた少女の姿。

 

『紋様、今回の出来事は九鬼の内で収まりましたが、二度とこの様な事をないようにして頂きたい』

『う〜〜〜』

『ヒュームさん、これはあまりにも厳しいのでは、それに紋様だってこのような事をしたには理由が……』

『黙れ』

『……っ』

『………か…ら』

『む?』

『父上…と母上、姉上と兄上に、われはただ……元気になって、欲しくて』

『紋様……』

 

 己を押し殺しながら気丈に振る舞い家族を想う儚き少女の姿。

 

 「九鬼()を守れても俺はあの家族を守れなかった。もう、長いこと仕えていながらもだ」

 「………。」

 「だから、少しでもいい。あの一族が元に戻る為に、痛ましい後ろ姿を晒すことないよう俺の出来うる限りの全てで守り抜く。……それが、これまで何も出来なかった俺の唯一してやれる事だ」

 

 再び注がれたグラスの中身を飲み干すと磨かれたテーブルに叩き付ける。その瞬間、叩き付けた手は微かに震えていた。




そう言えば、みなとそふと10周年みたいですね……。
グッズも出るみたいですね……。

あ"あ"あ"マ"ル"さ"ん"マ"ル"さ"ん"マ"ル"さ"ん"ん"ん"ん"ん"!!!!
ウエディングとか反則やろ!!あのポーズとか殺す気かぁ!!!
あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"マ"ル"さ"ん"ん"ん"ん"ん"!!

※※ 以下叫んでました ※※

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