ゼロの使い魔~鋼龍と登場しなかった少女~   作:hi・mazin

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思ったより早く続きが出来てしまったので投稿しました

やっぱり計画性は無いです




次の日の話Ⅰ 鋼龍は朝から忙しい

誰もが寝静まる丑三つ時、俺は必死に自分の身体から剥ぎ取った鱗(逆鱗)と甲殻の錆の塊を必死に噛みついたり、ひっかいたりして形を整えていた

 

これは古龍の本能とか歯の形を整えるとかそんなんじゃなくて一応剣を作っているつもりである

 

何しろ明日の正午過ぎには原作での序盤の見せ場である決闘騒ぎが起こるはずだからである

それと剣を作っているのと何の関係があるのかと言いますと大いにあるのです

 

原作の決闘ではサイト君は最初は武器も持たずギーシュ(二股薔薇ナルシー)のゴーレムに立ち向かいボコボコに殴られ大怪我を負い、それでも諦めず戦おうとしたのでギーシュ(二股薔薇ナルシー)からお情けで錬金で作られた剣を貰い『ガンダールヴ』の力が発動し勝利する。

 

というのが一連の流れだが、そのままではサイト君が怪我で何日も寝込んでしまいサフィーナちゃんのお友達増やそう計画+俺の原作介入の為の好感度Up作戦に支障が出てしまう……

 

そこで今作っているこの剣の出番なのです、決闘が始まったら召喚された初日のようにサフィーナちゃんを咥えて決闘の場に乱入しサフィーナちゃんの手から俺の作った剣をサイト君に渡してもらい最初から『ガンダールヴ』の力を発揮し相手を瞬殺してもらう計画である

 

それにより剣を与えられたサイト君の中でのサフィーナちゃん株は急上昇+友情フラグ成立、使い魔を助けたことでルイズちゃんとの仲も急接近(キマシタワー) 俺も原作に深く関われると誰も損をしない素晴らしい計画である

 

……え?ギーシュ君、知らんわ(笑) だってアイツとも仲良くなろうものなら俺の可愛いご主人様があの色ボケに迫られるかもしれないし、もし近づいて来たら龍風圧で延々と吹き飛ばし、動かなくなったら風圧ブレスをお見舞いしてやるぜ

サフィーナちゃんの貞操の為にも危険人物は排除アンド汚物は消毒の方向で行くことにする

 

だからサフィーナちゃんが起きるまでに俺から剥がれ落ちた鱗と甲殻の塊を最低でも『凄くさびた片手剣』、もしくは『さびた片手剣』位には仕上げないと『ガンダールヴ』のルーンが剣として認証しないかもしれないからな

あ~早く夜が明けてほしい半面、間に合うかどうか不安だな

 

その後何かを削る音は明け方まで続いたという……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

完成した。どこをどう見てもさびた片手剣だが青銅製の剣でもOKなんだしこれでも『ガンダールヴ』のルーンも剣として認めてくれるだろう

一睡も出来なかったがなかなか良い出来だと自画自賛してしまった……って、もう朝か、サフィーナちゃんを起こしに行かないとな

 

……って!! 大事なことを忘れてた!! 朝は朝でサイト君が洗濯物を洗うために学園内を徘徊しメイドヒロインのシエスタとの遭遇イベントがあったではないか!

 

時間的にはギリギリだが是非ともサフィーナちゃんお友達計画にシエスタを加えたい

彼女が加わることで彼女関係のイベントも参加できるはずだし、原作通りに進むなら彼女と仲良くなって損はないはずだ、それに彼女はなかなかアグレッシブなので引っ込み思案傾向のサフィーナちゃんに良い影響を与えてくれるかもしれないしな

 

俺は急いで翼を羽ばたかせ空に舞い上がりご主人様の部屋に向けて急発進した……

 

 

 

 

 

 

「うう~ん。使い魔の事が気になって早く起きすぎちゃった。でも今日も良い天気ね。昨日はひさしぶりにメイドさん達や先生以外の人とお話出来たし今日は良い事ありそうだな……例えば新しいお友達が出来るとか、ふふふ、そうだったらどんなにステキな事だろうな」

 

その願い俺が叶えて差し上げましょう。遠慮は要りませんよ、俺はその為に使い魔になったんですから

 

しかし、さすがご主人様、俺が帰って来ることが使い魔の共感作用で分かってたんですね(勘違い)、着替えまでして窓を開けて待っててくれるなんてマジ天使可愛すぎる

 

「あ、おはよう。ねえねえ昨日話したと思うけど貴方のなま……え~~~~!!またなの~!!今度はなに~~!」

 

窓に顔を突っ込んだ俺は出来立ての剣を床に置き、近くに居たサフィーナちゃんを昨日と同じくマントを咥え水場に向けて飛び立つ、サフィーナちゃんは少し慣れたのか暴れたりせず成すがままであったため大変運びやすかった

 

……て、いた、ホントにいやがった!!

水場には洗濯かごを持ったサイト君とメイドさんが談笑しているのが古龍の瞳にははっきり見える

 

このまま急降下して着陸したいがそれではサフィーナちゃんの身体に負荷が掛かってしまう恐れがある

だからまず空中で旋回してスピードを調節し水場の比較的広い場所に・・・着陸!

 

結構豪快に着陸したためシエスタは腰を抜かしてへたり込んでしまいサイト君もドン引きしている様に見えるが許容範囲だろう

咥えていたサフィーナちゃんを二人の前で下ろし背中を鼻先で押し物理的に距離を詰めさせる

 

さあサフィーナちゃん貴女の新しいお友達ですよご挨拶して……て、また顔を赤くして両手で顔を隠すなんてどんだけシャイな女の子なんだい

 

「うおおお!! やっぱファンタジーってすげぇぇぇ! お前昨日の錆ドラゴンだろ、やっぱ錆びてるけどカッケー!と、えっと、ミス・サイファーさん……だっけ?」

 

覚えていてくれたぞサフィーナちゃん、さあ、私の事はサフィーナで良いですって言え!

 

「あの、その……えっと」

 

使い魔の共感作用で俺の言いたいことは何となくだが理解しているはずだよね。だから言え、言え、言え、言うのですお嬢様(半ギレ)

 

「……そんな畏まった言い方じゃなくてもサフィーナでいいですよ」ゴニョゴニョ

 

声が小さい! そんなんでは難聴系主人公には一切聞こえないぞ、ほら二人にもっと近づけてやるからもう一回言うんだ

 

「……サフィーナでいいです、だから私も貴方の事サイト君って呼ばせてもらっても良いですか?」ゴニョゴニョ

 

「ああ、良いぜ。わざわざありがとうなサフィーナ。それと……なぁサフィーナ、こいつの名前なんて言うんだ?」

 

よくぞ聞いてくれました俺の名は……

 

「……実はまだ決まってないの、名前って一生ものだからこの子にピッタリな名前にしたいんだけど全然思い浮かばなくて」

 

まだ無い( ノД`)シクシク……

 

「そうなんだ。でもそのくらい真剣に悩んでるんだからきっと良い名前が思いつくさ」

 

「……そうかな?」

 

「そうだよ」

 

お~お、人見知りのサフィーナちゃんがあんなに楽しそうに話すなんて、流石は主人公、話術も冴えてるぜ……でもなサイト君よ、サフィーナちゃんはあくまで『お友達枠』だからな、そこんとこわきまえろよシメんぞコラ

 

サイト君が謎の寒気を感じて周りをキョロキョロと見回し、その様子を不思議そうに小首を傾けるサフィーナマジ可愛い

しかし、鉄壁スカートならぬ、鉄壁前髪だな、小首を傾けたのに一切目が見えなかった、後で人目のつかないところで確認してみよう

 

「さ、サイトさんってミス・サイファーとお知り合いなんですか?」

 

お、シエスタちゃんもようやく回復したみたいだな、そうなんですお友達(重要)なんですよ

 

「ああ、この世界に来た日にさっきみたいにサビドラの奴に咥えられて来て自己紹介してくれたんだ」

 

サビドラって、錆たドラゴンの略かい、もっと捻った愛称にしてくれよ……サフィーナちゃんもそれもありかもって顔をやめなさい、虚無の日前後くらいには脱皮するからその名前は無効になるぞ

 

「そうなんですか。ミス・サイファー、先ほどは貴女様の使い魔を見て情けない姿をお見せしてしまい申し訳ありませんでした」

 

いや、あんな感じにドラゴンが空から降ってきたら一般人は大体同じ反応を示すから気にしてはダメですよ、君はこれからサフィーナちゃんのお友達として苦楽を共にしていくんだから

 

「……大丈夫だから、シエスタさんも顔を上げて」

 

「はい、わかりました。ところで、ミス・サイファーは何しに水場までいらっしゃたのですか?」

 

「そう言えばそうだな、サフィーナって貴族だろ、自分で洗濯しに来た訳じゃないんだろ?」

 

「……特に用事はないの、朝起きて窓からお外を見ていたら急にサビドラちゃんが窓に突っ込んで来て私のマントを咥えてここに連れてきたの」

 

みなの視線が一斉に俺に突き刺さるがサフィーナちゃんの友達作り+原作介入の為とは言えないから猫みたいに前足で顔を洗うしぐさをして誤魔化すことにする

そんな納得いかないという顔で見たって俺は黙秘するぞ

 

「って、そろそろ部屋に戻らなきゃまずい。シエスタ、洗濯もの頼んだぞ、あとサフィーナ、また時間があったら話を聞かせてくれよな」

 

「任せてくださいサイトさん」

 

「……またね、サイト君」

 

顔を赤くして小さく手をふりふりするサフィーナちゃんマジ可愛い。まだ朝なのに萌え死にそうだぜ

 

「……じゃぁ、私も帰るね。またねシエスタ」

 

「はい、いってらっしゃいませ、ミス・サイファー」

 

俺は今度は背中にサフィーナちゃんを乗せ部屋に向けて飛び立ち、窓からサフィーナちゃんを部屋に戻したら今度からはちゃんと背中に乗せて運んでねって怒られちゃった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皆さんに大変悲しいお知らせがございます。それは私の為にサフィーナちゃんがメイドのシエスタちゃんに頼んで用意してくれた朝ごはんの山盛のお肉がなくなり、はし……何とかという草がお皿いっぱいに盛られています

 

「あなたはおじいちゃんだからお肉は身体に毒なのねん、だからお肉は育ち盛りのイルククゥが食べてあげるの」

 

と、犯人はこの様に供述しております……誰がおじいちゃんやねん、バリバリの二十代やぞ

 

「おじいちゃんはこのニガ……栄養満点の草を食べた方がいいの、きっともっと長生き出来るのん」

 

と、犯人はこの様に供述しております……錆びてるから老けて見えるけどバリバリの二十代やぞ

 

まてまてまてまだ慌てる時間じゃない、相手は人間換算で十歳の女の子だ、つまりは小学生、社会人の大人の俺がお肉を取られたぐらいで怒っては体面的にまずい

 

とりあえずむかっ腹はたったが大人の余裕で我慢しクソ苦いと各方面から評判のはしばみ草を食べてみるか。

 

ムッシャ、ムッシャ、ムッシャ……まず~~!! 呑み込めない程苦い、草の食べられないところみたいな味がする、イルククゥお茶を入れて来てくれ! 早く!

 

「ふ~。お腹一杯なのね。……あ! おねえさま~はしばみ草も残さず食べたの~」

 

無視かよお子様め。おまけに全部俺に押し付けたくせに自分が食ったみたいに主張するな!!

 

と、怒鳴り込んで行きたいが迎えに来たタバサと仲良く歩いていく姿をみたら今回だけは我慢しようと思えてしまう

 

しかしどうしようこれ……残すのもあれだし……食うか……一気に口にいれて水で流し込めば苦味も感じないだろう

食べたら俺もサフィーナちゃんの下に急ごう、もうじき待ちに待った授業の始まりだ、このあたりの流れはほぼ完ぺきに把握しているからな

爆発後の後始末をサフィーナちゃんとお手伝いしてサイト君がルイズを必要以上に責めないように二人で目を光らせれば二人の俺らへの好感度うなぎ上りってか

ああ、本当に楽しみだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外伝『タバサの冒険2』番外編『シルフィードの一日』の挿絵に大きなマンガ肉を嬉しそうに頬張るイルククゥとその後ろで大量のはしばみ草が盛られた皿の前でギャグ顔で大口を開け緑色の液体を吐く鋼龍の絵が追加される

 

 

外伝作品なので物語への影響は全くみられない・・・

 

 

 

 

 

 




『シルフィードの一日』の挿絵に描かれているのは『錆鋼龍』ではなく『鋼龍』ですので時間的に問題はありません

つまり未来に至るまでずっとお肉を交換という名の強奪が続いているのだ!

相手が子供でも嫌なら嫌と断りましょう

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