ストライクザブラッド~ソードダンサーと第四真祖〜   作:ソードダンサー

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投稿します。初めての戦闘シーンですがあまり期待しないでください。では!


聖者の右腕4

現在時刻23時38分。

暁古城達との会食が終わり、帰宅した早々火乃香は義姉である南宮那月に連れられ、生徒指導に駆り出されていた。

「姉さん、生徒指導をするのに俺がいたらだめじゃね?」

「何を言っているんだ?お前は今、アイランドガードの仕事をしているんだ。つまりお前現在私の部下ということだ。」

ドヤ顔で意味不明なことをほざいている姉に呆れつつ彼女の後ろを渋々歩いている。

彼らは住宅地が並ぶ南地区でパトロール?をしている。するととあるクレーンゲームで遊んでいる男女のペアを見つけた。男子生徒はどこかで見覚えのあるパーカーを着てフードを被っている、女子生徒もこれまた見覚えのあるギターケースを背負って更に彩海学園の制服を着ている。

(こんな時間に出歩くのに制服って…アホか?)

そう思いつつ隣を見ると先ほどまで仏頂面だった那月の表情がみるみるうちに変わって行く。まるでこれから尋問官が捕虜をいたぶって愉しもうとしているような表情だ。

そして、どこか見知った二人組はそれに気づかずに遊んでいる。

那月と火乃香は気配を極限にまで消し、観察していたが那月がこの静寂を破った。

「そこの2人、こんな時間に何をしている?」

ついに始まった那月の尋問が。舌ったらずな口調で尋ねる。

その声を聞いた瞬間2人は肩をビクつかせ、ガラスに映った火乃香と那月を確認している。この状況を愉しんでいる那月は更に追い討ちをかけていく。

「お前達、彩海学園の生徒だな?そしてパーカーを着たそこの男!ゆっくりフードを外して顔をこちらに向けてみろ。素直に従えば課題だけで許してやる」

(ドSだ…正体がわかっていてもこの仕打ち…怖えぇぇぇぇ)

男子生徒こと暁古城が火乃香に気づきモールス信号でSOSを発信した。

だがここで彼らを庇っては、彼らの為にならない。ここは心を鬼にして事の顛末を見守ろうと決意する火乃香だった。

そんな緊張状態の中、港で爆発音が聞こえた。

「………?!」

那月が一瞬爆発に気をとられた瞬間、古城と雪菜は走ってその場を離れた。

「覚えてろよ!暁古城!」

どこか喧嘩で負けたチンピラのような捨て台詞を吐いていた。

「ハハハ残念だったね」

「仕方ないあいつには課題の提出で許してやるか…それと火乃香爆発現場を見てこい。充分に気をつけろよ。それと蒼氷の抜刀を許可する」

「了解」

少し困った顔をしたがすぐに真面目な顔をした。しかしどこか寂しそうな表情が見えた。亜空間から彼の愛刀のうちの一本である『蒼氷』を出現させ火乃香に渡した後現場まで転移した。

ーーーーーーーーーーーーーー

火乃香は現在現場から少し離れたコンテナを下ろしたりするためのクレーンの上にいた。

周りはアスファルトの焦げた匂いや自然界で生み出される気温とはまた違った灼けるような熱が容赦なく火乃香の肌にまとわりつく。

目の前には体長十数メートルは有るであろう火の鳥の眷獣とこれまた火の鳥と同じくらいの大きさの腕が対立していた。

火の鳥を召喚しているのは、スーツを着たサラリーマン風の吸血鬼の男だ。そして腕を召喚しているのは藍色の髪の毛と無表情更にはローブのような物を身に纏った少女だ。そして彼女の隣には、どこかガタイがよくハルバートをもった聖職者のような格好をした男がいた。

「くそ!化け物!こっち来るな!」

そう言いながら火の鳥が炎の球を彼方此方に飛ばしている。内臓まで響く爆音が火乃香を襲った。あまりの大きさに体がふらつく。

そしてコンテナや倉庫がどんどん破壊されていく。爆発によってたった破片が線路にあたりモノレールが落ちていく。そうしている間に巨大な腕が眷獣を掴む。すると驚く事に、眷獣が消えてしまった。

スーツを着た男は驚きのあまりか、それとも恐怖か、形容しがたい感覚に陥ったらしく、腰を抜かしていた。そんな彼に聖職者はハルバートで斬りつけようとしていた。が間一髪でそれをかわし致命傷にはならなかったようだ。

暫く観察していると、今度は見知った少女が現れた。先ほどまでゲーセンで遊んでいた姫柊雪菜だ。

何かを話している。次々に起きる爆音で内容はよくは聞こえない。

が、恐らく生真面目な彼女のことだ。手負いの魔族に対する攻撃が許されていないだなと話しているのだろう。

(しかしあの藍色の少女…ホムンクルスか?余りにも忠実に命令に従っている、けど、どこか苦しそうな表情だ。眷獣を使っているからとかではなく、傷つけたくないといった感情に似ているな…彼女は被害者という線で見ていた方が良さそうだな)

冷静に観察していく。すると雪菜がどうやら痺れを切らしどこか戦闘機の翼を彷彿とさせる武器を取り出し聖職者に斬りかかりに行った。

(お、あれは獅子王機関の秘奥兵器七式突撃降魔槍(シュネーヴァルツァー)か真祖を殺すための兵器だけど雪菜は使いこなせるのか?つか霊視に頼りすぎてるな…そんなんじゃすぐにカウンター喰らうぞ…っと言わんこっちゃない。そろそろ助けに行きますか…)

最初は押していたが実戦の経験がないのか、カウンターを喰らい形勢逆転となっていた。

火乃香はクレーンから飛び降り雪菜の元に向かった。

彼女の体が刃で切り刻まれるまで数秒。雪菜もそうだが聖職者やホムンクルスそして火乃香この現場にある全ての人物の体感時間が引き伸ばされた化のような感覚に陥った。

雪菜は霊視で一寸先の未来を見たがどれも自分が斬られる未来しか見えない。なぜなら彼女は淡々と迫っていく死にたいし恐怖を抱き、先入観によってそれ以外の未来が見えない状態にある。

ハルバートが振り下ろされ徐々に近づいて来る死を運ぶ鎌。

体が重い、息苦しい。視界が狭まり、呼吸困難な状態に陥る。体の感覚が無くなる。しかし、逆に感覚が鋭くなって来る。あたりを囲む炎の熱がさっきよりも熱く感じる。肌を撫でる風はどこかピリピリと痛み、視界が暗くなっていく。聴覚に至っては今尚続く爆発音は聞こえずしかしハルバートが振り下ろされる音は五月蝿いほどに大きく聞こえて来る。

(私、死ぬ…の?先輩…悲しむ?)

恐怖により目を閉じた。これから来る痛みに耐える準備をし只々まった。

 

ガキンッ!

いきなり金属同士がぶつかる音が聞こえた。

そしていつまでたっても痛みがこない。

ゆっくり目を開けるとそこには、先ほど那月の横に立ったいた少年がハルバートを刀で受け止めていた。

「なにっ…!!」

突然の出来事により聖職者は後ろに後ずさった。

「まだまだ姫柊さんは甘いな。霊視に頼りすぎるからこうやって足元取られるんだもっと視野を広く持て」

ここでも説教をするのは彼らしい。

「くっ!赤いバンダナに氷の刀…まさか刀使い(ソードダンサー)だと?!」

「え?!」

雪菜は目を見開く。

ソードダンサー________聖域条約が締結されていても魔族と人間の紛争はチラホラ発生していた。5年前その人物は特に多かった中東アジアや北欧地域の紛争地帯に突如として現れた。

人、魔族合わせて2300人の兵士及び、400両以上の戦車、装甲車を一晩で破壊し尽くした。その人物は、白い龍と黒い龍のような刀を持ち、妖精のように舞いながら刀を振り下ろしていく。

その姿から、ソードダンサーと名付けられ、魔族からは空隙の魔女に続いて災厄を司るものとして扱われている。

因みにこの出来事は北欧では三大悪夢として語られている。

 

閑話休題

「てめぇ、人の個人情報ペラペラ喋りやがって!個人情報バラされたんだ、てめぇも早く名乗りやがれこなク○ッタレ!」

「失礼した。私はロタリンギアから来た殲教師ルードルフ・オイスタッタハと言うもの。そしてこちらがホムンクルスのアスタルテだ」

「ほーん自己紹介あんがとさんそれとさいなら」

火乃香はそう言いながらオイスタッタハに斬りかかった。

脇をしめ無駄な動きが内容小さく動く。小回りの効いた動きで相手の動きを封じ、そしてトドメを刺そうと言うのだ。そしてその思惑通り隙ができ、トドメを刺そうとした瞬間火乃香の右から危険を感じた。

「危ない!」

雪菜が叫ぶ。火乃香が横目で見ると既にアスタルテの眷獣がすぐそこまで迫っていた。殴られても別に問題は無いのだがそれでも直接喰らうよりある程度刀で防いだ方が食らうダメージが小さい。

しかし彼にはそんな時間が残らせれていない。迫り来る腕に対し覚悟を決める。が瞬間影が割り込む。

暁古城だ。

ロクに眷獣も使えないくせして、火乃香の盾になろうとし殴られた。

「グアァァァァア!」

「「古城(先輩)!」」

彼の体から電気が迸っている。

「くっそ…ヤメ…ろぉぉぉお!」

眷獣の暴走だ。

「第四真祖の噂は本当のようですね!ソードダンサーに剣巫第四真祖では分が悪いですね!行きますよアスタルテ!」

「アクセプト」

無機質に答えるがどこか悲しそうな顔でこちらを見ながら去っていくアスタルテを見ながら古城の暴走に対し、雪菜が雪霞狼の魔力無効化の能力で暴走を止めた。

こうして雪菜にとっての初めての実戦が終わりを告げたのだった。

______________

戦闘が終わり南宮邸に帰宅した火乃香は目の前に座る那月の親友であり、火乃香にとっては仕事仲間のような存在である、国連の魔導機関『図書館』の総記である仙都木阿夜に事の顛末を伝えた。

「なぜロタリンギアの坊主がここにきたのか気にならな…」

「那月、この島に、何かロタリンギアに関係する物が、あるのかも知れぬぞ」

「阿夜姐ぇに同意。奴は各国の魔族特区にちょっかい出してるみたいだけど、この島には特に被害を大きくしている。この島自体に関わる何か…ロタリンギアの坊主と絃神島ここから導き出される共通点…姉さん、阿夜姐ぇ、もし2人が何かしらの宗教の信者だとして、何をされたら怒る?」

火乃香に突如話を振られ、頭を悩ます2人。

2人とも特定の神など信じていない。いや信じるはずがない。

確かに神は存在するが彼女らは聖典に書かれているような偉大な人物ではなく、ちゃらんぽらんな性格をしていることを2人は知っているからだ。

「我が…か?ふむ、1番はやはり信仰している神への侮辱…だな」

「確かに、そうだな…だが、一部の人間にしか触れることのできない神よりも、確実にいたであろう聖人をずさんに扱われることだろうな…。例えそれが聖人の遺体出会った…として…も………あ!」

「そうか、わかったぞ、那月が言いたいことも、奴がやりたい事も。」

「だな。明日から暫くキーストーゲートにアイランドガードの拠点防衛部隊(ガーディアン)を配置した方がいいな。だけど多分明日は襲撃してこないと思う。」

「何故だ?」

「ホムンクルスのアスタルテの眷獣の調整のためだよ。おそらく明後日に襲撃してくるだろう」

「一応明日から配置しておくか」

「我らの、思い違いならいいのだが…」

暗く沈む3人。そんな空気をぶち破った人物が出てきた。

「火乃香、今日は疲れただろ?風呂にでも入って寝るぞ。私は眠いんだ…そうだな時間短縮だ!一緒に風呂に入るぞ!」

「は?!姉さんどうしちゃったの?!急に?!」

「嫌なのか?昔はよく入っていたのに姉さんは寂しいなぁ」

わざとらしくヨヨヨと泣くふりをする那月に呆れて声が出ない火乃香

「な、な、那月よ火乃香を1人で可愛がるなんて…ずるいぞ!」

そう言いながら阿夜は火乃香に抱きつく

「だー!もううっとおしい!」

こうして南宮邸の長い夜は更けていった。




はい、皆様お待たせしました。火乃香の異名が出てきたり、初めての戦闘シーンだったりと…下手くそですねはいすみません…。
頑張って上手く描写できればいいのですが…なかなか難しい。
そして仙都木阿夜が出てきましたね。私の作品では闇聖書事件は扱わない予定です!サナちゃん期待してた方すみません。そして現実の組織などをこの話に組み込んでます。オリ設定で図書館は犯罪組織ではなく、魔導書などを集めたり国際的な魔導関連の事件、災害を扱う国際連合の組織の1つとして扱いました。賛否両論だと思いますがここはご愛嬌という事で…堪忍してつかぁさい。
ではまた次回!

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