ストライクザブラッド~ソードダンサーと第四真祖〜   作:ソードダンサー

35 / 46
孤島の武装蜂起決着篇
孤島の武装蜂起決着前篇


「約10年前、イタリアを始めヨーロッパ各地で起きた消失事件…あれは魔族によるものだとか様々な憶測が飛び交っているがあれは全て政府がばら撒いたカバーストーリーなんだよ。本当の情報はEUと各国政府によって握りつぶされたのさ!そして俺は同時期に村や町を潰していたJAMによって回収された」

「同時期に?あらかじめJAMと打ち合わせしていたんじゃないのか?」

「あぁそうだ。当時の俺はJAMなんて組織知るわけない!偶然にも日程が被っただけだ。まぁそのお陰で俺の目的も達成されたからな」

「目的?」

「火乃香…俺たちの姓は天童だ」

「それがどうした」

「父方の祖先は陰陽師の家系。母方はとある社の巫女の家系だった。

親父とお袋の家同士で過去から今までずっと敵同士だ。だがそんな中なにをどう間違ったか知らんが親父とお袋は出会っちまい俺たちを兄弟を生んだ。それに感づいた天童家は有り余る財力と政府機関に手を回し、俺たちの抹殺を試みた」

「各…政府機関…だと?」

「そうかお前はなにも知らないんだったなぁ!それでよく本土に出かけ、生きて帰ってこれたものだ!天童家はなぁ獅子王機関を始め太史局、更には防衛省や警察庁、政府には裏で繋がっているんだよ。他にもお前のいるCFFもとい国連軍のスポンサーのうちの1つでもある。

そんな天童家が各省庁にとある密命を出した。

天童霞、火乃香両名を暗殺せよ、とな」

「…!な…に?」

「密命を受けた当時まだ傭兵家業を営み、そして獅子王機関に雇われていた稲垣にもその密命が下された。元々どう言った道筋で知り合ったかは知らんが、その事をイタリアで隠居生活をしていた俺たち一家に伝えられ、偶々それを聞いた俺が親父たちに提案したんだよ…」

火乃香はそれ以上聞きたくなかった。今までの価値観が狂わされるからだ。自分はなんのために戦ってきたのかを見失ってしまうかもしれないからだ。

「俺があんたらを逃がすために村を焼き払い、本家の目をそらすからその隙に国境を渡りドイツへ逃げろとな…だけど2人は反対した。大切な息子に罪を背をわせることができなかったんだろうよ。だけどなぁ、あいつらの目的はお前だけだったみたいだ。お前の体に流れるその血は世界でも相当純度の高い霊力があるらしいからな。あいつらはそんなお前と逃げる前に持ち出した3本の刀の回収が目的だった。そんなお前を逃がすために俺たちは囮になったってわけだ。親父とお袋を殺すことによってお前が生き残ることは不可能だと錯覚させ、そして犯人である俺は一生逃げ続ける生活をする。全てはお前を生かすためにやったことだ。だが1つだけ誤算があったらしくさっきも言ったがJAMが同時期にテロを起こし、その対象に俺たちの暮らしていた村も含まれていて、俺が奴らに拾われた。これで衣食住と本家に対抗するための力、そして指名手配犯として注目を集めお前を影の中に隠すことができた」

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だいやだいやだいやだいやだいやだいやだイヤダイヤダイナダイヤダイヤダイナダイヤダイヤダイナダイヤダイヤダ

聞きたくなかった事実。知りたくなかったこの感情。

心の奥底からふつふつと湧き上がる黒い感情に溺れかけ、そして視界が歪む。いつの日か枯れ果ててしまったと思っていた涙が溢れてくる。

しかし現実は残酷だという事を改めて知らされるのだった。

そして霞の話が終わったと同時にREXを乗せた貨物昇降機は最上階に到着した。

天井はドーム状になっていて、高さ70メートル縦横80メートルの格納庫だった。REXが雄叫びをあげながら震える。それは王者の敵として相応しい相手である事を讃えるように…。




取り敢えず前編後編に分けました

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告