ストライクザブラッド~ソードダンサーと第四真祖〜   作:ソードダンサー

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はいお待たせしました。
キャラ設定などはこの章が終わったあとにでも書こうと思います。


聖者の右腕3

 豆電球の暖色系の明かりで照らされた薄暗く更にはタバコや酒の匂いが混じった独特の匂いが充満する建物の中に若い学生3人がいた。

「な、なぁ・・・ほんとに大丈夫なのか?・・・」

 若い男と言うよりも少年が声を震えさせながら訪ねてくる。

「ここにいる事がバレたら確実に怒られます・・・」

 ギターケースを背負った少は動揺したいなさそうに振舞ってはいるもののやはり少年と同様に若干震えている。

そんな彼らを1人の少年火乃香はニヤニヤと生暖かい視線で見つめる。

そんな3人は筋骨隆々の歴戦の猛者のような男やガラの悪い男たちの視線にさらされていたのだ

なぜ彼らがこんなことになってしまったのか・・・遡ること約1時間前のこと

 ______________ナンパ男2人を撃退した暁古城と南宮火乃香そして、被害者である姫柊雪菜の3人は火乃香の知り合いがやっていると言う店で夕食を摂る事になった。

 古城と雪菜が想像していたのは食堂のような穏やかな物を想像していた。

 が、しかしそこはやはり謎多い男火乃香だ。2人を連れてやって来たのは中世の酒場のような、無法地帯にも等しい場所だった。

 店の中は薄暗く、酒、タバコの匂いが充満した酒場にやって来た。それだけならばまだ良かったのだろうが、こう言う店にはそう言った場所に似合う客が来る。筋肉質の厳つい男や全身タトゥーが入ってる男、マフィア、ヤクザのような男たちが酒を煽っている店にやって来たのだ。

「まぁ、安心しろよこいつらは見た目がやばそうだが、全員知り合いだ。

 さっきのナンパ男達みたいに、俺たちをどうこうしようって言うような奴らじゃないさ」

 笑いながら火乃香は言った。

「いや、でもよこんなとこ那月ちゃんに見つかったら確実に殺されるだろ!」

 古城は火乃香に非難の声をあげるが当の本人はケラケラ笑い続けている。

「安心しろ!此処は姉さんとよく来る店だ!もちろん最初は俺もびびったさ・・・だがな、こいつらは非戦闘員にいきなり攻撃を仕掛けてこないぞ!」

 自信満々に火乃香は言うがそれでも始めて来る店で、更には個性豊かな客を見てしまっては安心できない。と、そこに店のマスターであろう人物が話しかけて来た。初老のいかにも英国紳士を思わせる人物だ。が、しかし腐ってもこのような『ならず者』が来る店を営んでいる人物だ。オーラが違う。これには高神の杜で厳しい訓練を積んで来た雪菜とて、怯みかねないレベルだ。

「ようこそボス。今回は那月さんはいらっしゃってないのですね。それとお二人とも、そんなに緊張しなくてもよろしいですよ。とは言っても無理ないでしょうな。しかし安心してください。ここに

「えっと・・・その・・・」

 返答に困る雪菜に助け舟のつもりで火乃香が話を進める。

「まぁ、2人とも萎縮するのは仕方ないよ。なんたって此処にいる人たちは、ほとんどが傭兵なんだからーそれより、マスター適当に料理を作ってくれない?だけどあまり高いのはやめてくれ」

「珍しいですね?どうかしたんですか?」

「さっきこの子がナンパの被害にあってね、それのお礼に奢ってくれるって言うからあまり高いところはダメだし、夕食の時間にもなりそうだから此処に来たんだよ」

「それは災難でしたね。ならば今日は私があなた方にご馳走しましょう。お代は結構ですからね。」

 朗らかに3人に笑いかけながら言ってきたマスター。

 そんなマスターに雪菜は悪いですそんなのと言いかけたがマスターは学生なのだから大人の好意に甘えらと言われ結局お代は必要ないと言う形で決着がついた。

 そう言う話をしながら個室に案内される3人を見ている客達からは「嬢ちゃん、災難だったなー」「今日はマスターの奢りだって?!お前ら飲むぞ!」などなど此処にいる人たちは古城が警戒するほど危険な人物達ではないことがようやく理解できた。

 そんなこんなで席に案内され座った3人ー1番奥に古城その隣に火乃香

 古城の正面に雪菜と言うポジションだーは料理が運ばれて来るまでの間にどう言うことなのか事情説明をするのであった。

「姫柊はその獅子王機関ってとこから来たのか・・・つか獅子王機関ってなんだ?」

「先輩そんなことも知らないんですか?!いいですか先輩、獅子王機関は日本の国家公安委員の魔導犯罪者や魔導テロを防ぐための機関なんです」

「つまり国家公務員って事か」

 古城はなんとか話について来ているようだ。

「で、なんでその国家公安委員が俺なんかの監視に?」

「いいかい古城。真祖は1人で一国の軍隊レベルの力を保有してるんだつまりワンマンアーミーってところだな。」

「南宮先輩の言う通りです。先輩は核兵器と同等もしくはそれ以上の扱いなんですよ」

「なんだそれ?!もはや人として扱われてねぇじゃねぇか!」

「仕方ないさ。吸血鬼が脅威と言われているのは不死身だけではなく、眷獣が使えるからなどっちかと言うと、眷獣の方が脅威だ。」

「そう言う事ですので先輩は諦めてください。それとこちらからもいいですか?」

「なんだよ・・・」

 警戒しながら古城は雪菜からの質問を待つ

「先輩はこの島になぜ来たんですか?自分のドミニオンを持とうともせずに・・・まさか、この島を影で操ろうなんてー」

「待て待て待て!この島に来たのは2年前だしそもそも第四真祖になったのはつい三ヶ月前なんだぞ!」

 嘘をつくなんてますます怪しいですね!」

 全く古城の話を信じようとしない雪菜に呆れ、火乃香は古城に助け舟を出すことにした。

「姫柊さん、古城の言ってることは本当だよ。彼は2年前からこの島にいたし、三ヶ月前に第四真祖になったのも本当だ」

「なら何故第四真祖に急になったんですか?!」

「それは先代の第四真祖におしつけられたからであって・・・」

「先代の・・・!?」

 息を飲む雪菜だ。仕方ないことだろう。普通の人間が吸血鬼のしかも第四真祖になってしまったのだから。そんなことを話していると急に古城が頭を抑え倒れそうになる。

「大丈夫ですか?!」

「こいつは吸血鬼になった時のことを思い出そうとすると頭痛に襲われるんだ。しばらくすれば治る。ゆっくりさせてやれ」

 火乃香の雑なアドバイスを受けた雪菜だがそれでもやはり心配なのだろう。優しすぎるそう思った火乃香だった。暫くすると頭痛が治まったのか、体勢を立て直した古城を見た雪菜はこれ以上深く追求しない事を伝えた。

「それで、今度は俺からなんだが・・・なんで火乃香は姫柊と知り合いなんだ?」

「あー、それは遡る事約3年前だ・・・俺の師匠が獅子王機関で外部講師として呼ばれてねついでに同年代で『実戦』を経験した俺も助教として招待されたんだ。」

 そう、火乃香は攻魔師以外にも傭兵として約7年前から活動している。余談だが彼の師匠稲垣隼人、国連軍最高司令長官であり人類最強と言われる人物なのだ。

 閑話休題

 いくら獅子王機関から優秀な剣巫や舞威姫などは任務で忙しくスケジュールが合わないだからと言ってあまり優秀では無いものたちには教官を務めることができない故に12歳くらいの候補生たちの実戦訓練は外部講師を雇っている。

「火乃香さんは歳が1つしか違わないのに、私達なんかじゃ敵わなかったんですよ!私が師家様の他に尊敬してる人です!」

「尊敬って・・・俺はただの人殺しさ。それに剣術しか自信がない・・・魔術と言った分野になってくると君たちには敵わない」

「火乃香・・・お前実は凄い強いのか?」

「強いってほどじゃ無いよ・・・ただ姉さんが空隙の魔女だからある程度の魔術の使い方を教えてもらってあと他は全部師匠任せだよ」

 ハハハと笑ってはいるものの、火乃香は恐らく稲垣隼人を除けば人類側のトップクラスの戦力だろう。そんな会話をしているうちに料理が完成したみたいで3人は料理を美味しく平らげ、マスターにお礼を言って店を出ようとした時、線は細いが鋭い目つきをした男がやって来た。

「暁古城だったか・・・?お前第四真祖なんだな・・・つーことは、君が監視役の剣巫か?」

 2人は同時に息を呑む。話を聞かれていたのか・・・。そう考えている。2人に対し男はあっけらかんと言った様子でタネを明かした

「君たちの目付きや仕草視線を観察すればすぐに分かる・・・古城君は若干人目を気にしすぎているし、剣巫ちゃんの方は視線が兵士の目特に火乃香が獲物を前にして冷静に状況を分析している時の目付きにそっくりだ・・・ボスから聞いていたけど君は火乃香の事を尊敬してるらしいね」

 全て当たっている。

「僕は諜報のスペシャリストだからねそれくらい余裕さ。もう暗いんだ気をつけて帰りな」

 2人は礼をして、火乃香は「んじや、また今度」と言いながら店をあとにした。

 




今後は若干ペースが上がるかもしれません。ですがやはりまだ投稿ペースが安定しないので、もう少しだけ皆さんに迷惑かけるかもしれませんが、見守ってくれるとありがたいです!それではまた次回!

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