ストライクザブラッド~ソードダンサーと第四真祖〜   作:ソードダンサー

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孤島の武装蜂起篇3

メイ・リンとの通信を終えた火乃香は改めて現場の地形を確認する。

中央には先ほどまでハインドDが飛び立ったヘリポートがありその先にある戦車格納庫と思われる建物の二階部分に相当する位置に設置されたサーチライトによって一定間隔でヘリポートが照らされている。

そして火乃香から見て左には武器庫と思われる部屋が1つあり、左側は少し丘のようになっていて、その上にコンテナが乱雑に置かれている。そのあたりを歩哨一名が巡回している。

火乃香としては武器庫に行きたいが、もしそうなるとしたらヘリポートの真ん中を突っ切っていくことになる。幸いサーチライトは全体を照らしているわけではないので、照らされていないところをうまく歩けば、見つからずにたどり着くだろう。

そう判断した火乃香はタイミングを見てヘリポートを突っ切り武器庫へ侵入した。入り口には監視カメラが設置されていたが、死角を利用し難なく突破した。

武器庫には敵の目を潰すフラッシュバン、電子機器を撹乱するチャフグレネード、そしてありがたいことにMk.23ソーコムピストルが保管されていた。ソーコムにはサプレッサーが装着されていたので発砲音を気にせず打つことができる。この状況では心強い装備だ。

他にも探ると赤外線暗視ゴーグルとレーションがあった。

部屋をある程度見渡した時、この場で超重要アイテムを見つけた。

それはカードキーだ。

大佐から聞いていたが、この施設の扉にはそれぞれカードキーが必要になっているらしい。カードを見るとLv1と書かれているので、おそらくそのレベルの扉が開く。

ここで本部から無線が入った。

『嵐で戦車格納庫の扉は閉まっているようだな』

「ノックしても開けてくれなさそうだな」

『別の入り口を探すしかないみたいだな…周りに侵入できそうなとこはあるか?』

「兵士が居眠りしているその下にダクトが一箇所、上にももう1か所ありそうだけど確認できないから下のダクトから潜入する」

『気をつけろよ』

「わかってる」

とりあえず兵士の頭上にいやらしいまでの監視カメラがある。

装備からレーションを取り出し敵兵に投げつけ、起こしダクトの前から動かす。チャフを使い監視カメラを撹乱させ、狭っこいダクトの中を這いずりまわった。

中にいたネズミの誘導もあって無事戦車格納庫内に出ることができた。格納庫内には、歩哨4名と戦車が二台鎮座していたがその鎮座している戦車に問題があった。

「!ハインドの次はM1かよ!なんなんだこの組織…」

呆れて声も出ない。

ロシア製のヘリの次は米軍の主力戦車ときた。しかも中にいた歩哨の装備を見るとAK47からM4やM16に変わっている。それらだけならまだしも、M14というWW2時に使われていた骨董兵器まで使用している。このままだと89式やF2000、果てはジャムおじさんことL85が出てきてもおかしくないと感じる。

「めちゃくちゃだ…まるで警察予備隊創設の装備品並の入り乱れようだな…」

二階にあるエレベーターに乗っている最中につぶやく。

とりあえずダーパ局長が捕まっていると思われる地下一階に降りてみた。

『アルマース1、レーダーをよく見て!右上にダーパ局長の反応があるわ!』

「確認した。とりあえず扉のセキュリティレベルは1みたいだからさっき手に入れたカードで開きそうだ」

カードをかざし、扉を開ける。独房は2つあるらしく、手前の独房にダーパ局長の反応が示されている。

独房の扉についているのぞき窓から鼻をつんざくような腐った臭いがする。

火乃香はこの臭いに顔をしかめると同時に中の様子が手に取るように想像できた。しかしこれは任務だ。いくらわかっていたからといって、何もしないわけにはいかない。中に入ると案の定想定していた光景が広がっていた。細かく描写すればおそらく別の意味で18禁になってしまうのであえて描写しないがそれほど凄惨なものだった。

激しく拷問を受けたような傷が身体中に残っていた。

「大佐…ダーパ局長は死んでいる。死後3日ってところだ」

『…わかった、この調子だとドナルドアンダーソンも死んでいるかもしれないな』

「不吉なこと言うなよ大佐」

『悪い』

そう言いながら地下二階に降りるとそこは巨大なコンクリート製の支柱が何本も立ち尽くしていた。それぞれの支柱は空洞であり入り口にはセキュリティロックのかかったドアが付いていた。

とりあえず、それぞれの部屋に入るためセキュリティレベル1の扉を片っ端から開ける。

結局この場で見つかったのはソーコムのマガジンを3つグレネード1つとC4爆弾4つだった。

ここにくる前戦車格納庫で盗み技いた話だったのだが地下二階は何箇所かの壁をコンクリートで塗り固めているらしくまだそれが乾いていないらしい。

ちらりと周りを見たら確かに所々周りのコンクリートの色と違う壁がある。

火乃香は持ち前の超直感で、適当に塗り固められた壁にC4を設置し、起爆させる。

相当な爆発音だったが、敵が駆けつけてくる様子はない。

罠の可能性もなきにしろあらずだが、破壊した壁の先に侵入した。

壁にはむき出しの岩があることから、洞窟をそのまま利用しているのだろうと予想できる。明かりも白熱電球が点々としているだけなのでそれだけでも寂しさを醸し出す。

3回ほどC4で壁を破壊したところで爆薬を使い切ったと同時にようやく目的の人物を見つけることができた。

ターゲット、アームズテック社社長ドナルドアンダーソン。彼はワイヤーで縛られている。

「ドナルドアンダーソンだな」

「触るな!」

ワイヤーを外そうと手を伸ばした瞬間社長は叫んだ。

「ワイヤーの先をよく見てみろ!触ると爆発するぞ!」

「わかったから叫ぶな」

「き、貴様…誰だ?」

社長が警戒しながら火乃香に尋ねた。

「俺はあんたみたいなロクでなしを助けるために送り込まれた哀れな傭兵(ポーン)だよ」

「そうか…」

「しかし困ったな…これじゃ外せn…!?」

突然銃弾が飛んで来た。コツコツと足音が聞こえたのでそちらの方向を向くとリボルバーをくるくると回しながら悠々と歩くまるで西部劇に出てくる初老のガンマンの格好をした男がいた。

「私の銃弾から12発以上逃れることのできた奴はこの世にいない。私は銃弾の声を聞くことができる。私の名はリボルバーオセロットだ。精々楽しませてくれよ国連の犬め!」

オセロットと名乗る男が中二病のように颯爽と登場し、西部劇でおなじみのシングルアクションアーミーを使ってガンプレイを披露しながら発砲してきた。

(うわぁ…時間がないのにめんどくさいおっさんに出くわしたなぁ…)

警戒しつつ内心はグダグダと愚痴をこぼしているのだった。

 

 

 

タイムリミットまで残り17時間


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