ストライクザブラッド~ソードダンサーと第四真祖〜   作:ソードダンサー

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戦闘シーンとか大幅にカットしました。



天使炎上6

ー闇の中へ意識が沈んでいくー

ー誰かが私に向かって必死で呼びかけてくるー

ー私はなぜか涙を流すー

ー私の記憶がだんだんと白く濁って見えなくなるー

ー大切な誰かを傷つけたー

ーごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイー

彼女にとって大切な人の笑顔だけが殺戮衝動を抑えている。

彼女にとって大切な人の声が押しつぶそうとしてくる黒い何かから必死に彼女自身を守っている。

彼女また、彼らと同じく自らのうちに湧く黒い衝動を抑えようと戦っている。

愛する彼からの最後に聞こえた言葉を信じて。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

「ちっ!数が多いな…古城!お前の眷獣であたりを蹴散らしてくれ!」

「おう!疾く在れ(来やがれ)5番目の眷獣、獅子の黄金《レグルス・アウルム》」

一個大隊相当の自動歩兵(オートマタ)は一瞬にしてただの鉄屑へと姿を変えた。未だに夏音からの攻撃はない。

「姫柊さん!ラ・フォリア!こっちは終わった!そっちは!?」

「南宮先輩!こちらは終わりました!」

「私も片付きました」

肩で息をしている雪菜と自らを精霊溶炉としてたからを使ったのか、若干輝いているラ・フォリアを見ながら苦笑する。

「さて、姫柊さんは夏音の結界と攻撃を分散して。俺が夏音の背中についている羽を斬るから古城は新しく掌握した眷獣の能力で斬った羽を食いつぶしてくれ、ラ・フォリアは賢生たちに手錠をはめておいて」

「「「はい(おう)!!!」」」

こうして、無事に夏音を救出し、戦闘中ずっと沿岸警備隊(コーストガード)に無線通信で救助要請を出していた雪風のおかげで、遅滞なくコーストガードと那月が氷漬けの島に到着し、囚人達を収容し島から離脱することになった。

ユキカゼはこの作戦により当初予定していた給油エリアへの到着ができなくなったためと来日したラ・フォリアの帰りの航空機の護衛の為、絃神島へ帰投することになった。

ーーーーーーーーーーーーーー

巡視船の一室に目を閉じたままの少女とその少女に似た少女そして火乃香がいた。

「結局、賢生が夏音を模造天使(エンジェル・フォウ)の被験体にした理由は不明のままか…」

「何を企んでいるのか分からないところが怖いですね」

「賢生が金に貪欲な人ならば話は単純だったけど実の娘同然に可愛がってたから余計に分からない…」

「ん…んん…」

「「!」」

2人の間に重たい沈黙がのしかかる中夏音が意識を取り戻し、ゆっくりと目を開けた。

「こ、こは?何処でした…か?」

「夏音!ここはコーストガードの保有する巡視船の一室だよ。それより気分が悪かったり痛いところとか体が変なところはある?」

「大丈夫でした」

「そっか…一応医務官を呼ぶから少し見てもらおう?」

「はい…それと火乃香さん…私…私は…貴方を傷つk「気にしてないよ。辛い思いしたよね…?泣いてもいいよ」…うっ…」

不安そうな瞳で火乃香を見つめる夏音をそっと抱きしめながら背中を優しくさする。そしてひとしきり泣いたところでラ・フォリアが声をかけた。

「叶瀬夏音さん…初めまして。私はアルディギア皇女、ラ・フォリア・リハヴァインです。本日は貴女とお話しがしたいと思い訪ねた次第です。」

急に目の前に現れた自分と瓜二つの少女に目を丸くしながらも夏音はラ・フォリアの話を聞き入れた。

自分はアルディギア前国王の隠し子だったことや前国王の妻は夏音を王族として受け入れたいと言う話をしたが王族としてではなく一般人として生活したいことを話したり診察してもらった後の医務官と打ち合わせを終わらした火乃香に打ち解けた夏音とラ・フォリアが火乃香にどちらを選ぶかと言うことで詰め寄ったり、世間話で盛り上がった。ひとしきり笑いあったところで那月が入室してきた。

「さて、談笑しているところ悪いが叶瀬夏音には決めてもらわなければならないことがある」

「はい」

緊張した空気が部屋の中に流れた。

「メイガスクラフトが解体されることになった。そして必然的に社宅も売却される。そしてお前は色々と狙われる事になる。そこにいる腹黒王女の誘いを断った今、お前を保護する者がいない状態になる。

そこでどうだ?私の家に来ないか?」

「え…でも…」

「うちに来れば物理的に守ることもできるし、何より火乃香がいる。悪い話ではないだろ?」

挑発するかのように話す那月を見ながら火乃香は苦笑した。そこまで言ってしまったらもう彼女の答えは決まってしまったも同然だろう。

一回火乃香を見て俯きながら呟く。

「あの…よろしく…お願いします…」

その姿に苦笑しながらも南宮家がまた一段と賑やかになるなと感じた火乃香だった。

ーーーーーーーーーーーーーー

絃神島コーストガードの基地についた後、ラ・フォリアが雪菜と古城を抱きしめ出迎えにきていた浅葱に詰め寄られていた。

「ちょっと!あんた古城約束破ったわね!それにあの人は誰よ!」なんで叶瀬さんのそっくりさんがあんたに抱きついてるのよ!」

「ちょ!しらねぇよ!」

修羅場になる2人に目を輝かせながら地味に喜んでいる妹の凪沙と言うなんともカオスな空間の中に火乃香がわって入った。

「あれは欧米式の挨拶だから」

「火乃香、また改めて貴方の家に伺いますね」

「あぁ、わかったよ来るとき連絡してくれればこっちも助かるよ」

「えぇ、わかりました。でもしばらく後処理で会えそうにありませんね」

いたずらな笑みを浮かべながら流れるように火乃香を抱き寄せ唇を奪った。

軽くキスをしたあと名残惜しそうに顔を放した。

「お、おおおおぉおおま!」

「ちょ!火乃香!?あ、あんた…!夏音ちゃんがいるのに…!」

「これはもしかして!はなちゃんをめぐっての泥沼の三角関係に…!」

若干1名何か良からぬことを期待しているらしい。

「お姉様!抜け駆けはしないでください!」

「あら、別に良いじゃない♪」

それにと耳に近づけ何かを囁いた瞬間夏音が赤面した。また良からぬことを囁いたのだろう。

騒がしつつも日常が戻ってきた事に嬉しさがこみ上げる。

だがしかし、この静けさは嵐の前の静けさでもあった。

 




次回は日常回やりますー

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