ストライクザブラッド~ソードダンサーと第四真祖〜   作:ソードダンサー

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みなさん大変長らくお待たせしてすみません。
中々、アイディアが舞い降りずにダラダラ書いてました…。
そして気づいたらUAが7000超えで作者びっくり!こんな駄作を読み続けてくれた皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです!



天使炎上5

「kryyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyy!!!!!!!!!!!!!」

夏音から人が出せる音とは思えない機械的な音が発せられ、その光景をベアトリス達は見て高らかに笑っていた。

「古城!夏音には眷獣が効かないぞ!」

「やって見なきゃ分かんねぇだろ!疾く在れ、獅子の黄金(きやがれ、レグルス・アウルム)!」

電気を放ち上空から凶悪な爪を模造天使(エンジェル・フォウ)となった夏音に襲いかかる。

「?!」

夏音が素早く反応し、獅子の黄金(レグルス・アウルム)を光の矢で撃ち抜き消滅させた。

「貰った!破魔・龍王刃!」

辺り一面に立ち込める水蒸気に紛れ黒鋼に霊力を練り上げ刀身に血を流し込み居合術で空中を斬った。

霊力の衝撃波は真っ直ぐ夏音を縛り付けている術式に向かったが、あと一歩のところで効かなかった。更に血を刀身に流し込みながら雪菜と古城に合図し、古城は二体の眷獣を合成させ夏音へ攻撃を加える。

直接のダメージはなかったみたいだが以外と威力があったのかよろめき地面へ堕ちた。

その隙を逃すまいと火乃香と雪菜はそれぞれ得物を構え走りだし、夏音の背中についている不気味な目玉模様の羽を切り落としにかかる。

「ぬぁ!?」

夏音が本能的にこの場の最も脅威となりうる火乃香を蹴り飛ばした。

「大丈夫か火乃香!?」

古城が駆け寄り火乃香に肩を貸す。

「いってぇ…。少し腹にきた…久々にこんな強烈な蹴りを浴びたわ…」

ヘラヘラと笑いながらお腹を抑えながら立ち上がる火乃香を感情の失くした夏音はじっと見ている。蹴られたところから赤いシミが服に広がっていた。

「酷いなぁ…分かっちゃいるけどこうも拒絶されると落ち込むよ…」

遠くではラ・フォリアとロウ・キリシマが殺り合っている。だが体格もさることながら既に弾切れを起こしている呪式銃で勝てる見込みは限りなくゼロに近く、一旦体制を立て直すため火乃香達はゆっくりと後ろに下がり固まる。

その間ずっと動かない夏音は突然苦しみだし、感情が爆発した。

「いかん!堕天仕掛けている…!」

「ッチ!一旦下がるよ!」

賢生たちはその場を離れ、後に残った火乃香達は雪菜とラ・フォリアによって生み出された障壁で外の吹雪から身を守った。

南国の島は一瞬にして氷の塊に姿を変えたのだった。

「火乃香大丈夫ですか?」

「あーまーなんとか…死なことは無いだろうけど…手持ちの道具でどうにかできるかといえばわからないなぁ…取り敢えず刺さってる枝を摘出しなきゃ」

そう言いながら枝をゆっくりと取り出した。その瞬間、出血が酷くなったが構わずに手持ちの銃弾を取り出し火薬と鉛弾を分解し火薬を傷口に入れライターでその傷口を燃やした。

「!!!!!!!!!!!!!!」

表現することができないほどの痛みを味わう。その姿を見ていた3人は苦い顔をしながら火乃香を見ていた。火薬による傷口の消毒を行い、包帯を巻きモルヒネを打ち込みゆっくりと立ち上がる。

「これで暫くは戦える。古城、雪菜の血を吸っとけお前の中にいる眷獣を呼び起こす。安心しろ見ないから」

「いやいやいや何いきなり言ってんだよ!」

「そ、そ、そそうですよ!セクハラで訴えますよ!?」

「お前らは平和ボケしすぎだ!バカか!お前の中にいる眷獣に空間ごと食い荒らすやつがいただろ?あいつを掌握しないと夏音に掛けられた術式を完全に排除することができないんだよ…それと俺はしばらく眠る多分五分くらいだと思うからそれまでに決めてくれ」

そう言い残し火乃香は眠りについた。

古城の中に存在する

 

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火乃香は深い心理の底にいた。上と下の感覚も無ければ右や左すらわからない。何1つ光が存在していないのになぜか回りが良く見える。身体はふわふわと浮くような感覚はあるのにしっかりと地面を歩いている宇宙空間とは全く違った、この世の物理法則すら通用しないような不思議空間にいた。

「…………」

こんなに不気味な空間なのにどこか暖かい感覚に包まれ、どこか安心できる。いつの日か失った温もりに包まれながらゆっくりと目を開けた。

火乃香が目を開けたと同時に目の前から声が聞こえた。

幼い少女の声、見た目は十そこそこだろう。巫女服を着た黒髪のストストレートロングの少女だ。

「久しぶりだねぇ火乃香♪」

「嬉しがらないでくれ…」

「なによ!折角の感動の再会なのに!誑しの火乃香って呼んじゃうぞ♪」

いつもこうだ。目の前の少女は人をからかう事を何よりも楽しみとしている。

黒鋼(・・)あまり時間がないんだ。状況は見ていただろ?あとでいくらでも相手するから今は力を貸してくれ」

「黒鋼って呼ばないで!火乃香がつけてくれた名前で呼んでくれなきゃやだー!」

「…はぁ、黒歌…頼む夏音のあの術式を切断するために力を貸してくれ」

黒歌、火乃香がずっと昔この黒鋼を手にし、初めて彼女と出会った時にそう名付けた。

「よく出来ました♪では、私の力を解放する為の対価を提示しなさい」

今までの巫山戯た様子から一転し、真面目な様子で対価を要求してくるその姿は神秘的なものだった。

「対価は俺の寿命(・・・・)だ」

「貴方の寿命、あと何年かわかってる?」

「あぁ…」

「…………いいわ、貴方の今の寿命の5分の1である8年分を対価として受けとるわ…」

対価として寿命を5分の1持ってかれる即ち、火乃香は対価として渡す前は40年分の寿命だった。そして現在の残りの寿命は32年。

どんなに頑張っても彼は48歳で死ぬことになる。

だんだんと意識が遠のいていく中、目の前の少女は涙を流しながら儚い笑顔を見せている。

「もう…これ以上自分を傷つけないで…あ……を………る………」

声が聞こえなくなりゆっくりと意識が暗転した。

 

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「んっ……」

後頭部に柔らかい感触が伝わる。数回瞬きをし、まるでカメラのピントが合うように朧げにだが火乃香を見る顔が徐々に見えてきた。

まず先に目についたのが目の前には服の上からでも十分分かる豊かな山脈が見える。

色素の薄い髪の毛をした男子1人に銀髪ロングの少女が1人と黒髪セミロングの少女が1人見えた。

状況がはっきりしてきた。現在火乃香はラ・フォリアに膝枕されている挙句に頭をずっと撫でられていたみたいだ。かなり頭頂部に違和感があるのは言わないでおこう。

「気がつきましたか?火乃香?」

「あぁ、何とかな、それと膝枕ありがとな。絃神島に着いたらなんか礼をしなきゃな」

「気にしないでください。火乃香の為です。それでも何かお礼がしたいというなら…夜のいt「その話はここではしないでくれ!」冗談ですよ…1割くらい」

なにやら不吉なことを呟いた気がするがそこはスルーすることを固く決意した。

ラ・フォリアのこの手の悪戯にのってしまったらいつ何処で墓穴を掘るかわからないからだ。

何事もなかったかのように火乃香は話題を変えようと古城と雪菜に顔を向けた

「血吸い終わった?」

「「ブッ!!!」」

「何だお前ら俺が気絶してる間血吸ってなかったのか」

「「いや…それは…その…」」

2人揃ってオロオロしているところを見ると血を吸っていないか吸ったが掌握できなかったかのどちらかだろう。

「あら、違いますよ?古城はしっかりと雪菜の血を情熱的に吸ってましたよ」

「ちょ!ラ・フォリア!それは断じて違くてだな…!それはその不可抗力で仕方がないんだよ!」

「違う…仕方がない…ですか…」

また古城のデリカシーのない発言に雪菜が暗黒面に堕ちている。意外と雪菜はヤンデレ気質があるかもしれない…つかあるわ。

「てことは掌握できなかったのか」

「あぁ…」

「しゃーねーなー。ラ・フォリア、悪いがナイフを取ってくれ」

「どうぞ」

ナイフを手渡された火乃香はおもむろに手首に当て、リストカットをする。

「普通は直接首から血を吸った方が効率はいいんだろうが男に吸われる趣味がないから手首で我慢しろ、つっても手首に穴が開くの流石には嫌だから手首から流れる血でも飲んどけ変態」

汚物を見るような目を古城に向けながら血が流れている手首を突き出した。

こう言っては何だが火乃香は男だが格好をちゃんとすれば万人が認める美少女に早変わりなのだ。アルディギアにいた頃はラ・フォリアが面白がってレディース物を着せては街のお忍びに連れ回していた。

アルディギアの人々からは完全に少女と勘違いされ鬱病になりかけの状態で日本に帰ってきた。その時の那月と阿夜は大慌てでカウンセリングを施したり魔道書やら魔術を駆使して精神を回復させようと奮闘していたのはまた別のお話。

「じ、じゃぁ…悪いが頂くわ…」

そう言いながら手首を持ち血を吸い出す古城。

側から見たら特殊なプレイをしているようにしか見えない。

「…!」

急に古城の体が痙攣を起こした。

古城の体に熱いモノが魂を焦がし胃を焼き延髄から脳を一気に刺激する。

古城の体の中で今か今かと暴れ狂う瞬間を待ちわびているかのように、闘志を燃やす眷獣の気配を感じた。

「戦闘準備完了みたいだな」

「あぁ」

互いを見ながら力強く頷く。その姿はたった一人で一つの軍隊を潰す時の覚悟のように絶体絶命のピンチに立たされた主人公たちが反撃に出る瞬間のようでもあった。いや、まさにその状況なのだ。そしてここでもお約束というのがあるらしく、通信音が火乃香の胸にしまってある無線機から鳴った。

「雪風からか…どうした」

『雪風よりシルフへ、捜索目標D103のシグナルを確認しました。ポイント1053-286。これより作戦規定に従い沿岸警備隊(カーストガード)への救助要請を行います。許可を』

無線機からは人工知能が語る機械の音声が聞こえてくる。

「こちらシルフ、許可する。それと追加で当該空域の哨戒を頼む」

『雪風、roger、over』

雪風への作戦指示を終了させた火乃香は、刀を持ち周りを覆う氷のドームを破壊し随分と久しく感じる太陽光を体に浴びせた。

その頭上では、戦闘機のエンジン音とともに特殊電子戦闘機が旋回していた。

目の前には既に再上陸を済ませた叶瀬賢生を先頭にロウ・キリシマ達が待機し、睨み合う両者の横には天にも届くほどの氷の柱とその頂点に目を閉じたまま凍りついた火乃香にとって最愛の人である夏音がいた。

「ここから先は、俺のケンカだ!」

「いいえ先輩、私たちのケンカです!」

「夏音を、返してもらうぞ…!」

「人を弄ぶあなた達を、許すわけにはいきません」

それぞれの獲物(想い)構え(抱き)ながら走り出した。




次でこの章も最終回にしたいと思います
第4章は私がずっと書きたかった火乃香の所属するCFFと霞率いるJAMとの決戦と過去を明かしていきたいなと思っています。
ではまた次回!アデュー!
P.S皆さん某朝鮮半島の北に位置する黒電話の髪型をした将軍様から日本列島へプレゼントが贈呈されましたが…怖いですよねぇ特に寝てる時にアラートがなったので作者パニックでしたw

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