ストライクザブラッド~ソードダンサーと第四真祖〜   作:ソードダンサー

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遂にオリキャラの稲垣隼人が物語の進行において出て来ます!
そして前線指揮を執るお方はわかる人にはわかるあのお方です!
そして通算UAが3000を超えました!皆さんこんな酷い文章を読んでくださりありがとうござます!これからもよろしくお願いします!


戦王の使者3

「馬鹿者が!お前はいつもいつも厄介ごとばかり持ってくる!ただでさえ忙しいと言うのに!」

「那月…火乃香を怒らないでやってほしいんだが…」

怒り狂う我が義姉の那月とそれを宥めている阿夜。

「大体なぜお前が付いていてこうなった!?」

「獅子王機関の剣巫のせいだよ…あの者が、首を突っ込んだからだ」

「そーだよ。姫柊さんが首突っ込んだら自然と力の使えない古城までこの事件に首を突っ込むことになる。それにテロ組織の存在が確認されたら報告するようにと上から言われてるんだ。仕方ないよ」

「くっ…!稲垣め…!火乃香、お前は明日からアイランドガードの仕事をしろ!公欠扱いにしてやる」

「はい、わかりました。本部(HQ)に連絡するね」

そう言いながら火乃香は自室にこもり、与えられた無線機に手をかける。

暗号化された秘匿回線。火乃香はその通信機を使い国連軍本部に連絡を取った。

「IP、No.5、cord30、総司令官への通信許可求む」

「こちらHQ、確認取れた。直ちに繋ぐ待機せよ」

「了解」

暫くするとすぐに通信が切り替わった。

『火乃香か…cord30と言うことは増援をよこせと言うことだな?』

戦闘訓練や剣術稽古をつけてもらった時いつもその声からは厳しい言葉が飛びでたり罵倒されたり怒鳴られたりした。しかしどんなにひどいことを言われてもその奥には戦場で死んでほしくない生き抜いてほしいそんな優しさが巧妙に隠れるほど深みと渋みそして張りのある声が、ヘッドフォン越しに聞こえてくる。

「はい。目標は黒死皇派です。ナラクヴェーラも使用してくると考えられます。例の新型兵器とB-3の使用許可を求めます。」

『許可する。アイランドガードには話をつけておこう。ただし君はCFFではなく国連軍として参加しろ』

「了解です大佐…。そして申し訳ありません…」

『いや君はよくやってくれている、部隊が到着するのは約8時間後だ、本作戦はアイランドガードとの共同だ。国連軍のデイビッド・オウ少佐に任せる。こちらが送る事のできる地上部隊は30名。Bー3に関してはオートコックピットで絃神島に送る』

「はっ!了解であります!稲垣総司令官!」

『よろしい。では』

そう言い残し稲垣との交信が終わった。フゥと息を吐きながらリビングに戻り、事の顛末と捜査資料に目を一通り通したのちガサ入れのために睡眠を眠りについた。

 

 

 

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彩海学園高等部南宮那月の執務室の扉の前で2人の人間が立っていた。

「ここ最上階だよなぁ?なんで学園長より上なんだよ」

そう呟く暁古城は扉を三回ノックしながら入室した。

豪華な執務机に座りながら扇子を扇ぐこの部屋の主人、南宮那月と制服ではなく戦闘服を着て客人用の椅子に座りながら資料を読んでいる火乃香がいた

「那月ちゃんちょっといいーグハッ!」

突然古城の頭に英語の辞書が飛んできた。古城後ろから雪菜も入室した

「私のことを那月ちゃんと呼ぶなといつも言っているだろ!いい加減学習しろ…ん?お前も来ていたのか中等部の転校生。2人揃って何の用だ?」

「なんで火乃香が制服着ないでコスプレしてるんだよ…」

古城は呆れながら火乃香を見た。

「戯け!コスプレじゃない!特殊作戦用の戦闘服だ!」

「悪かったよ…だからそんなに怒んなって」

「まぁいいやで、2人とも何の用?」

「南宮先生に聞きたいことがあります」

「なんだ?」

「クリストシュガルドシュと言う男を探しています」

雪菜がその名を口にした瞬間那月と火乃香は顔をしかめた。彼女の口からその名前が出たと言うことはほぼ100%この件に首を突っ込む気だからだ。

「どこでその名を?」

「ディミトリエ・ヴァトラーだよ。知ってるだろ?」

雪菜に続き古城も話す。火乃香が帰った後詳しい話をヴァトラーから聞いたらしい。

「チッ…余計な真似を」

「教えて下さい、今、ガルドシュはどこにいるんですか?」

「聞いてどうする?」

今度は火乃香が雪菜に鋭く突っ込む

「捕まえます!ガルドシュがアルデアル公に接触する前に!」

那月と火乃香は雪菜の言葉を静かに聞いた。しかし、3人の間に火花が散っている。教師として生徒を危険な目に合わせたくないと言う気持ちのある那月

国連軍としての、CFFの一員としての矜持なのか、はたまた、助教としての役職に就き彼女を指導した身として、たった一回の実戦でいい気になり戦死する彼女の姿が目に浮かぶ火乃香。

そして、ガルドシュのテロを阻止するのは魔導犯罪を取り締まる獅子王機関の…自分の仕事であると思っている雪菜がいる。

そんな緊張感に満たされた空間に抑揚のない声が響く。

「お待たせしました」

「あ、お前…」

「アスタルテ…さん?」

雪菜と古城が驚き声を上げる。アスタルテが紅茶を運んできたらしい。やはりメイド服姿だ。

「あぁ、お前ら顔見知りだったな…そいつらにお茶なんかいらない。それより私に新しい紅茶を」

「俺にも頼む」

命令受託(アクセプト)

そう言いながら火乃香と那月の分の紅茶を入れ直す。

「なんでここにいるんだよ」

「アスタルテは現在3年間の保護観察処分中だ。国家攻魔師であり教育者である私が身元引受人になるのは理に叶っているだろ?ちょうど忠実なメイドも1人欲しかったところだしな」

「明らかに最後の一言がメインの理由だよな」

古城は呆れながらドヤ顔で説明する那月をよそに新しく注がれた紅茶を2人に配るアスタルテを見ながらため息をついた。

「それで、ガルドシュの居場所は?」

雪菜がそう口にした瞬間火乃香は口を開いた。

「必要ない。奴らは俺たちが処分する。それにヴァトラーは真祖にもっとも近いと呼ばれている化け物だ。奴らは何もできやしない。連中があてにしていたナラクヴェーラも使い物にならないしな。」

「火乃香の言う通りだ。無数の文明を滅ぼした神々の兵器なんだが、カノウアルケミカル社という所がその制御法が書かれた石版とともに密輸していてな」

「密輸?まさか黒死皇派がそれを奪うためにこの島に?」

「奴らの目的を考えれば手に入れたいのは当然だろう」

「それで、そのナラクヴェーラはどこに?」

「さぁな、すでに強奪された後だ」

「そんな…」

雪菜が嘆くように呟くが、安心しろと言わんばかりに火乃香が那月に続き語る。

「まぁお前らの心配には及ばない。石版の解読は世界中の言語学者や魔術機構でも…それこそ図書館やCFFの諜報班ですら解析しても解読の糸口すら掴めなかったブツだ。頭の悪いテロリストには解読できない」

「それに解読に協力した研究者はすでに捕獲済み。強奪されたナラクヴェーラや石版は島の外に持ち出された形跡はない。既にアイランドガードと国連軍の合同部隊が虱潰しに潜伏場所を探し、サブフロートの一角にそれらしきものが隠されているという報告を受けた。私達もこれから向かう所だ」

「え!?火乃香、授業はどうするんだよ!?」

「公欠扱いだ」

「兎に角手出し無用だ」

「待ってください!」

それでも雪菜は引き下がらない。それに呆れたのか那月は乱暴にティーカップをソーサーに置きながら標的を古城に絞る

「それより暁古城。お前は自分の心配をしたら如何だ?」

「俺?」

何が何だかさっぱりわからない風に呟く。

「ディミトリエ・ヴァトラーは真祖に次ぐ第2世代の吸血鬼だ。今までに吸血鬼を2人も喰っている。お前も喰われないように気をつけるんだな」

そう言い残した那月は火乃香とともに目の前で消えた。

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サブフロートではアイランドガードと国連軍の合同部隊が黒死皇派との間で激しい銃撃戦を繰り広げていた。

この戦場では主に銃を扱う戦場だ。銃弾が飛び交う中で火乃香は刀一本持って突っ込むようなバカはしない。

サブフロート前に建てられた簡易司令室で本作戦の国連軍の指揮をとっているデイビッド少佐に現状の確認とB-503についてそして国連軍の新兵器である『ソニックミサイル』を受け取る。

『ソニックミサイル』とは携帯型ミサイル発射装置から弾頭を発射させアクティブレーダーホーミングとパッシブレーダーホーミングの二種類の誘導システムを取りさらに赤外線と紫外線で目標を探知し、まっすぐに目標に突っ込む。

魔力障壁などに阻まれた場合、図書館と国連軍研究開発班の合同開発によって完成したどんな魔力障壁も無効化するシステムが作動し、振動弾を打ち込む。

打ち込まれた振動弾は装甲に張り付き物質の固有振動数を算出し共鳴反応により兵器を破壊する。

テロリストなどが魔導兵器を手にした場合の国連軍の切り札として開発されたものだ。

火乃香はそれを背負いながら前線へ出張った。

前線では既に何人かの負傷者が転がっている。激しい銃撃戦の中、火乃香の愛銃であるHK416Dに取り付けたダッドサイトを覗きながら照準を合わせ弾を撃っていく。

銃本体から伝わる強烈な反動を感じながら次々に目標を排除していく。

周りの兵士達は火乃香をみて「いけるぞ!」「押せ!押せぇ!」「奴らを無力化しろ!」などなど、指揮が上がっていく。

しかし、火乃香にとってそれはどうでも良いことだった。

ただ生きて帰るそれだけを目標に、ひたすら銃を撃ち続けたのだった。

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火乃香が現場に到着して既に2時間は経過している。そろそろ火乃香の持つ銃の弾が無くなった来て残り30発マガジンが3本となりきつくなり始めたところで無線がなった。

「こちらデルタワン、如何した!」

『デルタワン、緊急事態だナラクヴェーラが起動した!それと、暁古城と煌坂紗矢華がそちらに向かってる!2人の保護と部隊の撤退だ!』

デイビッド少佐が焦っている。

「なに!?無理だ!こっちは残弾数が残り少ない上に負傷者が大勢いる!こいつらを抱えての撤退は更に被害を大きく拡大させるんだぞ!」

火乃香も焦りが見える。残弾数も残りわずかで負傷者を大量に抱え込んでしまだだ状態で、ゲリラ戦を行いながら撤退するには、圧倒的に戦闘員が足りないのだから。

『火乃香!よく聞け!お前達はナラクヴェーラの試運転のためにおびき寄せられたんだ!負傷者を見殺しにしてでも戻ってくるんだ!』

那月から伝えられた事実に火乃香は固まるしかなかった。

戦場で機能停止した瞬間その兵士の命はなくなる。そう稲垣隼人に教えられた。

にも関わらず、動けなくなった。

なにせ自分たちは古代兵器の試運転のために用意されたエサだと知らされたからだ。

火乃香の心には決して小さくない傷と動揺が生まれたのだった。

しかしここで立ち止まってしまっては、やって来るのは確実な『死』のみ。火乃香は感情を押し殺しながら命令を承諾した。

「了解!こちらデルタワン!緊急命令!全部隊に通達!直ちに退避せよ!負傷者を置いてすぐにその場から離れろ!ナラクヴェーラが起動した!」

火乃香は全部隊の無線に指示を出す。混合部隊は必死にその場から走り出した。火乃香もまたその場から離れるべく全力で走り抜けた。

そのわずか数秒後火乃香達デルタ分隊が盾にしていた装甲車にナラクヴェーラのレーザーが当たった。間一髪で死なずに済んだ。

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火乃香達デルタ分隊が那月達の元に駆けつけた時倉庫の上にはヴァトラーがいた。

「あれが火を噴く槍か…いい感じの威力じゃないか」

バトラーは拍手しながら標的を品定めしている。

「いつまでここにいるつもりだ!ヴァトラー!自慢の船は如何した!」

古城は怒りに震えていた。

「オシアナス・グレイヴかい?ガルドシュ達に乗っ取られてしまってネ。命はかながら逃げて来てネ」

「黙れよ!クソホモ!ワザとなんだろ!?お前はいつもいつも余計なことばかりしてくれる!貴様のせいで!部下が何人死んだと思ってやがる!ぶっ殺してやる!」

火乃香の全身は怒りで震えている。

もし今、火乃香の手元に黒鋼か白鋼があれば直ぐにでも斬りかかりに行っただろう。

那月はため息をついている。

「そう怒らないでヨ、火乃香…それと逃げて来る途中でこんなのを拾ったんだが」

そう言いながらヴァトラーの足元に倒れていた人を古城に投げつけた。その人物を見た瞬間古城と火乃香は驚いた。

「「矢瀬!」」

「あれ、もしかして知り合いだった?まぁ安心してくれそいつは死んでいない。それとナラクヴェーラはボクが責任持って破壊する」

ヴァトラーはそう言いながら倉庫から飛び降りながら眷獣を呼び出し合成させた。

「まてクソ野郎!」

火乃香が止めようとした時古城の携帯が鳴り響いた。相手は浅葱からのようだが電話口でしゃべっているのは雪菜だろう。

何度か頷いた後古城は携帯をしまいヴァトラーに声をかけた。

「おい!ヴァトラー!お前は手を出すな!あいつは俺が相手する!」

「他人の獲物を横取りするとは、礼儀知らずだネ」

「それを言うなら、他人の縄張りに入って来て勝手に暴れているあんたの方が礼儀知らずだろーが!お前の出番は俺がくたばってからだ!」

「ふむ、そう言われると言い返せないナ、なら健闘を讃えて君にプレゼントを使用じゃナイカ」

そう言いながら合成眷獣から魔力を放ちサブフロートとギガフロートをつなぐ橋を破壊しサブフロートを孤立させた。

「これなら気兼ねなく戦えるだろ?」

「あぁ…那月ちゃん混合部隊の撤退状況は」

そう那月に聞いた所那月が火乃香を見つめる。

「ここにいるデルタ分隊を除いてギリギリサブフロートから離脱できた」

「そうか…火乃香達も早く…」

「バカ言え、こちとら伊達に生死をさまよう戦場に身を委ねてる訳じゃない。いざとなれば俺たちは自力で泳いで帰ることもできるし死ぬ覚悟だってある。それにこいつの性能実験もまだだしな」

そう言いながら背中に背負っている携帯ミサイルを触る。

「そうか!なら行くぞ!」

古城と火乃香は同時にナラクヴェーラに向かって走り出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回で戦王の使者篇を終わらせたいなぁと思いますではまた次回!

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