ストライクザブラッド~ソードダンサーと第四真祖〜 作:ソードダンサー
「アッハハハハハハハ!ヒィ〜!古城っ!まじで?ネタ?寝言なら寝てから言ったほうがええで?」
南宮火乃香は朝の清々しいモノレールの中で爆笑していた。
「っ!?そんな笑う必要あるか!?仕方ないだろ!あれは事故だ!」
「だって…!絵に描いたようなラキッキースケベだもん…ククッ…
笑うなってほうが無理だわ!それに事故で済ませるってお前なあまりにも酷すぎるぞ」
火乃香が笑っている理由それは、今朝暁家の食卓には古城と凪沙以外にもう一食分の朝食が用意されていたので、母親が帰ってきたのかと思いながら凪沙の部屋にノックもなしに突入。部屋の中では彼の妹の凪沙とそのクラスメイトで古城の監視役である雪菜が近々彩海学園で行われる球技大会の応援のためのチア衣装の採寸をしていた。
つまりは下着姿であり、その中に男性が突入してくればどうなるか…。賢い読者なら分かると思うが、凪沙からは罵倒され雪菜からは腹パンを喰らい古城は朝からHPをゴリゴリと削る羽目になったのだ。
「南宮先輩!そんなに笑わないでください!それにあれは先輩がわざとやったわけでもないと思いますし!」
雪菜が真っ赤にしながら抗議の声を上げる。
「雪菜ちゃん!ダメだよ!こんな変態を許しちゃ!ほのちゃんも何か言ってあげてよ!」
「古城よ、女性の部屋に入るなら必ずノックをしてドアを開けていいか確認してから開けるものだ」
「けど妹だぜ?」
「アホか!妹だからだよ!家族だから余計にだよ!もし那月姉さんの部屋にノックもなしに入ってみろ……。マンションの屋上に上半身裸で鎖で拘束されて炎天下の中水一滴与えられずに干されるんだぞ!数時間経ったら大量の塩を体に塗ったくられるんだぞ!マジで辛いんだぞ!一度体験してみろ!つか体験させてやるか!?」
どんどんヒートアップしていく火乃香。以前火乃香は那月の部屋にノックもなしに突然ドアを開けたら丁度着替えの最中だった那月がいて、ひどく怒られた。罰が必要だということで頭を悩ませていたところ、偶々顔を出していた火乃香の師匠である稲垣隼人から
「それなら、昔テレビで見た世にも奇○な物○の懲役3○日に出てきた拷問でもやらせたらどうです?」
なんて事を言われてしまい火乃香はその拷問を受けることになった。
「ほのちゃん…お疲れだったね…」
「あれは本当に死ぬかと思ったよ〜…塩が沁みる沁みる…どうだい?古城?古城ならいけるっしょ?」
「やめろや!死ぬだろ!まじ勘弁だわ!」
「フリか?フリなんだな?流石は我らが古城だ!芸人魂が熱いねぇ!」
「南宮先輩!それいいアイディアですね!先輩?その拷問受ければ少しはそのヤラシイ考えが改まるんじゃないんですか?」
「ヤやしくねぇーし!」
こんな感じで朝のモノレールは楽しい。後輩2人が古城のツッコミに笑っている時、火乃香に悪寒が走った
「っ!」
「?どうしたんだ?」
「いや…なんでも…ない…けど、誰かの視線と気配と殺気と感じてはいけない何かを俺の第六感が感じ取っただけ…」
「おいおいおい大丈夫か?」
「わかんない…」
そう言いながら火乃香はモノレールの外を見る。太平洋のど真ん中に浮いているだけあるこの島は外を見れば綺麗なオーシャンブルーの海が見える。そんな中港に見慣れぬクルーズが一隻停泊していた。
(うわぁなんかやな予感がするんですけど…マジ面倒ごと勘弁…)
なんとなくその正体に察しがついた火乃香だった。
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火乃香たち4人は校門で別れ、高等部の生徒玄関にいた。
「火乃香さっきから顔色悪いが大丈夫か?」
「あ、あぁ大丈夫だ、問題ない」
「そうか」
「…」
「2人ともおはよう!」
古城と火乃香の間に割って入ってきた明るい声の主は藍羽浅葱だ
「おはよう浅葱」
なんとかいつも通りの声色で挨拶をする火乃香
「よぉ浅葱おはようつかなんだ?その荷物?」
「これ?バドの道具よ!姉貴に貸してもらったんだ多分学校の備品じゃ足りないと思うから」
「ヘェ〜浅葱は気がきくんだな」
「そうよ私は綺麗で優しくて気がきく女子高生なんだから」
「それ自分で言うのか?」
「うっさい古城。それとこれ教室に運ぶの手伝って」
「はぁ!?俺だけかよ!?火乃香にも持たせろや!」
「あんた!病気には無縁のあの火乃香が顔色悪くしてんのよ!?少しは気を使いなさいよ!だから周りからいつもいつも呆れられるのよ!?」
「それは関係ねーだろ!」
「2人とも、邪魔になってるよ」
朝の玄関で騒いであればそれはもう注目の的だろう。そそくさと古城と浅葱は教室に行き火乃香は溜息を吐きながら教室に向かった。
「お!当事者2人が道具を持って現れたぞ」
髪を逆撫でし首からヘッドフォンをぶら下げる男矢瀬基樹
「これは運命かもしれないわねぇ」
委員長の築島倫
「「はぁぁぁぁ!?」」
騒いでいる中火乃香はボケーっとしながら黒板を見る。そこに書かれたのは『バドミントン男女ダブルス暁古城藍羽浅葱ペア』だった
(なるほど球技大会のペアか)
そんな事を思いながら席に着くわちゃわちゃと基樹が責められている。火乃香は高みの見物を決め込むことにした。しばらくバカップルぶりを見てニヤついている火乃香のそばに1人の女子生徒が近づいてきた。
この騒ぎを起こした元凶の片割れである築島倫だ
「どーしたのー?委員長」
「火乃香君はまた今年も審判よろしくね?」
「Aye,ma'am」
火乃香は球技大会に参加しない。一般男子高校生よりも高い身体能力を有しているからだ。その代わりサッカーの審判をいつもやっている。理由はいろいろあるが主に2つだ
1つは火乃香の動体視力によって正確な審判を下すことができる。基本的な事は別に構わないのだがファウルについては正確に判断していかなければならないので、火乃香が抜擢された。
そしてもう1つは熱くなりすぎたプレーヤー同士の乱闘にならないようにするための抑止力だ。、これに関しては常に帯刀している火乃香だからこそできる事である。滅多なことでは抜刀しないし、周りも重々承知してはいるものの、それでも、刀に手をかけられればどんな人間でも素直に黙り込むからだ。
球技大会でサッカーの試合といえば常にグダるイメージだが火乃香という存在がいるのでスムーズに試合が進む。
「今日は屋上で昼寝だなぁ」
「ダメだよ火乃香君?聖女ちゃんに言っちゃうよ?」
「アー…それは…勘弁」
(あの日から電話なら大丈夫だけど面と向かっては若干夏音と話すのが恥ずかしいんだもん…)
盛大にやらかしてしまったのだが夏音は今まで通り接して来てはくれているものの火乃香は若干ギクシャクしている。
ふと古城たちを見るとまだ騒いでいた。
そんなこんなでこの出来事南宮那月が教室に入り、古城と基樹に扇子で殴られるまで続いたそーな。
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色々あって現在は球技大会の練習時間だ。火乃香は現在屋上で絶賛お昼寝中である。
しかし感覚だけは研ぎ澄ませている。その甲斐あってか、侵入者にすぐに気がついた。
「今朝俺たちを見ていたやつだな?出てこいよ?今なら何もしないから」
そう警告をするとその侵入者もとい追跡者は素直に姿を現した。
「お久しぶりですね助教」
「煌坂さんか…もう少し気配を消したほうがいい。それじゃすぐにバレるぞ。」
「ぐっ!善処します…!」
「そんで?何の用だい?」
「アルデアル公より招待状を預かってきております。どうぞ異性のパートナーと一緒に来てください。」
「うわぁ…ホモ野郎からかよ…どーりで今日調子悪かったわけだ…。
ねぇこれ本当に行かなきゃダメ?」
「来てくださいっ!では私は暁古城に渡して来ます!」
「あ、そうだ煌坂さんや、古城が雪菜の下着姿見たらしいで?」
「ーっ!?殺す!暁古城!絶対に殺してやるっっっ!」
「ワーオ戦闘力が53万になっちゃったよ…」
煌坂紗矢華は物騒な事を言いながらフェンスから飛び降り体育館の方はと走っていった。勿論その後に魔力を感知したのは言うまでもない。
「でもどーすっかなー…パートナーかーアスタルテは…ダメだあの子には早すぎる…那月姉さんは最近忙しいみたいだし…阿夜姐なら暇…かな?」
念のために那月に相談したが阿夜を連れて行けと言われ、阿夜を誘ったら二つ返事でOKしてもらえたのだった。
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「
タクシーから降りた黒いタキシードを着た色素の薄い髪をした少年暁古城は港に停泊しているクルーズを見ながらそう呟いた
「あの…この服やはりおかしくないですか?」
恥ずかしそうにそう言うのは肩と背中が大胆にさらけ出てさらにスカート丈も短いドレスを着た姫柊雪菜だ。
「いや…そんな事はないんじゃ…!」
「先輩は何をいやらしい目で見ているんですか!?」
古城が雪菜に放った言葉を曲解してしまった雪菜は雪霞狼を古城に突きつける。
そんな中、魔法陣が展開され2人の人物が現れる
「古城…また姫柊さんにセクハラしているのか…?懲りないなぁ」
「そうだな火乃香よ。暁古城…そう言うのは優麻にやってあげれば良かろう?姉である我が許可しているのだ…遠慮するでない」
「!?火乃香…!?阿夜さん!?なんでここに!?」
そこに現れたのは普段ならば中性的な顔をしている火乃香だ。がしかし、礼服を着て髪を後ろに纏めているのでどこからどう見積もってもイケメンにしか見えない。そしてその隣には仙都木阿夜がいた。いつもの和服ではなく白く雪菜のように露出度の高いドレスではなくおとなし目のドレスを着ていた。大人の女性を醸し出している。古城の顔が見る見るうちに赤くなっていく。
「オマエは我に欲情したのか…?」
イタズラっぽく微笑む阿夜。
「いや…それは…ち、ちが…げっ!?」
「せ〜ん〜ぱ〜い〜!!!!」
鼻血が垂れそうになるのを必死にこらえている古城の横で未だに雪霞狼を突きつけ続けている、雪菜の表情は先ほどのテレの表情とは違い鬼の形相のようだった。
「お前ら早くいくぞー」
呆れ果てた火乃香は阿夜を連れて船へと乗り込んだ。
船へ乗り込んだ古城たちはまず会場となるホールへ足を運んだ。シャンデリアが天井からぶら下がっておりテレビでよく見る顔が大勢いる。
「なぁ…俺たち場違いすぎやしないか?」
「いいえ、戦王領域の貴族がこの島に来てまず訪れなければ行けないのはこの島の持ち主である第四真祖の所です。」
そうきっぱり言う雪菜。
「しっかし…火乃香と阿夜さんは顔が広いな…」
古城の見る先には和やかな笑顔を浮かべ握手をする火乃香の姿があった。
「あの人は稲垣教官や南宮先生ののツテで顔がすごく広いですからね、それに阿夜さんも阿夜さんで顔は広いみたいですしね」
現在火乃香と阿夜が合っているのは
「いやー悪いね知り合いがいたから挨拶しておこうと思ってね」
ハハハと笑う火乃香と阿夜の手にはたくさんの料理が盛られた皿があった。
「火乃香…それ食うのか…?」
「当たり前やでー」
「南宮先輩!遊びに来たわけじゃないんですよ!?」
「わかってるって」
そんな会話をしている4人に1人の影が忍び寄る。古城ほど色素が薄いわけではないブラウンの髪をし、チャイナドレスを着た少女がナイフを持って古城の元に忍び寄る
「せいっ!」
「うぉ!危ね!何しやがるんだ!?」
「うっさい!この変態!私の雪菜にその薄汚い手で触れないで!」
「変態って!それに薄汚くねーし!」
いがみ合う2人に対し雪菜は目を見開きながらチャイナドレスを着た少女に尋ねる。
「紗矢華さん…?」
「はぁぁぁ雪菜ぁ!雪菜!雪菜雪菜!すんすん、すんすん」
「さ、紗矢華さん…その…離れてもらえますか?それに匂いを嗅がないでください!」
先ほどまでの雰囲気とは打って変わり雪菜に抱きつきモフモフしながら匂いを嗅ぐ変t…もとい煌坂紗矢華。そんな2人に飽きれた古城は紗矢華に手刀をいれる。
「痛っ!何するのよこの変態!私と雪菜の甘い時間に邪魔しないでくれる!?」
「あの…紗矢華さん…?時間がないのでアルデアル公の場所に案内してくれませんか?」
「わかったわよ…助教と仙都木さんとそこの変態も付いて着てください」
「あぁわかった…それと煌坂さんこの船には花火を打ち上げるための装置が積まれているのかい?」
「?いいえ積まれてないはずですけど…急にどうしたんですか?」
「いや…なんでもない」
「?わかりました」
火乃香が感じ取ったのは会場の中に漂う料理の匂いの他に若干の火薬の匂いを感じたからだ。
(それにあのウェイター…足運びや息遣い視線…どう見ても一般人ではないな…あの野郎面倒ごとばかり起こしやがって…)
悪態をつきながら紗矢華に案内される火乃香たち4人
こういう外洋クルーズのアッパーデッキというものはなかなかに広い。
閑話休題
アッパーデッキに登ったのは良いが誰もいない。
「誰もいねーな」
「おかしいわね…」
「っ!?危ない!」
無防備だった雪菜を押しのけ襲ってくる蛇の眷獣を殴った。魔力を使ったことで少なからず那月にはばれただろう。
するとすぐに白のタキシードを着た好青年が現れた。
「いやいやお見事この程度の眷獣では傷つける事は出来なかったネ。
御身の武威を検するが如き非礼な振る舞い。衷心よりお詫び申し奉る。我が名はディミトリエ・ヴァトラー。我らが真祖
「死にやがれくそったれ!」
火乃香がヴァトラーと名乗る者に斬りかかった、阿夜以外状況を理解できているものはおらず、ヴァトラーは華麗に火乃香の斬撃を躱した。
「いきなり酷いじゃないカ、火乃香?ボクはこんなに愛しているのに…。でもそこがまたいい。」
「っち…避けてんじゃねーよクソホモが…!貴様の顔を見るだけで吐き気がする…!阿夜姐、こいつぶった斬って良いよね?」
「やめておけ火乃香そいつを殺したところで汚い返り血を浴びて服をダメにしてしまう。其れよりオマエ、なぜ日本に来た?」
「これはこれは図書館の
何やら2人はもともとヴァトラーを知っていたらしい。
「火乃香、そいつ知ってるのか?」
「あぁ。こいつは昔散々俺の事を小突き回して任務に支障をきたしたやつだ。そのせいでこっちは敵に捕まって仲間が殺られちまったんだよ!」
「あの時は悪かったヨ」
「なぁそのヴァトラーはよ、俺たちに何の用だ?」
「おっと失礼、初めまして暁古城…いや、
「ーえ?」
古城と雪菜の目が点になる。仕方のない事だ何故ならいきなり男に求婚されたのだから。
「あーこいつ自分と殺し合いができるやつには次々と求婚してくるからな…気をつけろいつ貞操を奪われるかわからんぞ」
「って!まじかよ!気持ち悪いな!」
「フフフ、そんなに照れなくていいんだヨ?」
「ヴァトラー早く要件済ませろ。大方テロリスト関連だろ?」
「流石ボクの可愛い火乃香ダ。そうだナ黒死皇派という名前聞いた事ないカイ?」
「黒死皇派…だと?」
阿夜の顔が見る見るうちに青ざめていく。同様に火乃香も苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「国際テロ組織…獣人優位主義を掲げるテロ組織サそれがこの島に来てるみたいなんダ。そのテログループが第九メヘガル遺跡から発掘された古代兵器を使ってこの島にテロを仕掛けようとしているのサ。うちのテロ組織ダカラ、手を出さないでほしいナ!」
嬉々としてそんな事をいうヴァトラー。こいつは重度の
国家攻魔官であり魔導犯罪を取り扱う那月の商売敵獅子王機関の剣巫だ。
「その心配には及びません。ここは日本です。魔導犯罪を取り締まるのは我々獅子王機関です。手出し無用です」
「「姫柊(雪菜)!?」」
古城と紗矢華の声がかぶる。しかし雪菜は2人の声を無視し、毅然とヴァトラーと対峙していた。
「へぇ、君が古城の霊媒ナンダ。恋敵はどこまでいっても対峙するんだネ」
「っ!今はそんな事関係ありません!」
「ちょっと変態どう言うことよ!まさか!あんた私の雪菜の血を吸ったんじゃないでしょうね!?」
「し、仕方ないだろ!?緊急事態だったんだし…」
カオスな現場だ。
「ね、ねぇ雪菜?そんなバカな考えはやめて?」
「なら、紗矢華さん、誰がこの件を処理するんですか?」
「そ、それは…」
「姫柊さんこれは
「なっ!?どう言うことですか!?いくらあなたが南宮先生と同じアイランドガードの人間だからですか!?」
「違うヨ、ボクの恋敵。火乃香はそんな組織ではなく国連軍特殊部隊『COMBAT FAIRY FORCE』の戦闘員としてこの話に首を突っ込もうとしてるんダヨ」
「「「なっ!?妖精部隊だと(ですって)!?」」」
阿夜以外の3人は驚きの声を上げる。妖精部隊の名前は世界中に知れ渡っており、絶大な人気を誇っている。だが内情は全くのブラックボックス化していてただその存在があるとだけしか知らない。
「CFFは国際テロ組織に対する殲滅作戦も扱っている。上に申告すればすぐに部隊を動かすことができる。だから
そう言い残し、その場から"消えた"のだった。