「何よ、コレ」
ライダージャンヌが静かに木に背を預け、血を口からとぷりとぷりと流しながら死を淡々と待っている。
「ライダー」
ジャンヌは静かに私に目を向け、聖女のように微笑み自ら消えていった。
「アハハハハ、ザマァ無いわね!」
声の方向に目を向けると、私と同じ姿のジャンヌ・ダルクが血の滴るレイピアを地に刺していた。
なんなの!こいつは!
「あんた、私?ふぅん?その目は殺したいって思ってるの?」
当たり前だ、殺してやる。
散々私の手駒を潰した事を後悔させてやる!
「ふぅん、そう。でも、復讐とか破壊とか。そう言うのって面倒じゃない?」
「私も
「馬鹿になっちゃえば、存外楽なものなのよね、楽しいし」
うるさい!思考放棄なんか馬鹿のすることよ!
「うん、だって馬鹿だもの?そう言えば、マスターが言ってたわね」
「馬鹿に馬鹿って言う奴が、馬鹿以下、むしろ馬鹿にとって馬鹿は天才と同意義」
何を言いたい!
「だから、私はこう言ってるのよ」
「私達は
「
フザケルナァァァァァァァァァ!!!!
「アハハ、さぁ、戦いましょう」
「これは聖戦なのですから」
何故、何故勝てない!
私の方が遥かに強いはずなのに!
「だから、コレが馬鹿と凡人の違いなのよ」
「この物語は、
「
「貴様ああああああああああ!!!!」
私の胸に旗が叩きつけられ、首にレイピアが向けられる。
「どうせだから、アイツの言葉でも借りとくわ」
「“主の恵みは深く、慈しみは永久とこしえに絶えず”
“あなたは人なき荒野に住まい、生きるべき場所に至る道も知らず”
“餓え、渇き、魂は衰えていく”
“彼かの名を口にし、救われよ。生きるべき場所へと導く者の名を”
“渇いた魂を満ち足らし、餓えた魂を良き物で満たす”
“深い闇の中、苦しみと黒鉄に縛られし者に救いあれ”
“今、枷を壊し、深い闇から救い出される”
“罪に汚れた行いを病み、不義を悩む者には救いあれ”
“正しき者には喜びの歌を、不義の者には沈黙を”
“―――去りゆく魂に安らぎあれ、パクス・エクセウンティブス”」
「ジルぅ………こんな……筈……じゃ……」
「精々、楽に逝きなさい。もう一人の私」