「え?」
何を言ってるんだ、こいつ。
「助けないのですか?」
面倒臭そうな顔でこちらに問いかけてくるアヴェンジャー。
「いやいや、アヴェンジャー。助ける訳ないだろう?だって、労力の無駄遣いしゃないか?」
ホント、常識のないお嬢さんだぜ。
普通、助けるわけ無いやん?
「なるほど、なるほど!アハハ、そうなのですね!貴方は偽善者共とは違うようです!」
急に笑顔になるアヴェンジャー。
ラリってんのかな?
「ただの世捨て人の馬鹿と思っていましたが、フフフ!」
楽しいならいいや。
うわっ!?靴になんか入ってる!イシダ!イシダ!
「しかし、どう帰るのですか?」
ん?
「現実世界にです、聖杯戦争ではなさそうですし」
あぁ、そういうことね。
「なぁ、アヴェンジャー。石の上にも三年って言葉知ってるか?」
そうだ、アヴェンジャー1人では無茶がある。
だから、あいつらを利用して、さっさと帰らせてもらう。
なので。
「あいつ等について行くぞ」
「力を試してみたいのですが、はい。分かりました」
苦戦してるみたいだが、順調に勝ち進んでいる様だね。
俺は、高台の上で見張っていたり、エアカンフーをしたりしている。
「なんか、洞窟みたいなのに入ったぞ!」
洞窟は嫌なんだよね。
「どうせ、洞窟を抜けた先に行きたいんでしょう。マスター先回りしますよ」
そう言うとアヴェンジャーが洞窟の横にある斜面を駆け上がっていく。
「ここから登っていけばいずれ着きます。さっさと来てください」
ヒィヒィ、脇腹痛い……頭には何故か豚バラの画像がぁ!
「ヒューヒュー」
呼吸出来へん!口の中が生臭いたくあん風味やで!
「たく、だらしない。ほら、白い奴らはまだ来てないみたいですよ」
そう言うと、アヴェンジャーは怪しい光が噴き出すところへ指を指す。
剣を地面に刺し、目を閉じて来訪者を待っている、黒鎧を着た墜ちた騎士王。
「フン、ラスボスとでも思ってるのかしら?まぁどうでもいいですけど」
黒い紋章を刻んだ旗がパタパタと風に揺らされる。
口角を僅かに上げ、アヴェンジャーは静かな目で旗を見つめていた。
戦闘が始まった。
黒王が放ったビームがなすびのATフィールド的な奴に弾かれており、なんともアクション映画だ。
うに頭の奴が、なすびと一緒に盾を支える。
つまらん友愛ですなぁ!デュフフフフ!
「口調はキモいけど、マスターと同感ね。手伝ったとしても役にさえ立たないのに」
黒王が、宝具を放っているその隙に青い髪のビアスいっぱい付けた杖を持った兄ちゃんが黒王に火の魔法的なのをぶつけた。
黒王が、膝を折る。
このままじゃ負けるだろうなぁ。
「ッ」
何故か、黒王が、しっかりと金色の目でこちらを見つめる。
唇を開き何か喋ろうとしている。
「次はちゃんと話そう、ですって。たく、余程ぼっちなのね」
読唇術使えるのかよ、こいつ。
黒王が倒されると、へんちくりんな男が出てきた。
なんだあいつ。
笑いながら喋ってるが、あいつはウザいな。
そうや!
「アヴェンジャー、あれにこの刀思っいきり投げて?」
刀をアヴェンジャーに差し出した。
「了解です、マスター」
アヴェンジャーが投げやり選手並みにのけぞり、反復するかのように刀を思い切り投げ、刀がへんちくりんの胸元に向かっていき、そして。
「私がグボァ!」
へんちくりんは、何故か足を滑らせ、そして。
「ああああ!助けて!助けてくれぇ!」
へんちくりんが太陽的な奴に落ちて体が半分埋まり、うに頭達に助けを乞うている。
だが、うに頭達はへんちくりんを無視し、そのまま去っていった。
よし。
コツコツと黒王が消えた場所に向かう。
黒い札が落ちていた。
ジッーと見つめるが、特に何もなさそうだ。
「マスター、そろそろ終了みたいね」
俺とアヴェンジャーの体が光りだす。
「あぁ、また会おうぜ、ジャンヌ」
あっ
「なんd」
見渡す限りの草原。
隣にはジャンヌが、寝ている。
そう、何を隠そうここは中世のオルレアン。
俗に言う、フランスだ。