サーヴァントは、英雄である。
英雄であり、ヒーローである。
救国の英雄、神話の英雄、民謡の英雄。
形有れど、全て英雄なのだ。
同時に、反英雄という対極の者も存在する。
暴君、独裁者、殺人鬼等、種類と数で言えば英雄より勝るかもしれない。
では、オルタは何なのか。
名前は純粋な英雄なのに、何か黒いし、やってる事とか反英雄だよね。
答えは、英雄の悪側面である。
英雄には悲劇が付き物で、大抵はろくな死に方しない。
そこで、一部の人は思ったことがあるんじゃないだろうか?
あれ?もし、あの英雄が反英雄だったらどうなってるんだろ。
その考えをそのまま表したのが、オルタである。
決してありえなかったけど、だけどありえたかもしれない英雄の一面。
これは、馬鹿の第一側近、ジャンヌ・オルタのお話である。
馬鹿がいた。
召喚されると、目の前に蝿を正面から見たような顔で驚いた男がいた。
男は、聖杯戦争に興味が無いらしい。
富、名声、女に興味が無いとは、つくづくおかしな男だ。
道中で男が、名前を教えてくれた。
774と言うらしい。
おかしな名前だ。
今度、新しい名前を考えてやろう。
774は、慈愛や優しさは嫌いみたいだ。
現に、そういった発言をした。
774がある話をしてくれた。
ヒトラーという独裁者の話らしい。
聖杯からの知識で、ヒトラーについては少し知っていたが、話によると、彼は道を間違えたと774は言う。
ユダヤ人虐殺を始めなければ。
ヨーロッパ全土を敵に回していなかったら。
独裁をしなかったら。
彼は世に一生残る悪の権化、魔王として語り継がれ、
無様な死に方はしなかっただろうと彼は言った。
馬鹿なのに雑学と考察は好きなようだ。
馬鹿なのに。
彼は、キリスト教が嫌いらしい。
十字軍遠征、強引な宗教の拡大、聖書と比べて実際にやってること矛盾してる。
確かに、私を殺したピエ......何だったっけ。
ピエモンテか。
ピエモンテも、私を捕まえた時、犯そうと躍起になっていたので、ああいう奴を思い出すと、確かに頷ける。
私を倒した。
旗を数撃、レイピア一撃で膝を着いた。
特別に殺さないであげた。
感謝してほしい。
アルトリアは好きだ。
最初は嫌だったけど、今は少し年上のお姉さんみたいな感じがする。
774の名前候補として、少納言と大納言を提案したけど、アルトリアからボツにされた、何か悔しい。
私は外面の口調と内面の口調が合ってない気がする。
皮肉や僻みは言いたくないけど、癖のような感じで言ってしまう。悪い癖だ。
復讐心は薄れている。
ただ、この前に買っておいたジャム付きのフランスパンを774から食べられた時は復讐心が湧いてきた。
アルトリアが言うには、ローマがすぐ近くにあるそうだ。
私もローマは知っている。
あのねじれ曲った屑野郎のピエモンテを聖職者にしたキリスト教でトップのローマ法王の縄張りだ。
ただ、今はまだ法王は居ないらしい。
ざまあみろ。
ずるずる774を引き摺りながら歩いてると、目の前に、いつしかのうに頭が出てきた。
殺るか。