番外編それでも世界は続いてく
世界は救われた、真琴明日歌が帰ってくる事は無かった、それで終わり、それだけの話、彼女達は今日を生きて、明日の為に歌い、世界は廻る。
「戦いが終わったらはいさよなら、って随分薄情者だわコイツ……」
板場弓美はその後、神獣鏡を起動する事が出来なかった。
イカロスによる何らか処置があり一度、二度目は血を吐いて動かせて、三度目のエクスドライブ時にはまるで手足の様に動いたシンフォギアも今ではただのペンダント。
「かーっ!なんとか言いなさいよ!それともアニメみたいに奇跡でも起こらないと動かないわけぇ!?」
かつて起動する為に歌った聖詠にもまるで反応せず、二課改めSONG預かりとなるかと思われたが、一応護身の為に神獣鏡の所持を許されている。
とはいえこうも反応しないとそろそろ別の適合者を探す事になりそうで。
「せっかく、マッキーと同じ世界が見れたのに、マッキーと同じ様に誰かの為に戦えると思ったのに……ひどいじゃない」
「戦うだけが人助けじゃないよ、弓美」
やって来たのは一人の少女。
このSONG本部へやって来れる者など数えるくらいしか居ない。
「あっ、ミッチー……」
「……しょうがない、そのあだ名で妥協してあげる」
「やった」
会う度に変なあだ名を考えられる小日向未来である。
「弓美の事探してたの……けど最近ずっと会えてなくて、司令からテストの為に今日ここに居るって聞いて来たんだ」
「まあ忙しかったからね~アニメの主人公みたいに急にいなくなっても心配しない都合のいい親なんて居ないし、宿題もすごい事になってたし、取り調べも大変だったし……」
「……私も今回は大変だったな~……でもそれは置いておくとして……弓美にはまだ響を助けてくれたお礼が出来てなかったね」
「いいよいいよ、あれだってミッチーが後押ししてくれなかったら間に合わなかった、つまりミッチー自身が助けた様なモノよ」
「それでも……ありがとう」
確かに後悔は無かった、響を助けて、世界も救った。
「でもね、マッキーが……明日歌がいないのよ」
それは心に刻まれた傷だ。
「マッキーと翼さんのやり取りがまた見れるとか、雪音さんを加えてドタバタしてくれるのを期待して、私はあの時付いていった訳だけど……それが見れなくて……私は……それだけが悔しくて……」
混乱が落ち着いて、ようやく親友がいなくなった事を受け止めて、泣き続ける弓美を未来はただ見守っていた。
そこに慰めや励ましの言葉はいらなかった、悲しみを彼女はしっかり受け止めて、そこにいるのだから。
◆◆◆◆
「なあ緒川、俺達はやっぱり頼りないかなあ……」
「どうしたんですか、司令らしくもない」
「いや、調べれば調べる程にいつだってアスカくんは俺達に助けを求められた筈なんだ、そうでなくてもあの場所に至るまで気づいてやれなかった」
「抱え込むのが変に上手でしたからね、アスカちゃん……僕ですら時々出し抜かれましたからね……あれはもう天災としか形容できませんよ……」
「そうなのか、というか一体彼女は何を……」
「翼さんの服の洗剤を違和感がない様に段々と変えたり、脱いだ服を洗濯機に入れるようにさせたり……僕が成せなかった事を……」
「それは……ある意味では凄いな……」
「それはそれとして、結局受け止めた上で今後どうしていくか、彼女が遺したモノで僕らがどう変わるか、それしか無いじゃないですか?」
「……そうだな……とりあえず一段落着いたら装者達にも気晴らしの特訓でもつけてやるか!」
◆◆◆◆
「何見てんだよ響」
「蒼穹のファフナーってアニメ、アスカさんが好きだったんだって」
「そうかよ」
「それでねクリスちゃん……このアニメ、ロボットモノなんだけど……その中であの時の戦いを思い出させる戦闘シーンがいくつかあってね……」
「……それがどうしたんだよ」
「私達が追い詰められた大量の触手、そのまんまのシーンがあるの」
「……続けろ」
「あれはアスカさんの記憶から再現した戦術だったのか、それともアスカさんの意識があってアスカさんが選んで再現したのか気になって」
「イカロスもアスカの記憶持ってたってのが答えだろ、てかもう帰れようちに泊まる気かよ」
「そうかな……そうかも」
「と、DVDは置いていってもいいぞ、どうせ明日もテレビ使いに来んだろ」
「クリスちゃんも見ようね、無印の前半ちょっとキツいし後半心が折れそうになったけどHAEまでは見てね……それとROLには気をつけて」
「わかったから帰れ」
後日、あまりにひどい顔色で登校したクリス、結局体調不良で早退し、翌日にかろうじて復活してたあたり何があったのか大体察した響だった。
装者達のその後とかを……
というかGX編のアイデアが浮かばないのです…