【更新停止】今を生きて、明日を歌う為に   作:ゆめうつろ

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これにてG編は完結となります。


フロンティア事変報告書

 

 日本政府、特異災害対策機動部二課とアメリカFISの報告を国連が擦り合わせ事実確認をした上で『フロンティア事変』の真相とは以下のモノとされる。

 

 

 

 

 『真琴明日香』

 聖遺物『イカロス』を取り込んでいた少女、『ルナアタック事変』までの間『装者』として二課に所属していたがフィーネを裏切ったアリーとの戦闘で戦死したと思われていた。

 

 『イカロス』を取り込んでいた頃、シンフォギア『天羽々斬』による『イカロス』摘出を試行、失敗するがそれは『裁定者』の抵抗によるモノで、その際に『天羽々斬』の欠片を取り込んでいた。

 

 その為か、尋常ではない再生力を持っており(同じ様に融合症例であったガングニールの装者も高い再生力を持っていた)太平洋沖で爆散したと思われていたがハワイにて、当時月落下への対処の為にフロンティアを捜索していたFISに回収される。

 

 その後は一時的に記憶混濁状態にあり『マリア・カデンツァヴナ・イヴ』によって『セレナ』と名付けられて世話をされていたが、フォニックゲイン投与の実験からか『フィーネ』としての意識が覚醒し、当時の研究所に取り入り始める。

 

 その為か当時の研究所所長の意向で『セレナ』としてマリアとユニットを組ませてライブを行う事でフォニックゲインを積極的に集めはじめるが、それは恐らく『フィーネ』が取り入った為である。

 

 しかしその後、日本でのライブの際、フィーネとしての決起の際に『裁定者イカロス』の意識が覚醒、それにマリアは違和感を感じたという。

 

 その後も暗躍を続け、計画が大詰めとなった所で所長を暗殺し、FISの実権を簒奪する。

 

 この時、脅しによって拉致気味に連れてきたウェルキンゲトリクス博士にセレナ(アスカあるいはフィーネ)が「いざという時には私を撃て」と指示をしていた。

 

 事件後になって博士は「あれは既にセレナとフィーネとイカロスの主導権争いになっていたのだろう」と語り、事件時にイカロスが語った「3つの魂」と言う言葉に信憑性を持たせた。

 

 そして事件当日、拉致してきた少女に「神獣鏡」のギアを纏わせフロンティアを解放、用済みとなったFISの面々を始末しようとするが博士によって阻止され海上へ落下。

 

 しかし、死亡せずギアを纏いアメリカの艦隊を撃滅してフロンティアに上陸。

追:当時アメリカはフロンティアを独占し、月の落下から権力者だけで逃れようとしていた。

またFISもレセプターチルドレンなど非人道的な手段で集められ実験動物の様に扱われており、ナスターシャ教授によって事件に便乗した内部告発が行われた。

それ故か彼女が告発した範囲では死者は出ておらず、多くの孤児達が救われた。

 

 フロンティア上陸後は、FIS側からのリークにより対抗可能な戦力を持つ『特異災害対策機動部二課』が参戦。

 

 以降は『セレナ・フィーネ』および『裁定者イカロス』による電波ジャックと世界中継の通りであるが幾つか補足されるモノがある。

 

 

補足1:一時は離脱していたマリアが戦線に戻る際に瀕死のセレナ(アスカ)と会い、『最新の聖遺物』である『ニーベルングの指輪』を渡されている。

 

 『指輪』に関しては現在『マリア』個人の所有とする。

 

補足2:全世界への放送はおそらく『アスカ』の意思である、その理由としてマリアが『月軌道の正常化』の為にアスカが遺跡を操作していたと証言しており、装者達の戦いの間も月に向かってフォニックゲインが放たれていたと二課とFISが証拠データを提出、世界中でも観測されていたので間違いないモノとされる

 

補足3:『真琴明日香』の遺体は結晶化して破散、半分は国連預かりとなり、もう半分は日本政府預かりとなり、一部は遺族に返還された。

 

補足4:FISのノイズの操作などによるテロ行為は当時の所長とフィーネの罪状とする、アメリカ政府のこの件に対する発言権は無しとする。

 FISは保護観察処分とし、装者達は国連預かりの後に二課と合流、ウェルキンゲトリクス博士およびナスターシャ教授は事件後、国連所属とする。

 

補足5:特異災害対策機動部はその功績と特異性と突起性から日本政府から国連への出向とし、旧FISと合流し

『SONG』

Squad of Nexus Guardians

国連直轄下にて、超常災害対策機動部タスクフォースとして再編成とする。

 

 

 以上となるが、未だ謎とされる部分も多く新たに事実が判明する度に追記とする。

 

 





「とても、綺麗なモノを見せてくれたな」

 二度も立てられた少女の墓の前に立つのはあの事件におけるアスカの協力者、サンジェルマン。

「月の掌握こそ成せなかったが、私はあれでまだ少しは人を信じようと思えた……最も立ち止まるつもりはないが……」

 彼女もまた国連の報告書を内部のスパイ経由で読んだ身で、あの奇跡とも言いたい様な光景に心を震わせた。

「お前の死は確かに明日を灯せた、月は落ちず、裁定者イカロスによる審判は回避された……お前の頑張りは無駄ではなかった……真実の一部を知るモノとして……私はそれだけは間違いないと言い切る」

 そこへ、また一人歩いてくる者がいた。

「…失礼、あなたもアスカの知り合いですか」

 それは風鳴翼だった。

「ええ、ほんの少し、アメリカでセレナとしての彼女に少し手を貸したぐらいの身だが……」

 サンジェルマンとしては別に今現在は「彼女ら」に探られても腹は痛くないが故に素直に答える。

「ふふ……そうですか……失礼ですが、身内の前ではなかなか本音を、泣き言を吐き出せなくて少し愚痴を聞いてもらえないだろうか」

「あ……ああ」

 翼のあまりにも悔しそうなオーラについ返事をしてしまうサンジェルマン。

「私は仲間だったのに、最初の親友だったのに、結局アスカに何をしてやれたのか……さっぱりわからないんだ……もしかしたら、アスカの死さえ覆せたのかもしれないと思うんだ……こんなのだから結局彼女の遺品も……マリアに取られてしまったのだろうな……」

「何をしてやれたかなど今更気にしても仕方ないだろう……それより大事なのは何としてもアスカはお前達を救いたかった、その事実だけだ」

「……失礼、あなたは一体……」

「少し喋りすぎた、私にも守秘義務があるが……彼女の言動を思い返せ、報告書を見返せ、そうすればきっと答えは見つかる筈だ……それと私個人としてやれる励ましはそう――止まるんじゃないぞ……ぐらいしかないがな」

「……ありがとうございます」

 この二人が再び出会うのは少し先の話だ。

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