わーい初投稿だー!
「真琴明日歌です、よろしくお願いします」
翌日、寝不足気味で絶滅フレンズのごとくハイライトを失ったアスカがリディアンへとやってきていた。
勿論、授業を受ける為に。
「真琴さんは今まで病気で休んでいましたので皆さん仲良くしてあげてくださいね」
「えっ……アスカさん!?なっなんでここに!?」
「……存在する事を選んだから私はここにいる」
同じクラスと聞かされていたアスカと違い響が突然の再会に驚愕したのも無理はない。
一方で"ふーん、あれが響が言ってた変な人ね"と言った目でアスカを観察するグラビティなガールの小日向未来、この世界はどうしてこんなにグラビティな人が多いのだろうか。
――この子、何……?
自己紹介と響との掛け合いで一部を除き完全に不思議ちゃんと認識されたアスカ。
そして一限目が終わり休み時間が始まった瞬間に、アニメちゃんこと弓美は誰よりも早くアスカの元へと駆け。
「真琴さん、君は空が綺麗だと思った事はある!?」
アスカに向けて特定の人間にのみ通じる合言葉を口にした。
「!?!?……ああ!ある!」
「やった!私はあなたを理解できる!」
突然の襲来で混乱したアスカであるが弓美の正体を察知し、問い返す。
「あなたはそこに」
「いますか」
「クロッシングを登録する」
「5秒待って!」
「どうせ みんな いなくなる」
「なんであんなこと書いたの!言いなさい!なんでよ!」
三度の問答を繰り返し、二人は笑顔で手を握りあった。
「君の名前を、私は知らない……」
「板場弓美、歌で祝福する為に!私はここにいる!」
「極めてテクニカルな自己紹介だが……で、それだけか?テクニカルさなら……こちらにもあるぞ!」
「あんたも私と同じタイプの存在ね!大事な事をあの島で学んだ存在!」
自分の趣味を理解してくれる存在が現れた時、人は喜びを感じるという。
とは言えテクニカルでハイテンションな会話を交わす二人に周囲は困惑。
――板場さんも、不思議ちゃんだったの!?
結果、何故かアスカがオタクという認識ではなく、アニメちゃんが不思議ちゃんという認識が広がる大災害が発生。
「響、確かに変な人だね真琴さん」
「うん」
さすがの響もこれには苦笑い。
――ただのアニメちゃんの同類か~理解不能な宇宙人みたいな人じゃなくてよかった~
幽霊の正体見たり枯れ尾花、ただのオタクだと知ると響は安堵した。
だが、彼女はまだ知らない。
テクニカルアスカちゃん地獄の本当の恐怖はここからだということを――。
昼休み、病気だったという建前上、保健室を経由し食堂へと向かうアスカの表情は目に見えて輝いていた。
なんせ初めての同族-ともだち-、対話できる相手をようやく見つけた滅びかけの金属生命体くらいにルンルン気分であった。
きっみっとここにいる!とオープニングを口ずさみながらくるくる踊るその姿はまごうことなき不思議ちゃん。
不幸か、偶然にもそれを見ていた少女が一人。
――なんで……苦しいのに、痛いのに、笑っているんだ……ッアスカッ!?
繰り返し"いたい"と胸をおさえながらに笑い歌うアスカに畏れの表情を浮かべるのは風鳴翼。
"いたい"に気をとられ"砕け散っていくくらい"や"君と空へfly"に気付かず、深まるのは勘違い。
結局「痛みでさえ通じ会えば~」と更に続けて歌いながら去っていくアスカを翼は影から覗き見るしかなかった。
「あの位置……天羽々斬の刃の欠片が残った位置だったな……やはり痛むのか……」
別に痛む訳でも何でもないのだが、今の彼女にそれを知る術はなく。
「だが……それを喜ぶのは何故なんだアスカ……!」
翼の中では『天羽々斬の欠片が痛みを生むのに何故かそれをいとおしそうに抱き締めて痛い痛いと言うアスカ』の姿が完璧に出来上がってしまい。
「私は……私はお前が怖いっ!理解できなくて怖いっ……!」
その心をフルボッコにしていた。
一方、元凶たるアスカはのんきに弓美を家に誘う日を夢見ながら壁にぶつかって鼻血を出して気絶。
それを一般生徒が発見して、ちょっとした騒ぎとなっていた。
後にそれを聞いた翼が更に病むのは当然の結果であったと言えよう。
―今日のフィーネ―
あの真琴明日歌に友が出来たという……!
そいつは一体どんな恐ろしい奴なんだ!?