両方重くなると天秤こわれちゃ^~う!
偽りの投稿失礼します、騙して悪いが初投稿なんでな……
あの時は勢いで命を使うと使わせて貰うとか、守るとか言ってみたはいいが、思いの外、アスカの視線の重圧がひどい。
別に言葉に二言はなく、アスカと共にあろうとは思うのだが……
肝心のアスカが何を考えているのかよくわからないのがつらいのだ……。
とにかくただひたすらにアスカの掴み所がわからないのだ。
最近ようやく掴めてきたと思っていたのだが、何かを思い詰めるような気配を見せ始めるとまた変わり身の術のように、すり抜けてしまって……とてもつらい。
「かなで……私はどうすればアスカを分かる事ができるんだ……」
目を覚ませばもうすぐ夜明け、早く掴めるといいな……。
◆◆
近頃、眠りが浅くて夜中に目を覚ましてしまいます。
一人、リビングでぼーっとしていると翼さんの部屋から声が聞こえてきます。
「……かなで……私はどうすれば……」
今日も『また』翼さんが『奏さん』の名を呼ぶ。
最近、夜になると翼さんの部屋から不安げな声がよく聞こえてしまいます。
最初の頃はこんな事なかったんですけどね、やっぱり私が原因ですよね……。
「大丈夫です、翼さん……」
きちんと、私が責任をもって、あなたを守りますから……。
そうこうしているともう夜明け、新しい1日が始まる。
朝焼けの眩しすぎる輝きが「諦め」を誘う。
きっと神様は困惑しただろう「お前は救われる事を望んでいないのか」と。
もはや私の望む救いは、あの人が救われる事だけ。
それだけが、不器用な私の願いだった。
◆◆
訓練用の地下アリーナに響く金属音が止む。
それは二人の少女が剣を打ち合う事を止めた為だ。
「……今日はここまでだ」
「ありがとうございます、翼さん」
「……帰ろう」
「はい」
ただ最低限の言葉だけを交わす、それが今の二人の関係であった。
というのも翼が寝言で「エア奏」と会話する。
それを聞いてしまった明日歌が「翼さん、もしかして精神的にヤバい?」と心配で段々不安になり寝不足になる。
その様子を見て翼が「アスカが何かを思い詰めてる……どうすればいいんだ奏」とエア奏現象を起こす。
装者二人、そんな勘違いスパイラル状態に陥って、互いが互いを想いあう形でダメになっているのである。
「では、おやすみなさい翼さん」
「ああ、おやすみ」
とはいえ、それ以外には特に問題はなく。
戦闘でのコンビネーションを鍛えたり、翼の家事能力を鍛えたり、フィーネに警戒されたりしながらそれなりの平和は維持されてきた。
二人が出会い既に9ヶ月、そんな平和が終わりを告げる日がやってくる。
「なあ、アスカ……聞きたい事がある」
「私もです、翼さん」
ついに二人が追突する日がやってきてしまったのだ。
「お前は何を私に黙っている?私を信じてくれると言ったのはお前だろう?」
「……奏さんには話せても、私には……話せないんですね」
「「………」」
しかも互いに一番気にしている、ダメージの大きな言葉でぶつかってしまったが故に。
「「(最低だ……私)」」
「何も言わないんですか、怒りもしてくれないんですか」
「私もそこまで子供ではない、お前こそ……私を信じてくれてなかったんだな」
「「………」」
消極的な言葉の殴りあいは、殴った方が重傷を負う様な、凄まじく滑稽なモノとなった。
「これから一緒に戦っていく仲ですから、これ以上は私はもう言いません……私は全て翼さんに委ねます、使い潰すも何も翼さんが決めてください、翼さんに殺されるのならば私に不満はありません」
「そうか……」
――ああああ!違う、違うんです!それでも私は翼さん信じますからって言いたかったんです!
気持ちと裏腹にテクニカルに不器用な発言をしてしまう明日歌。
――ああ……なんという事だ!私はアスカをそこまで追い詰めてしまっていたのか……!命を捨てる覚悟をさせてしまう程に……!ならば私は私の責任でアスカを助けなければならない!
腐っても剣、やはり根は真面目でそんなテクニカル発言の真意なんて読み取れない翼はそのままに受けとって覚悟を決める。
「ならお前に相応しい死に場所を、私はいつか必ず見つけてやる」
『絶対に生きようという気持ちを取り戻させてみせる』という決意をする翼であったがそのセリフがまずかった。
――翼さん、マジで私を殺す覚悟するくらいだったの……仕方ないですね……元はといえば私のせいですし……
その翼さんの真剣な眼差しに明日歌はそんな致命的な勘違いをする。
こうして二人は勘違いのままに『生殺与奪を預ける仲』になってしまった。
そしてそのままノイズとの戦い、そしてこれから起きる『ルナアタック事変』へと巻き込まれていくのである。
◆◆
その女は戦場に生きてきた。
生まれは大それたものでなく、貧困な土地では平凡でありふれた、不幸な人間であった。
ただ単に人殺しが得意でそれを仕事として生きてきただけの、戦場に生きてきただけのただの人間である。
「で……お客様、今月の料金の支払いは既に確認住みですが、何かありましたか?」
「そうね、契約プランの見直しが必要になったの……そう……あなたにも戦ってもらう必要が」
「それはそれは……」
生きる為に戦ってきた女は戦う事が好きになった、殺す事が好きになった。
「とても魅力的な提案ですね、そうなれば僕が使うのは『杖』ですか?『鎧』ですか?」
「それもいいけれど、アメリカに貸してる方の『槍』の予備なんてあるけれど、貴女に使えるかしら?」
「とっても、楽しそうですね」
古めかしくも、最先端の、特異技術がぶつかり合う未知の戦い。
それに惹かれない訳はない。
「お代は、楽しい戦場で結構ですよ」
赤毛のアリー、仕事は傭兵、趣味は傭兵、住所は戦場。
戦う為に稼ぎ、稼ぐ為に戦う、そんな人間が歌の
「あいむしんかー♪とぅーとぅーとぅーとぅとぅー♪」
次回から無印始まります、
ネタバレ…響ちゃんこわれる