龍狩りの金鎧 作:GP
ステラは勢いよく扉を開けた、するとまず飛び込んできたのは天井ギリギリの大きさの大男と女だった、男と女二人とも黒の鎧に身を包んでいる、女の拳には鋼鉄製のアイアンナックル、男の背中には巨大な三叉槍が背負われている
「あぁ?誰だテメー?」
いきなり大女がステラに睨みを効かせてくる
「あ、今日からここ第一遊撃部隊の隊長になったシャーナ・ステラ准将です、あなたは?」
ステラが訪ねると女は無視してそっぽを向いた
「おいおいフラン失礼だろ」
のんびりとした口調で言ったのはその大女、フランの横に座っていた大男だった
「失礼しました、こいつはログ・フランそして俺がログ・オリバです、一応兄弟で俺が兄貴です」
多分巨人族であろう二人の男女、名前をログ・オリバとフランと言った
「よろしくフラン!オリバ!」
ステラは二人に挨拶すると部屋の奥を見た、奥は薄暗いが確かに人影が見える
「こんにちわ~、貴方が今度の隊ちょーさんだね?」
奥から歩きながらこちらに向かってくるのは赤い髪に赤い瞳、漆黒のローブに身を包む165センチ程の女性だった、腰には短剣背中には弓を背負っている
「私はセリーナ・テリア、よろしくね」
ステラはニコニコと微笑んで手を伸ばしてくるテリアに手を出そうとした時、それは阻まれた
「うるせぇぞテリア!!!」
それは奥の暗がりから姿を表した、黒いスーツに身を包み口にタバコをくわえている、その背中には巨大な大剣が背負われている、伸長は180程だろうか
「何なんだ?隊長なら間に合ってんだよ!」
男は怒鳴りながらステラの顔めがけてパンチを繰り出した
「はぁ、ちょっと避けてね!」
ステラはその拳を掴むとフランの方にぶん投げた
「あなたは?」
ステラが訪ねるとフランの腕から這い出た男は
「ライド・クロム」
そう言ってオリバとフランの座る巨大なソファーに座った
「さてと、ここの責任者は誰?」
「あ、あの……わ、私がこ、この部隊の代理の隊長だった、クラーク・ミラです」
そう言いながら出てきたのは白い髪に触れば折れてしまいそうな程細い腕の美しい少女だった、伸長は150程だろう、両腰には中剣が二本差してある
「あ、あの……新しいた、隊長さんですよね?」
ミラの質問に頷くステラ、ミラはステラの前に来てお辞儀をすると話始めた
「あ、あの……さっきはクロム君が失礼しました、驚きましたよね?」
ミラはオドオドしながらステラの顔をうかがっている
「いやいや、元気で良いじゃないか」
ステラはニコニコと笑いながら言った
「でも、ここに居る奴等は奴等はほんとにバカばかりだな!」
その言葉に場が凍った
「今……何て?」
ミラの表情が曇る
「だから、ここに居る奴等はバカだなって言ってんの」
その瞬間ステラが吹き飛んだ
「クッ!」
ステラはそのさっきと変わった姿の者の攻撃を腕で防いだしかしその腕には4本のえぐれた爪痕がついていた
「あぁ初めて見た、これがゾオン系古代種、ネコネコの実・モデルサーベルタイガーか」
ミラはさっきとは表情を変えこう叫んでいる
「私の部下をバカにするな……今言ったことを取り消せ!!!」
獣人化したミラは腰にある刀を持った
「剣虎流・白蓮牙!!!」
ミラは刀を離れたステラの方へ振る、すると刀から二本の刃がステラに向かって飛んでくる
「おっと、武装色硬化プラス鎧塊!」
ステラは斬撃を受け外へと吹き飛び正義のローブを落とす、しかし直ぐ様体制を立て直した
「はぁ、痛いわ!」
ミラは獣人化から獣化に形を変えた、さっきまで小柄だった少女が一気に体長二メートルはある巨大な獣と化した、その口元からは二本の牙が向き出ていた
「大きいな……」
ステラがそんな事を呟くとミラはステラ目掛けて突っ込んでくる、しかしステラは避けない
「剣虎流奥義≪剣裂牙≫!!!」
「龍鎚≪龍牙≫!!!」
ステラの金の牙とミラの白い牙がぶつかる、辺りに砂ぼこりが舞い二人の姿を隠す
「ミラさん!」
他の遊撃隊の人達も出てきた、少し経って砂ぼこりが止んだ、そこに立っていたのは
「はぁ、良い一撃だったぞ」
倒れたミラを見下ろすステラだった
≪テメエエェェェェェェ!!!≫
遊撃隊の人達が一斉にステラに襲いかかる
「俺達が相手だ!」
クロムは黒いスーツを破り捨て中から毛が生えた獣人が現れた、クロムはイヌイヌの実モデルハイエナの能力者だ
「おおぉぉぉぉぉ!!!≪裂刄≫」
クロムはステラの頭上から巨大な刀を高速で振り抜き続けた、しかしステラも≪龍鎚≫で全ていなす
「まだ足りないな」
ステラは刀を弾くと龍鎚をクロムの顔に当て上に打ち上げた、そして腹に蹴りを見舞いクロムは壁へとめり込んだ
「どらあぁぁぁぁ!!!」
ステラの回りに突如巨大な影が二つ出来る、フランとオリバだ
オリバは三叉槍で斬り付けてくる、ステラはそれを身を回転させ龍鎚で弾き返す、フランはオリバが弾かれたのと同時にアイアンナックルでステラ目掛けて殴り付けた
「ぶっ潰れろ!!!」
フランの拳がステラに当たる直前ステラの小さな拳とフランの巨大な拳がぶつかり合う
「ガキィーン!!!」
フランはオリバと同じ方向に吹き飛んだ
「嘘……だろ?」
フランとオリバはこんな小さな少女に自分達が飛ばされると思っても見なかっただろう
「あぁ~あ、みんな倒されてるじゃん」
そう言いながら最後に武器庫から出てきたのはテリアだった、その手には弓と矢が握られていた
「じゃあ、最後は僕が相手するね~」
テリアは赤い髪を乱しながら一瞬で弓をつがえる
「行くよ~≪光弓流・乱れ雨≫!!!」
テリアは20本程の矢を高速で空へ放つ、それは矢の雨としてステラに降り注いだ
「≪龍風≫!!!」
ステラは龍鎚を回して旋風を巻き起こした、それにより矢の雨は粉々に砕け散った
「まだやる?」
ステラが訊ねる
「良いねぇ、最高だよ!!!≪光弓流・万流雨≫」
今度は水平に何百本もの矢がステラに向かって飛んでくる
「うおぉぉぉぉ!!!」
ステラはそれを龍鎚でことごとく弾き飛ばす
「はぁはぁはぁ…一体何本矢があるのよ!!!」
ステラが叫ぶとテリアはニヤッと笑いながらこう言った
「無限にあるよ……」
ステラはテリアの手元を見た、矢が一本しかないしかし矢を放つその刹那矢が一気に20本に増えた!
「能力者か!」
そう、テリアはフエフエの実の増殖人間、自分が触れた無機質を無限に増やす事が出来る、テリアは元々矢を一本だけしか持っていない、しかしそれを手元で一気に増殖させ一本また手元に残し一度に放てる限界での矢を放っていたのだ
「ほらほら、限界が来ちゃうよ?」
テリアは絶えず矢を放ち続けている、その額には汗を流しながら
「もう良いや、多少痛いよ?」
ステラは体に武装色と鎧塊を纏わせ矢に突っ込んで行った
「はっハハハァ!最高だよステラさん!」
テリアは絶えず矢を放ち続ける、しかし全力で体を固めたステラに矢は弾かれた
「終わりだ!」
ステラが龍鎚の射程に入ったテリアに言った、テリアもそろそろ体力の限界が来ていた
「そうみたいだね、でも最後に足掻かせてもらうよ!」
テリアは矢を打つのを止めた
「光弓流奥義≪雷光雨≫!!!」
テリアは最後に残っていた一本の矢を全力でステラに放つ、その衝撃で弓はパキッと言う音と共に砕けた、テリアの最後の矢はステラ目掛けて回転ながら飛ぶ、それをステラは叩き折ろうと龍鎚を降り下ろす
「掛かった…。」
矢に龍鎚が当たるその瞬間、一本だった筈の矢が一気に増えまさに雷光となってステラに向かうその距離約1メートル、この距離で一気に2万本もの矢が飛んでくる、回避は不可能だ
「行けぇぇぇぇ!!!」
増殖は3秒ほど遅らせる事が出来る、しかしその分体にはいつも増殖させる時使う力の何十倍もの体力を使う、それを体力が無い状態で約一万本発射させたテリアはまさに化け物と言って良いだろう
「龍鎚≪龍裂爪≫!!!」
ステラはその矢に向けて交差するように龍鎚を振り抜いた、それは龍が敵を切り裂くようにそれにより発生した衝撃波は矢を全て押し戻しテリアを吹き飛ばした
「はぁはぁはぁ、あぶねぇ~!」
ステラはまず倒れているミラの所へ向かった、もう意識は取り戻してステラとテリアの戦いを見ていたようだ
「ごめんねミラ、実は私皆を騙したの」
ミラは思いがけないステラの謝罪にキョトンとした、そして人型に戻り質問した
「え、あのどう言うことですか?」
ミラはまた元のオドオド口調に戻っていた
「やっぱり隊長になった限りは皆の戦闘能力を見ておきたいじゃない、だからわざとミラを怒らせたの」
ステラが話始めるとクロム、オリバ、フラン、そしてフラフラしながらテリアが来た
「皆もそうさ、ここ第一遊撃部隊は海軍のごみ溜めだ!ここに居る全員何かしら問題を起こしてここに居る、皆の左遷の理由を見た、クロム君は命令を無視して海賊のアジトに突っ込んだらしいな」
クロムは声を荒げた
「それはあのクズが町の奴等を囮に使うと言いやがったからやったんだ!」
ステラは頷いた
「オリバ君は料理長だったらしいな、なぜ左遷された?」
ステラは理由を分かっていながら訊ねた
「腹を空かせた子供がいた、その子に飯を作って食わせてやったらあの上官…子供の事を蹴りやがった、そして上官を半殺しにした、フランも俺に加勢して一緒にここへ」
フランは堂々とした声で
「私達は間違っていない!!!」
そう叫んだ
「テリア、君は優秀な海兵だったのになぜ?」
テリアは考えた後
「正義を感じない、あそこはただ命令に従う場所だから自分からここに移動願いを出したの…」
テリアのその表情は暗く今にも折れそうだった
「ミラ大佐、あなたは部隊を持っていたよね?」
ステラは最後にミラに訊ねた
「私が用事で部隊を離れている間に他の部隊の隊長が私の名前を使って海賊の討伐に向かわせたの、帰ってきた時にはもう部隊は全滅、私は責任を取らされてここへ」
ステラは全員の話を聞いてから語り出した
「あなた達は自分がしたことを間違えていると思う?」
ステラの言葉に全員一斉に答えた
≪思わない!!!!≫
「ならなぜこんな所でうずくまってんの?あなた達にはそれぞれ自分の信じる正義があるんじゃないの!!!」
ステラの怒声に全員立ちすくんだ
「止まっていて何か変わるの?自分の正義を踏みつけられて悔しく無いの?見返せ!やり返せ!あいつらの薄っぺらい正義を破り捨てろ!」
一人一人の目を見ながら語りかけるステラに皆心が熱くなる
「今動けないなら言いなさい!私が動かしてあげる信じられる正義が無いなら私を信じなさい!私がお前達を導いてやる、私はあなた達を否定しない自分が思う正義に進みなさい!私はシャーナ・ステラあなた達の隊長よ!!!」
ステラの話が終わると全員同じ行動を取った、コンタクトを取ってやった訳じゃない、ただやらずにはいられなかった、今まで否定され続けた行動を認めてくれる人が現れた、全員ステラの前で膝を着きミラがこう言った
≪我々、第一遊撃部隊はシャーナ・ステラ准将に一命をとしてお仕えします!!!≫
ミラの言葉に全員オウ!と答えた
「じゃあ、これからよろしくね皆!」
ステラは満面の笑みで全員を見回した
「じゃあ早速だけど…武器新しくしない?」
ステラは全員を連れてマリンフォードの武器屋へ向かった、ステラは事前に部隊の隊員達が使う武器を見ていた、それを洞窟から持ってきたドラゴンの鱗や爪、角を新しい素材と嘘をついて作ってもらっていたのだ
「クロム、君は大剣だよね」
ステラはクロムに火龍の角から作った刀≪炎業≫と鎧の≪暴炎≫を渡した、その体は深紅に染まった
「オリバとフランは槍とアイアンナックルだよね」
オリバとフランは黒龍の骨から作った槍≪闇夜≫と爪から作った手甲≪闇月≫を受け取り鎧はお揃いの≪優闇≫を付けた
「テリアの弓と矢は壊れたから替わりにこれね」
テリアは雷龍の角を削り出して作った弓≪雷光≫矢は火龍・黒龍・雷龍・氷龍のそれぞれから作り出した矢を一本づつと鎧≪瞬雷≫を身につけた
「最後にミラ、あなたは二刀流の剣士よね」
ミラは氷龍の牙から作り出した刀≪氷牙≫と≪氷覇≫そして鎧≪氷獅≫を身につけた
「うわぁー、皆かっこいいねぇー」
クロムは刀を振るう、同時に炎が燃え上がるオリバが木に槍を突くとそこから腐り落ちた、テリアが雷矢を放つとそこを電流が走る、ミラが刀を振るとそこには尋常じゃない冷気が発生した
「ステラさん、これを私達に?」
ミラ等がステラの顔を伺う、ステラは頷き勿論!と言った
「じゃあ、仕事に行こうか…今回の任務はドラム王国の調査並びに危険因子の排除」
全員がステラを見て頷く
「さぁ、第一遊撃部隊出撃!!!」
こうしてステラ率いる第一遊撃部隊は医療大国ドラム王国へと出発した。
次回から本格的に本作に絡みます、気長にご覧ください