龍狩りの金鎧 作:GP
「ステラ~、朝よ早くお手伝いしてちょうだい」
朝の冷気が目を開けた少女の喉を冷たく冷やす、外はまだ薄暗く窓の外に見える家々には明かりが着いていない
まだ温もりの残るベットを降り冷たいフローリングに足を着ける
「うわー、今日も寒いな~」
少女の名前はシャーナ・ステラ、過去の海軍元帥史上初にして最強の海兵シャーナ・ステラと同性同名、いや同一人物だステラは400年前≪マリンフォード防衛戦争≫の戦いの傷で死んだそして400年後のこの世界に転生したのだった
「ステラ~!!!」
ステラを呼ぶのは母≪シャーナ・エリア≫マリンフォードに住む一般的な主婦
「今行くーー!!!」
ステラは肩まで伸びている美しい黒髪を一つにリボンで結び一階のリビングへ向かう
「ハイハイお待たせ~」
ステラはキッチンの方へ行くとそこにはもう料理を作っている母の姿があった
「目玉焼きを作るから卵持ってきて」
エリアの言葉に頷きステラは外へと出た、目の前に現れる正義の象徴を見ながらステラは鶏小屋に向かう
「みんなおはよー、卵貰ってくね~」
ステラは卵を3つ程貰って小屋を後にした、家に入る途中薪割り用の斧が切り株に刺さっている
ステラは何気なく掴むと素振りを始めた、その細く白い腕からは考えられないような力強い振りだ、しかしその素振りには何か足りないものがあった
「ハァッ…ドスッ!!!」
ステラは斧を切り株に刺した
「あ~あ、もう400年前なのにまだ体が覚えてる…習慣って恐ろしいわ、でもやっぱり軽すぎるな~」
ステラは切り株に刺さっている斧を見ながらそう言った、それはそうだ元々超重量武器である大槌を片手で扱い最後は重量15トンもある≪龍槌≫を持ち歩いていた
転生したにも関わらず死んだ時の年齢に為るにつれてあのときの力が戻ってくるようだ…明日で16歳の誕生日を迎える、ステラはひそかに決意を固めていた
「はいお母さん、卵3個置いとくね」
ステラは卵を置くと母に言った
「お母さん、大事な話があるの…」
ステラは真剣な眼差しで母を見た
「…分かったわ、でも朝御飯の後にね」
母は出来上がった料理を皿に盛り付けながらステラに言った
それらの料理をテーブルに運びたわいのない会話をしながら食べた
「ふぅ~、ご馳走さまでした…で、話って?」
ステラはエリアの方を向いた
「私…海軍に入りたいの!」
ステラのいきなりの告白にも母エリアは驚いた様子は無く落ち着いていた
「そう、やっぱりお父さんと同じ道に行くのね~」
エリアは椅子から立ち上がり首に掛けていたネックレスを外した
「おいでステラ、お父さんからのプレゼントだよー」
母は陽気な声でステラを手招きした、しかし陽気な声とは裏腹に瞳には涙が溜まっていた
「お母さん、そのネックレス…」
母はキッチンのカーペットをめくった、するとそこには地下室へと続く扉があった、しかしその扉は固く閉ざされている
「このネックレスはお父さんがあなたの為にってお母さんが預かってたの、あなたが海軍に入るって言ったときのためにね」
母はネックレスを見せたそれはネックレス型の鍵だった、エリアは鍵を床の扉に差して回した
「ガチャッ!!」
鍵を引き抜くと母は重い扉を両手で開けた
「ステラ、中へ」
ステラは母の言葉に頷き地下室へと入った、そこには父の形見である正義のコートと深紅に染まる大槌が飾ってあった
「ステラ…お父さんはずっと昔に生きたご先祖様、龍狩りの姫≪シャーナ・ステラ元帥≫に憧れて海軍に入ったの、武器も一番馴染んだのが大槌だったそうよ、だからあなたが海軍に入るって言ったときのためにお父さんは鍛冶職人に特注で頼んだのよ、あなたの為にね」
ステラは壁に掛かっている大槌を手に持った、柄の部分は龍の鱗のようになっており滑らず持ちやすい、上の部分はハンマーと鎌の半分半分で中心にはシャーナ家の紋章、金角龍・ゴーノが描かれていた
丁度良い重さの大槌はステラの手にしっくりと馴染んだ
「お父さん…ありがとうございます」
ステラは正義のコートにお辞儀をすると母の方を向いた
「お母さん、私海兵になります!」
勢いの良い宣言に母はそっと微笑み頷いた
「うん、頑張りなさい…」
その日の内に海軍本部の受付へ行き新兵の手続きを行った、2週間後に一ヶ月程の訓練期間がありその最終日に行われる合格試験に合格すれば晴れて海兵になる
残りの2週間で現役の勘を取り戻さねば…こうしてステラは2週間トレーニングを重ねた、そして2週間後
「じゃあお母さん、行ってきます!」
ステラは家を出て海軍本部へと向かった、そして海軍本部の訓練生待合所と言うところで待っていると続々と人が集まってきた、ステラは大槌を握りしめその時を待った
「バタンッ!」
扉が勢い良く開いた、そして口元に煙草をくわえている男が出てきた
「注目!これから一ヶ月間お前達の指導係となるローグタウンのスモーカーだ!元帥から頼まれたからやるが気合いのねぇ奴等は直ぐに弾くからな、覚悟しとけ!」
私たちの一ヶ月の指導をしてくれるのは海軍大佐・白猟のスモーカーと言われる人だった、気性が荒いことで有名らしい…
「あぁ~、んじゃまぁ最初に…てお前何で武器持ち込んでんだ!」
スモーカーはドスドスとステラの前に来ると背中に背負っている深紅の大槌を指差した
「悪いーけど武器の持ち込み禁止なんだわ、訓練終わるまで没収するから」
ステラはハッとした表情をしながらバタバタと背中に背負っている大槌をスモーカーの前に出した
長さは2メートル程の大槌を軽々と持ち上げる黒髪の少女その白い肌は深紅の大槌をより紅くうつしだす
「あ、あのすみませんでした!」
ステラが頭を下げながら大槌を差し出した
「おう、分かれば良いんだじゃあ預かるからな…」
スモーカーが大槌に手を掛けた瞬間
「ドスンッ!」
スモーカーの手にあった筈の大槌は地面に突き刺さった
「…。」
「…あの~?」
ステラが訪ねるとスモーカーは地面に突き刺さった大槌を引っこ抜きズルズル引きずりながら教官室へと入って行った
「バタンッ!……クソ重てーよ!何だよアイツこの大槌を片手で持ち上げやがったぞ訳わかんねーな!」
スモーカーは一通り罵倒した後教官室を出た
「まぁ気を取り直して海軍の歴史から話すか…」
スモーカーは真面目に話始めた
「最初にお前たちに聞く≪マリンフォード防衛戦争≫って知ってるか?」
スモーカーは海兵見習い達にたずねた、すると一人の男が手を上げた
「海軍とドラゴンの戦いをモチーフにしたお話ですよね、よく子供の頃に絵本で読みました、悪いドラゴン1000匹と戦った黒髪の少女元帥そして6万人の勇敢な海兵の話、最後に元帥が死んじゃうのが悲しかったな~懐かしい」
ステラは思わず胸が熱くなった、自分達が戦ったあの地獄の様な戦いを今の時代まで語り継がれていると言うことにしかしその思いは次の瞬間砕け散った
「でもあれ作り話ですよね~海軍に誘うための」
するとそこかしこから、そうだそうだと笑う声が聞こえてきた
「ドンッ!!!」
「貴様ら笑うな!!!」
スモーカーが叩いた机は粉々に砕け散っていた
「今から話すことは400年前にマリンフォードを守るために命を掛けて戦った方々の話しだ、最初に言っておくあの話は≪真実だ!≫」
スモーカーの迫力にさっきまで笑っていた人達もシンと静まり返っている
「今から400年前マリンフォードに襲来した1000のドラゴンその内の200匹をたった一人で倒した少女それが海軍史上初にして最強の女元帥、シャーナ・ステラ元帥だ!」
海軍見習い達は物語に少女としか出てきていなかった元帥の名前を知り本当の話だと分かった
「ステラ元帥は≪龍狩りの姫≫と呼ばれる程の強さと戦場では最前線に立ち兵達を奮い立たせる優しさをあわせ持つ人だったそうだ、しかしドラゴンの長ゴーノとの戦いの傷で亡くなった、他にも戦死者は5万5800人を越えた」
海軍見習い達は震えていた、もしも自分ならマリンフォードの為に命を賭けて戦うことが出来るのか…
「これは本当の話だ、400年前にここを守るべくして散っていった俺達の先祖達の魂が宿っているのがここマリンフォードだ、お前達にもそれほどの覚悟があるか!」
スモーカーの言葉に頷くもの下を向く者様々な人達がいた
「それほどの覚悟が無いなら海兵は止めておけ、止めはしない」
その声を聞いて100人ほどいた人が70人ほどに減った
「それでは残った奴等は覚悟があるんだな!」
残った海兵見習い達は皆頷いていた
「よし、では最初はランニングからだ、マリンフォードの海岸線を走ってこいただしお前達には発信器を着けさせて貰うずるは出来ないからな、さぁ行け!」
こうして一ヶ月間の訓練生活が始まった
次回から原作に絡めたらなと思います