邪龍の力を宿した白兎   作:鬼塚虎吉

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お久しぶりです、前の投稿からかなりの日数が過ぎましたがまた投稿を再開することが出来ました。

楽しんで頂ければ幸いです。


第8話

ダンジョンに行かずに街へと繰り出した僕は最初にギルドに向かった。

 

理由はエイナさんを僕達側に引き込むためだ。

 

「エイナさん、ちょっといいですか?」

 

受付のカウンターで仕事をしていたエイナさんに声をかけるとこう言って来る。

 

「それじゃ、個室の待合室で待っててくれるかな?やっておかなきゃいけない仕事(モノ)多いけど、すぐに片付けるから。」

 

「分かりました。」

 

エイナさんの言葉に従って僕はギルドの通路の奥にある個室の待合室にへと入ってエイナさんを待つ。

 

しばらく待合室で待っていると、エイナさんがやって来る。

 

「ごめんね、ベル君!」

 

そう言って入ってくるエイナさんは更に言葉を続けて来る。

 

「悪いんだけど、もう少しだけ待ってもらえないかな?受け持ってる冒険者の人が聞きたい事があるって来ててね・・・。」

 

「構いませんよ、今日はダンジョンには行かないつもりですから。」

 

その言葉を聞いて僕がそう返答すると、エイナさんはこう言って来る。

 

「ホント!?じゃあ、できる限り早く来るからね!!」

 

そう言ってエイナさんは受付の方にへと戻っていった。

 

それを見送った後、僕は目を閉じる。

 

理由は寝る事ではなく、邪龍達との対話だ。

 

 

 

 

 

 

 

精神世界に僕がやってくると、出迎えてくれたのはアジ・ダハーカだった。

 

「よぉ、ベル。どうやらクロウ・クルワッハに扱かれたみてぇじゃねぇか。」

 

そう言って来るアジ・ダハーカに対して僕はこう言った。

 

「あぁ、お蔭で神様には心配をかけたけどね。」

 

そう言い返すと、アジ・ダハーカがこう言って来る。

 

「そういえば前から思っていたんだが、何でクロウ・クルワッハのしか使わねぇんだよ?」

 

そう言って来るアジ・ダハーカに対して僕は【ステイタス】事を言っているのだと理解してこう言った。

 

「それは単に使う機会がないってだけだよ。」

 

僕の言葉を聞いてアジ・ダハーカはこう言って来る。

 

「だったら、今度は俺のを使役してみろよ。」

 

アジ・ダハーカ(おまえ)のを?」

 

「あぁ、俺の【ステイタス】ってのは魔法特化だ。魔法でザコを手当たり次第にブッ飛ばすのは爽快だぜぇ~!!」

 

自分の【ステイタス(ちから)】を使う事を勧めて来るアジ・ダハーカに対してい僕はこう問いかける。

 

「何が目的だ?」

 

「アァン?ンナコト決まってんだろ、クロウ・クルワッハ(あのやろう)ばっかりに頼ってねぇで俺を使えって事だよぉ!!」

 

そうハッキリとそう言い切るアジ・ダハーカの言葉を聞いて僕はこう思った。

 

「{子供か!!}」

 

そう心の内で思いながらもアジ・ダハーカにこう言った。

 

「分かった、それじゃあ明日魔法の使い方を教えてくれよ。」

 

僕がそう言うと、アジ・ダハーカは不思議そうな顔をしてこう言って来る。

 

「なんで明日なんだよ?」

 

「今日は色々としなきゃいけない事がたくさんあるんだ。」

 

そう聞いて来るアジ・ダハーカに対してそう言うと、こう言って来る。

 

「ンナコト俺の知ったこっちゃねぇんだよ!!」

 

そう言いながら襲い掛かって来るアジ・ダハーカに対して僕は手を突きだしてこう言った。

 

「言う事を聞け、アジ・ダハーカ」

 

そう言った瞬間、アジ・ダハーカの動きを封じるように鎖が身体にへと絡みついていく。

 

「なんだこりゃ!?」

 

そう言いながら鎖を振り解こうと暴れまわるアジ・ダハーカだが、鎖は解ける所か益々身体に絡まっていき動きを制限されていく。

 

「話は終わりだ。」

 

僕はそう言って現実世界に意識を戻した。

 

 

 

 

 

現実世界に意識を戻すと、目の前にエイナさんが座っていた。

 

「エイナさん、起こしてくれても良かったんですよ。」

 

僕がそう言うと、エイナさんはこう言って来る。

 

「ゴメンね。でも、ぐっすり眠ってたから起こしちゃったら悪いかなと思ってさ。」

 

そう言って来るエイナさんに対して僕はこう言った。

 

「それでもう仕事の方は落ち着いたんですか?」

 

「うん。それで話って何かな?」

 

そう言って来るエイナさんに対して僕は最初にこう切り出した。

 

「そう言えば到達階層の更新してなかったなと思いまして・・・。」

 

僕がそう言うと、エイナさんがこう言って来る。

 

「そう言えばそうだったね、ベル君てばあの時以来全然ギルドに来なかったから心配してたんだよ。」

 

「いえ、ギルドの換金所には来てたんですけど。」

 

「それなら冒険者の報告書を纏めなきゃいけないから私の所にも来て欲しいだけど。」

 

「すみません、これからはそうします。」

 

その言葉にそう返答すると、エイナさんは満足したような顔でこう言って来る。

 

「それじゃあ、さっそく到達階層の更新を始めよっか。この何日かでどこまで行けるようになったの?」

 

「十二階層です。」

 

「えっ。」

 

エイナさんの問いかけに正直に返答すると、応接室内が静まり返った。

 

「ベル君、何かの間違いかな。私の耳には十二階層って聞こえたんだけど・・・。」

 

「はい、確かに十二階層って言いましたよ。」

 

そう聞き返してくるエイナさんに対して僕は即答する。

 

「何考えてるの、君はまだ冒険者になりたてなんだよ!それも十二階層って!?」

 

驚きのあまり言葉がうまく出てこないエイナさんに対して僕はこう言った。

 

「その事でも話があるんですよ、エイナさん。」

 

「どういう事かちゃんと説明してくれるんだよね?」

 

そう言って来るエイナさんに対して僕はこう言った。

 

「はい。」

 

そう言って僕は話し始めるのだった。

 

「邪龍が身体の中に・・・。そんな事聞いた事もないよ!!」

 

そう大声を出すエイナさんに対して僕はこう言った。

 

「確かに信じられませんよね、こんな話。でも、僕が言っている事は全て本当なんですよ。」

 

冷静にそう言って来る僕の反応に対してエイナさんはこう言って来る。

 

「邪龍を身体に宿していて何か悪影響とかなかった?」

 

「全くとは言い難いですね、邪龍を宿している事で【ステイタス】は規格外なんで。」

 

「えっ、どういう事?」

 

そう言って来るエイナさんに対して僕はこう言った。

 

「じゃあ、確認してみますか?」

 

そう言って上の服を脱ぎ捨てて背中に刻まれた恩恵をエイナさんに曝け出した。

 

「それじゃあ確認お願いします。」

 

「う、うん。」

 

そう言ってエイナさんは僕のステイタスを確認し始める。

 

「・・・なにこの【ステイタス】!?」

 

そう大声で驚きの声を上げるエイナさんに対して僕はこう言った。

 

「これで分かってくれましたか、エイナさん。」

 

そう言いながら僕は服を着直すと、エイナさんがこう言って来る。

 

「うん、これを見ちゃったら信じるしかないよ。君の身体の中に邪龍が八体宿っていることを。」

 

そう言って来るエイナさんに対して僕はこう言った。

 

「エイナさん、僕があなたにステイタスを見せたのは僕のアドバイザーである事と誰にも口外しないと信頼しているからです。勿論、ステイタスを見せることは神様からも許可は得ているので安心してください。神様にもエイナさんは信頼出来るって伝えてありますから。」

 

「・・・ベル君」

 

エイナさんは頬を赤らめながら嬉しそうな表情を浮かべた後、顔を引き締めてこう言って来る。

 

「解ったよ、ベル君。」

 

そう僕の名前を言った後、エイナさんは続けてこう言って来る。

 

「ここで見たものは誰にも他言しない事を誓うよ。もし、ベル君の【ステイタス】が明るみになるような事があれば、私はそれ相応の責任として君に絶対服従を誓うよ。」

 

それを聞いた僕はこう言った。

 

「いやいや、エイナさん、絶対服従って・・・。」

 

この先を言おうとしたらエイナさんに遮られてしまった。

 

「ベル君、君も知っていると思うけど【ステイタス】っていうのは冒険者にとって一番知られてはいけないものなのね。・・・それを見せてくれたって事に対して私もそれ相応の覚悟をしないと対等じゃないもの。」

 

そう言って来るエイナさんの言葉に対して僕はこう言った。

 

「エイナさんがそんな事をするとは思いませんけど、分かりました。心に留めておきます。」

 

「ありがとう、ベル君。」

 

言葉の内に秘められているエイナさんの覚悟を感じて、僕の方が折れる事になってしまった。

 

「ありがとう、ベル君。」

 

そう言って来るエイナさんの言葉に疑問を覚えた僕はこう言った。

 

「急にどうしたんですか、エイナさん?」

 

僕がそう問いかけるとエイナさんはこう言って来る。

 

「だって、冒険者にとって【ステイタス】は自身と素の加護を与えた神のみしか知られてはいけないからだよ。

それなのに、ベル君は私に教えてくれたでしょ。」

 

「それはそうですけど・・・。」

 

同意をしながらも言葉を詰まらせてしまう僕にエイナさんがこう言って来る。

 

「だから、ベル君が私を頼ってくれたことが嬉しかったんだよ。」

 

そう言って来るエイナさんは綺麗だなと思った。

 

「お礼を言うのは僕の方ですよ、急にこんな突拍子のない話を信じてくれたんですから。」

 

そう言って僕はエイナさんの手を握り、こう言葉を続けた。

 

「僕のアドバイザーがエイナさんで良かったです。」

 

そう言いながら笑みを浮かべると、顏を赤面させているエイナさん。

 

「ベル君、そういうのは女性に言うのはあんまりオススメしないかな。」

 

「えっ、どうしてですか?」

 

エイナさんの言葉に意味が理解出来なかった僕は聞き返した。

 

「そ、それは・・・。」

 

エイナさんが言い淀んでいると、突然応接室の扉にノック音が響いた。

 

「エイナ~、そろそろ戻って来て~!!」

 

その助けを求めてくる声を聞いて、エイナさんがこう言って来る。

 

「ごめんね、ベル君もう仕事に戻らないといけないみたいなの。」

 

「分かりました、僕もそろそろ本拠(ホーム)に戻りますね。」

 

「うん、気をつけてね。」

 

「はい、それじゃあまた明日。」

 

「うん、また明日。」

 

応接室から出たエイナさんはすぐに仕事にへと戻っていき、僕も本拠(ホーム)へと帰っていった。




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