邪龍の力を宿した白兎   作:鬼塚虎吉

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第12話

夜空に月が浮かび、この迷宮都市・オラリオを静かに照らしてくれている。

 

『本日はよく集まってくれたな皆の者!!俺がガネーシャである!!さて、積もる話もあるのだが今年も例年通りに三日後には怪物祭(モンスターフィリア)が行われる!!皆のファミリアにもどうか是非とも・・・・・・・・・・。』

 

今回の神会(デナトゥス)の主催者であるガネーシャが挨拶をしている中、他の神は思うように行動していた。

 

ボクはベル君が贈呈(プレゼント)してくれた蒼を基調としたドレスに深紅石(ルビー)のネックレスを身に着けて会場に入るとどよめきが起こった気がした。

 

けど、ボクはそんな事を気にせずに

 

「アンタ、変わったわね。」

 

「!?」

 

突然、背後から声をかけられた事に驚いて喉を詰まらせてしまうけど、水を飲んで流し込んだ。

 

「ぷはぁっ、急に驚かさないでくれよヘファイストス!!」

 

後ろを振り向くと、僕が天界にいる時からの神友である鍛冶神ヘファイストスが呆れた表情をしながら立っていた。

 

「まぁ、元気そうで何よりだわ。ヘスティア、アンタも派閥(ファミリア)を持つ事になったんだからちゃんとした振る舞いをしなくちゃダメよ。」

 

「それくらいは僕だって分かってるさ。でも、こればっかりは仕方が無いじゃないか、僕の所は零細ファミリアなんだからさ。」

 

「そんなこと言っても主神であるアンタががそんなんじゃダメなんじゃないの。」

 

「うぐっ!!」

 

ヘファイストスの的確な指摘にボクは呻き声をあげてしまう。

 

「ねぇ、二人だけで話さないで頂戴。一緒に会場を見て回りましょうって言ったじゃない。」 

 

そう言って言いながらヘファイストスの隣から現れたのはオラリオ最強の一角である【フレイヤ・ファミリア】主神のフレイヤだった。

 

「ゲッ、フレイヤ何でここに!?」

 

「あら、ヘスティアお久しぶりね。」

 

ボクの言葉をスルーしたフレイヤはそう言って来て、ヘファイストスがこう続けて来た。

 

「さっき会場の入り口で偶然出会ったのよ、それで一緒に会場を回る事にしたのよ。」

 

ヘファイストスは軽いノリでそう言って来るが己の苦手としているフレイヤが目の前にいるだけではなくて、その美の神(フレイヤ)の美貌に目を奪われた男神達の視線が集中しているため鬱陶しい事この上ないとばかりにボクは顔を顰める。

 

「それにしても、フレイヤが参加してくるなんて何時ぶりかしらね。」

 

「さぁ、そんな事一々覚えていないわ。強いて言うなら気分が乗らなかったって所かしら。」

 

ヘファイストスの問いに葡萄酒(ワイン)を一口踏みながらそう言っているフレイヤ。

 

ボクはフレイヤとヘファイストスの話を聞きながら料理を食べていると、一人の女神がやって来る。

 

ボクの嫌いなアイツが・・・。

 

「おーいファイたーん、フレイヤー、ドチビー!!」

 

騒々しくこちらにやって来るのはフレイヤと同じ最強の一角とされている【ロキ・ファミリア】の主神のロキだ。

 

心底嫌な顔をするボクとは正反対にヘファイストスとフレイヤはロキの事を受け入れる。

 

「あら、ロキじゃない。宴に来るなんて珍しいじゃない」

 

そう言うヘファイストスにロキはこう返す。

 

「まぁな、どうせ暇やったしな。それにこの宴に貧乏人のドチビが・・・って、なんやねん!!そのごっつぅ高そうなドレスは!?」

 

そう言いながらボクの方に顔を向けてくると同時にそう言ってくる。

 

「ふふん、このドレスはボクの眷族(こども)が用意してくれたんだ。ボクの眷族(こども)がね!!」

 

そう言って自慢するヘスティアに対してロキは顔を歪めてこう言ってくる。

 

「ウチかて眷族(こども)らに贈り物位される時くらいあるわ、その脂肪の塊揺らすなや!!」

 

「なんだとー!!君こそそんなドレスを着てただでさえ無乳なのが更に強調されているじゃないか!!」

 

「なんやと、このクソドチビがーーーーーーーー!!」

 

「なんだよ、この無乳め--------!!」

 

言い合いの果てに女神二柱は頬の引っ張り合いを始めるとその際、他の神々による勝敗の賭け事の的にされたのは言うまでもない。

 

そして、ロリ巨乳(ヘスティア)無乳(ロキ)はこの喧嘩を不毛に感じ引っ張り合いを止めて勝者無しとなってその後、無乳(ロキ)は帰って行くのだった。

 

その後も神々の宴(デナトゥス)は続き、ヘスティアは神友のヘファイストスやフレイヤと共に楽しむのだった。

 

宴の余韻に浸りながら本拠(ホーム)に戻ってくると、ベルがソファで眠っているのを見て一言。

 

「ただいま、ベル君」

 

 

 

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